新幹線大爆破
佐藤純弥・監督/高倉健、千葉真一、宇津井健/1975年/日本/Netflix
ということで、ひきつづき『新幹線大爆破』のオリジナル版。
こちらに関しては、新作を先に観てしまったせいで、やたらと時代性を感じるところが多かった。
爆発するのは時速百キロではなく八十キロだし、新幹線には修学旅行生ではなく、変な太鼓をたたく宗教団体みたいなのが乗っている。あと臨月の妊婦とか、護送中の容疑者とか、いまの時代だったら、絶対に乗っていないだろうって乗客が多い。
なにより新作では「テロリストの要求は飲めない!」と身代金の要求を拒否していたのに対して、こちらでは「人命には変えられないから素直に払いましょう」という調子ですもん。いやぁ、時代が違うなぁと思った。
あとタバコね。先日『ロスト・イン・トランスレーション』を観たときにも、ずいぶんとみんな好き勝手にタバコを吸ってんなぁと思ったものだけれど、この映画でもスパスパ吸いまくり。ここ二十年ばかりのあいだに、いかに僕らがタバコのない社会に慣らされてきたかをスクリーン越しに感じさせられた。
物語としては――犯人が後半までわからない新作を先に観たもので――いきなり高倉健が犯人役として登場する展開にびっくり。それ以降も彼を中心とした犯人グループが犯行に及ぶまでの人間ドラマが、現在進行形の身代金の受け渡しシーンに並行してたっぷりと描かれている。
新作は誰が主役というわけでもない群像劇だったけれども、こちらは健さんを主役にフィーチャーした犯罪映画としての色が濃い。
おかげで肝心の新幹線絡みのシーンは新作の半分くらいしかない印象で、その点がなにより拍子抜けだった。上りと下りの新幹線がすれ違うシーンとか、並走した二台の新幹線で工具を受け渡しするシーンとか、大きな見せ場が新作でそのままリメイクされているので、なおさら割をくっている感あり。
新旧で同じだったといえば、新幹線の管制室。新幹線の進行状況をモニターするパネルのデザインが一緒なのがおもしろかった。
あれは実際にいまでもああなのか、映画だからノスタルジーのためにそう描いているんでしょうか? まぁ、何十年も止まらずに走っているのだから、実際にいまでもああいうデザインなのかな。よくわからない。でもなんとなく、その昔ながらな感じがよかった。まぁ、七十年代当時はあれが近未来的だったのかもしれないけれど。
映画としては音楽の使い方も含めて、すごく七十年代風(あたりまえだけど)。それも洋画――ジャン=ポール・ベルモンドの諸作品や『フレンチ・コネクション』なんか――を思い出させる雰囲気だった。当時の邦画もがんばっていたんだなと思った。
出演は高倉健、千葉真一、宇津井健、丹波哲郎らの大物多数で、当時の日本映画界の総力を結集したフルキャストといった印象。初代ウルトラマンでハヤタ隊員を演じた黒部進も出演しているので、リメイク版に斎藤工が出ているのは、ウルトラマンに対するオマージュなのかもしれない。
(May. 13, 2025)