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2025-11-29『草の竪琴』 New!
2025-11-27天皇杯 決勝・町田-神戸
2025-11-24『シーズ・ガッタ・ハヴ・イット』
2025-11-22『スクール・デイズ』
2025-11-19『あにゅー』
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草の竪琴

トルーマン・カポーティ/村上春樹・訳/新潮社

草の竪琴

 トルーマン・カポーティの代表作のひとつであり、村上春樹氏が長年愛読しているという中編小説『草の竪琴』に、短編『最後のドアを閉めろ』『ミリアム』『夜の樹』の三篇を併載した作品集。

 春樹氏があとがきで「『遠い声、遠い部屋』と『草の竪琴』は、同じ物語のネガとポジのような位置関係にあると評することもできよう」と書いているように、なるほどこの小説は『遠い声、遠い部屋』を陽当たりのいい場所で天日干しにしたら、暗い部分が色あせてなくなってしまった、みたいな作品だった。

 主人公のコリンは親を失って、親戚のもとへ身を寄せた少年で、その家で暮らす年寄り姉妹の姉ドリーとなかよくなる。でもって彼女たちのお家騒動(みたいなもの)に巻き込まれて、ドリーと彼女の召使兼親友のキャサリンともに家出をして、近所のツリーハウスに立てこもることになる。

 身寄りのない多感でイノセントな少年の話という点では『遠い声、遠い部屋』と同じなのだけれど、この小説ではその「イノセンス」の持ち主が主人公のコリンだけではなく、ドリーという老女もだという点が重要。むしろ結婚もせず、一度も社会に出たことのないまま年を取ったドリーのほうが、思春期のコリンよりもなおさらイノセントかもしれない。

 さらにそこに黒人だかネイティブ・アメリカンだかよくわからない世間離れしたお手伝いさんのキャサリンが加わった三人組に、地域のはみだし者である男性ふたりが絡んでくる。同調圧力の強い南部の社会では浮きまくっている五人のいびつな共同体の寓話のような善良さがこの小説の魅力。少なくても僕にとってはそうだった。

 カポーティの小説――というかアメリカ南部作家の文学全般――って、この本に収録されている短編のように、曖昧な表現が多くて、居心地の悪さを感じさせる作品が多い印象で、いまいち苦手なんだけれど、この小説はそのおとぎ話のような空気感がよかった。まぁ、それも最後には失われてしまうわけだけれども。その喪失感もまたこの小説の魅力のひとつだと思った。

 でもだから。そこで終わってくれていればよかったのに……。

 そのあとの短編は僕にはいささか蛇足に思えた。いい気分で映画館から出てきたら、外は雨が降っていて、いきなり現実に引き戻された、みたいな気分になった。

 願わくば『草の竪琴』の余韻を残したまま終わりたかった。

(Nov. 29, 2025)

町田ゼルビア3-1ヴィッセル神戸

天皇杯・決勝/2025年11月22日(土)/国立競技場/NHK総合

 黒田剛くろだごう監督体制になって3年目にして、町田ゼルビアがついに国内タイトルを取るところまで昇り詰めた。

 決勝戦の対戦相手は昨年度王者のヴィッセル神戸。

 どちらもリーグ戦では上位につける実力者どうしだから、拮抗する内容になるかと思ったら、早めの時間帯に先制した町田が、その後も効率よく追加点を重ねて、あっさりと逃げ切った。どちらが前年度チャンピオンだかわからない。まったく危なげのない堂々たる勝ちっぷりだった。

 勝手な印象だけでいえば、監督のビジョンの違いが勝敗を分けた気がしている。黒田監督は、決勝戦は最初の15分が勝負だといっていたそうで、その言葉どおり開始6分で先制点を奪ってみせた。対する神戸の吉田孝行は、チームの柱である大迫をなぜだか後半まで温存した。

 延長もある決勝戦だから、後半勝負だという作戦だったんだろうか? でも前半ですでに2-0と差をつけられ、後半の頭から大迫を入れて、厚い攻めを見せるようになったものの、せっかくの攻勢も報われず、カウンターから3点目を奪われて万事休す。その後は宮代のヘディングで1点を返すのが精いっぱいだった。

 今年は柏が細谷をスーパーサブとして使うことで結果を出していたりするし、エースをスタメンで使わないのがちょっとしたトレンドなのかもしれないけれども、この試合に関しては大迫が最初からプレーしていたら、また違う展開になっていた気がする。――というか、せっかくの決勝なんだから、やっぱ最初からベストメンバーで戦って欲しかった。それくらい、大迫がいるといないでは、神戸は違った。

