Coishikawa Scraps

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2026-01-04ずっと真夜中でいいのに。@東京ガーデンシアター New!
2025-12-31『プリンス論』
2025-12-29『忍法相伝73』
2025-12-27『F1 ザ・ムービー』
2025-12-23『THANK YOU SO MUCH』
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ずっと真夜中でいいのに。

コズミックどろ団子ツアー/2025年12月22日(月)/東京ガーデンシアター

 ずとまよのファンクラブ会員限定アコースティック・ライブ『コズミックどろ団子ツアー』。その千秋楽のひとつ前の公演を東京ガーデンシアターで観た。

 平日にライヴがある日は仕事を休むのが習慣なのだけれど、この日は諸事情あって休みがとりにくい状況だったのと、通勤先の隅田川沿いのオフィスビル前から出ているバスに乗れば、それ一本で会場へ行けることがわかったので、仕事を早退して観にいった。いくつもの橋を渡る都バスに乗って、馴染みのない下町の風景を眺めながらライブに向かうというのも、なかなかおつなものだった。

 ずとまよのアコースティック・ライブはこれが第三弾で、最初がビルボードライブ(チケット取れなかった)、二回目がZeep DiverCityときて、今回は東京ガーデンシアター。しかも全国二十五公演。人気のほどがそのまま公演規模の変化に表れている。

 でも今回はこの広い会場が仇になった。

 アコースティックセットってことで、終始しっとりとした雰囲気で照明が暗めだったこともあり、最上階に近かった僕らの席からは、ほとんどステージが見えない。

 ずとまよ名物の凝ったステージセットも、中央に巨大なタマネギみたいな形のフレームに乗った天体図が配されていたのはなんとなくわかったけれども、ディテールはまったく識別できず。天体図の輪っかの一部で赤いランプが点滅していたけれど、それがなにを意味しているのかもわからない。なにより上から見下ろす形だったので、そのセットの中央にいるACAねがほとんど見えないのがダメージ大だった。

 東京ガーデンシアターというと、以前アリーナ席の後方でずとまよを観たときにも、前の人が邪魔でステージがよく見えなくてストレスだったし、ボブ・ディランも照明が暗すぎてまったく見えなかったし、なんでこんなに見えないの?――って経験ばかりさせられている。帰りは帰りで、動線を規制されて、駅に着くまで三十分も歩かされるし。ほんとこの会場は毎回やたらと印象が悪い。

 とにかくこの日のライヴも見えなさのせいで楽しさ半減だった。もとよりアコースティック・セットってことで期待度がいつもより低かったうえに、視覚的にもストレス過多ではなぁ……。

 ずとまよはACAねが顔出しNGだから、見えなくても関係ないように思えるけれど、顔が見えないのはともかく、動きも見えないとなると話が違う。せめてもう少し照明を明るくするか、スクリーンを配して欲しかった。

 そういう意味では今回のツアーは会場規模と演出がミスマッチだったと思う。少なくても席がよくないと十分には楽しめないステージだった。

【SET LIST】
  1. サターン
  2. 正しくなれない
  3. クズリ念
  4. 蹴っ飛ばした毛布
  5. グラスとラムレーズン
  6. Blues in the Closet
  7. 猫リセット
  8. 微熱魔
  9. スローモーション[中森明菜カバー]~味噌ネコの団子(黒猫のタンゴ)[メドレー]
  10. 低血ボルト [即興ver.]
  11. Ham
  12. 違う曲にしようよ
  13. 袖のキルト
  14. TAIDADA
  15. またね幻
    [Encore]
  16. 過眠
  17. 花一匁

 ライブ自体はアコースティックってコンセプトゆえ、いつもよりスローでシリアス度高めな内容。バンドメンバーはギターに菰口雄矢、キーボード岸田勇気、ドラム(パーカッション?)神谷洵平に、オープンリールの吉田兄弟という構成だった。前回はギターとピアノだけだったから、人数は倍増している。

 ライヴは「コズミック」と「アコースティック」というキーワードから連想する曲といえば、まずはこれっていう『サターン』でスタート。最初はACAねの弾き語りで、アウトロから菰口、岸田、神谷の三人が入ってくるアレンジ。

 最初の数曲はこの四人だけの演奏で、その後、どの曲からか忘れたけれど――『グラスとラムレーズン』あたり?――吉田兄弟が登場してからは、なにやら重低音が加わって、音作りが重厚になる。あれはオープンリールの効果なんすかね? なんか不思議な音のボリューム感だった。

