2006 FIFAワールドカップ Germany (3)

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Index of Group Leagues (3)

  1. スウェーデン2-2イングランド
  2. オランダ0-0アルゼンチン
  3. 日本1-4ブラジル

スウェーデン2-2イングランド

グループB/2006年6月20日(火)/ケルン(録画)

 やはり今大会もイングランドはスウェーデンに勝てなかった。それも2度まで先行しておきながら同点に追いつかれてしまった。2点目なんて残り5分での得点だ。普通、イングランドくらいの強豪ならば、その時間に勝ち越したらば、そのまま逃げ切って当然の展開だ。ところが試合もあとはロスタイムという時間帯になって、ラーションに同点ゴールを許してしまう。失点はどちらもセットプレーから。そりゃ確かにスウェーデンのセットプレーは、どれもとても鋭かった。スウェーデンの監督さんが「たくさん練習をした成果が出た」と喜ぶのもわかる。それにしてもあの2失点の場面では、あきらかにイングランドの守備に綻びがあった。いままで守備の面では危なげのないゲームを見せてきていたにもかかわらず、このスウェーデン戦でああいうミスが出てしまうというのは、やはり人知を超えたなんらかの因縁が裏で働いているのではないかと勘繰りたくもなろうってものだ。
 この試合のイングランドは、イエローカードを1枚もらっているジェラードを温存(ランパードも一枚もらっているけれど、二人そろってベンチというわけにはいかなかったのだろう)、替わりにハーグリーヴスを入れて、さらにはFWに期待のルーニーをスタメンで起用してきた。いよいよルーニーとオーウェンの2トップだと思ったらば──。
 そのオーウェンが開始わずか2分で、まったくプレッシャーもなにもないところでいきなり倒れて、そのまま負傷退場してしまった。なにがどうしたという感じだった。あの打ちひしがれたオーウェンの態度からするとこの大会はもう絶望なのだろう。イングランドのFWを巡る問題は、ルーニーが復帰したにもかかわらず、結局解消し切れないようだ。
 なんにしろジョー・コールの見事なバナナ・シュートで先制して、いったん追いつかれるも、再びジョー・コールのアシストから途中出場のジェラードのヘディングで勝ち越し、けれども最後の最後で追いつかれて、イングランドは今回もスウェーデン戦38年間白星なしという不名誉な呪縛から逃れることができなかった。
 それでもグループBの一意抜けはイングランド。決勝トーナメントの対戦相手は、グループA2位のエクアドルだ。
(Jun 21, 2006)

オランダ0-0アルゼンチン

グループC/2006年6月21日(水)/フランクフルト(録画)

 死のリーグの言われたグループCの最終戦。グループリーグ屈指の好カードとはいえ、ともに決勝トーナメントへの進出を決めている国同士だ。当然無理をしてまで勝ちにゆくはずがない。両チームともここまでにイエローカードをもらっている選手たちは全員スタメンをはずれた。
 それでも、というかそれゆえにか、アルゼンチンの2トップはテベスとメッシという将来性豊かな二人だ。もしかしたらばクレスポとサビオラを焦らせるような素晴らしい活躍を見せてくれるんじゃないかと思って、眠い目をこすりながら朝いちで(録画を)見たのだけれども、やはりこういうゲームに濃い内容を期待するのは無理があった。両者ともあまり決定機を演出できないままスコアレスドローに終わる地味な試合だった。
 まあ両チームとも攻撃力が売り物だと言われながら、ディフェンス力もしっかりしていることはわかったし、あいかわらずあまり魅力は感じないけれども、オランダが強いこともよくわかった。攻守にバランスの取れたチーム同士の、運よく勝てれば儲けものという一戦だ。引き分けという結果は妥当だろう。
 この試合の裏では同グループのセルビア・モンテネグロがコートジボワールに負け、結局一勝もできないまま大会を去ることになった。グループGではフランスとチェコと韓国が微妙な差で決勝リーグ進出を争う展開になっている。ポルトガルが決勝トーナメントに進出したのは実に40年ぶりだという。そういう事実を踏まえれば、今大会のような中途半端な姿勢でのぞんだ日本が苦しい戦いを強いられるのは至極当然だと思う。
(Jun 22, 2006)

