ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ
トッド・フィリップス監督/ホアキン・フェニックス、レディー・ガガ/2024年/アメリカ/WOWOW録画
素晴らしい出来だった『ジョーカー』の続編にしては、いやに評判が悪いなと思ったら、なるほど。これは駄目だ。
いや、決して映画としての出来自体が悪いとは思わない。映像、演出ともに雰囲気があって、最後までちゃんと見せる。まぁ、冒頭にルーニーチューンのパロディ的なアニメを配した演出とか、作風に馴染まずに空回りしている感はあるけれど、でも決して失敗とまではいえない。
ハーレイ・クイン役に抜擢されたレディー・ガガのいかれた感じもはまり役だったし、前作とは違うミュージカルというスタイルを選択して、彼女とジョーカーのラブロマンスを描いてみせたのも決して着想は悪くない。こういう映画があってもいいとは思う。
ではなにが駄目かというと。
物語の結末、ただそれに尽きる。
前作では最後にジョーカーが刑務所に収監されて終わっている(忘れてたけど)。
となれば、この続編に期待するのは、彼がハーレイ・クインとともに、いかにしてその拘束を解き放って、ふたたび社会に飛び出して見せるか、これに尽きるでしょう?
それがあの結末では……。
監督がなにを書きたかったのか、さっぱりわからない。
社会的弱者が悪の道に救いを見い出すという前作の不穏なテーマをさらに突き詰めて、どう決着をつけるかがポイントだったはずが、まるでさらなる罪悪を描くのにおびえて、ミュージカルに逃げたかのよう。なまじ映画としての出来自体は悪くないだけに、最後まで観てこんなに困惑させられた映画も珍しかった。
まぁ、この作品って、ジョーカーが主役でなかったならば、それなりに好評を博したのではないかという気もする。
間違いは『ジョーカー』の続編として作ってしまったこと。それが最大にして最悪のミステイクではと思います。
(Oct. 18, 2025)