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2026-05-04『プロジェクト・ヘイル・メアリー』
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2026-04-29『形藻土』
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鹿島アントラーズ3-0水戸ホーリーホック

J1百年構想リーグEAST・第15節/2026年5月6日(水)16:00/メルカリスタジアム/DAZN

 今年二度目の茨城ダービー!

 前回は退場者が出て守りに入った水戸の堅守を崩せずにドローに終わり、PK戦で負けたわけだけれども。

 奇しくも今回も水戸に退場者が出た。

 ただし前回は後半に入ってからだったけれども、今回は前半のうち。

 この差がでかかったんだと思う。ハーフタイムで仕切り直した鹿島にとっては、数的不利となったこの日の水戸は敵じゃなかった。後半だけで3ゴールを決めて快勝。2位のFC東京が千葉に負けたので、勝ち点の差を5と広げて、グループリーグ首位の座をがっちりとキープした。

 この日の鹿島のスタメンにはけっこうサプライズがあった。

 なんといってもいちばんの驚きは鈴木優磨がベンチスタートだったこと。前節から中2日の過密日程で、次も中3日でアウェイの横浜戦があるから、比較的くみしやすい水戸との試合でエースを休ませたかったのかもしれない。

 あと、三竿が二試合出場停止になると思ったのは僕の勘違いで、この試合では三竿がスタメンに復帰した。コンビを組んだのは樋口。

 でもって故障明けの小池――前節もベンチ入りしていたのに出番なしで終わった――が右SBに入って今大会初出場。左には安西も戻ってきて、中盤の二列目は右チャヴリッチに、左がこれまたプロ初スタメンの林。でもってレオ・セアラと田川のツートップという布陣だった。

 じつにフィールドプレーヤーの半数が入れ替わっている。ただし、そのうち田川は開始わずか10分ちょいで足を痛めて退いてしまう。そこからは師岡が出てきて、そのままツートップの一角を務めた。その師岡が後半に入って先制点を決めるんだから、鬼木の采配ってほんと神懸かっている。

 試合に大きな影響を及ぼした水戸の退場劇は前半30分のこと。退場したのはDFの牛澤という選手で、早川からのロングボールにレオ・セアラがフリーで抜け出したところを、うしろからつっかかって倒してしまった。悪質なファールではなかったけれども、決定機の阻止ということで一発レッド。まぁ、あれはしゃーない。お気の毒さまでした。

 鹿島の先制点は後半13分のセットプレーの流れから。樋口の右CK→ショートコーナー→林のクロス→レオ・セアラがジャンピング・ボレー→相手にあたる→こぼれ球をチャヴリッチがシュート→バーに嫌われる→逆サイドからキム・テヒョンがダイビングヘッドで折り返し→師岡のヘディング!――という波状攻撃による1点だった。

 2点目は安西のクロスからレオ・セアラのヘディング。

 3点目は優磨のヒールパスによるアシストからのレオ・セアラの右足。

 優磨は荒木とともに途中出場でピッチに立ってから、わずか3分でのアシストだった。この日の2得点でレオ・セアラはついに得点王ランキングのトップ!

 最後は両サイドバックを濃野と小川に替えて、難なく逃げ切った。前半の終わり頃にはひとり少ない相手に押し込まれる時間帯もあったのに、終わってみれば前半の出来が嘘のような快勝劇だった。

 東地区の首位確定まであと2勝!

(May. 08, 2026)

鹿島アントラーズ1-1町田ゼルビア(PK:4ー2)

J1百年構想リーグEAST・第14節/2026年5月3日(日)16:00/メルカリスタジアム/DAZN

 5月に突入して、百年構想リーグも残すところあと一ヵ月。はやっ。

 この日はホームに難敵・町田を迎えての一戦。スタメンはGK早川、DF濃野、植田、キム・テヒョン、溝口、MF知念、柴崎、松村、チャヴリッチ、FWレオ・セアラ、優磨という11人だった。

 懲罰ってことではないんだろうけれど、前節失点につながる致命的ミスをおかした安西はベンチ外で、左SBはひさびさにベンチ入りした溝口。チャヴリッチの先発出場も3月以来だった。