日本1-4ブラジル

グループF/2006年6月22日(木)/ドルトムント

 すでにクロアチアと引き分けた時点で9割9分、グループリーグでの敗退は決まったようなものだったから、王者ブラジルに負けたからといって、それほど激しいショックを受けるわけもなく……。
 ただ、だからといって平然としていられるかというと、そんなわけはない。漠然とした脱力感にとらわれてしまい、サッカーを見ようという意欲が湧いてこない。世界の頂点を目指してどれほど素晴らしいサッカーがくりひろげられていようと、所詮{しょせん}それは他人事{ひとごと}だ。僕らの現実はこの敗北にある。僕らはその現実を受け入れた上で、これからの4年、サッカーと接してゆかなければならないのだと思う。けれどもこんな負け方を見てしまうと、4年後に南アフリカの大会に参加できるかどうか、それさえも不安になる。この日のブラジルとの戦い──戦いと呼ぶのさえおこがましい──は、それほどまでの惨敗だった。
 いまさらジーコを非難しても始まらない。俊輔のパフォーマンスだってそうだ。さかのぼって考えれば、ジーコが日本代表の監督を引き受ける気になったのは、2002年のトルコ戦での不甲斐ない戦いぶりを見て、自分ならばあんな試合はさせないと持ってしまったからだろうし、俊輔だってきちんと前回大会を経験させておいてあげれば、また違った形でこの大会にのぞめていたかもしれない。僕は今大会の残念な結果は、2002年にトルシエがまいた種をうまく刈り取れなかったのが原因だと考えている。いい加減にトルシエの呪縛から解放されたい。次の大会では、これまでの8年の反省をきちんと踏まえて、さらに上のステージを目指して欲しいと思う。
 そもそも大半の国民が日常的にあまり母国リーグに関心を示さないような国が、世界一の座を争う大会でいい成績をあげられると思うのがまちがっている。これからの日本代表の躍進にはJリーグの活性化が欠かせない。母国リーグが盛りあがってこそ、若い才能が育って代表が強くなる。そういうものだろう。まずは底辺をあげないと勝負にならない。
 そういう意味ではJリーグが誕生して13年という数字がポイントなんじゃないかと思う。生まれた時からサッカーのプロリーグが存在しているという子供たちは中学生になったばかりだ。彼らが桧舞台に登場してくるのがこれからなのを考えると、日本代表にはまだまだ今よりも強くなる余地が残されているんじゃないだろうか。そうであることを心から願う。だから観ているだけの僕らもがんばって応援し続けよう。余裕がある限り、スタジアムにも足を運ぼう。それがサポーターとして日本代表に貢献する唯一の道だろう。
 以上、脱力のあまり、現状を否定して未来に夢を託したくなった男の戯言{ざれごと}でした。気を取り直して、試合内容について。
 この試合の日本代表のスタメンは、川口、加地、中沢、坪井、アレックス、ヒデ、稲本、小笠原、俊輔、巻、玉田という顔ぶれだった。気がつけば、初戦に出場したメンバーはわずか半分だ。ここまで選手を入れ替えないといられなかったところに、ジーコの迷走が垣間見えている。しかもこれまで隠すことはなにもないと言い切って、試合前からスタメンを発表するのが常だった人が、今回は選手たちにも試合直前までスタメンを隠したままだったという。これまで可愛がってきた柳沢や福西らを外すのが忍びなくて、直前までそれを切り出さなかったのは、ジーコの親心なのだろう。
 試合内容は大方の予想どおり、ブラジルが圧倒的にボールを支配する展開。でも前半に関しては日本代表も悪くなかった。川口のナイス・セーブに助けられながら、懸命に戦っていた。僕はそれなりに日本もボールを持てているような気がしていたので、前半途中でのボールの支配率はブラジルが60%だという実況を聞いて、意外に思ったほどだ。贔屓目で目が曇っていたらしい。
