Coishikawa Scraps

最新情報

Photo

更新履歴

2025-11-05宮本浩次@日本武道館 New!
2025-11-02ルヴァン杯 決勝・柏-広島
2025-10-30『巨神計画』
2025-10-28J1 第35節・京都-鹿島
2025-10-26『海の上のピアニスト』
これ以前の更新履歴はこちら

検索

新譜

Through The Open Window: The Bootleg Series Vol. 18 (Highlights) We Are Love Everybody Scream [Explicit] Nebraska '82: Expanded Edition West End Girl [Explicit] Cornucopia Live

マンガ

ONE PIECE 113 (ジャンプコミックス) あかね噺 19 (ジャンプコミックスDIGITAL) ルリドラゴン 4 (ジャンプコミックスDIGITAL) バブル・ザムライ(6) (ビッグコミックス) キングダム 77 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL) 最強で最速の無限レベルアップ(9) ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~ (月マガ基地) 脱落令嬢の結婚(1)【電子限定特典付】 (FEEL COMICS swing) 弱虫ペダル 97 (少年チャンピオン・コミックス) ダンダダン 21 (ジャンプコミックスDIGITAL)

読書中

草の竪琴 薬屋のひとりごと 16 (ヒーロー文庫)

最近の五本

宮本浩次

俺と、友だち/2025年10月27日(月)/日本武道館

I AM HERO

 十月になって突然発表された宮本の新企画『俺と、友だち』。

 まずは発表からわずか一週間後に下北沢SHELTERでトミとキタダマキとのスリーピースバンドでのライブをやるといって唖然とさせ、翌日には同月の最終週に武道館公演をやるといい出した。なんだそりゃ。

 結局シェルターはトミが交通事故を起こして出演を自粛したので、キタダマキとのふたりでのステージになってしまい、宮本がやりたかったことができなくなってしまって気の毒だったけれど、この日の武道館に関しては本人はきっと大満足だったろう。

 そう、少なくても本人は。

 残念ながら僕個人は今回のソロ公演を楽しみきれなかった。けっこう期待していただけに、そのギャップにがっくりきた。

 宮本いわく「俺と、友だち」はバンド名なのだという噂で、今回、宮本がその新しいバンドのメンバーに選んのは、名越由貴夫、玉田豊夢、キタダマキ、奥野真哉という四人だった。

 縦横無尽バンドから小林武史が抜けて奥野が入っただけじゃん!

 名越さんは友だちなのに、小林さんは友だちじゃないんかい!

 ――とつっこみを入れたくなる。

 とはいえ。たったひとりのこの変更が重要だったのも確か。

 小林武史氏のプロデュースに身を委ねた宮本のソロは、完全なポップスとして綺麗にパッケージされていた。そのサウンド・プロダクションはきっちりとしたプロの仕事だった。

 でもそれは宮本がエレカシで聴かせてきたそれまでのアプローチとは対極にあった。僕ら一部のファンが愛したのは、プロに徹しきれない、永遠にアマチュア臭さの抜けないエレカシの音だ。そんなファンにとっては、小林武史プロデュースの宮本ソロはどうにもお行儀がよくて聴きごたえがなかった。

 宮本にしたって、ほぼソロワークに近かったエレカシの『生活』や『good morning』ではあれだけノイジーでアグレッシブな音を鳴らしてみせた人だ。本人にラウドなロック・サウンドへの欲求がないはずがない。

 「俺と、友だち」と称して、小林さん抜きでバンドをやろうという姿勢には、そうした昔ながらのロックに対する原点回帰的な意味合いが含まれているのだろうと思われる。発表からわずか一ヵ月のあいだに二本をこなすという性急なスケジュールも、業界の因習に縛られない自由さ、ベテランらしからぬ足取りの軽さを感じさせた。

 これはもしや期待してもいいのでは?

