横浜F・マリノス3-4鹿島アントラーズ
J1・第1節/2026年8月7日(金)19:30/MUFGスタジアム/DAZN・フジテレビ
ついに秋春制に移行したJリーグ、真夏の八月の新シーズン開幕!
会場はMUFGスタジアムこと国立競技場。対戦相手はオーストラリア人の新監督スティーヴ・コリカ率いるF・マリノス。
シーズン以降フィーバーで、金曜の夜なのに、観客数63,960人で歴代最多を記録したというこの試合。
24年ぶりにゴールデンタイムの全国地上波放送もあるというので、せっかくだからその放送を観ようと思ったのだけれど、試合が始まるまでのCMやジョン・カビラのナレーションがうるさくて、つい観慣れたDAZNに戻ってしまった。DAZNもCMは入るけど、視聴率を気にしていない分、余計な演出や煽りがないのがいい。
でも前半の途中にタブレットで地上波とDAZNを比較したら、DAZNはタイムラグがあって、ずいぶんと映像が遅れていた。だったらばと後半からは地上波で観て、放送終了後に監督のインタビューとか見たくて、ふたたびDAZNに戻るという。そんな落ち着かないテレビ観戦となった開幕戦だった。
さて、この新シーズンまでの準備期間にアントラーズでは、荒木、濃野、知念、師岡、船橋、溝口が移籍していなくなった。かわりに加わったのはマテウス・ブエノ、ヤン・マテウスと、出戻りの広瀬。でもって安西、樋口のふたりがシーズン前に怪我をして長期離脱中という状況。
流出六名+故障者二名に対して、新加入はわずか三名。単純に人数だけでプラマイを考えればマイナスだ。百年構想リーグを前年とほとんど変わらないメンツで戦ったのは、このタイミングでの大型補強を考えてのことかと思っていたけれど、そうでもなかったらしい。
でもまぁ、補強した選手たちは即戦力として十分だし――広瀬もなんだかけっこう頼もしくなった気がする――そもそもいまの鹿島には徳田誉や吉田
はたして、この開幕戦、アントラーズのスタメンを飾ったのは、GK早川、DF広瀬、植田、関川、小川、ダブル・ボランチが三竿とマテウス・ブエノ、攻撃的MFは左がヤン・マテウス、右が吉田湊海、でもって優磨とレオ・セアラのツートップという布陣だった。
期待通り、吉田湊海がプロ初のスタメン出場!――と盛り上がったのもつかのま。
予想外の活躍を見せたのは、彼よりなお若い若干16歳でF・マリノスの開幕スタメンに抜擢された
この若者にいきなり開始6分で先制ゴールを決められてしまう。さらにはトリッキーで技ありなトラップから2点目の起点にもなる。
16歳って、高校一年生だよ?
なのになに、三井寺のあの高校生らしからぬフィジカルと落ち着いたプレーは? 見た目も吉田よりも大人っぽいし。いやはや、末恐ろしい。
対する吉田湊海は、ときたまセンスのよさを感じさせるプレーはあったものの、あまり有効にはゲームに絡めず。残念ながら前半だけでお役御免となった。まぁ、これが最初で最後のチャンスってことはないだろうから、これでめげずにがんばって欲しい。
そんな注目の若者以外だと、マリノスには移籍した知念がいたのもポイント。先制点は彼が持ち味のデュエルの強さを発揮して、優磨からボールを奪い取ったのが起点だったし、いやはや、知念、敵にするとやっかいだわ。
そのほか、マリノスは喜田やクルークスがベンチスタートってところに選手層の厚さを感じさせた。先制点をアシストした近藤
マリノスがなぜオーストラリア人監督にこだわっているのか知らないけれど、この試合を観る限り、今回のコリカという人もどうやら手腕は確かっぽい。まぁ、逆転を許した終盤のゲームマネージメントには若干疑問が残ったけれど、それまでの出来は文句なしだった。
試合は三井寺に先制されたあと、小川の絶妙なFKからレオ・セアラが同点ゴールを決めて、鹿島が一度は試合を振り出しに戻したものの、そのあとすぐに谷村にゴールを決められてまたもや引き離され、後半に入ってふたたび谷村に追加点を許して、1-3とされてしまう。
さすがにこの時点で勝負ありかと思った。
この日の3失点はどれも球際が緩かったというか、プレーが軽かった。百年構想リーグでヴィッセルに5失点したときもそうだったけれど、どうにも植田と関川のペアが、今年はいまだ、まともに機能していない気がする。
関川には次世代の大黒柱として成長してもらわないと困るんだけどなぁ……。いまの感じだと安心して最終ラインを任せられない。少なくてもキム・テヒョンにベンチを温めさせておいていい状態ではないように思えた。
とにかく2点のビハインドを負い、これはもう負けかと思った試合の流れが変わったのは、そのあとのことだった。
具体的には、マテウス・ブエノとヤン・マテウスの両マテウスに替わって、柴崎と林晴己が出てきてから。マリノスもその直後に四人を一気に入れ替えたことで、両チームの勢力図が大きく書き替わった。
追撃の狼煙となった鹿島の2点目のゴールは、後半から吉田に替わって出場していた松村のクロスから。これにあわせた優磨のジャンピング・ヘッドはポストを叩くものの、その跳ね返りにレオ・セアラが詰めていた。松村も優磨もレオもナイス!
