チェンジング・レーン
ロジャー・ミッシェル監督/ベン・アフレック、サミュエル・L・ジャクソン/2002年/アメリカ/WOWOW録画
無謀な車線変更(=チェンジング・レーン)により接触事故を起こしたせいで、さんざんな目にあう二人の男性を描いたサスペンス・スリラー。
若き日のベン・アフレック演じるエリート弁護士のギャビンが、出廷すべき裁判に遅れそうになって、事故を起こしたのが事件の発端。
先を急ぐ彼は、無責任にもさっさと事故現場を立ち去ってしまう。でもって、その際に、裁判所に提出しなくてはいけない大事な書類を置き忘れてしまったことから、敗訴どころか詐欺罪での刑務所入りかってピンチに陥る。まさに自業自得。
一方のサミュエル・L・ジャクソン演じる保険販売員のドイルも、離婚か養育権の調停を受けるため、同じ裁判所へ向かう途中だったのに、事故で車が動かなくなったせいで遅刻を余儀なくされ、それが原因で調停に失敗してしまう。
かくして書類を取り戻すために違法な手段に打って出たギャビンと、家庭崩壊を余儀なくされて自暴自棄になったドイルによる報復で、事態は悪化の一路を辿ってゆく。
もうベン・アフレック演じる主人公がひどい人で。交通事故は金でもみ消そうとするし、事務所の同僚(トニ・コレット)と浮気しているし、書類を取り戻すためにハッカーをやとって相手の銀行口座を改ざんして、その復旧を口実に脅迫するし、スプリンクラーを誤動作させてオフィスを水浸しにするし。いつ捕まってもおかしくないじゃんって行動の数々に同情の余地がない。
対するサミュエル・L・ジャクソンは、相対的に最初のうちは気の毒なのだけれど、相手の悪辣さに激高して報復に出てからは、あわや大惨事って交通事故を起こしたり、ローン窓口の人にやつあたりしてコンピュータを投げ出したり、それはないんじゃんって行動を取るようになってしまう。
とにかく主演の人気俳優ふたりの行動があまりにひどくて苦笑が絶えない。作り手はべつに笑わそうとはしていないのかもしれないけれど、苦笑いなしには見られない。これはそういう映画だった。でもって僕はそこのところがけっこう好きだった。
(Aug. 09, 2025)