 いずれにせよ、アコースティックな編成ゆえのアレンジの違いがこの日のなによりの聴きどころ。『永遠深夜万博』につづいてスローバラードとして演奏された『クズリ念』とか、意外性のあるスローなボサノバ調の『微熱魔』とか。アンコール〆の『花一匁』も前半部分が超スローでエモかった(若者言葉を使ってみるやつ)。かって知ったるイントロが、いつもとは違うリズムや音色で鳴り始めるのがとても新鮮だった。

 まぁ、暗さについて文句をいってしまったけれども、今回のツアーはACAねが深夜にひとり部屋で音楽を作っているシチュエーションを再現する、というようなコンセプトだったらしいので、照明を明るくできなかったのは致し方ないんだろう。でもだとしたら、せめてスクリーンは用意して、ディテールを映像として拾うとかして欲しかったなぁ……。

 あとね。全体的にシリアスな曲とアレンジばかりだったので、そこに差し込まれた吉田兄弟の余興が余計。

 それが楽しくて好きって人もいるんだろうけれど――というか、ACAねをはじめとした当事者たちは好きでやっているんだろうけれど――音楽至上主義の僕にとっては毎回余計すぎる。そんなことしている暇があるのならば、その分もっと音楽を聴かせてくれって思ってしまう。なまじこの日のステージはなにやってんだか見えなかったので、なおさらだった。素人の笑えない余興ほど寒いものはなくない?

 俺がエレカシが好きなのは、宮本がステージでほとんどしゃべらないからってのも大きいよなって思った。

 アコースティック企画では恒例の特選カバー曲は、意外や、中森明菜の『スローモーション』――と『黒猫のタンゴ』改め『味噌ネコの団子』のメドレー。『スローモーション』ではサビの最後の部分で「え、なにその歌い方?」と思ってしまうような、演歌的なコブシの効いたボーカルに驚いた(うちの奥さんは「ねっとりしていた」と表現してました)。

 すっかり定番となった三曲ランダムセレクション即興コーナーは、どろ団子の専門家(なにそれ?)の大学教授をステージにあげて、一緒にどろ団子を落として割れた方から出てきた曲をやるという趣向で、選ばれたのは『低血ボルト』だった。でも今回のこの曲は即興アレンジのためにACAねの出した指示がなんだか要領を得ず、その通りの演奏になっていたのかもいささか疑問。でもまぁ、大好きな『低血ボルト』が聴けたのは嬉しかった。

 そういや、今回はアコースティック・ライヴだから、しゃもじクラップはなしでお願いしますという話で、ツアーグッズのしゃもじもいつものように二枚セットになっていない一枚だけの特別仕様だったくらいなのに、それでいて座って観ていると、たまに「立ってもいいよ~」とか言われて(半ば強制的に)立たされる。結局アンコールも含めると三回くらい立つことになった。

 ベース抜きでの『TAIDADA』とか、ちゃんとダンサブルに成り立っているのすげーとか思ったし、立つコーナーは曲がアッパーなこともあり、照明が明るくなって、いちばん観やすかった。でも立ったりすわったりめんどくさいので、どうせならばずっと座ったまま見せてくれたほうが嬉しかったかなぁ……。

 というような感じで、今回のライヴは僕がこれまでに観たずとまよのライヴでは、残念ながらもっともマイナス要素が多かった。

 ほんと吉田兄弟の余興はいらないんだよなぁ……。あれが今後もつづくのならば、チケットもどんどん高騰しているし、もうそろそろずとまよのライヴとも距離を置いてもいいかなと思ってしまった。

 いやでもアンコールではひさびさに大好きな『過眠』も聴けたし。菰口くんのアコギのエッジーな音がとてもカッコよかったし、演奏は文句なしなんだよなぁ……。

 というような今回のツアー。暗さもあいまって気が散って集中しきれなかった感があるので(やっぱ仕事帰りなのもよくなかった気がする)、音源が配信されたら、それはそれで嬉しいかもしない。でもって、もし生で聴いていなかったら、それを聴いてライヴに行かなかったことを後悔するのが想像に難くない。ならばあとで後悔するよりは行って文句をいっている方がいい。

 ――ということで、この先いつまでつづくのかは不透明になってきたけれど、ひとまず来年以降も僕らのずとまよ行脚はつづく予定。

 次は二月末の日本武道館だっ!