 ――今回のライブには、そんな宮本ソロが始まって以来、初めてじゃないかって期待感があった。

 でもって、宮本はそんな期待にきっちりと答えてくれる。

 ――少なくても第一部では。

 『over the top』から始まった最初の四十五分は予想にたがわず最高だった。小林武史のかわりに奥野真哉(from ソウル・フラワー・ユニオン!)の鍵盤をフィーチャーしたサウンドは、あきらかにこれまでの宮本のソロとは違った。

 というか、単純に宮本がギターを弾いている時点で違う。これまでのソロではロック歌手に徹して、ほぼ全編ハンドマイクだった宮本が、今回のステージでは過半数の曲でギターを弾いていた。名越さんの安定した多彩なギタープレーに、宮本の乱暴な音が重なる。そこから生まれるガリガリしたロック・サウンドが最高~。

 選曲にしても『明日を行け』や『It's only lonely crazy days』など、エレカシでもめったにやらないシングルのカップリング曲であるレアナンバーを聴かせてみせたのは、あえてエレカシと差別化をはかってみせたんだろう。これらの曲が特別好きなわけではないけれど(というか『明日を行け』なんてタイトルさえ忘れていた)、めったに聴けない曲を聴かせてくれた姿勢が嬉しかった。まぁ、エレカシでは一度もやったことない『It's only lonely~』の初公開がソロでいいのかよとは思ったけれど。

 で、そこにさらにエピック期の『凡人 -散歩き-』や『サラリサラサラリ』が加わるというね。とくに『凡人』は玉田豊夢のドラムとキタダマキのベースがエレカシとは違ったファンキーなグルーヴ感を生み出していて絶品だった。この日のベストナンバーは間違いなくこの曲。

 そんなエレカシ比率の高かった第一部で演奏された数少ないソロナンバーの『夜明けのうた』も、今回は朝日が昇ったりする特別な演出がないところがかえって新鮮だったし、ソロではもっともパンキッシュな『Do you remember?』もひさびさに聴かせてもらえて嬉しかった(この曲はもっと頻繁に聴きたい)。カバー曲もやらなかったし、『OH YEAH!(ココロに花を)』で締めとなるまで、第一部はこれまでの宮本ソロでいちばんの内容だった。『俺と、友だち』、最高なのでは? と嬉しくなった。

 そう、第一部が終わった時点では。

【SET LIST】
    [第一部]
  1. over the top
  2. 明日を行け
  3. 悲しみの果て
  4. 夜明けのうた
  5. 凡人 -散歩き-
  6. サラリサラサラリ
  7. It's only lonely crazy days
  8. Do you remember?
  9. OH YEAH!(ココロに花を)
    [第二部]
  10. Hello. I love you
  11. ジョニィへの伝言

  12. 風と私の物語
  13. 哀愁につつまれて
  14. close your eyes
  15. 今宵の月のように
  16. 昇る太陽
  17. ハレルヤ
  18. ガストロンジャー
  19. I AM HERO
    [Encore 1]
  20. 冬の花
  21. rain -愛だけを信じて-
  22. P.S. I love you
    [Encore 2]
  23. First Love

 あれ?――と思ったのは、つかの間の休憩をはさんで第二部に入ってから。

 最初の『Hello. I love you』こそエレカシのカップリング曲だったから、そこからも第一部の流れをくんだ内容になるのかと思ったら、二曲目で『ジョニーの伝言』が演奏されてしまう。

 カバー曲なし、混じりけなしの一大ロックショーを期待していた身としては、この歌謡曲の登場で一気にボルテージが下がってしまった。

 つづく『風』は大好きな曲だし、こなれたバンドサウンドにのる宮本の明朗なボーカルはとても気持ちよかったけれど、なにせバラードではひとつ前で下がったテンションはそう簡単には上がらない。

 その次は初公開となる今回の目玉のひとつ、宮本がAdoに提供した『風と私の物語』のセルフカバー。

 宮本ならではのメロディと歌詞をAdoが見事に歌いこなすを聴いて、Adoってすげーと改めて思わされたこの曲。これぞ宮本節って感じだし、本人が歌っても絶対に映えるんだろうと楽しみにしていたのに、残念ながら期待したほどではなかった。Adoのぶれのない迫力のあるボーカルと比べると、宮本のライブバージョンはいまいちインパクトを欠いたというか……。人に提供した曲だからだろうか。宮本のボーカルでいちばん気持ちのいい音域が出ていない印象を受けてしまって、気持ちよさが足りなかった。大いに期待していた曲だっただけに残念。

 で、その次がバースデーライブの最後に演奏された『哀愁につつまれて』で(なにげに宮本のお気に入りなのかもしれない)、そこから第二部の終わりまでは、これまでのソロコンサートの定番ってイメージになってしまう。

 要するに意外性がまったくなくなった。これじゃあ小林武史がいてもいなくても変わらないじゃん。なまじ第一部がエッジの効いた音と意外性のある選曲で楽しませてくれただけに、そことのギャップでどうにもテンションが上がらない。

