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2026-05-31『雨天炎天』 New!
2026-05-29『それから』
2026-05-27『罪人たち』
2026-05-25J1百年構想リーグ・鹿島-FC東京
2026-05-23『アメリカン・マスターピース 古典篇』
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雨天炎天 -ギリシャ・トルコ辺境紀行-

村上春樹/新潮文庫/Kindle

雨天炎天―ギリシャ・トルコ辺境紀行―(新潮文庫)

 月いち村上春樹、五月分はギリシャ・トルコ旅行についての紀行文。

 刊行されたのはギリシャでの暮らしについて書いた『遠い太鼓』と同じ1990年だから、その本では取り上げられなかった二つの旅行について、まとまった文章を残しておきたかったということなんだろうと思う。

 ただ、その辺の理由はいっさい説明されていない。

 いやもとい。後半のトルコ編については「初めて訪れたときに感じた空気が特別だったため、ずっと再訪してみたいと思っていた」みたいなことが書いてあったけれど、少なくてもギリシャのほうはいっさいなかった――と思う。たぶん。

 まぁ、村上さんは当時ギリシャに住んでいたので、この本で書かれているアトスの修道院巡りは、その時点ではある意味国内旅行なわけで、日本人の四国巡礼みたいなものだから、わざわざ説明なんていらないってことなのかもしれない。

 でもまるで宗教的なことに関心のなさそうな春樹氏が、わざわざ特別な許可証をもらって三泊四日の修道院巡りに赴いたというのが、僕にはなんとなく不思議だった。

 それこそ僕自身は日本人だからといってお遍路しようとは思わないわけで。

 それともギリシャ人にとって、ギリシャ正教はとても身近なので、普通の人が人生で一度はアトスを訪れるのがあたりまえの風習になっていて、ギリシャで暮らすうちに自分も一度その山を訪れてみたいと思うようになったということなんだろうか。願わくばその辺の事情が分かるようなまえがきか、あとがきが欲しかった。

 なんにせよ、なぜに村上さんがその地を訪れようと思ったのかがわからないまま、僕らは村上春樹氏が同行したカメラマンの松村映三とともに出向いたアトス山に点在する修道院を巡る三泊四日のハードな旅の模様を追いつづけることになる。

 対する後半のトルコ旅行編は三週間。日程的なボリュームは五倍なのに、本書のページ数は半分ずつというところに、ギリシャ旅行での経験の濃さが表れている気がする。まぁ、ほとんどが徒歩だったギリシャと、基本的には車で移動していたトルコでは、時間感覚に違いがあって、それが反映されているだけなのかもしれない。

 トルコは僕が漠然と思っていたよりもタフでハードな国っぽかった。

 でもまぁ、なんたってもう三十五年以上も昔の本なので、いまのギリシャやトルコはもうずいぶんと変わっている可能性もある。

 ポール・セローの『ゴースト・トレインは東の星へ』みたいに、春樹氏が再びいまのギリシャとトルコを旅して、当時との違いを語ってくれたらおもしろいのに。

 とはいえ、ほとんど修道院が舞台のギリシャ編に関しては、いまも昔もそう大差がなさそうな気もする。

(May. 31, 2026)

それから

夏目漱石/青空文庫/Kindle

それから

 夏目漱石でいちばん好きな小説。

 ――とかいいつつ、気がつけばかれこれ四半世紀以上読んだことがなかったので、本当にいまでも好きなのか確かめるべく、Kindleの青空文庫版で読んでみた。

 ――答え。うん、いまでも好きでした。

 でも若いころに読んだときとは、さすがに感じ方が変わっている。

 二十代、三十代で読んだときには、代助がどんどん苦しい状況に追い込まれてゆく終盤の展開に胸が熱くなったような記憶があるのだけれど、今回はそうでもなかった。ディテールをほぼ忘れていたこともあり、漱石の小説家としての手腕への感銘がまさった。

 親のすねをかじって悠々自適な生活を送っていた主人公が、仕事でトラブって帰京してきた旧友とその奥さんとの再会をきっかけに、徐々に人生の歯車が狂ってゆき、やがて破綻に至るまでの物語。