(Jan. 4, 2026)

プリンス論

西寺郷太/新潮新書/Kindle

プリンス論(新潮新書)

 僕はプリンスのファンを名乗るにはおこがましいリスナーだけれど、それでもプリンスに対しては、ほかのアーティストにはない特別な思い入れを持っている。

 プリンスが『パープル・レイン』で一世を風靡した高校時代。サザン、ビートルズ、ストーンズ、スプリングスティーンなどを一緒に聴いていた友人らが、プリンスにはまったく関心を示さない中、僕ひとりが彼の音楽に夢中になった。

 僕にしたって最初から彼のことが好きだったわけじゃない。初めて『When Doves Cry』を聴いたときには、そのあまりの異質さになんだこりゃと思ったし、セクシャリティを前面に打ち出した彼のルックスは正直気持ち悪かった。

 それでも大ヒットしていたその曲は、聴くともなしに聴いているうちに、僕の中に深々と刺さっていった。どのタイミングで『パープル・レイン』を聴いたのか、記憶がさだかじゃないけれど、そのアルバムを聴くころには、僕はすっかりプリンスの音楽に夢中になっていた。『パープル・レイン』の試写会に応募して、ひとりきりで有楽町へその映画を観にいったりもした(いまの自分からは考えられない行動力)。

 そして、それまで比較的オーソドックスなロックファンだった僕の音楽志向は、プリンスの音楽の持つ多様性とクリエイティビティに触発されたことで、それまで以上の広がりを持つことになった。そのときに獲得した音楽性の広がりが、その後四十年以上にわたって、僕が音楽を聴きつづける原動力になったといっても過言ではない。

 かつての友人たちが高校時代の趣味のまま年を重ねて新しい音楽を聴かなくなってしまったのに、僕だけがいまだ飽きることなく音楽を聴きつづけているのは、もっとも多感なその時期にプリンスと出会った影響が大きいと思っている。

 いわばプリンスは僕の音楽人生における恩人のひとり――。

 さて、ということで前振りが長くなってしまったけれども、これはノーナ・リーヴスの西寺郷太が書いたそんなプリンスの入門書。

 奇しくもプリンスが亡くなる前の年に出た本なので、もしかしたら改訂版が出るかもと思って待っていたのだけれど、出ないまま十年が過ぎたので、ここいらで読んでしまうことにした。

 新書だからそんなに詳細な内容ではないし、キャリアの後半部分が駆け足になってしまっているのはいささか残念だけれど、それでもミュージシャンが片手間で書いたとは思えない、とてもしっかりとした内容に仕上がっている。

 西寺クンのなにがすごいかって、プリンスやマイケル・ジャクソンに出会ったのが小学校五年生のときだということ。

 その年で洋楽に――それもメロディよりもビートを強調したブラックミュージックに――目覚めるのって、単純にすごいなぁと思う。音楽家として世に出る人はひとあじ違う。

 でもまぁ、青春真っただ中の高校時代にプリンスやスプリングスティーン、最盛期のサザンや佐野元春を聴けた僕らだって、十分に幸運だよねって、いまとなると思う。

(Dec. 31, 2025)

忍法相伝73

山田風太郎/講談社/Kindle

忍法相伝73 (ROMANBOOKS)

 忍法帖シリーズの長編で唯一、これまでに一度も文庫化されたことがない、わけありの作品。

 文庫化されていないってことは、要するに風太郎先生が読まれることを望んでいなかったってことなわけで。

 2013年に単行本化されているけれど、ほかの忍法帖は文庫本しか持っていないのに、そういう作品をわざわざ単行本で所有する気になれずにスルーしてしまった。最近になってものすごく昭和レトロな表紙がついたKindle版が出ているのを見つけて、ようやく読むことができたわけだけれども……。

 なるほど。これは駄目でしょう?

 というか、そもそもこれは忍法帖ではないのでは?

