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小石川近況

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近畿地方のある場所について

白石晃士監督/菅野美穂、赤楚衛二/2025年/日本/Netflix

近畿地方のある場所について

 おまけで日本のホラーをもう一本。

 ネトフリでお薦めにあがっていたやつで、ホラーっぽくないタイトルに惹かれて観てみようかって気になったのだけれど、いやはや、これは駄目だった。

 内容は菅野美穂演じるライターが、オカルト雑誌の編集者役の赤楚衛二とともに、失踪した編集長が残した映像資料をもとに記事を書こうとしたところ、不気味な符丁が浮かび上がってきて……といったようなもの。

 VHSやらDVDやらスマホの配信やら。時代も場所も異なる種々様々な映像を観た人たちが不幸になる、みたいなコンセプトを扱っている点では、『リング』のフォロアーっぽい作品。様々な映像記録が最終的には「近畿地方のある場所」を指示していて、そこになにがあるかクライマックスで判明するという趣向なのだけれど、いかんせん、それがなにかがさっぱりわからない。

 たとえば冒頭で失踪する前の編集長が、なにかに襲われて目をえぐられるシーンがあるけれど、それがなんだったのか、最後まで見てもさっぱりわからない。転落死する人がふたりくらいいるけれど、なぜ落ちたのかはわからない。赤い服を着た女性とか、首が不自然な角度に倒れた子供とか出てくるけれど、それがなんだかわからない。終盤に唐突に新興宗教団体が出てきて、そのご神体みたいな岩が重要な意味を持っていることが仄めかされるのだけれど、それがどう事件に絡んできたのかわからない。

 とにかくわからないことだらけ。でもって最後まで観ても、それがまとまってひとつの絵を描いたりしてくれない。最後にはなんだかジブリっぽい変なのが出てくるし。なにこの映画。ひどくない?

 怖そうな映像をいろいろ作ってコラージュしてみたけれど、物語がきちんとまとまりませんでした、あしからず――みたいな。どうにもこうにも困った作品。

 そういや、図らずしてこの映画の主題歌も好きなアーティストの曲だった。なんと椎名林檎の『白日のもと』。もったいないにもほどがある。

(Apr. 28, 2026)

日出る国の工場

村上春樹・安西水丸/新潮文庫/Kindle

日出る国の工場(新潮文庫)

 村上春樹と安西水丸のおふたりが日本各地の工場を見学して歩き、水丸氏のカラーイラストを添えて紹介したエッセイ集。

 今回読む予定の村上春樹の作品ではこれがいちばんおもしろそうだと思っていたのだけれど、いざ読んでみたらそうでもなかった。内容的にはとても刺激的で好奇心をかきたてられる部分も多々あったものの、初期の春樹氏のエッセイが苦手な僕には、やはりその書きっぷりがしっくりこなくて、いまいち楽しくなかった。とくに序盤は。

 最初の人体模型工場は超イレギュラーな商品なので、まぁいいとして、引っかかったのはその次の結婚式場を「工場」的なものとして紹介する二編目。新郎新婦の過去の性体験をあからさまに書いているのを見て驚いた。え、結婚前にそんなこと正直に話す新郎新婦なんている? いきなり胡散臭いんだけれど。

 ただでさえ、自身は結婚式をあげていないし、知人の結婚式に出席さえしないと語っている人が、野次馬的な姿勢で結婚式場を取材して、それを「工場見学」のひとつに位置付ける姿勢も厭味ったらしく感じられてしまった。

 つづく消しゴム工場の話も、材料の科学的な説明の難しさに「しくしく」を連発するユーモアのたぐいが僕にはしっくりこなかった。

 ただ、序盤のそこらでつまずいて、悪印象を持ってしまったわりには、その後の工場――牛乳、コム・デ・ギャルソン、CD、アデンランス――ではとくに鼻につくようなところもなく――いや、なくはなかったかもしれないけれど、少なくても記憶に残るほどではなく――興味深く読むことができた。なので後半はずいぶん持ち直した。

 すでに四十年前の本なので、工場自体の技術はずいぶんと古い。なんたってCDが当時最先端のデジタル技術なんだから。それでもCDのすごさを表現するのに「野球場の広さに0.5ミリの砂を記号としてびっしりと並べたようなもの」みたいな具体的なサイズ感がわかる説明があるのには感心した。

 なかでもいちばんインパクトがあったのは小岩井乳業。「小岩井」が小野・岩崎(三菱創業者の弥太郎)・井上の頭文字を並べたものだというトリビアにびっくりしたのに始まり、酪農工場での牛の「経済動物」としての生々しい生態には、なんとも言葉で表しにくいものがあった。心の平静を守るには牛乳も牛肉も口にしないほうがいいんじゃないかって思ってしまった。ベジタリアンやヴィーガンになる人たちにちょっとだけ共感した。

(Apr. 27, 2026)

