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  4. ビートルジュース
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シーズ・ガッタ・ハヴ・イット

スパイク・リー監督/トレイシー・カミラ・ジョンズ、トミー・ヒックス、ジョン・カナダ・テレル/1986年/アメリカ/Netflix

She's Gotta Have It

 一時間半くらいと短めだったこともあり、せっかくだからつづけてこれも観てしまうことにした。スパイク・リーの監督デビュー作がこちら。

 これも昔観たときにはぴんとこなかったんだけれど、『スクール・デイズ』とは違い、今回はよかった。スパイク・リーの父親、ビル・リーの手掛けるジャズのサウンドトラックと、白黒のスタイリッシュな映像の組み合わせがぴったりで、観ていてとても心地よかった。この気持ちよさにはジャン=リュック・ゴダールの作品に通じるものがあると思った。

 内容は、性的に奔放なひとりの女性(トレイシー・カミラ・ジョンズ)と、彼女とつきあう三人の男性――トミー・ヒックス、スパイク・リー、ジョン・カナダ・テレル――とのいびつな関係を、彼らへのインタビューで描きだすという疑似ドキュメンタリー風のコメディで、物語的にはそれほど惹かれないんだけれど、映画としての質は高いと思う。これが日本ではこれまでVHSでしかパッケージ化されていないのって、いささかひどいのでは?――と思ってしまった。ネトフリが配信してくれててよかった。

 この映画には『スクール・デイズ』と同じくスパイク・リーの妹ジョイ・リーのみならず、父親のビル・リーも出演していた(主人公の父親役)。そんな風に家内手工業的なキャスティングでもって、こういうスタイリッシュな映画を撮ってみせた若き日のスパイク・リーの才気が溢れる逸品。

 エンドクレジットで、彼ら出演者がそれぞれ自分たちの名前が書かれたガチンコを持って自己紹介するのも素敵でした。

(Nov. 24, 2025)

スクール・デイズ

スパイク・リー監督/ラリー・フィッシュバーン、ジャンカルロ・エスポジート/1988年/アメリカ/Apple TV

スクール・デイズ (字幕版)

 スパイク・リーのファンを自称しながら、僕はとんでもない勘違いをしていた。

 いまのいままで、この『スクール・デイズ』が彼のデビュー作だと思い込んでました。

 『シーズ・ガット・ハヴ・イット』のほうが先かよ……。

 まぁ、この初期の二作品については、正直あまり思い入れがなくて、これまで一度ずつしか観ていないし、たぶんどちらも同時期に観て、それきりだったので、記憶が改ざんされてしまったらしい。内容的にもこれのほうが『シーズ・ガット・ハヴ・イット』よりも若気の至りな感が強いし。

 黒人大学での寮生どうしのバカ騒ぎとセックスを描いたこのコメディ。学校とか集団行動が苦手な僕は、残念ながらまったく楽しめなかった。もしもこれが最初に観たスパイク・リー作品だったとしたら、もしかしたら僕は彼のファンを公言していないかもしれない。最近だと『シャライク』が同系列の作品で(それゆえ僕は駄目だった)、あれはこの続編だったんじゃないかって気がする。

 この映画で(やや誇張して?)描かれるようなアメリカの大学のカルチャーって、なんか違和感がはんぱない。こんな世界には絶対に馴染めない。なんでジャンパー着ているシーズンに、ダンスパーティーで水着になるのかもわからない。風俗的にも苦手な八十年代が舞台だし、個人的には好きになれる要素がほとんどなかった。

 まぁ、あえていうのならば、ミュージカルと呼んでもいいくらい、音楽シーンがたくさんあるので、八十年代末のブラックミュージックのショーケース的な見方をすると、いくらか楽しめそうな気もする。あと、ジャンカルロ・エスポジート(今回初めて名前を認識しました)をはじめ、ビル・ナンやサミュエル・L・ジャクソンら、スパイク・リー作品の常連さんたちがたくさん出ているので、そういう人たちの若き日の姿が観られるのは貴重かもしれない。

 主演のラリー・フィッシュバーンって誰かと思ったら、ローレンス・フィッシュバーンのことだった。若いころはスリムでカッコよかったんだ。

 そういや、スパイク・リーが演じるキャラが字幕では「ボーヤ」と呼ばれているのに違和感があって、英語だとなんといっているのか調べてみたら「Half-Pint」だった。「半パイント」しかない小さなやつというスラングらしいので、それだったら「ボーヤ」より「チビ」のほうが自然じゃん? と思ったんだけれど、もしかしていまや「チビ」は差別用語扱いで使えないのか。「でぶ」とかも駄目なのかな。いろいろ面倒臭い時代だなぁと思う。

(Nov. 22, 2025)

ビートルジュース ビートルジュース

ティム・バートン監督/マイケル・キートン、ウィノナ・ライダー、ジェナ・オルテガ/2024年/アメリカ/WOWOW録画

ビートルジュース ビートルジュース

 前作から三十六年もたってから制作された『ビートルジュース』の続編。

 なにゆえこんなに間をあけて続編を作ろうと思ったのか知らないけれど、この映画はこの三十六年という時間の経過が意外と重要だ。

 前作では十代のヒロインを演じていたウィノナ・ライダーはすでに五十代。彼女の義母役のキャサリン・オハラにいたっては七十歳。

 このふたりが前回の役どころのまんまで共演しているのがいい。加えてもうひとり、ビートルジュース役のマイケル・キートンも当然続投。この人の場合はもともとメイクで年齢不詳なので、年月の経過をまったく感じさせない。あのうんざりするような悪魔的うっとうしさも健在(お近づきになりたくない)。

