ランニング・マン
エドガー・ライト監督/グレン・パウエル、ジョシュ・ブローリン/2025年/イギリス、アメリカ/Apple TV
エドガー・ライトの最新作はスティーヴン・キング原作!――と聞いて、おーっと思ったあと、それがアーノルド・シュワルツェネッガー主演の『バトルランナー』のリメイクだと聞いて、びっくりした。
観たことないけれど、『バトルランナー』ってスティーヴン・キング原作だったんだ。でもって原題はこの作品と同じ『The Running Man』なんだ。それを『バトルランナー』なんてタイトルに改変した当時の配給会社って……。
まぁ、たしかに『ランニング・マン』というタイトルは地味目で食欲をそそらない。エドガー・ライトの作品じゃなかったら、僕も観ようとは思っていなかった気がする。
とはいえ、さすがに『バトルランナー』はどうなの?――って気がしてしまう。この場合は『ランニング・マン』が主人公が出演するテレビ番組のタイトルだから、なおさら変えちゃいけないだろうって思う。
そもそもこの映画の「ランニング」は「走る」よりも「逃げる」の意味だ。『逃亡中』のリアル版といった内容で、社会のはぐれ者が一発千金を夢見て、命がけで参加する鬼ごっこ番組。逃げ通せば億万長者、見つかればその場で死刑。幼い娘の治療費に困った主人公(グレン・パウエル)は、ジョシュ・ブローリン(最近よく観るなぁ)演じるプロデューサーにそそのかされて出演を許諾してしまう。
主人公がウィリアム・H・メイシー、マイケル・セラ、エミリア・ジョーンズらの脇役たちとかかわりあいながら繰り広げる逃避行の模様はとてもスリリングだ。ただ、人殺しをエンタメとして消費している社会の話なので、いまいち後味がすっきりしないのが残念なところ。
あと、スティーヴン・キングの原作が強力すぎるせいもあるんだろうけれど、これまでに観たエドガー・ライトの作品のなかでは、もっとも彼らしさが感じられない作品だった。やたらと金もかかっていそうだし、大金が動く環境だと、インディーズっぽい作風の人が個性を発揮するのって難しいんだろうなって思った。
とりあえず作品のテーマとはまるで関係ない昔のソウル・ミュージックが使われているところに、かろうじて彼の自己主張を感じた。
(Oct. 18, 2026)