 タイトルに「忍法」とはあるけれど、「73」というアラビア数字がついていることで予想がつくように、舞台は現代だ。

 「忍法帖」の「帖」は暗黙のうちに時代劇を意味しているのだろうから、時代劇ではないこの小説をシリーズとしてカウントするのは間違っている気がする。内容的にも、これをあの一連の傑作群に加えるのには、心理的な抵抗を感じてしまう。

 物語は昭和のいまを生きる若者が、先祖が書き残した忍法の覚え書きに従ってみたところ、本当に忍法が使えてしまいましたというナンセンス・コメディ。作風的には忍法帖というよりは『男性週期律』あたりに近い印象だった。風太郎先生らしいシニカルな視点から生み出された、社会風刺に満ちた馬鹿話。

 もともと1964年に発表した『忍法相伝64』という短編を膨らませて連作長編化したものだとのことで、長編化にあたって数字がなぜ「73」に変わったのかは不明。物語的にはこの数字は西暦とは関係がなくて、忍法書に書かれた七十三番目の忍法を最初に使ったのがその名の由来。その後も各章は「忍法相伝85」、「忍法相伝99」と数字の部分をカウントアップしながら進んでゆく。

 試される忍法はどれも荒唐無稽なだけではなく、とても馬鹿らしくて下品なものばかりだから、わざわざ書き残そうって気にもなれない。クライマックスで序盤の伏線を回収したどんでん返しがあるけれど、最後の落ちときた日には脱力ものだ。なにそれ? まるでコントじゃん。

 いやぁ、これは文庫化したくなかったのもわかる。風太郎先生、若気の至り。悪ふざけにもほどがある。山田風太郎の長編ワースト部門に入ること確実な一冊。

 まぁ、そんなわけで内容には感心しなかったけれども、昭和の世相を色濃く反映している点は一興だった。山登りした先のゴミの多さに国民の道徳意識の低さを嘆くあたりには、外国人に国の清潔さを絶賛されている令和の現代とは隔世の感があった。

 とりあえず、忍法帖シリーズもほぼ読みつくして、残すところあと一冊。これがその最後の一冊なんてことにならなくてよかった。

(Dec. 29, 2025)

F1 ザ・ムービー

ジョセフ・コシンスキー監督/ブラッド・ピット、ダムソン・イドリス、ケリー・コルドン/2025年/アメリカ/Apple TV+

F1R ザ・ムービー

 車も持っていないし、モータースポーツにも興味はないのに、不思議とこの手の映画は観たくなる。

 F1団体の全面サポートを受けたとかなんとかいう噂の、ブラッド・ピット主演のF1レース映画。

 ――だと思って観始めたら、いきなり最初のレースはF1ではなく、デイトナ24時間耐久だった。

 ブラピ、F1ドライバーじゃないじゃん!

 ――という意表をつく始まり方をしたこの映画。

 ブラッド・ピット演じる主人公のソニー・ヘイズは、30年前の若き日に事故でキャリアを棒に振ったレーサー。F1にこそ乗っていないけれど、ドライビングにおけるセンスは天才的で、様々なレースに参加しては結果を残している――らしい。

 そんな彼にかつてのチームメイトだったハビエル・バルデム(いまだに名前が覚えられない)から、自分がオーナーを務める新参F1チームで走ってくれないかとオファーがある。今季1勝もしていない彼のチームはこのままだと身売りせざるを得ないという状況にあり、ブラピの才能を知ったるかつての旧友が、その天才に一か八かの賭けをすることにしたわけだ。

 F1に復帰するには歳をとりすぎているブラピ(実年齢62歳!)に、チームも世間も疑いの目を隠さない。とくにチームの黒人エースドライバー、ジョシュア(ダムソン・イドリス)は反発することしきり。それでもソニーは持ち前の才覚と、反則ぎりぎりの手管を厭わないずるがしこさでもって、チームに多大な貢献を果たすようになり、周囲の信頼を得るのみならず、そのシーズンの主役のひとりになってゆく。

 年配者が若者とためをはって戦うという展開には、晩年の『ロッキー』を思い出させるところがあるし、F1のサーキットで世界中をまわりながら、でこぼこだったチームが徐々に団結してゆく展開には少年ジャンプ的な楽しさがあった。

 決して傑作とは思わないけれども、そんな風にマンガ的だからこそ、いずれまた観たくなるんだろうなって思った。

(Dec. 27, 2025)

THANK YOU SO MUCH

サザンオールスターズ / 2025

THANK YOU SO MUCH [完全生産限定盤A] [CD + SPECIAL DISC(Blu-ray) + SPECIAL BOOK]