 前作からつながるこの三人に加え、『ウェンズデー』のジェナ・オルテガとボンド・ガールのモニカ・ベルッチが出演して、作品に華を添えている。

 ジェナ・オルテガはウィノナ・ライダーの娘役で、『ウェンズデー』同様に男運に恵まれないところがおかしいし、モニカ・ベルッチはそれほど出番が多くないけれど、『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』のサリーの実写版ともいうべきビジュアル・イメージが、これぞティム・バートンという感じでインパクト大だった。

 作品自体はは完全に前作を踏襲した内容で、物語的にはたいしたことがないのだけれど、今回はそんな美女がふたり加わったおかげで断然印象が華やかだ。

 前作の笑わせどころだった音楽の使い方もいい。作品のテーマ曲的な『バナナ・ボート』が葬儀の場面で厳かにかかったり、『ソウル・トレイン』が三途の河の渡し船的な意味合いで使われているのが好きだった。

 ということで、前作がいまいちだったので、あまり期待していなかったのだけれど、こちらは意外と楽しめた。ウィノナ・ライダーのフィアンセが「ビートルジュース」を三回唱えるシーンには爆笑しました。

(Nov. 10, 2025)

ビートルジュース

ティム・バートン監督/マイケル・キートン、アレック・ボールドウィン、ジーナ・デイヴィス、ウィノナ・ライダー/1988年/アメリカ/WOWOW録画

ビートルジュース (字幕版)

 去年三十六年ぶりに続編が公開されたティム・バートンの監督デビュー第二作目。

 若いころはティム・バートンを特別視していたけれど、それも今は昔。近年の作品の出来がいまいちなことに加え、年をとって僕自身の趣味が落ち着いたこともあって、以前のような思い入れはなくなった。

 二十何年ぶりに観たこの作品もなんでこんな映画を撮る監督が好きだったんだろう?とわれながら不思議になってしまうような作品だった。

 まぁ、何度も観ている『シザーハンズ』とは違って、この映画は一度観たきりで、内容はすっかり忘れていたし――それこそ主演がアレック・ボールドウィンとジーナ・デイヴィスだということも覚えていなかった――そういう意味では、まったく愛着がなかったのは確かなんだけれども。

 というか、初めて観たときにもさほど感心しなかったから、これはもういいやって思って、記憶にも残らなかったのかもしれない。

 まぁ、とはいえ、子供のグロテスクでキュートな悪夢みたいな世界観は唯一無二。ここまで悪趣味なB級感を堂々と映像化できるのって、ある意味すごい気もする。一部の小学生の男の子が大喜びしそうな映画だし、そういう感性を大人になっても失わなかったところがティム・バートンの強みだろう。

 とりあえず、ビートルジュースを演じるマイケル・キートンのうっとうしさと、ゴスロリな十六歳のウィノナ・ライダーの初々しさが印象的な作品。

 ラストシーンのウィノナ・ライダーのダンスはわけがわからないけど、ディナーの席で全員が『バナナ・ボート』を踊らされるシーンは極めつけのバカらしさで、この映画の中ではいちばん好きでした。

(Nov. 08, 2025)

海の上のピアニスト

ジュゼッペ・トルナトーレ監督/ティム・ロス、プルイット・テイラー・ヴィンス/1999年/イタリア/Apple TV

海の上のピアニスト 通常版 (字幕版)

 うちの奥さんが大好きだというこの作品、なぜだか僕はこれまで観たことがなかった。『ニュー・シネマ・パラダイス』のジュゼッペ・トルナトーレが監督を務めるイタリア映画だということで、英語以外の映画を敬遠しがちな僕はスルーしてしまっていたらしい。

 でもいざ観てみれば、イタリア映画とはいっても言語は英語だし、舞台となるのはほぼ全編アメリカへと向かう巨大客船の中だけで、普通にハリウッド映画を観るのと変わらなかった。うん、なかなかいい映画だった。

 英語のタイトルが『The Legend of 1900』なので、『1900年の伝説』と訳すような内容かと思ったら違う。「1900」(ナインティーン・ハンドレッド)が主人公の名前だなんて、誰が思うんだよって話だ。

 ティム・ロスが演じる主人公のフルネームは、ダニー・ブードマン・T・D・レモン・1900。客船で(移民の?)親に捨てられ、ボイラー係の船員、ダニー・ブートマンに拾われて、その名をいただく。「T・D・レモン」はゆりかごにあった名前(もしかしたら商品名?)。1900は拾われた年(つまり生まれた年)。

 戸籍を持たない1900はダニーを親として船の中で育ち、事故で養父を失ったのちも船から出ることなく成長してゆく。でもって独学でピアノを弾くようになり、天才的なスキルを発揮して、船の名物ピアニストとして人気を博するようになる。

 物語は彼と仲がよかったトランペット吹きのマックス(プルイット・テイラー・ヴィンス)が、老朽化して廃棄されたその船が爆破処分されることを知って、いまだに船にいるかもしれない1900のことを心配しつつ、在りし日の思い出を回顧する形で紐解かれてゆく。そこから生じるノスタルジックな感触には、なるほど『ニュー・シネマ・パラダイス』の監督の作品だなって思った。

 クライマックスで彼と1900が再会を果たすシーンには、村上春樹の『羊をめぐる冒険』を思い出させる、現実か幻想か定かではないファンタジー的な味わいがあるのも意外があってよかった。

 あとから配役を確認して知ったのだけれど、主人公に絡む黒人ふたりのうち、育ての親ダニーを演じるビル・ナンは『ドゥ・ザ・ライト・シング』のラジオ・ラヒーム、ジャズの生みの親だというジェリー・ロール・モートン役を演じているクラレンス・ウィリアムズ三世が『パープル・レイン』でプリンスの父親役だったそうだ。おー。

(Oct. 26, 2025)