 町田の得点は1点目と3点目がセレッソユース出身の24歳、藤尾翔太。

 貴重な先制点は、中山雄太(この日はボランチとしてプレーしていた)が敵陣を深くえぐってあげたクロスに頭であわせたもの。後半の3点目はショートカウンターからの豪快な左足ミドルだった。

 2点目はミッチェル・デュークのスルーパスを受けてフリーで抜け出した相馬の左足。デュークのパスが通った時点で勝負ありだった。相馬も落ち着いてよく決めた。

 今年の町田はリーグ戦の序盤は守備が安定せずに失点を重ねていたようだけれど、この日は昌子、望月ヘンリー海輝ひろき、ドレシェヴィッチという代表歴のある3バックが安定していたし、ボランチに入った中山雄太がとても効いていたので、3点はさすがにセイフティーリードだった。

 ここ数年の神戸の躍進も、この日の町田の優勝も、代表レベルにある日本人選手たちの補強がみごとにはまった結果だと思う。もやはJリーグを制するには、外国人の力を借りなくても大丈夫だって。そんな時代が確実に実現しつつあるのを感じる。

 いやでも、町田がこの先もずっと黒田体制でゆくとなると、年々厄介なことになりそうでちょっと嫌だ。予算が少なさそうだから、長期政権まったなしっぽいしなぁ……。

 ちなみにこの試合には元鹿島の選手が何人もいた。町田では昌子、相馬が主力として活躍していて、ベンチには白崎がいた。終了後はスタンドのサポーターに向かって、中島裕希がメガホンで感謝を告げていた。神戸では永戸、広瀬がスタメンだった。

 かつて応援していた選手たちの雄姿にいささか複雑な気分になった。

 まぁ、これで残す国内タイトルはJリーグのみ。次は鹿島の番だっ!

(Nov. 27, 2025)

シーズ・ガッタ・ハヴ・イット

スパイク・リー監督/トレイシー・カミラ・ジョンズ、トミー・ヒックス、ジョン・カナダ・テレル/1986年/アメリカ/Netflix

She's Gotta Have It

 一時間半くらいと短めだったこともあり、せっかくだからつづけてこれも観てしまうことにした。スパイク・リーの監督デビュー作がこちら。

 これも昔観たときにはぴんとこなかったんだけれど、『スクール・デイズ』とは違い、今回はよかった。スパイク・リーの父親、ビル・リーの手掛けるジャズのサウンドトラックと、白黒のスタイリッシュな映像の組み合わせがぴったりで、観ていてとても心地よかった。この気持ちよさにはジャン=リュック・ゴダールの作品に通じるものがあると思った。

 内容は、性的に奔放なひとりの女性(トレイシー・カミラ・ジョンズ)と、彼女とつきあう三人の男性――トミー・ヒックス、スパイク・リー、ジョン・カナダ・テレル――とのいびつな関係を、彼らへのインタビューで描きだすという疑似ドキュメンタリー風のコメディで、物語的にはそれほど惹かれないんだけれど、映画としての質は高いと思う。これが日本ではこれまでVHSでしかパッケージ化されていないのって、いささかひどいのでは?――と思ってしまった。ネトフリが配信してくれててよかった。

 この映画には『スクール・デイズ』と同じくスパイク・リーの妹ジョイ・リーのみならず、父親のビル・リーも出演していた(主人公の父親役)。そんな風に家内手工業的なキャスティングでもって、こういうスタイリッシュな映画を撮ってみせた若き日のスパイク・リーの才気が溢れる逸品。

 エンドクレジットで、彼ら出演者がそれぞれ自分たちの名前が書かれたガチンコを持って自己紹介するのも素敵でした。

(Nov. 24, 2025)

スクール・デイズ

スパイク・リー監督/ラリー・フィッシュバーン、ジャンカルロ・エスポジート/1988年/アメリカ/Apple TV

スクール・デイズ (字幕版)

 スパイク・リーのファンを自称しながら、僕はとんでもない勘違いをしていた。

 いまのいままで、この『スクール・デイズ』が彼のデビュー作だと思い込んでました。

 『シーズ・ガッタ・ハヴ・イット』のほうが先かよ……。

 まぁ、この初期の二作品については、正直あまり思い入れがなくて、これまで一度ずつしか観ていないし、たぶんどちらも同時期に観て、それきりだったので、記憶が改ざんされてしまったらしい。内容的にもこれのほうが『シーズ・ガッタ・ハヴ・イット』よりも若気の至りな感が強いし。

