2022 FIFAワールドカップ Qatar (2)

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Index of Group Leagues (2)

  1. 11/25   (A) オランダ1-1エクアドル
  2. 11/27   (E) 日本0-1コスタリカ
  3. 11/28   (G) カメルーン3-3セルビア

オランダ1-1エクアドル

グループA/2022年11月25日(金)/ハリーファ国際スタジアム(ドーハ)/テレビ朝日

 開幕前に日本代表と戦ったときから思っていたことだけれど、今大会のエクアドルは本当にいい。攻守にわたって全員でハードワークをして、小気味よくパスをつなげてゆく。今大会の出場国のなかではいちばん好きかもしれない。
 この試合でもそんなサッカーで優勝候補といわれるオランダを圧倒してみせた。
 まぁ、開始わずか6分でいきなり先制ゴールを奪われたときにはやっぱオランダ強すぎかと思わせたけれど――決めたのは23歳のガクポ――でもオランダがよかったのはそのゴールの場面だけって感じだった。
 なんたって終わってみればシュート数わずか2本ですからね。なにそれって感じ。
 まぁ、ボール保持率だけ観ればオランダが48%で、39%のエクアドルより10%ほど上回っているけれど、でも、まるでそんな感じではなかった。オランダがボールを持っても、ほとんど中盤で刈りとられてしまって、ぜんぜん前線へは運べない。一方のエクアドルは的確なチェックでボールを奪うと、見事なパスワークで前へ前へとボールを運んでゆく。どっちが優勝候補かわかったもんじゃなかった。
 前半こそ1-0でオランダ・リードのまま終わったけれど、後半開始早々にエクアドルのカウンターからエース・バレンシアのゴールが決まって同点。結局それ以上スコアは動かなかったものの、最後までエクアドルの優位は揺るがなかった。
 オランダはガクポの先制ゴールは見事だったし、この大会で初めて起用されたというGKノペルトが身長203センチ、DFの要ファンダイクが195センチを始めとして長身揃い。なんでも大会でもっとも平均身長の高い国なのだそうだ(サッカーファンにはおなじみの日向坂46の影山ちゃんが試合前の番組で教えてくれました)。
 そんな高さと技術を兼ね備えた強豪国に対して、南米の中堅国が互角以上の戦いを仕掛けているんだから、こんな痛快なことはない。判官贔屓な日本人気質も手伝って、ついついエクアドル応援モードになってしまった。
 ここまできたら、ぜひとも決勝トーナメントまで駒を進めて欲しいと思うんだけれど、ひとつ前の試合を観た限りだと、このグループはセネガルもけっこういいんだよな。ほぼ全選手が欧州リーグでプレーしているだけあって、技術がしっかりしていて侮れない。この両者が戦う第三節はどういう結果になるか、まったく予想がつきません。
 エクアドルはここまでの全得点を叩き出しているバレンシアが後半途中で足を痛めて交替してしまったので、次の試合に出られるかどうか微妙そうなのが気がかり。彼がいないと苦しいんじゃなかろうか。無事を祈っています。せっかくここまでの大会得点王なのだから、どこまで点が取れるか見てみたい。
 ということで、この試合がドローに終わって、オランダとエクアドルがともに勝ち点4としたことで、ひとつ前の試合でセネガルに負けて2連敗したカタールは、早々にグループリーグ敗退が決定してしまった。みごと大会一番乗り(悪い意味で)。
 最終節の相手がオランダなのを考えると、カタールは勝ち点0のままで終わる可能性も大きい。南アフリカもグループリーグで敗退したけれど、あの国はちゃんと最後にフランスに勝っている(いまとなるとそれも驚きだけれど)。開催国が1勝もできないどころか、勝ち点1さえ取れないというのは史上初――というか、もはや最初で最後なんではなかろうか。カタールの試合では敗色濃厚になった途端に空席が目立つようになったというし、国民にも最後まで諦めずに代表をサポートする意欲がないのでは、そういう結果になるのも致し方ない気がする。
 これじゃあ本当に金にものをいわせて出場権を買っただけじゃん。オリンピックは参加することに意義があるなんていうけれど、W杯も同じなのかは大いに疑問だよ。出たくたって出られない国がごまんとあるのに。なんだかなぁ……。
 こんなことならカタールの分の枠をイタリアにあげて欲しかったぜ。
(Nov. 26, 2022)