 チームの出来はこの日もいまひとつだった。前半は日本代表の座を争う両GK、早川と谷のファインセーブもあり、スコアレスのまま終了。ロングボールに抜け出した優磨からのパスをチャヴリッチが、谷の頭上を抜くループで決めようとして止められたシーンが超おしかった。

 後半、先制したのは鹿島。ひさびさにセットプレーの流れから。

 柴崎の右CKから、優磨が折り返したボールが、相手に跳ね返されてファーに流れたところへ、キッカーだった柴崎が頭から突っ込んできてヘディングでもう一度折り返し。これがゴール真正面にいたレオ・セアラへのどんぴしゃのアシストになり、レオが得意のヘディングで見事に決めてみせた。柴崎の頭でのアシストって超レアな気がする。

 でも、せっかく先制したのに、そのわずか3分後には失点してしまったのが難点。ロングボールからカウンターをくらい、ナ・サンホのクロスをテテ・イェンギに豪快に決められた。前節も今節も、失点の場面では早川がまったくシュートストップのモーションを起こせていない。つづけざまにぐうの音も出ないようなシュートばかり決められるとなぁ……。

 失点のあと、鹿島は樋口、田川、師岡、小川、荒木を入れて勝ち越しを目指すも、反撃ならず。結局そのまま試合はドローに終わった。荒木は柴崎との交替で入って、そのままボランチとしてプレーしていた。荒木のボランチ、意外と悪くない。

 町田はGK谷、昌子源、岡村大八、中山雄太の3バックに、前寛之とネタ・ラヴィのダブルボランチ、両ウィングバックの中村帆高と林幸太郎も目立っていたし、二列目にはエリキとナ・サンホ、でもってテテ・イェンギのワントップという布陣で、ついスタメン全員の名前を書きたくなるくらいバランスの取れたサッカーをしていた。残念ながら準優勝に終わってしまったけれど、ACLの成績は伊達じゃないなと思った。

 いやそれにしても、後半アディショナル・タイムも終わりって時間帯に、カウンターでピンチを招きかけたシーンで、全速力で守備に戻ったレオ・シルバには感動した。あの時間帯にフル出場のエースがあの献身。頭が下がって上がらない。

 PK戦では、町田の1番手・下田北斗のシュートが左のバーをたたき、4番目の前を早川が止めて、田川、優磨、小川、レオ・セアラの4人全員が決めた鹿島が勝利。今季初のPK戦での勝ち点2をゲットして、前日の試合に勝って暫定首位に躍り出ていたFC東京から、その座をふたたび取り戻した。

 いやしかし、この大会はイージーモードかと思っていたのに、1敗しただけで途端に雲行きが怪しくなるのはどうしたもんだか。

(May. 06, 2026)

プロジェクト・ヘイル・メアリー

アンディ・ウィアー/小野田和子・訳/早川書房(全二巻)

プロジェクト・ヘイル・メアリー 上 プロジェクト・ヘイル・メアリー 下

 映画『オデッセイ』の原作である『火星の人』の作者アンディ・ウィアーの最新作。

 発売当初からとてもおもしろいと評判だったから気にはなっていたんだけれど、この人の作品は過去二作ともKindleで読んでいたので、これだけ紙の本で買うのもなぁと思って、読むのをためらっていたせいで、やたらと後手を踏んだ。

 映画版が公開され、それもとても好評だったため、やっぱこれは映画を観る前に原作を読んどかなきゃならんと思い、すでに文庫化されたあとだったけれど、文庫版も電子版もちょい高だったこともあり、ならばと、いまさら単行本を買って読んだ。なんて間抜けなんだ。タイミング逸しすぎ。さっさと初動で読んでおけばよかった。

 でもまぁ、これは内容をほとんど知らないうちに読めてよかった。これから先は映画の情報とか広まって、自然とネタバレを踏んでしまうことも多くなるんだろうから、その前に読んでおいて正解。え、なにそれ、みたいな驚きたっぷりの小説だった。