 でもまぁ、本編ラストの『昇る太陽』『ハレルヤ』『ガストロンジャー』、そして本邦初披露の新曲『I AM HERO』というアッパーな曲を連発した締めに関しては文句なし。『I AM HERO』は『ミュージックステーション』で聴いたときには、まだちゃんと歌いこなせてない感があったので、生で聴いたこの日のほうが何倍もよかった。

 そうそう、今回のライブは、最近のソロとは違ってスクリーンがなかった。僕らの席は二階席の上の方で、さすがに遠くて宮本の表情とかはまったくわからなかったけれど、でもほぼ正面だったから、ステージ全体が満遍なく見えたし、バンドの全体像が視野に入る分、ちゃんとライブ感が味わえたのはよかった。

 あと、スクリーンはなかったけれど、こと照明に関しては、これまでのエレカシ関係ではもっともゴージャスだった。武道館の会場全体を縦横無尽にライトが飛び交う美しさはとても見ごたえがあったので、これが見られただけでも今回は遠い席でよかったかもと思った。

 ソロのクライマックスを飾る定番『ハレルヤ』は、これまでいつも宮本の手書きの歌詞がスクリーンに映し出されるのを目にしながら聴いていたけれど、今回はそれもなかったので、いつもより没入感が高かった気がした。やっぱ宮本のステージには余計な演出はいらないんだよなぁって思う。

 ということで、第二部に入ってからは印象がいまいちになってしまったものの、最後はけっこう盛りあがったので、そこで終わってくれていれば、なかなかいいコンサートだったと気持ちよく帰れたのに……。

 今回はそのあとのアンコールがいけない。

 一曲目の『冬の花』はまぁ仕方ない。これはやるでしょう。ソロを代表する一曲みたいになってしまっているし。僕の好みではないから、やめてとはいえない。

 でも二曲目の『rain -愛だけを信じて-』が駄目。いい曲だとは思うんだけれど、以前に口パク疑惑を受けたコーラス部分でのボーカルのサンプリングの使用が駄目。今回のライヴのコンセプトから外れている。昔ながらのロックバンドはそんなことはしない。あのさびのハモリですげー萎えた。俺はもっと宮本の歌を生で聴きたいんだよ~。

 いや、もしもあのハモリがちゃんと嵌っていればまた違ったのかもしれない。でも下手なんだもん。ガリガリとしたロック・サウンドに乗せてガナるならば、ちょっとくらい声が出ていなくても受け入れられるけれど、ポップソングはちゃんと歌えてなんぼだ。ちゃんと歌えないなら、やらないで欲しい。

 そんな風にネガティヴになってしまったアンコールの締めに『P.S. I love you』で「愛してる~、愛してる~」を連呼されてもなぁ……。

 あぁ、今回のアンコールはいらなかったなぁ……と思ながら帰ろうと思ったら、なんとそのあとにダブル・アンコールがあって、さらなる駄目押しをされてしまう。

 宮本がエレクトリックギターを持って出てきて、椅子を準備していたので、「おー、もしや最後に『男は行く』かっ!」と、瞬間的に高揚した僕の期待を裏切って演奏されたこの日最後の曲は――。宇多田ヒカルの『First Love』。

 なんで最後に人の曲を歌うのさ。カバー曲がメインだった『ロマンスの夜』ならばともかく、今回はそれはないんじゃん? それも決して上手くもないのに……。

 なまじ『男は行く』を期待してしまったもんだから、がっかり感がはんぱなかった。

 この夜の歌でいえば、『サラリサラサラリ』や『風』など、宮本が自らの声域のなかで無理をせずに歌うバラードの気持ちよさには抗えないものがあるのに、『First Love』はそうじゃない。あくまで個人的な意見かもしれないけど、ファルセットを使わないと歌えない曲は、宮本の魅力が半減するんだよねぇ……。

 やめたほうがいいよって、誰かいってくれないかな。

 とにかく、このアンコールの四曲のせいで、この夜のテンションはダダ下がりだった。宮本のコンサートを観て、こんな風にがっかりしたのはひさしぶりだ。

 いや、客観的に批評家的な目で見れば、内容のあるいいコンサートだったのかもしれない。でも僕自身が聴きたい音楽と、宮本がやりたいことのギャップが激しくて、個人的には十分に楽しみ切れなかった。そんな晩秋の一夜だった。

(Nov. 05, 2025)