それが後半36分。そのあと、残り5分という時間帯に、鬼木が最後のカードを切って投入したのは徳田とチャヴリッチだった。でもって、交替で下がったのは――。
なんと両SBの小川と広瀬とくる。
え、なにそれ?
この予想外の交替策からあとは、松村と林をSBにコンバートした超攻撃的な布陣になった。それって守備的に大丈夫なの?――と思ったものの、その時間帯になると、すでにマリノスでは足をつる選手が続出していたから、もやは相手のサイド攻撃を気にする必要はないという判断だったのかもしれない。やっぱ夏場の開幕戦は、選手にはきつかったんじゃなかろうか。まぁ、鹿島の選手たちは最後まで元気だったけど。
いずれにせよ、この思い切りのいい特攻策がみごとに実を結ぶ。
徳田らがピッチに立ったわずか1分後。ふたたび松村のクロスに優磨が頭であわせて、またもやポストに嫌われる場面があり(なぜそう何度も)、今度はそのこぼれ球を徳田が押し込んでついに同点!!
――と喜んだのもつかの間。このゴールはVARでオフサイドの判定を受けて取り消されてしまった。
あぁ、これはさすがに詰んだか……と思った試合は、でもまだ終わっていなかった。
ロスタイムに入って4分。優磨が打った惜しいシュートがマリノスの新GKルベン・ブランコ(Fromスペイン)に止められ、あぁ、きょうの優磨はとことんゴールに嫌われているなぁ……と頭をかかえたあとに――。
リプレイで優磨のシュートが途中出場のクルークスの右手をかすめているシーンが映し出される。
いやいやいや、これはハンドじゃん!
果たしてVARの介入によりオンフィールドレビューでファールが認められて、鹿島が土壇場でPK獲得!
このPKを蹴ったのが、ハットトリックの可能性があったレオ・セアラでも、ハンドを誘った優磨でもなく、途中出場のチャヴリッチというのがふるっていた。今年は全員でタイトルを獲りにゆくぞというチームとしての意思表明なのかなと思った。
チャヴリッチがこのPKをしっかりと決めてついに同点――。
試合はそれで終わらなかった。
11分という長いアディショナルタイムに、PKでの中断時間を加えたため、試合時間がすでに101分を越えた最後の最後。
CKの流れから柴崎が蹴り込んだ絶妙のスルーパスにチャヴリッチが反応して、GKとの一対一を股抜きで決めて、ついに大・逆・転~!! つねに劣勢だった試合を最後の最後でひっくり返した。
いやぁ、すげーわ。僕は33年前のJリーグの開幕戦で、鹿島がジーコのハットトリックを含む5得点で勝つのを観て、よしこのチームを応援しようと思ったわけだけれど、同じようにこの試合を観たことがきっかけで鹿島のサポーターになる人がいてもおかしくないよなって思うような劇的な試合だった。3失点はいただけなかったけれど、試合自体は文句なしのおもしろさだった。
いやぁ、ほんとたまらない。やっぱ俺らにはワールドカップよりもJリーグだよなぁって思った。
(Aug. 10, 2026)

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