 とにかく2点差で勝たないと決勝トーナメント進出はないという試合だ。なによりも先制点が大事だった。
 その大事な先制点が、前半30分過ぎにまさかと思うような美しい形で日本代表にもたらされる。アレックスのスルーパスに玉田が反応して、思い切り左足を振りぬいた。なんて見事な……。相手がブラジルだというのを考えると、決まったのが信じられないようなビューティフル・ゴールだった。しばしあ然としてしまった。
 ブラジルはすでに決勝トーナメント進出を決めていることもあって、思い切りスタメンを落としてきていた。両サイドのロベルト・カルロスとカフーに加えて、ボランチ二人にもサブの選手を起用。つまりディフェンス力の点では、前の2試合と比べると、連係にやや問題はあるはずなので、この1点を持って、クロアチアやオーストラリアが無得点に終わったブラジルから日本はちゃんと点を取ったぞと威張るわけにはいかないのかもしれない。でもメンバーがどうであろうと、ブラジルから日本がワールドカップの試合で得点したという事実は動かない。見事なゴールだった。
 とにかくこれでまずミッションの第一ステージはクリアしたかと思われた。ところが裏で行われているクロアチア-オーストラリア戦が、この時点で1-1というスコアになってしまっていた。つまり日本は3点差をつけない限り、グループ2位にはなれない勘定になる。試合中の選手たちにはそんなことはわからないけれども、見ているこちらにとっては、かなりシビアな展開になっていた。
 それでも大事なのは当面の試合だ。まずは日本が勝たないことには星勘定なんて意味がない。せっかく先制点を奪ったのだから、あとはどこまで失点を防げるかが勝負だったのだけれども……。
 なにゆえに日本はあと30秒耐えることができなかったのだろう。もしもあの前半終了間際のロナウドの同点ゴール(しかも彼には珍しいヘディングだ)が決まっていなかったらば、また試合の展開は変わっていたのではないかと思えて仕方ない。
 けれども現実として日本代表は前半終了間際にブラジルの同点ゴールを許してしまった。ピッチを引き上げてゆく選手たちの落胆の色はありありだった。結局この1失点で気持ちが切れてしまったのだろう。後半はほとんどいいところが出せず、一方的にボコボコにされて、惨敗を喫した。これまであれほど低調だと言われてきたロナウドは、この試合で一気に2ゴールを加えて、ついに通算得点でワールドカップのタイ記録に並ぶという活躍ぶりだった。日本は2点差以上で勝たないといけないと言っていた試合で、3点差をつけられて負けた。相手はGKまで交代させる余裕だった。こんな屈辱的なことがあるだろうか? 中田がくやしさに涙するのも当然だ。
 相手が世界一のチームだから、観ている側のくやしさという点ではオーストラリア戦ほどではなかったけれども、実際にプレーした選手たちにとってはまた別だろう。ワールドカップという舞台で、懸命に勝ちにいった試合で、ああいう負け方をして堪えないはずがない。というか、こういう負けが堪えないような選手には代表にいて欲しくない。僕は試合後にひとり仰向けになってピッチに横たわり、ブラジル選手のユニフォームで顔を隠したまま泣いていた中田や、テレビインタビューで言葉に詰りまくっていた俊輔の姿に、救われる思いがした。
 負けをくやしいと思わなくなったらば、多分終わりだ。悔し涙を流せるうちは、人はまだまだ先へ進める。日本代表はこれで終わりではない。日本代表に主体性を求めたジーコの挑戦は終わったかもしれないけれど、僕らの代表の世界への挑戦は終わらない。4年後へ向けての挑戦はこの試合が終わった瞬間からすでに始まっている。僕も彼らに負けぬよう努力しながら、これからも日本代表を応援してゆきたいと思う。
(Jun 24, 2006)