柏レイソル1-3サンフレッチェ広島

YBCルヴァンカップ・決勝/2025年11月1日(土)13:00/国立競技場

 今年のルヴァン杯決勝は、今季絶好調で首位・鹿島を追って2位につける柏と、僕が個人的に優勝候補の筆頭だと思っていた広島の対戦。

 この両チームはイメージが似ている。どちらも日本にきてしっかりと実力を示してきた外国人監督が指揮をとる3バックのチームで、チームとしての熟練度が高い。ことチームとしての完成度だけでみたら、鹿島よりもこの両チームのほうが上に思える。

 そんなクラブどうしの対決だから、好ゲームになるのは必至――かと思っていたら、試合は意外な展開をみせた。広島が前半だけで3ゴールを奪っての優勝。

 まぁ、スコアほど内容が一方的だったわけではなくて、広島のゴールはどれも「えっ?」って思ってしまうようなあっけなさだった。

 1点目はロングスローからの荒木のヘディング。2点目は東峻希の直接FK(素晴らしかった)。3点目がふたたびロングスローから。ニアでの競り合いからファーに流れたボールをジャーメイン良がジャンピング・ボレーでぶちこんだ。

 ロングスローはどちらも右ウィングバックの中野就斗によるもの。広島ではもっとも馴染みのない選手だったけれど、この試合で否応なく覚えました。

 正直ロングスローが多用される最近の風潮はあまり好きではない。ロングスロー自体は否定しないけれど、そのたびにいちいちボールをタオルで拭いて時間を無駄にしている感じが嫌だ。足でボールを蹴るスポーツなんだから、ボールは濡れててあたりまえ。いっそタオルの使用は禁止にしちゃってくれませんかね。

 まぁ、なんにしろ柏にとっては守備が崩されたでもないまま失った3失点だ。憮然とするしかなかったろう。お気の毒さまでした。

 そんなわけで前半で大勢が決してしまったので、後半は退屈になるかと思ったら、意外とそうでもなかった。なんたって柏は準決勝では3点差を跳ね返して川崎に勝ったわけだし。わずかな可能性を信じて攻撃を仕掛ける展開が意外と熱かった。途中出場の細谷がマークについた荒木を振り払ってゴールを決めたシーンには舌を巻いた。細谷すげぇ。スタメンの垣田も悪くなかったけれど、やっぱ柏のエースは細谷でしょう。

 ということで、細谷のゴールこそ生まれたものの、後半の得点は両チームあわせてそれだけ。さすがにリーグ最少失点の守備は堅かった。前半のセイフティリードを守り切った広島が5つめのタイトルを獲得した。

 そういや、この試合、スタメンは両チームの全員が日本人だった。カタカナ表記はジャーメイン良だけ(後半からはジエゴ、ジェルマン、アルスランらが出てきたけど)。カップ戦の決勝戦に日本人だけが名を連ねるという状況に、日本サッカーの確実な変化を感じもした一戦だった。

(Nov. 02, 2025)

巨神計画

シルヴァン・ヌーヴェル/佐田千織・訳/創元SF文庫(全二巻)/Kindle

巨神計画 上 〈巨神計画〉シリーズ (創元SF文庫) 巨神計画 下 〈巨神計画〉シリーズ (創元SF文庫)

 若いころ『機動戦士ガンダム』や『超時空要塞マクロス』の薫陶を受けた世代なもので、巨大ロボがテーマといわれて興味を持ったところへ、Kindleのディスカウントで安く買えたこともあって読むことにしたSF小説。

 この小説はプロローグのビジュアル・イメージが素晴らしい。

 十歳の女の子が誕生日のプレゼントに自転車をもらい、喜び勇んで走り出した先で、謎の穴に落ちてしまう。彼女を救出しにきた大人たちが見つけたのは、巨大なロボットの掌の上に横たわる少女の姿だった。映像化したら映えること間違いなしな最高のオープニング!

 ロボットといっても、そのときに見つかったのは片手だけ。地球外生命体が何千年も前に地中に埋めたものと推測された。

 少女は長じて科学者となり、世界中に散らばったパーツを集めてロボットを復元するプロジェクトの責任者に任命される。彼女がパーツのありかを見つけるのに有効な調査方法を発見したことにより、ロボットの復元は順調に進んでゆくのだけれど、その過程には思わぬ障害が……。

 未知の地球外生命体によって過去にもたらされた巨大ロボットの復元というテーマにはとてもわくわくさせられるものがあるのだけど、途中から現代社会的な様々な問題が持ち上がり、だんだん話がきな臭くなってゆく。巨大ロボットアニメの小説版的なものを期待していたら、途中から愛憎劇まじりのポリティカル・フィクションになってしまったというか……。まぁ、それでも十分おもしろいんだけれども。ちょっとばかり期待していたのとは違った。