 映画の予告編で伝わってきたあらすじは「地球の存亡をかけてひとりの宇宙飛行士が単独でミッションに挑む」みたいなやつだったから、勝手に『火星の人』の上位互換みたいなイメージを抱いていたら、序盤からそれを裏切るびっくり展開がつづく。

 物語のきっかけとなり、宇宙船の原動力ともなるアストロファージ。この着想がとにかく素晴らしい。正直なところ、そんなものあるかいって超現実的存在ではあるけれど、SFなんだから、現実味はなくてもOK。アストロファージというひとつの嘘をもとに、ここまでおもしろいフィクションを書きあげた手腕に脱帽した。

 この人の文体はいささか軽すぎる嫌いがあって、作風が好きだとはいえないんだけれど、でもそのおもしろさには毎回夢中にさせてもらっている。まさにページターナー。今回も上下巻・六百ページ越えを一気に読まずにいられなかった。

 ちょっと次から次へとトラブル起きすぎじゃん?――ってくらい、休みなく怒涛のハプニングが頻発する、ジェットコースタームービーならぬ、ライトスピードスペースノベル。

(May. 4, 2026)

東京ヴェルディ2-1鹿島アントラーズ

J1百年構想リーグEAST・第13節/2026年4月29日(水)13:00/味の素スタジアム/DAZN

 逆転負けでついに今季初黒星を喫した味スタでのヴェルディ戦。

 この日のスタメンは、三竿・知念のダブルボランチに、右が師岡、左エウベル、あとは前節と同じメンバー。

 前半19分に右サイドの師岡が逆サイドに展開したパスを優磨が折り返し、ゴール前のレオ・セアラが競ったあとのこぼれ球を濃野が押し込んで先制したところまではよかったのだけれど、そのあとにこの日は守備が綻びてしまう。

 まずは34分。安西が不用意に出した横パスがヴェルディの熊取谷(くまとりや)という選手に決められた。熊取谷は早川が前に出ているのを見て、即座にダイレクトでループシュートを放つ。きれいに弧を描いたボールは早川の頭上を越え、ゴールへと吸い込まれていった。

 この試合ではヴェルディのハイプレスの激しさにミスを誘われ、開始わずか1分にボールをロストして、その熊取谷にシュートを打たれるシーンがあったし、その後も二、三同じような危ない場面があって、序盤からなんだか守備が不安定な感じだったから、あぁ、ついにやっちゃったかって思った。

 でもまぁ、あの場面は即座にシュートを選択して、落ち着いて枠に収めた熊取谷の勝ち。スタメン表をみたときから珍しい苗字の人だなぁと注目していたら、思わぬ活躍を見せられてしまった。

 で、この日の失点はこれだけで終わらない。

 前半40分、中盤に落ちてきてボールを受けた染野が起点となったカウンター。右サイドからドリブルで仕掛けた松橋優安(ゆあん)のクロスに、フリーになった吉田泰授(たいじゅ)がダイビングヘッドであわせて2点目を奪われた。あまりにあっけない逆転劇だった。ここまでなすすべなく崩されたのはひさしぶりだ。

 1点を追う後半は、最初から鬼木が動く。知念、エウベルをさげて、柴崎、松村を投入する。結果論ではあるけれど、この交替策が裏目に出た。前半に三竿がイエローカードをもらっていたのに、鬼木はその三竿を残して知念を下げた。これがこの試合を難しいものにしてしまった。

 三竿のイエローはVARが介入してレッドカードじゃないかとオンフィールドレビューを勧めるほど際どいもので、さいわい主審の大橋という人がレッドカードにしないでくれたから助かったものの、こういうときは二枚目のカードをもらいそうな気がするなぁ……とか思っていたら案の定。悪い予感は得てして当たる。後半25分にアフターチャージで相手をけずった三竿が二枚目のカードで退場になってしまった。

 だから下げんのは知念じゃなくて三竿でしょう? まぁ、いまのチームにとっては三竿は不可欠だというのが鬼木の判断なのかもしれないけれど、なまじヴェルディの鋭いチェックに後手にまわるシーンが多かったので、前半にイエローをもらっていた三竿をそのままピッチに残したのは、鬼木のリスク管理が足りなかったと思う。