日本0-1コスタリカ

グループE/2022年11月27日(日)/アハマド・ビン・アリ・スタジアム(ライヤーン)/テレビ朝日

 俺は森保一という人が本当に理解できないよ。
 せっかく初戦でドイツに勝って、もう一勝すればグループリーグ突破確実という状況で、グループでもっとも弱いコスタリカと対戦するのだから、最高火力で勝ちにゆくのが定石じゃないの? なのになぜにスタメンに伊東純也も三笘もいないんだ。
 過去の大会では本番はスタメンを固定する傾向が強かった森保だから、今回も当然ドイツ戦を踏襲したスタメンでくるかと思っていたら、なんと今回に限って5人も選手を入れ替えてきた。
 この日のスタメンは権田、山根、板倉、麻也、長友、遠藤渡、守田、堂安、鎌田、相馬、上田綺世という11人。途中出場は浅野、伊藤弘樹、三笘、伊東純也、南野の5人だった。
 酒井が怪我で使えなかったから、山根のスタメン起用は納得。また、守田は初戦も使いたかったんだろうけど、故障明けで使えなかったんだろうからよし。
 問題は残りの堂安、相馬、綺世の3人だ。
 堂安はドイツ戦での勝利の立役者だし、メンタル的に上がりそうなタイプだから使うのを否定はしない。でもだからといって伊東純也を下げちゃダメでしょう? もしも堂安を使うならば、伊東ではなく鎌田とのトレードオフだったと僕は思う。
 実際に今大会の鎌田は期待が大きかった割には、この2試合まったくいいところがない。ここは鎌田の好不調をきっちりと見極めて、スタメンから外すような采配も必要だったんじゃないだろうか。もしくはボランチ起用だっていい。それでドイツ戦の後半は功を奏したのだし。
 あと、相馬にしても綺世にしても、僕はアントラーズ・サポーターだからいい選手だというのは十分に知っているけれど、だからといっていまの日本代表にふたりがふさわしいかは疑問だ。
 相馬は今年1年名古屋でほぼフル出場してわずか1得点だよ? 上田綺世だってここまで代表ではノーゴールだよ? そんな選手たちが本当にW杯にふさわしいと思いますか? それってもっといい成績を残している選手たちに対してフェアではない気がするんだけれどな。
 森保の選手選考って、選手の才能よりも、彼個人の好き嫌いが大きく影響している気がしてならない。浅野なんかその象徴でしょう? ほかの監督だったらまず選ばれていいないだろう。なんたって故障明けだし。
 まぁ、前の試合はその浅野の大活躍で勝利を収めたわけだから、もうそこはつべこべいうのやめようって思っていたのだけれど、でもこの日みたいな試合をされると、やっぱ違うよなぁって思ってしまう。
 いやはや、なんにしろつまらない試合でした。前の試合でドイツに勝って世界中から注目されているんだから、ここでいい試合をするのって、日本代表のみならずアジアにとっても大事なことだったと思うのに、なんでこんなふがいない試合をしちゃうかな。
 とにかく前半はこの日もいいところなし。浅野と伊藤を入れた後半の頭からは、ドイツ戦と同じように攻撃力が増したけれど、今回は決定的なチャンスをそれほど作れず。でもって枠内シュートわずか1というコスタリカに、たった一度のそのチャンスを決められて負けるという……。
 まぁ、コスタリカのGKはナバスだから、しっかりと守ってこられたら、もしかしたらスコアレス・ドローはあるかもとは思っていたけれど、まさかナバスにほとんど仕事をさせもしないで負けるとは……。
 それにしても、ノイアー、ナバスという、前大会ならば世界最高峰といえるGKのいる国と連戦になるってのもすごい巡りあわせだよね。
 まぁ、いずれにせよ、ドイツに勝ってグループリーグ突破は決まったようなものだと思っていたので、この展開にはほんとびっくりだわ。前の試合での絶妙な采配がまぐれだったのがよくわかる。森保サッカーの本質、ここに極まれり。
(Nov. 27, 2022)