 小説としては、前述のプロローグだけを例外に、本編はすべて政府の機密文書を閲覧しているという想定で、ほぼ大半がインタビュー形式で語られてゆくのも重要なポイント。そのスタイルが物語にドキュメンタリー的なリアリティを与え、かつ叙述トリックとしてミステリ的なおもしろさを醸したりする一方、小説ならではの語りの個性が味わえない点は、やや残念だった。

 ということで、おもしろかったけれど、絶賛するまでには至らなかったから、続編を読むかどうかは微妙だなぁと思っていたら、最後の最後に思わぬ伏線の回収があって、つづきが気になることに……。

 ということでこの三部作についてはいずれ続編も読みます。

(Oct. 30, 2025)

京都サンガF.C.1-1鹿島アントラーズ

J1・第35節/2025年10月25日(土)14:00/サンガスタジアム by KYOCERA/DAZN

 またまた勝てなかった。でも負けもしなかった。ラストのワンプレーで鈴木優磨の劇的な同点ゴールが生まれて追いついた。おかげで内容の割にはあと味がよかった3位・京都サンガとの上位対決・第二ラウンド。

 鹿島のスタメンはボランチに三竿・船橋を起用して、あとはいつもの形。三竿をボランチの軸にして、コンビの相手を知念にするか、船橋にするかってところが変わるだけで、あとは固定ってのがすっかり定番となった感がある。

 対する京都サンガは一時はレオ・セアラを抜いて得点王になったラファエル・エリアスが故障のためベンチ外。

 これは鹿島に追い風か?――と思ったのに、もうひとりのブラジル人、マルコ・トゥーリオに前半のうちにゴールを奪われ、先制を許してしまう。DFにあたってコースが変わったのかと思ったのに、実際には誰にもあたっていないという、意外性のある技ありのシュートだった。ちくしょう、この人も上手かったか……。

 最近の鹿島は前半がいまいちなことが多いけれど、この試合もしかり。先制を許したのみならず、反撃の糸口が見えてこない不甲斐ない戦いっぷりだった。

 まぁ、サンガも強かった。伊達に3位につけちゃいない。平戸にフリーでシュートを打たれるシーンが二度もあったし。元鹿島の彼に決められて負けたら、本当にやってらんないから、外してくれて助かった。須貝も見違えるような存在感だったし、鹿島で活躍しきれなかった彼らを活かして優勝争いをしてみせる曺貴裁チョウキジェは、やっぱいい監督なんだなと思った。

 とにかく前半に関してはどっちが首位だかわからない展開だった。

 でもそんな劣勢も、船橋をさげて知念を入れた後半からは一転する。なかなかゴールこそ生まれなかったけれど、後半はほぼ一方的に試合を支配していた。なぜ前半のうちにこういう戦い方ができないかな?

 その後、レオ・セアラ、エウベルの両ブラジル人をさげて、松村・田川を投入。さらには三竿・チャヴリッチをさげて、荒木・徳田を入れ、交替カードを使い切った。

 この試合で意外性があったのは、敵サイドでのスローインで植田にロングスローをさせていたこと。津久井ならばともかく、ターゲットとして得点力がある植田にスローインさせるのはどうなんだ?――と思った。

 後半ロスタイムの最後の最後に生まれた同点ゴールをアシストしたのは松村。荒木も随所で存在感を発揮していたし、印象的にはエウベルよりもこのふたりのほうがよかった。次節はどちらかをスタメンで起用してくれないだろうか。

 まあ、いずれにせよ優磨の同点ゴールには痺れました。さすがエース。今年優勝できたらMVPは彼以外にはいない。

 裏では柏が勝って、ついに鹿島との勝ち点の差が1に……。

 でもまぁ、まだ単独首位だ。神戸も引き分けたので、勝ち点5の範囲にいるのは柏、京都、神戸の3チーム。5位の広島にもまだ優勝の可能性はあるけれど、残り3試合で勝ち点8の差を跳ね返すのは無理があるので、優勝争いは4位の神戸までに絞り込まれたと考えていいだろう。鹿島の優勝まであと3勝!