 黒人大学での寮生どうしのバカ騒ぎとセックスを描いたこのコメディ。学校とか集団行動が苦手な僕は、残念ながらまったく楽しめなかった。もしもこれが最初に観たスパイク・リー作品だったとしたら、もしかしたら僕は彼のファンを公言していないかもしれない。最近だと『シャライク』が同系列の作品で(それゆえ僕は駄目だった)、あれはこの続編だったんじゃないかって気がする。

 この映画で(やや誇張して?)描かれるようなアメリカの大学のカルチャーって、なんか違和感がはんぱない。こんな世界には絶対に馴染めない。なんでジャンパー着ているシーズンに、ダンスパーティーで水着になるのかもわからない。風俗的にも苦手な八十年代が舞台だし、個人的には好きになれる要素がほとんどなかった。

 まぁ、あえていうのならば、ミュージカルと呼んでもいいくらい、音楽シーンがたくさんあるので、八十年代末のブラックミュージックのショーケース的な見方をすると、いくらか楽しめそうな気もする。あと、ジャンカルロ・エスポジート(今回初めて名前を認識しました)をはじめ、ビル・ナンやサミュエル・L・ジャクソンら、スパイク・リー作品の常連さんたちがたくさん出ているので、そういう人たちの若き日の姿が観られるのは貴重かもしれない。

 主演のラリー・フィッシュバーンって誰かと思ったら、ローレンス・フィッシュバーンのことだった。若いころはスリムでカッコよかったんだ。

 そういや、スパイク・リーが演じるキャラが字幕では「ボーヤ」と呼ばれているのに違和感があって、英語だとなんと言っているのか調べてみたら「Half-Pint」だった。「半パイント」しかない小さなやつというスラングらしいので、それだったら「ボーヤ」より「チビ」のほうが自然じゃん? と思ったんだけれど、もしかしていまや「チビ」は差別用語扱いで使えないのか。「でぶ」とかも駄目なのかな。いろいろ面倒臭い時代だなぁと思う。

(Nov. 22, 2025)

あにゅー

RADWIMPS / 2025

あにゅー

 RADWIMPSの今と昔が交錯する会心の一枚!

 桑原彰の脱退から一年。デビュー二十周年ということもあり、野田・武田の二人体制になっての再出発の意味を込めて『あにゅー』と名付けられた新譜。

 『あにゅー』ってなに?――と思ったら、英単語の「anew [ən(j)ú:] -adv. 改めて; 新たに, 新規に.」(リーダーズ英和辞典)だそうだ(英語力に難のある男)。まさしくその名にふさわしいフレッシュな内容になっている。

 なにかとサプライズの多いこのアルバム。まずは発表済みの曲が『命題』と『賜物』の二曲しかないことに驚いた。

 CDには朝ドラ『あんぱん』の最終回で使われた『賜物』のオーケストラ・バージョン、配信バージョンには『大団円』の新録バージョンがボーナス・トラックとして収録されているけれど、それらを含めても三曲。残りの十曲はまっさらの新曲。

 配信リリース済み曲をコンパイルしてアルバムを出すのがあたりまえになってしまったこのご時世に、これだけの新曲を一気に聴けるのがとても嬉しい。やっぱアルバムってこういうのがいいよなぁとしみじみと思った。まぁ、いまだにそれを毎回あたりまえのように行っているaikoという超えらい人もいますが。

 発表済みの二曲にしても、『命題』はRADWIMPSの王道中の王道といえる曲ながら、初期のアルバムに収録されていてもおかしくないようなその歌詞の世界に、こういう曲がいまさら生まれてきたことにも驚かされた。

 朝ドラの主題歌として賛否両論を巻き起こした『賜物』は、初めて聴いたときに、その構成の複雑さにびっくりした。これ一曲に三曲分くらいのメロディと歌詞をぶち込んだ感がある。朝ドラではその一部だけを切り取ってしまったことで不評を買った感が否めない。まぁ、ちゃんと一分半で朝ドラの世界を表現できてないのが嫌だってことならば、それはそうかもしれないけれど……。

 でもふつうに音楽が好きな人ならば、この曲に込められた熱量の高さは否定できないでしょう? だってこんな曲書ける? ダンサブルな曲調をストリングス・アレンジで聴かせるのはラッドとしても新機軸だし、そういうところにもちゃんと朝ドラ主題歌としての配慮はされていると思う。