 序盤はのんびりとなにごとにも達観している感じの主人公が、中盤になっていきなり彼女への熱い想いを吐露しだす。

 序盤の叙述からすると、え、そんなに好きだったの?――って感じなんだけれど、その唐突さこそがまさに「溢れる熱い想い」。そうか、我慢してたはずが、会っているうちに溢れ出しちゃったかぁって。

 いざ、秘めたるその想いを打ち明ける場面で、自ら訪ねてゆくのではなく、書生にことづけて自宅に相手を呼び出したりするのには、現代人の感覚からすると、なにそれな感はある。それでもやはり告白シーンは恋愛小説の醍醐味。ちゃんと胸を打つものがある。

 そしていざ、両想いを確認したあと、さぁこれからというところで訪れる不意の断絶。そしてそれにつづく不義の罰としてもたらされる窮状――。

 花の香ただよう部屋で居眠りしていた冒頭のおだやかな空気感と、ラストの絶望的な性急さの対比がとても鮮烈だ。

 なにも特別なことは起こらない。人も死ななければ、魔法も悪魔もエイリアンも出てこない。ただ人が人を好きになっただけ――でもって、若さの至りで行動を間違えただけ――で、どうしてここまで力強い物語が生まれるんだろう?

 やっぱ漱石って素晴らしいと思った。

 『それから』と『こころ』はほぼ同じ三角関係の裏表で、姉妹編のような作品だと思うし、『門』は『それから』の後日談的な作品だといわれているので、つづけてそれらの作品も読んでしまいたくなったけれど、なにせ時間がない――というより積読の数が多すぎる――ので、次に漱石を読むのはまたしばらく先の話。

 ただ青空文庫で読んだのは、やはり失敗だった。小さな「づ」というフォントにない文字に「小書き濁点付き平仮名つ」なんて注釈が入っていたりして、興ざめ甚だしい。

 日本の古典は無料だからって青空文庫で読んだら駄目だなってまたもや思った。いったい何度目だよって自分につっこみたい。いやはや、記憶力がたりません。

 もうそろそろいい年だし、Kindleでなんかで読んでいないで、本気で漱石全集の全巻制覇を考えてしかるべ頃合いかもしれない。

(May. 29, 2026)

罪人たち

ライアン・クーグラー監督/マイケル・B・ジョーダン、ヘイリー・スタインフェルド/2025年/アメリカ/WOWOW録画

罪人たち

 アカデミー賞で『ワン・バトル・アフター・アナザー』と賞を争っていたし、『罪人たち』なんて意味ありなタイトルなので、それなりに文芸色のある作品なのかと思っていたら見当違いもいいところだった。

 アカデミー賞・授賞式の放送で、コメンテイターが黒人の音楽ビジネスがどうとか、ゾンビがなにやら、みたいな話をしていたと思ったら、なるほど、まるで黒人版の『フロム・ダスク・ティル・ドーン』みたいな映画だった。

 舞台は二十世紀前半のミシシッピ。マイケル・B・ジョーダン演じる双子の黒人兄弟が故郷に帰ってきて、黒人専用のクラブを開いて一旗揚げようとしたところ、オープンしたその夜の喧騒のなかで、思わぬ事件が持ち上がる。

 双子がとても似ていて、いったいどちらがマイケル・B・ジョーダンかわからんと思っていたら、なんとこれも彼のひとり二役だった。双子が一緒の画面に登場するシーンがとても自然なので、ひとり二役とは思わなかった。最近の映像技術ってすごい。

 彼らのいとこで、プリーチャー・ボーイという通り名のブルースシンガーを演じているマイルズ・ケイトンという二十歳そこそこの青年が歌うブルースが全編を彩っている。彼の少年っぽさの残る見た目と、それを裏切る深みのある低音ボイスのギャップが印象的だ。

 彼の歌だけではなく、クラブでの演奏シーンもフィーチャーされているし、ある種のミュージカルとしての側面もある。

 でもって、途中まではそんな黒人の奴隷解放期を舞台にした異色のミュージカルっぽかった映画――ヘイリー・スタインフェルドやデルロイ・リンドーといった俳優が脇を固めていてキャスティングも魅力的――が、途中から思わぬ脱線を見せて、後半はなにやら血みどろな様相に……。