 若い子たちの音楽ばかり聴いていた一年だけれど、せっかくだから最後にこの人たちを。

 今年の三月にリリースされたサザンオールスターズの十年ぶり、通算十六作目の最新アルバム。

 とかいいつつ。失礼ながら、僕はこのアルバムにまったく期待していなかった。

 先行シングルとして配信されていた『恋のブギウギナイト』『桜、ひらり』『盆ギリ恋歌』『歌えニッポンの空』などがどうにも好きになれなかったから。

 どれもサザンらしいといえばらしい曲だけれど、音作りが人工的すぎて、僕の趣味にはあわない。

 かろうじていいなと思えたのは『ジャンヌ・ダルクによろしく』と『Relay~杜の詩』くらい。それだって単発で聴いている限り、かつての曲ほどには夢中になれなかった。

 まぁ、とはいっても、わが青春のバンドと呼んでしかるべきサザンの新譜だ。聴かないわけにはいくまいと、迷わずにCDは買いました。そしていざ聴いて驚いた。

 いや、よくない、このアルバム?

 前述した楽曲が中心の序盤は、あぁ、やっぱりなぁって感じなのだけれど、原坊が歌う『風のタイムマシンにのって』や、大谷翔平の名前が歌詞に出てくる『夢の宇宙旅行』など、あ、意外といいかもって曲を経たあと、終盤になってこのアルバムのクライマックスと呼ぶべき二曲がやってくる。

 それが『悲しみはブギの彼方へ』と『ミツコとカンジ』。

 なに、このリトル・フィート・ファン丸だしな『悲しみはブギの彼方へ』って曲は?

 ――と思ったら、それもそのはず。これがデビュー前のアマチュア時代にやっていた曲だそうで。いまさらマジか?

 つづく『ミツコとカンジ』(アントニオ猪木夫妻のことですよね?)は新曲だけれど、これまたその曲のテイストを踏襲した、オールド・スタイルのサザン・ナンバー。まさかそんなタイトルの曲に魅了されようとは予想もしなかった。

 初回限定盤についてきたボリュームたっぷりのインタビューによれば、大半の曲は桑田佳祐が片山敦夫らとスタジオで最新のレコーディング技術を駆使して緻密に音を組み立てたものなのに、この二曲はサザンのメンバーが一堂に会して、普通にバンドとしてレコーディングされたらしい。なるほど、気持ちがいいいわけだ。やっぱバンド・サウンドはこうでないと。

 ほんとこれだよ、これ。これこそ僕がずっと聴きたいと思ってきたサザンの音だぁ~!――と大盛り上がりだった。

 この二曲から、これまたピアノがフィーチャーされた『神様からの贈り物』を経て、配信シングルではもっとも感動的だった『Relay~杜の詩』で終わるという。この締めの部分が文句なしに素晴らしい。終わりよければすべてよし。こんなにあと味のいいサザンのアルバムはひさしぶりだ。

 とにかく、なにはともあれ、僕と同世代のサザンファンだったら、『悲しみはブギの彼方へ』と『ミツコとカンジ』の二曲だけは絶対に聴くべし。嬉しくて頬が緩むこと間違いなしです。ぜひ。

(Dec. 23, 2025)



【相棒】
しろくろや

【Shortcuts】
音楽 作品 / ライブ / 会場 / 購入 / エレカシ
作品 / 作家 / 翻訳家 / 出版社 / 読了 / 積読
映画 作品 / 監督 / 俳優 / / シリーズ / ドラマ
蹴球 鹿島 / Jリーグ / 日本代表 / W杯

【新譜】
01/07あまりもの / 奥田民生
01/14Cry High Fly / aiko
01/23Somebody Tried To Sell Me A Bridge / Van Morrison
01/30Wormslayer / Kula Shaker
02/06Tenterhooks / Silversun Pickups
02/20Prizefighter / Mumford & Sons
03/04二人称 / ヨルシカ
03/11禁じ手 / 椎名林檎
03/20The Mountain / Gorillaz
03/25形藻土 / ずっと真夜中でいいのに。
06/10I AM HERO 「俺と、友だち」盤 / 宮本浩次
06/10I AM HERO 「最高の日、最高の時」盤 / 宮本浩次

【コンサート】
01/10宮本浩次@日本武道館
02/28ずっと真夜中でいいのに。@日本武道館
10/28BUMP OF CHICKEN@有明アリーナ

【新刊書籍】
01/07『消失』 パーシヴァル・エヴェレット
02/26『書簡型小説「二人称」』 n-buna

【準備中】
12/22ずっと真夜中でいいのに。@東京ガーデンシアター
12/27RADWIMPS@有明アリーナ
12/30高校のカフカ、一九五九

【過去のコンテンツ】
Coishikawa Scraps Bootleg 2.0