 新海映画のサントラとかを聴けば、野田洋次郎がいかにも朝ドラにふさわしいマイルドな曲を書けるのはあきらかだ。でも彼は今回、あえてそういうわかりやすい曲ではなく、こういう全方向にとことん尖った楽曲を持ってきた。それがやなせたかしという人の人生を表現する正しい方法だと信じたからだろう。

 かつてアマチュア時代にライブハウスの支配人から「こんなことしてたら売れないよ」と言われても折れることなく、ミクスチャーなスタイルを貫いてデビューを果たした反骨心はいまも変わってないんだなぁって思った。

 ラッドにとっては王道ともいうべき『命題』と破格の『賜物』。この二曲をリードトラックにして、このアルバムには十二曲(+先程書いたボーナストラック一曲)が収録されている。

 印象的なのは『命題』から始まる前半部分の初々しさ。そこにはメジャーデビュー当時に戻ったかのような、適度にキュートな感触がある。昔のラッドはよかったよねって。そういって離れていったファンを力づくで呼び戻せそうなフレッシュさがある。

 でもそんなアンチエイジングな魅力だけが売りではないのがこのアルバムのよいところ。バラードが多めになる後半、『筆舌』には洋次郎が四十代になったからこそ歌える苦みがあるし、『成れの果てに鳴れ』のサウンド・デザインは『新世界』などの最近のラッドの最新型だ。

 決して懐古趣味に走って若ぶってんじゃないぜって。これぞ二十年に及ぶキャリアのなかで培ってきた抽斗の多さの証明。そんなアルバムに仕上がっていると思う。

 もう絶賛されてしかるべき傑作だと思うんだけれど、そんな中で画竜点睛がりょうてんせいを欠くの感があるのが『ピリオド。』

 曲自体の出来が悪いとかではなく、問題はその歌のテーマ。

 「まじでいらねぇ」「はよ消え去って」と(おそらくバンドを抜けた彼に向けての)嫌悪をむき出しにして歌うこの曲の救われなさときたら……。

 かつての問題作『五月の蠅』を思い出させる曲だけれど、とことんヘビーだったあの曲とは違い、楽曲があっけらかんと明るい分、なおさら救われない。

 この曲を聴いて、今回のアルバムに『人間ごっこ』や『KANASHIBARI』が収録されていない理由がわかった気がした。再出発を誓うこのアルバムには「桑原彰」のクレジットを入れるわけにはいかなかったんだろう。だから『大団円』も新録なわけだ。

 これほど素晴らしいアルバムが、そんな仲間との決別という哀しい事件の結果としてもたらされたという事実には、どうにもやりきれないものがある。

 でもまぁ、いまさらそんなネガティブなことをいっていても詮方なし。その一点をのぞけば、本当にこのアルバムは素晴らしいのだから。

 ほんとRADWIMPSというバンドが好きでよかった。

 ――これ一枚でも十分そう思わせてくれていたのに、さらにもう一枚、おまけでとっておきのプライズがあろうとは(つづきは後日)。

(Nov. 19, 2025)



【相棒】
しろくろや

【Shortcuts】
音楽 作品 / ライブ / 会場 / 購入 / エレカシ
作品 / 作家 / 翻訳家 / 出版社 / 読了 / 積読
映画 作品 / 監督 / 俳優 / / シリーズ / ドラマ
蹴球 鹿島 / Jリーグ / 日本代表 / W杯

【新譜】
12/10I [Single] / BUMP OF CHICKEN
12/10TOUR 2024 Sphery Rendezvous at TOKYO DOME [BD] / BUMP OF CHICKEN
12/10HAYABUSA JET II / 佐野元春 & THE COYOTE BAND
03/20The Mountain / Gorillaz
06/10I AM HERO 「俺と、友だち」盤 / 宮本浩次
06/10I AM HERO 「最高の日、最高の時」盤 / 宮本浩次

【コンサート】
12/22ずっと真夜中でいいのに。@東京ガーデンシアター
12/27RADWIMPS@有明アリーナ

【サッカー】
10/30[J1 第37節] 東京V-鹿島
12/06[J1 第38節] 鹿島-横浜FM

【新刊書籍】
12/01『高校のカフカ、一九五九』 スティーヴン・ミルハウザー
12/03『赤く染まる木々』 パーシヴァル・エヴェレット
12/17『バウムガートナー』 ポール・オースター
01/07『消失』 パーシヴァル・エヴェレット

【準備中】
11/11薬屋のひとりごと16

【過去のコンテンツ】
Coishikawa Scraps Bootleg 2.0