フォールガイ
デヴィッド・リーチ監督/ライアン・ゴズリング、エミリー・ブラント/2024年/アメリカ/Amazon Prime
撮影中の事故が原因で引退したスタントマンが、元恋人の映画監督を助けるために現場に復帰したことから巻き起こるどたばた騒動を描くアクション・コメディ。
主演がライアン・ゴズリングで、ヒロインがエミリー・ブラント、主人公が「スタントダブル」――この映画の主人公のように、特定の俳優のスタントを専属で担当するスタントマンのことをそう呼ぶのだそうだ――を務める俳優役がアーロン・テイラー=ジョンソン。最後に出てくる映画の完成版の主人公役は『アクアマン』の主演の人らしい。
監督のデヴィッド・リーチという人自身が、かつてはブラッド・ピットのスタントダブルを務めていたそうで、監督がスタントマン出身というだけあって、全編派手なスタントシーンのオンパレード。主要な舞台は映画のロケ現場だし、映画オタクなスタッフは次々と映画のトリビアを繰り出してくるし、映画に対する愛情があちらこちらに感じられるところに好感が持てた。
ある意味『映画に愛をこめて アメリカの夜』のアクション映画版といった感じの作品?――というのは、いささか褒めすぎかも。
ちなみに使われている音楽がやたらと八十年代風だと思ったら、この作品はその頃に人気を博した『俺たち賞金稼ぎ!! フォール・ガイ』というドラマのリメイクなのだそうだ。なるほど、だから当時を意識した音楽が使われていたり、エンド・クレジットに謎の老人たちがカメオ出演していたりするのかと納得した。
まぁ、リメイクとはいっても、この映画からはドラマの邦題にある「賞金稼ぎ」の要素が抜け落ちているし、ドラマでは恋人のジョディもスタントウーマンらしいので、踏襲したのはコルト・コルト・シーバースというスタントマンが主人公だという部分だけで、物語としては完全に映画オリジナルなんだろう。
とにかく、豪快に人々がぶっ飛び、いろんなものが壊れまくる割には、死人がほとんど出ない良心的な作品なので、物語なんてどうでもいいから、ただただ派手なアクションシーンが見たいという人にはお薦め。
(Jun. 13, 2025)