 三竿はこれが今季二度目の退場だから、次はおそらく2試合出られないんだろう。ここからゴールデンウィークの過密日程で中3日とかの試合がつづくから、なおさら三竿の離脱は痛い。ほんと鬼木には大事をとって、はやめに三竿を下げて欲しかった。

 そういや、鹿島は金曜日に試合があって中4日だったから、相手よりも有利かと思ったら、ヴェルディは対戦相手の町田がACL決勝に進出したため十日くらい試合がなかったそうで、コンディション的には相手のほうが有利だったのも、ちょっとばかり想定外だった。

 なんにしろ、三竿が退場になった時点で残り時間は20分。ひとり少なくなって、さすがにそこから同点ゴールは生まれなかった。最後はヴェルディにコーナーフラグ付近で鹿島のお株を奪うような時間稼ぎをされて試合終了。今季初めての黒星を喫した。

 途中出場は前述のふたりに加え、師岡→荒木、退場になったあとに安西→林、レオ・セアラ→チャヴリッチの二枚替えがあった。

 安西のかわりに林を入れてどうするのかと思ったら、どうやらそこからは松村が左SBを務めていたらしい(わかっていないやつ)。ひさびさにチャヴリッチが観れたのは嬉しかったけれど、できればもっといい状況で活躍するところが観たかった。

 ヴェルディは前回離脱中だった林が復帰して、なかなかの存在感を発揮していた。その試合で怪我をしたGKのマテウスはあれ以降復帰していないらしく、この日も長沢がゴールマウスを守っていた。

 ヴェルディの外国籍選手はマテウスだけみたいで、この日は彼が不在ゆえに、ベンチ入り選手にひとりも外国人がいなかった。全員日本人で、若い選手もたくさんいるのに、これだけのサッカーができて、首位を独走している鹿島に勝っちゃうのって、敵ながらすげえなって思った。城福さん、とてもいい仕事をしている。そしてJリーグってやっぱり難しい。

(May. 2, 2026)

形藻土

ずっと真夜中でいいのに。/ 2026

形藻土 (通常盤初回プレス)

 現時点でのわが最愛のバンド、ずっと真夜中でいいのに。待望の四枚目のフル・アルバム。

 この作品はこれまでとかなりイメージが違った。

 なによりまずは待ち望むこちら側の心持ちが違う。これまでは期待しかなかったけれど、今回は期待と不安が半々だった。

 それまでは毎年ミニ・アルバムとフル・アルバムを一年ごとに交互にリリースしてきたずとまよが、2025年はついに一枚もアルバムをリリースすることなく一年を終えた。

 万博ライブとかも含めて、精力的にライブ活動を行っていたので、単にアルバムを作るだけの時間の余裕がなかったのかもしれないけれど、なまじそれまで律義に毎年一枚ずつアルバムをリリースしてきていたので、そのインターバルが途切れたことには、若干の創作意欲の衰えが潜んでいるのではと心配になっていた。

 加えて、このアルバムの発表時のコメントには、「初となる10分超えの大作曲、コンセプトに沿ったインタールード等含め、改めて“アルバム”の再定義に拘った1枚」だという説明があった。

 これを読んで期待がワクワクと高まった人もいるんだろうけれど、僕は逆だった。

 要するにある種のコンセプト・アルバムってことでしょう?

 んー、大丈夫なの?

 ずとまよの場合、いまもむかしも個々の楽曲の出来が素晴らしいので、既存曲をアルバムの形にまとめただけでも十分傑作になるのは前作『沈香学』で証明済みなのだから、なにも余計な手間を加えなくてもよくない?――と思わずにいられなかった。

 さて、そんな過去一インターバルがあいたあとに、鳴り物入りの予告とともに届けられたこのアルバム。出来はどうかというと――。

 あぁ、なるほど。これは要するにACAねが最近のライヴでやっている方法論をそのままアルバムの形で表現した作品なのだろうと思う。

 ライヴでは序盤の曲をワンコーラスだけのメドレーにしてみたり、途中に余興があったり、インストパートを追加して長尺になる曲があったりするけれど、その方法論をアルバムの形で再現してみたらこういう形になりましたって、そういうアルバムなのだろうなと思った。作品の性格としては、とても腑に落ちた。