 裏では今節で湘南、新潟の降格が正式に決定。17位のF・マリノスがここへきてようやく調子を上げてきて、横浜FCに5ポイント差をつけたので、降格レースはほぼ趨勢を決した感じだ。春秋制最後のシーズンもようやく終わりが見えてきた。

(Oct. 28, 2025)

海の上のピアニスト

ジュゼッペ・トルナトーレ監督/ティム・ロス、プルイット・テイラー・ヴィンス/1999年/イタリア/Apple TV

海の上のピアニスト 通常版 (字幕版)

 うちの奥さんが大好きだというこの作品、なぜだか僕はこれまで観たことがなかった。『ニュー・シネマ・パラダイス』のジュゼッペ・トルナトーレが監督を務めるイタリア映画だということで、英語以外の映画を敬遠しがちな僕はスルーしてしまっていたらしい。

 でもいざ観てみれば、イタリア映画とはいっても言語は英語だし、舞台となるのはほぼ全編アメリカへと向かう巨大客船の中だけで、普通にハリウッド映画を観るのと変わらなかった。うん、なかなかいい映画だった。

 英語のタイトルが『The Legend of 1900』なので、『1900年の伝説』と訳すような内容かと思ったら違う。「1900」(ナインティーン・ハンドレッド)が主人公の名前だなんて、誰が思うんだよって話だ。

 ティム・ロスが演じる主人公のフルネームは、ダニー・ブードマン・T・D・レモン・1900。客船で(移民の?)親に捨てられ、ボイラー係の船員、ダニー・ブートマンに拾われて、その名をいただく。「T・D・レモン」はゆりかごにあった名前(もしかしたら商品名?)。1900は拾われた年(つまり生まれた年)。

 戸籍を持たない1900はダニーを親として船の中で育ち、事故で養父を失ったのちも船から出ることなく成長してゆく。でもって独学でピアノを弾くようになり、天才的なスキルを発揮して、船の名物ピアニストとして人気を博するようになる。

 物語は彼と仲がよかったトランペット吹きのマックス(プルイット・テイラー・ヴィンス)が、老朽化して廃棄されたその船が爆破処分されることを知って、いまだに船にいるかもしれない1900のことを心配しつつ、在りし日の思い出を回顧する形で紐解かれてゆく。そこから生じるノスタルジックな感触には、なるほど『ニュー・シネマ・パラダイス』の監督の作品だなって思った。

 クライマックスで彼と1900が再会を果たすシーンには、村上春樹の『羊をめぐる冒険』を思い出させる、現実か幻想か定かではないファンタジー的な味わいがあるのも意外があってよかった。

 あとから配役を確認して知ったのだけれど、主人公に絡む黒人ふたりのうち、育ての親ダニーを演じるビル・ナンは『ドゥ・ザ・ライト・シング』のラジオ・ラヒーム、ジャズの生みの親だというジェリー・ロール・モートン役を演じているクラレンス・ウィリアムズ三世が『パープル・レイン』でプリンスの父親役だったそうだ。おー。

(Oct. 26, 2025)



【相棒】
しろくろや

【Shortcuts】
音楽 作品 / ライブ / 会場 / 購入 / エレカシ
作品 / 作家 / 翻訳家 / 出版社 / 読了 / 積読
映画 作品 / 監督 / 俳優 / / シリーズ / ドラマ
蹴球 鹿島 / Jリーグ / 日本代表 / W杯

【新譜】
11/07Sad and Beautiful World / Mavis Staples
11/14Eusexua Afterglow / FKA twigs
11/14Black And Blue [Deluxe Edition] / The Rolling Stones
11/19Dear Jubilee -RADWIMPS TRIBUTE- / V.A.
11/21Around The World in A Day [Deluxe Edition] / Prince
11/21Anthology 4 / The Beatles
12/10I [Single] / BUMP OF CHICKEN
12/10TOUR 2024 Sphery Rendezvous at TOKYO DOME [BD] / BUMP OF CHICKEN
12/10HAYABUSA JET II / 佐野元春 & THE COYOTE BAND

【コンサート】
12/22ずっと真夜中でいいのに。@東京ガーデンシアター
12/27RADWIMPS@有明アリーナ

【サッカー】
11/08[J1 第36節] 鹿島-横浜FC
11/22[天皇杯・決勝]
10/30[J1 第37節] 東京V-鹿島
12/06[J1 第38節] 鹿島-横浜FM

【新刊書籍】
12/01『高校のカフカ、一九五九』 スティーヴン・ミルハウザー

【準備中】
10/26ビートルジュース
10/26ビートルジュース ビートルジュース
10/27キングの身代金
10/27黄昏の狙撃手

【過去のコンテンツ】
Coishikawa Scraps Bootleg 2.0