小石川近況
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2024-09-07 | 映 | 『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』 New! |
2024-09-04 | 映 | 『アンブレラ・アカデミー シーズン4』 |
2024-09-02 | 本 | 『狐花 葉不見冥府路行』 |
2024-08-31 | 音 | 『LOST CORNER』 |
2024-08-28 | 蹴 | J1 第28節・東京V-鹿島 |
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ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
スティーブン・ダルドリー監督/トム・ハンクス、サンドラ・ブロック、トーマス・ホーン/2021年/アメリカ/WOWOW録画
同時多発テロで大好きな父親を失い、トラウマをかかえた少年の心の回復を描くヒューマンドラマ。
以前に読んだ原作の小説がよかったので、ずっと観たいと思っていた作品だった。
原作とのいちばんの違いは、少年の祖父母に関する過去のエピソードをまるまる端折ってあること。まぁ、その部分は戦争絡みでもあるし、そこまで描くと三時間超えの超大作になってしまいそうなので、この改変は映画化にあたっての必然だったんだろう。
実際にその部分をはしょって少年の行動だけにフォーカスしたことで、この映画はとても心温まる感動作に仕上がっている。
まぁ、子役のトーマス・ホーン少年のイメージが僕が抱いていたものとは違ったり、音楽がハリー・ポッター的な仰々しさだったりしたのには若干違和感を覚えたけれど、あとはとくに文句なしの感動作だった。
いまは亡き父親役がトム・ハンクスで、母親がサンドラ・ブロック。マンションの受付がジョン・グッドマンだったり、少年が父親の部屋でみつけた謎の鍵の秘密を解き明かすべく訪ねてゆく数多のマンハッタンの住人たちの中に、ヴィオラ・デイヴィスやジェフリー・ライトがいたりするキャスティングもいい。
名作と呼べるほどの出来映えではないけれど、『小説家を見つけたら』や『シェフ』などと同じように、いずれまた観たくなること確実な良作。
(Sep. 07, 2024)
アンブレラ・アカデミー シーズン4
スティーヴ・ブラックマン制作/エリオット・ペイジ/2024年/アメリカ/Netflix(全6話)
『アンブレラ・アカデミー』の最終シーズン。有終の美を期待していたのだけれども、残念ながら出来映えはいまいちだった。
おそらくナンバー・ファイヴ役のエイドリアン・ギャラガーくんがすっかり成長してしまったため、今回は前作から六年後という設定になっている。
前作の最期で超能力を失った一同は、現在はそれぞれ普通に――ではないかもしれないけれど、とりあえず一般人として――生活している。
ルーサー(トム・ホッパー)は男性ストリッパー、ディエゴ(デイビッド・カスタニェーダ)はライラ(リトゥ・アルヤ)と家庭をもち、アリソン( エミー・レイヴァー・ランプマン)は芸能界に復帰(でも売れてない)、クラウス(ロバート・シーハン)はアリソン家の居候、ナンバー・ファイヴはCIA捜査官として活躍中、ベン(ジャスティン・H・ミン)は詐欺で刑務所に入れられ、でもってヴィクター(エリオット・スミス)は兄弟から離れてカナダでバーを経営しているといった具合。
そんな兄弟たちが、ディエゴの娘たちのバースデイ・パーティーとベンの出所をきっかけに再会して、あれこれあったあとで、昔の力を取り戻す。
――のだけれど。それは第二話に入ってから。
つまり第一話の時点ではこのシリーズをヒーローものたらしめている主役らの力は封印されたままなわけで。全六話と全体がこれまでよりも短いのに、そのうちの一話をそこまで引っ張らなくたっていいじゃんって思ってしまう。
残りの五話で描かれるのは、ジーン&ジーンという中年カップルに率いられたカルト教団絡みの事件と、ナンバー・ファイブとライラが異世界へとつながる地下鉄に乗り込んで迷子になる話。そしてベンがジェニファーという女性と恋に落ちたことで、またもや世界が滅びる騒ぎが持ち上がる。この三つを中心に物語が進んでゆく。
このシリーズの最重要キャラはナンバー・ファイブで、セカンド・シーズンではライラが登場して徐々にその存在感を高め、シーズン3ではベンが異次元チームのリーダーとして、それまでとは違うポジションを得た。
今シリーズがその三人を中心に展開するのにはとくに文句はないのだけれど、おかげでほかのメンバーの存在感が薄まってしまっているのが残念なところ。エリオット・ペイジなんて、いったいなにをしていたのか、ほとんど印象に残っていない。
ナンバー・ファイブとライラが地下鉄の世界に閉じ込められるエピソードは文学性さえ漂わせていて、本シリーズ屈指の名エピソードだと思うけれど、そのあとのカタストロフはいささかヤケクソ気味で、シリーズの締めとしてはいまいちだと思った。結果として不完全燃焼感が残ってしまった。
これで最後というのならば、もうちょっといい終わり方をして欲しかった。残念。