カメルーン3-3セルビア

グループG/2022年11月28日(月)/アル・ジャノブ・スタジアム(アル=ワクラ)/フジテレビ

 大会9日目の第1試合は、ストイコヴィッチ監督が率いるセルビアとソング監督のカメルーンの対戦。両監督とも現役時代を知っている国どうしって、俺も長いことサッカー観てるんだなぁって感慨深い。でもピクシー監督の姿をW杯で観るのはこれが初めてなのか。それはちょっと意外な気がする。
 試合は今大会ここまで観たなかでいちばんのシーソーゲームだった。
 序盤に優勢だったのはセルビアだけれど、先制したのは意外にもカメルーン。
 左CKからのセットプレー。ニアでワンタッチしてファーに流し込んだボールに21番のカステレットという選手が詰めていた。してやったりの先制点。
 先制を許したセルビアはビハインドのまま前半を終わりそうな雰囲気だったのに、なんと前半のロスタイムにたてつづけに2ゴールを奪って逆転に成功する。
 1点目はセットプレーからの21歳のDFパブロヴィッチの見事なヘディング(どちらのチームもセットプレーの精度が高くて羨ましい)。つづく2点目は20番のMFミリンコヴィッチ・サヴィッチの左足。
 セルビア人は「ヴィッチ」がつく名前が多いことで有名だけれど、ミリンコヴィッチ・サヴィッチはひとりで「ヴィッチ」が二つもついてるせいか、やたら名前が目立つなーと思っていたら、なんとこのチームには同じ姓の選手がもうひとりいた。それもGK(弟ですって)。そりゃ名前がよく出るのも当然だった。
 ということで、劣勢かと思わせておいて前半終了間際にあっさりと逆転したセルビアは、後半の早い時間に追加点を奪って3-1とする。見事な連携から最後はゴール真正面でラストパスを受けた9番ミトロヴィッチのゴール。
 いとも容易く追加点を奪ってみせたので、これでセルビアの勝ちだろうと思ったら、そこからまさかのカメルーンがあっという間に同点にしてみせる。
 後半18分にアブバカル、21分にはシュポ=モティング。どちらもオフサイド・ラインぎりぎりを抜け出してフリーになってのシュートだった。
 どちらも、えっ、オフサイドじゃないの? って思ってしまうくらいぎりぎりのプレーだったけれど、この大会から導入されている半自動オフサイドなんちゃらのCG映像を見ると、確かにぎりぎりオンサイドだった。科学技術の進歩のせいで反論の余地なし。
 ちなみにアブバカルという人の追撃弾は、詰めてきたGKをかわして頭上にふわっとあげたループシュートがワンバウンドしてゴールネットを揺らしたもの。なんちゅうおもしろいことすんだ。すんごくピクシーが悔しがってそう。
 その後はさすがに両軍とも疲れが見えはじめ、プレーの精度が落ちてきたこともあって、とりあえず最後まで打ちあってはいたけれど、結局それから先はスコアは動かず。初戦を落としてあとがない両チームの対戦は3-3の痛み分けに終わった。
 ピクシーの喜ぶ姿が見れなくて残念だったけれど、でも白熱したとてもおもしろい試合でした。
 次の韓国-ガーナ戦とこれ、どちらを観ようか悩んだあげく、時間が早くてまだ観たことのないグループGの試合ってことでこちらを選んだんだけれど――両方をフルに観て感想を書くパワーはないので、いまは韓国戦を横目にこの文章を書いている――いや、これは観てよかった。やっぱゴールがたくさん決まる試合って楽しい。
(Nov. 28, 2022)