 前半と後半でまるで世界観が変わってしまう点でも、やはりこれは少なからず『フロム・ダスク・ティル・ドーン』を意識した作品のような気がする。

 まぁ、あちらの唐突さと比べると、こちらはとりあえず事件に至る伏線が少しずつ描かれているので、あ、ついに来たかという感じで、それほど大きな驚きはないところは違うかもしれない。ほんとあの映画にはびっくりした。

(May. 27, 2026)

鹿島アントラーズ1-0FC東京

J1百年構想リーグEAST・第18節/2026年5月23日(土)17:30/メルカリスタジアム/DAZN

 J1百年構想リーグEAST最終節、首位アントラーズと2位FC東京の上位対決。

 まぁ、戦わずして鹿島の首位は決まっていたし、3位の町田は前日に試合があったので、FC東京の2位も確定していたから、実質的には消化試合だったのだけれども、そうとは思えない締まった内容の試合になった。

 というのも、翌週には最終順位を決めるためのプレーオフが控えているのに加え、3週間後に開幕するW杯の代表に選ばれた選手たちが不在だったがゆえ。

 鹿島は早川とキム・テヒョン、東京はキム・ソンギュと長友。日本代表と韓国代表の一員として、W杯が開催されるアメリカとメキシコへと向かうことになったこの四人がこの日はベンチ外だった。

 早川はスタンド観戦していたので、べつに出場できないとか、してはいけないって話ではなかったんだろうけれど、代表招集によりプレーオフには出られないのが確定しているので、だったらチームとしては、その試合で代わりを務めるサブの選手に少しでも試合勘をつけさせるのが優先ってことなんだろう。

 ということで、この最終節、鹿島のゴールを守ったのは、これが移籍後3年目にしてリーグ戦初出場となる梶川裕嗣かじかわゆうじだった。でもってCBは関川。あとは前節と同じ。途中出場は師岡、林、知念、小池、津久井の5人。

 これまで出番のなかった梶川と関川は、消化試合だなんて微塵も思っていなかっただろうし、彼らとともに勝ちたいと思いでチームが一丸となった結果が、好試合となったなによりの要因だろうう。

 梶川のプレーを観るのは初めてなので、正直なところ試合が始まるまではどんなものか、ちょっとばかり不安だったのだけれど、そんなのはいらぬ心配だった。

 なんだ梶川、いいじゃん。危ないプレーはひとつもなかったし、終盤にはつづけて二つのシュートを防いで、チームを救ってみせた。

 まぁ、考えてみれば、鹿島が声をかけた時点である程度のポテンシャルはあったんだろうし、元日本代表の曽ヶ端コーチのもと、リーグを代表するGKに成長した早川らとともに日々切磋琢磨してるんだもんねぇ。いやはや、おみそれしました。

 この試合は彼と関川の出来次第だと思っていたんだけれど、終わってみれば見事クリーンシートでの勝利。FC東京も決して出来は悪くなかったので、次週からのプレーオフに臨むにあたって、ふたりには大いに自信になっただろう。いやよかった。

 試合はこの日もシュート数は相手の半分の1桁台で、決して快勝って内容ではなかったものの、それでもチーム全体で積極的なボール奪取から攻撃を仕掛けてゆく姿勢が徹底されていたので、観ていて小気味よかった。

 そんな姿勢が結実したのが決勝点の場面。

 後半35分、センターライン付近で知念がボールを奪い、そのままドリブルで攻めあがって、ボックス内のスペースへダイアゴナルに駆け上がってきた師岡に優しくラストパス。師岡は詰めてきたGKの田中颯たなかはやて(徳島から移籍してきた26歳)をかわして、難しい姿勢からコツンとシュートを流し込んだ。ナイス!

 FC東京では4月の月間MVPに選ばれた佐藤恵允がなるほどの出来。なにかと注目の佐藤龍之介もよかった。将来性豊かな彼を選ばず、長友を代表に呼ぶ森保って……。

 西地区の優勝はヴィッセル神戸に決定~。次週からは大迫との頂上決戦だっ!