柏レイソル0-1鹿島アントラーズ

J1百年構想リーグEAST・第12節/2026年4月24日(金)19:00/三協フロンテア柏スタジアム/DAZN

 前節はスタメンだった田川がベンチをはずれ、ツートップを優磨とレオ・セアラのペアに戻し、二列目は右が荒木で左に松村、ボランチは樋口、三竿の組み合わせ。前節からそんな変更を加えて戦った金曜夜のアウェイのレイソル戦。

 あいかわらずシュート数は多くないけれど、試合自体は締まった内容の見ごたえのあるものだった。レイソルは序盤戦の不調がたたって下位に低迷してはいるものの、やっぱりいいサッカーをする。3バックといいながら、CBの原田や三丸が盛んに高い位置を取ってくる攻撃的なサッカーは、敵ながら小気味いい。

 そんなレイソルを相手に、この日もスコアレスのまま終わるかと前半の思ったロスタイム。高い位置でボールを奪った濃野が、巧みなドリブルで相手DFをかわしながらペナルティ・エリアに切れ込み、最後は左サイドにいた優磨のところまで運んでラストパス。優磨はうしろに倒れこみながら右足を振りぬいてゴールネットを揺らした。

 これはなにしろ濃野がすごかった。でもその濃野くん、これがJリーグ3年目にして初アシストだそうだ。なんだそりゃ。攻撃力が売りのくせして、そんなSBいる? まぁ、なにはともあれ素晴らしいプレーだった。難しい体勢のシュートをダイレクトできちんと決めた優磨もナイス。

 今季ここまでわずか5失点というリーグ一の守備力を誇る鹿島だから、この1点でもうあとは安心して観ていられた。

 といいつつ、後半にはピンチもあった。後半18分に小泉のサイドチェンジから原田が頭で折り返したボールを汰木(今期神戸から移籍してきた)に見事なボレーシュートで決められて、あ~、ひさびさにやられた~と思ったら、これはオフサイドで取り消し。オフサイドの判定が下ったシーンがカメラに写っていなかったので、試合がGKで再開したことに戸惑っていたら、解説の林陵平と実況の人もわかっていないという珍しい展開だった。

 濃野は後半にもゴール正面でフリーでシュートを打つチャンスがあったのに、これは枠をとらえられなかった。あれを決めていれば、文句なしのMVPだったのに――って、いや、あれを決めなくても、1点目のチャンスメイクだけで十分にMVPだわ。

 途中出場は師岡、林、知念、小川、津久井の5人。

 このうち最後に出てきた津久井が、ピッチに立ったわずか5分後に、足裏をみせてタックルにいって危険プレーの判定を受け、レッドカードで退場してしまう。

 幸い残り時間はもうロスタイムのみって時間帯だったからなんとかなったけれど、あれがもう少し早かったらやばかったかもしれない。無事に終わってなにより。

 レイソルでは後半の頭から杉岡が、後半のロスタイムに垣田が出てきた。今季は細谷と垣田の序列が逆転したらしい。成績をみるとそれが正解かわからないけれど、少なくても細谷がスタメンのこの形のほうが自然ではある。

(Apr. 26, 2026)

爆弾

永井聡監督/山田裕貴、佐藤二朗/2025年/日本/Netflix

 ひきつづき春の邦画祭り。二本目も宮本のMV(映画の予告編的なやつ)を観たら、なかなかおもしろそうだったので観ることにした作品。

 『国宝』が主要部門のタイトルを独占する勢いだった今年の日本アカデミー賞で、佐藤二郎が『国宝』の三俳優を退けて最優秀助演男優賞を獲得したサスペンス・スリラー。主題歌は宮本浩次だっ! 佐藤二郎はうちの弟と同い年だ!(だからなんだ)

 一昨年の『ラストマイル』と一緒で、これも連続無差別爆破テロ事件の話。そういや去年観た『新幹線大爆破』もそうだったし、立てつづけにこう爆弾を使った無差別殺人の映画ばかり作られるのをみると、この国はいささか病んでいるのではないかって気がしてくる。

 まぁ、それを喜んで観る僕らのような観客がいるからこそ作られているんだろうから、偉そうなことはいえない。

 物語は佐藤二郎演じる身元不明な愉快犯(暴行罪だか器物破損だかで現行犯逮捕されて尋問を受けている)と、彼がくりだす謎々仕立ての爆破予告に振り回される刑事たち――最初が染谷将太で、二番手が渡部篤郎、最後が山田裕貴――の尋問室でのやりとりを中心に進んでゆく。現場で捜査にたずさわる巡査の役で伊藤沙莉も出演してる。

 佐藤二郎の演技はさすが最優秀助演男優賞もの。気色悪くて小憎らしい。

 ただし彼のキャラクター設定はいささか説明不足な気がした。優秀な刑事たちを挑発しつづけ、つねに上手をゆく彼の優秀さの所以がきちんと説明されていないから、事件が解決してもいまいち気分がすっきりしない(単に僕が見過ごしただけ?)。思わせぶりな終わり方をしていると思ったら、原作には続編があるようなので、いずれ映画化されるんだろうその続編を観ろってことなのか。