 収録曲は全18曲。トータルタイムは69分で、ボリューム的にはずとまよ史上最大。

 そのうち、このアルバムのマイ・フェイバリットである『TAIDADA』や『微熱魔』を含む6曲が既存曲(もしかしたらマスターとかミックスとか違っているのかもしれないけれど、少なくても僕にはわからない)。先行リリース的な立ち位置でリリースされた『メディアノーチェ』と『よもすがら』も含めるならば8曲。

 さらに配信シングルとは微妙にアレンジが違う『クリームで会いにいけますか』に、スタジオライブテイクとして再録された『またね幻』と『クズリ念』を加えた計11曲が既存曲ということになる。

 つまりアルバムとともに初お目見えとなった新曲は7曲。

 ――とはいっても、そのうち『間人間』(まにんげん)、『アンチモン』、『蟹しゃぶふぁんく』の3曲が現在進行形のツアーで披露済み。

 『間人間』は改めて聴くとこれぞずとまよって楽曲だけれど、『アンチモン』は鼻歌に語呂合わせで歌詞を乗せたようなインスト寄りのクールなダンスチューン(サビのフレーズが電気グルーヴっぽくて癖になる)で、ずとまよ的には新機軸。

 『蟹しゃぶふぁんく』は、アルバムの冒頭を飾る『地球存在しない説』、『ultyra魂』(ウルトラたましい)と並ぶ、ワンコーラスのみ、一分台の短い曲。新曲には違いないけれど、音響的にもラフな音作りで、これをもってずとまよのフルスペックが発揮されているとはいい難い。

 残すところはあと二曲。そのうちの一曲『不死身の訓練』は『ultra魂』が唐突に終わったあとすぐに始まるので、ユーモラスなタイトルもあいまって、その二曲で一曲という印象の、これまた余興感のある仕上がり。

 最後に控える10分越えの『lowmotion aglae』は、『アンチモン』の姉妹編みたいな音遊び感覚全開の前半と、これまでにない昭和レトロなメロディと抒情的な歌詞をもつ後半、まったく性格の違う曲をふたつ――いや、あいだに朗読パートもあるので三つ?――つなぎあわせたような大曲。アルバムを象徴する一曲ではあるけれど、いかんせん長いからリピート率は低くなりがち。

 以上、曲の長さもまちまちで、音作りもバラエティに富んだこれらの楽曲を収録するにあたって、ACAねはその曲順にも入念に気を使ったのがわかる。今回のアルバムにはシャッフルで聴くことを許さない雰囲気がある。

 これまでのアルバムは大半が配信曲だったこともあり、シャッフルして聴いてもさほど印象が変わらなかったけれども、これは違う。下手にシャッフルすると、1分の曲がつづいたあとに10分の曲がかかったりして、やたらとバランスが悪いことになる。

 『形藻土』というアルバムはこの順番で聴いてこそ『形藻土』足りえる――そういうアルバムに仕上がっている。

 そういう意味では、これぞ《ずとまよ》のアルバムの最新進化形――と、自信を持ってお届けされたアルバムなのだろう。そう思う――思うのだけれども。

 でもね。

 やっぱ僕にはこのアルバム、過去の三枚ほどではないように思えてしまう。

 要するに今回のアルバムに収録された新曲のうち、ふつうの曲って『間人間』一曲しかないわけです。『よもすがら』を加えても二曲。

 これまでの三枚のアルバムはそれこそ捨て駒なし、全曲シングルカット可能ってレベルの作品だったと思うのだけれど、今回は違う。楽曲の出来映えの問題ではなく、長かったり短かったりライブ音源だったするがゆえに、これはシングルとしては出せないよねぇって曲がかなりある。