(May. 25, 2026)

アメリカン・マスターピース 古典篇

柴田元幸・編訳/柴田元幸翻訳叢書/スイッチ・パブリッシング

アメリカン・マスターピース 古典篇 (柴田元幸翻訳叢書)

 柴田元幸先生が「アメリカ合衆国で書かれた短篇小説の名作中の名作を集めた本を作ることにした」と語るアンソロジーの第一弾。

 収録されているのは、ホーソーン、ポー、メルヴィル、エミリー・ディキンソン、マーク・トウェイン、ヘンリー・ジェームズ、O・ヘンリー、ジャック・ロンドン、以上八名の短編。

 うちディキンソンだけは詩(の断片?)が六篇。そのほかは柴田氏が「ザ・ベスト・オブ・ザ・ベストの選集」と呼ぶだけあって、有名な作品がそろっている。。

 ポーの『モルグ街の殺人』やO・ヘンリーの『賢者の贈物』を手始めに、マーク・トウェインの『ジム・スマイリーと彼の跳び蛙』とジャック・ロンドンの『火を熾す』は、すでに柴田氏によるその作家の短編集で訳出済みだし、メルヴィルの『書写人バートルビー』なども、別の翻訳家の短編集のタイトルになっているし。

 なので僕がタイトルさえ知らなかったのはホーソーンの『ウェイクフィールド』とヘンリー・ジェームズの『本物』の二編だけだった。ほとんどが知らない作品ばかりだった『ブリティッシュ&アイリッシュ・マスターピース』とはその点が違う。「有名なのはこっちだけれど、私はこれが好きだ」みたいな翻訳者としてのエゴが微塵も感じられないこのド級のメジャー感が意外だった。

 ただ、メジャーなタイトルこそ多いけれど、内容はまるで感動的ではないところがおもしろい。どちらかというと、いたたまれなさや不安感をあおるような作品ばかりが並んでいる。古典篇の時点でこういう心気症的な短編となると、この先の準古典篇、戦後篇はどうなっちゃうんだろうという別の好奇心が湧いてくる。

 最後に収録された『火を熾す』を再読してみて、柴田さんが『犬物語』にこの作品の別バージョンを収録した理由がわかった。これはこれで間違いなく傑作だけれど、ちょっとばかり出来映えが劣ろうとも、もうひとつのほうを訳しておきたくなるのはもっともだ。内容はすでに記憶の彼方だけれども、甘っちょろい僕はそっちのほうが絶対に好きだろうなと思った。

(May. 23, 2026)



【相棒】
しろくろや

【Shortcuts】
音楽 作品 / ライブ / 会場 / 購入 / エレカシ
作品 / 作家 / 翻訳家 / 出版社 / 読了 / 積読
映画 作品 / 監督 / 俳優 / / シリーズ / ドラマ
蹴球 鹿島 / Jリーグ / 日本代表 / W杯

【新譜】
06/05I Built You A Tower / Death Cab for Cutie
06/10I AM HERO 「俺と、友だち」盤 / 宮本浩次
06/10I AM HERO 「最高の日、最高の時」盤 / 宮本浩次
06/17花落知多少 / 君島大空
06/19Castle Park / Graham Coxon
06/26Reality Awaits / The Strokes
06/26The Ground Above / Beth Orton
06/26Bliss / Temples
07/03Confessions II / Madonna
07/10Foreign Tongues / The Rolling Stones

【ライブ】
06/12宮本浩次@ぴあアリーナMM
07/17HARRY & THE BIRTHDAY@SGC HALL ARIAKE
10/28BUMP OF CHICKEN@有明アリーナ
02/06BUMP OF CHICKEN@東京ドーム

【サッカー】
06/06[J1百年構想L PO第2戦] 鹿島-神戸
06/15[W杯] オランダ-日本
06/21[W杯] チュニジア-日本
06/26[W杯] 日本-スウェーデン

【新刊書籍】
07/03『夏帆 -The Tale of KAHO-』 村上春樹
07/14『サリンジャー初期短篇全集』 柴田元幸・訳

【準備中】
06/03[蹴] 神戸-鹿島
(未定)[本] 絵本百物語

【過去のコンテンツ】
Coishikawa Scraps Bootleg 2.0