 とりあえず、映画としてはおもしろかったけれど、やはり大規模なテロ事件を描く物語としては、犯行の動機づけに説得力がない。『ラストマイル』や『新幹線大爆破』もそうだったけれど、そんな動機でこんな大事件を起こされてもなぁって思ってしまう。まだ金のためっていわれたほうが納得できる。

 日本中を騒がすような一大事件の背後には、レクター博士のような、一般人の感性を超越した、純粋な悪の化身にいて欲しい。逆にそういうキャラクター造形ができないのならば、気安く無差別殺人なんて起こさないでくれたほうがありがたい。

 それにしても、こういう映画の主題歌に『I AM HERO』なんてタイトルをつける宮本って、やっぱどこかずれている気がする。

(Apr. 24, 2026)

ドールハウス

矢口史靖監督/長澤まさみ、瀬戸康史/2025年/日本/WOWOW録画

ドールハウス

 主題歌が気になって観た春の邦画二連発。

 一本目はずとまよの『形』が主題歌のホラー映画。監督の矢口史靖やぐちしのぶという人は僕よりひとつ年下だから、うちの奥さんと同い年だ。

 僕はホラー映画ってあまり興味がないし、うちの奥さんも「洋画はともかく邦画のホラーは怖くて嫌」って人なので、ずとまよが主題歌でなかったら、99%観ていなかったと思う。どちらかというと、好きなアーティストの曲が使われているからって理由で映画を観るほうが珍しい。エレカシが主題歌の映画もけっこうあるけれど、これまでひとつも観たことがないわけで。

 それなのにこれを観ようと思ったのは、『形』のリリース前にその曲が聴きたくて観た予告編がなんだかとてもおもしろそうだったから。亡くなった我が子のかわりに等身大の日本人形を愛でる長澤まさみの演技にはなんともいえない不気味さがあった。ずとまよ主題歌だし、たまにはこういう映画も観てみようって思った。

 でもこの映画、僕が予想していたホラーとは若干違った。

 前半の不気味な展開はだいたい期待通りだったんだけれど、人形の「あや」ちゃんの出自が明らかになる後半、田中啓司や安田顕が出てきて、人形が主演のふたりの手を離れたあたりからは、いまいちホラーっぽくなくなる。原因不明の怖さが、原因がわかったことで薄れてしまったというか。

 人形の由来が特殊すぎるせいで、長澤まさみが蚤の市だか骨董市だかで偶然人形を手に入れるという冒頭の展開がやたらと不自然で、全体的な物語の整合性が足りない気がする。変な因縁話をつけずに、この人形怖いねぇ……くらいで押し切ってくれた方が僕としては嬉しかった。

 結末もあまり好きではないけれど、まぁとりあえず主人公夫妻の次女が最後まで無事でなにより。冒頭で最初の子が命を落とすまでの展開はほんと嫌だった。いきなり観たのを後悔しました。ひとりだったら、あそこでやめていたかも。

(Apr. 22, 2026)



【相棒】
しろくろや

【Shortcuts】
音楽 作品 / ライブ / 会場 / 購入 / エレカシ
作品 / 作家 / 翻訳家 / 出版社 / 読了 / 積読
映画 作品 / 監督 / 俳優 / / シリーズ / ドラマ
蹴球 鹿島 / Jリーグ / 日本代表 / W杯

【新譜】
05/01PEACHES! / The Black Keys
05/01Maitreya Corso / Maya Hawke
05/01They Came Like Swallows / Bonner Kramer/Thurston Moore
05/08Remember The Humans / Broken Social Scene
05/29The Boys Of Dungeon Lane / Paul McCartney
06/10I AM HERO 「俺と、友だち」盤 / 宮本浩次
06/10I AM HERO 「最高の日、最高の時」盤 / 宮本浩次
06/05I Built You A Tower / Death Cab for Cutie
06/26Bliss / Temples

【ライブ】
07/17HARRY & THE BIRTHDAY@SGC HALL ARIAKE
10/28BUMP OF CHICKEN@有明アリーナ
02/06BUMP OF CHICKEN@東京ドーム

【サッカー】
04/29[J1百年構想L 第13節] 東京V-鹿島
05/03[J1百年構想L 第14節] 鹿島-町田
05/06[J1百年構想L 第15節] 鹿島-水戸
05/10[J1百年構想L 第16節] 横浜FM-鹿島
05/17[J1百年構想L 第17節] 千葉-鹿島
05/23[J1百年構想L 第18節] 鹿島-F東京

【新刊書籍】
05/21『マルドゥック・アノニマス11』 冲方丁
07/03『夏帆 -The Tale of KAHO-』 村上春樹
07/14『サリンジャー初期短篇全集』 柴田元幸・訳

【準備中】
04/30[音] 形藻土
(未定)[本] プロジェクト・ヘイル・メアリー
(未定)[音] THE MONKEY/ザ・モンキー

【過去のコンテンツ】
Coishikawa Scraps Bootleg 2.0