サリンジャー初期短篇全集
J・D・サリンジャー/柴田元幸・訳/河出書房新社
夏休みにこの本を読み始めてすぐ読書欲がいちじるしく衰えてしまい、なかなか回復しなかった。最初の一ヶ月は週に一、二話しか読んでない。半月くらい一ページも読まずに放置してあったりもした。
このままじゃいかんと毎日読む生活に戻ってからも、なかなか調子が上がなかった。最初のうちは一日一話か二話読んでおしまい。そんな調子で大苦戦しながら、結局一ヶ月半以上かけてなんとか読み終きったサリンジャーの短編集。トランスレイテッド・バイ・柴田元幸。
『ナイン・ストーリーズ』以前の「全作品」をまとめたものとのことで、さすがに習作っぽい作品もあって、その辺も読書がはかどらなかった要因のひとつ。やっぱ読書力が下がっている時期には、作者の試行錯誤が透けて見える短編集は向かない。
でもまぁ、その後に『ライ麦畑でつかまえて』にまんま組み込まれた短編があったり、ホールデンの兄が戦地で行方不明になった弟(つまり『ライ麦畑』のあとのホールデン)について思いをはせる短編があったり、その後のサリンジャーを語る上では見逃せない短編もちらほら。戦争にまつわる物語が多いのも意外だった。
サリンジャーが生きた時代――第二次世界大戦がはじまった年のはじめに二十になっている――を考えれば、意外でもなんでもないのかもしれないけれど、僕のなかではサリンジャーと戦争って、これまでまったく結びついていなかった。あまり戦争ものが好きじゃないのも、手こずった一因だった気がする。
なかでは収録作のなかでダントツのボリュームを誇る中編『転倒した森』がいちばん好きだった。それがもっとも正統的なスタイルで書かれた、この本に収められているうちで唯一の恋愛小説だからだと思う(少なくても僕のイメージではそう)。へー、サリンジャーってこんな小説も書いていたんだって思った。
まぁ、なんにせよ、読書欲が衰えている時期には不向きな一冊だった。次にサリンジャーを読むのは心に余裕があるときにしよう。
(Oct. 09, 2026)




