 一分台の曲はどれも紛うことなき《ずとまよ》印だけれど、短くてそれ一曲だけで聴くにはどうしたってもの足りないし、『アンチモン』や『lowmotion algae』みたいな曲はイレギュラーなイメージが強い。いや、どちらも好きなんだけれども。少なくてもこれがずとまよのマイ・フェイバリットとはいえない。

 そういうバラエティ豊かな曲があることでアルバムとしての個性が生まれているのは確かだとしても、でもそのせいでアルバム自体の完成度は下がってしまっている感が否めない。デビュー当時の曲である『またね幻』のライブテイクが入っていることもあって、なんかふつうのアルバムというよりはコンピレーションを聴いているような気分になっちゃうんだよねぇ……。

 あと、大好きな『クズリ念』がオリジナルのアレンジではなく、バラードのライブテイクに変更されてしまっているのも個人的には痛かった。バラード版が感動的なのは否定しないけれど、僕はオリジナルのほうが好きなもので、それがこのアルバムに収録されなかったのは残念でしかない。

 ということで、このアルバムはこれまでのずとまよのアルバムではもっとも満足度が低かった。べつに嫌いなわけではないけれど、過去の作品ほどには盛りあがり切れない。アルバムとして通しで聴かないと座りが悪いせいで、再生回数がこれまでの作品よりも少なくなるのは間違いない気もする。

 ファンになってはや七年。ライブに違和感を覚えることが増えてきたと思ったら、ついに新譜もこういう受け取り方をする日がきちゃったかぁって……。

 僕はこのアルバムを繰り返し聴きながら、なんともいえない気分になっている。

 でもまぁ、ヨルシカが『二人称』でアルバムの存在意義を問うたのとほぼ時を同じくして、ずとまよがこういうコンセプチュアルなアルバムをリリースしたのは、事象としてはとても興味深いことだと思う。そんな一枚。

(Apr. 29, 2026)



【相棒】
しろくろや

【Shortcuts】
音楽 作品 / ライブ / 会場 / 購入 / エレカシ
作品 / 作家 / 翻訳家 / 出版社 / 読了 / 積読
映画 作品 / 監督 / 俳優 / / シリーズ / ドラマ
蹴球 鹿島 / Jリーグ / 日本代表 / W杯

【新譜】
05/29The Boys Of Dungeon Lane / Paul McCartney
05/29As Time Explodes / Neil Young and the Chrome Hearts
05/29philadelphia's been good to me / Kurt Vile
06/05I Built You A Tower / Death Cab for Cutie
06/10I AM HERO 「俺と、友だち」盤 / 宮本浩次
06/10I AM HERO 「最高の日、最高の時」盤 / 宮本浩次
06/17花落知多少 / 君島大空
06/19Castle Park / Graham Coxon
06/26Reality Awaits / The Strokes
06/26The Ground Above / Beth Orton
06/26Bliss / Temples
07/03Confessions II / Madonna
07/10Foreign Tongues / The Rolling Stones

【ライブ】
06/12宮本浩次@ぴあアリーナMM
07/17HARRY & THE BIRTHDAY@SGC HALL ARIAKE
10/28BUMP OF CHICKEN@有明アリーナ
02/06BUMP OF CHICKEN@東京ドーム

【サッカー】
05/10[J1百年構想L 第16節] 横浜FM-鹿島
05/17[J1百年構想L 第17節] 千葉-鹿島
05/23[J1百年構想L 第18節] 鹿島-F東京
05/30[J1百年構想L プレーオフ第1戦]
06/06[J1百年構想L プレーオフ第2戦]

【新刊書籍】
05/21『マルドゥック・アノニマス11』 冲方丁
07/03『夏帆 -The Tale of KAHO-』 村上春樹
07/14『サリンジャー初期短篇全集』 柴田元幸・訳

【準備中】
05/11[映] THE MONKEY/ザ・モンキー
05/13[映] ワン・バトル・アフター・アナザー
05/15[映] 超かぐや姫!
(未定)[映] 罪人たち
(未定)[本] アメリカン・マスターピース 古典篇
(未定)[本] それから

【過去のコンテンツ】
Coishikawa Scraps Bootleg 2.0