(Sep. 01, 2024)
狐花 葉不見冥府路行
京極夏彦/KADOKAWA
デビュー三十周年ということで、このところ精力的に新作を発表しまくっている京極夏彦の最新作は、松本幸四郎からの依頼で書き下ろした新作歌舞伎の原作。
内容は『了巷説百物語』にも登場した京極堂のご祖先様、中禪寺洲齋を探偵役に迎えた時代劇ミステリ。印象的には完結したばかりの『巷説百物語』のスピンオフといっていい作品だと思う。
総ページ数が三百ページに満たない、京極夏彦の長編小説としては過去最短の作品だけれど、さすが京極先生、それでもなかなか読みごたえがある。
京極堂のプロトタイプのような黒ずくめの陰陽師が、狐の面をつけた謎の人物と対峙する序章からして紛うことなき京極印だし、タイトルの『狐花』をはじめ、各章のタイトルを『死人花』、『墓花』など、彼岸花の異名のみで埋め尽くした着想、知識量、構成力など、あいもかわらぬそのスタイリッシュさに脱帽せずにいられない。
まぁ、物語としては最重要人物である狐面の人の正体がじつは……というあたりには強引すぎる嫌いがあるけれど、残念なのはそれくらい。中善寺家の出自にまつわる秘密も明かされるし、百鬼夜行サーガの出発点ともいうべきファン必読の一遍。
それにしても、タイトルの『狐花』が「きつねばな」なのはともかく、『葉不見冥府路行』を「はもみずにあのよのみちゆき」と読むのは無理筋すぎる。まったく覚えられない。
(Sep. 02, 2024)
LOST CORNER
米津玄師 / 2024
前作につづき記録的な大ヒットとなった米津玄師の通算六枚目のアルバム。
前作の『STRAY SHEEP』もすごかったけれど、今回も輪をかけてすごい。
なにより収録曲が20曲というボリュームがすごい。前作より25%増量。
去年出たKing Gnueの『THE GREATEST UNKNOWN』の21曲にも驚いたけれど、あちらがその曲数の中に曲間のつなぎのインストナンバーを多く含んでいたのに対して、このアルバムのインスト曲は最後の一曲のみ。
つまりきちんとした歌ものが賞味19曲も収録されている。
あのー、それってストーンズの『メイン・ストリートのならず者』(アナログ二枚組)より多いんですけど?
まぁ、最近の人気アーティストの新譜のつねで、このアルバムにも配信リリースされたタイアップ曲がたくさん入っているけれど、それでもまっさらな新曲が8曲も聴けるのがいい。だって知っている曲ばかりではつまらないでしょう?――といわんばかりのこのサービス精神が素晴らしい。
ジブリとのコラボで、かの宮崎駿監督にまでその才能を認められ、いまや名実ともに日本のトップアーティストの地位を揺るぎないものにした感のある人が、そのステータスに奢ることなく、こういう過剰なボリュームの作品をリリースしてみせる姿勢は尊敬に値する。
僕はこれまでにリリースされたばかりの新譜の感想を、リリースされた週のうちに書いたことがなかった(少なくても記憶にない)。
それというのも、最初はいまいちと思ったアルバムが、繰り返し聴いているうちに大好きになってしまう、なんて経験を何度もしてきたから。音楽についてなにかを書くのは、ある程度の回数を聴いたあとであるべき、というのがモットーだ。
だから、リリースされたばかりのこのアルバムについて、このタイミングで文章を書くのは個人的な方針としては間違っている――のだけれども。
これについてはさっさと書いちゃってもいいんじゃん?――って。
リリースから数日間、繰り返し聴いてみて、そう思った。
もとより僕は米津玄師の書く曲ならどれも無条件に好きというほどのコアなファンではないし、旧譜にしたってタイトルがわからない曲がごまんとある。大絶賛した『STRAY SHEEP』の収録曲だって、個々の曲名はうろ覚えだ。
そういう男にとって、全20曲70分越えというこの新譜のボリュームは、いささか過剰すぎるのでは?――と思っていた。
ところが、これがそうでもない。リリースから数日、繰り返し聴いているけれど、まるでだれることなく、いまだに最後まで気持ちよく聴ける。でもって終わるとすぐにリピートしたくなる。なまじ僕の趣味の真ん中というわけではない分、そのボリュームをまったく気にさせないバランスのよさに感銘を受けた。
個々の楽曲を見ても、『KICKBACK』でモーニング娘のフレーズを引用したり、『死神』で落語をモチーフにしたりと、表現者としての引き出しの多さにも驚く。『シン・ウルトラマン』の主題歌に『M七八』という漢数字のタイトルをつけるセンスとかも、本当にすごいと思う。
で、ここまで量と質を兼ね備えたアルバムを、今回も魅力的な自画像のイラストで飾ってみせるというね。
もうやっていることがすべて規格外。この人のすごさをきちんと表現できるだけの言葉を僕は持たない。ただすごいとしか言えない。
ならば、リリースされたこのタイミングであろうと後日であろうと、おそらく書けることにはたいした違いはないだろうし、鉄は熱いうちに打てで、今回に限ってはさっさと書いてしまっても、なんの問題もないのでは?
そう思った次第でした。お粗末。
(Aug. 31, 2024)
東京ヴェルディ2-1鹿島アントラーズ
J1・第28節/2024年8月25日(日)/味の素スタジアム/DAZN
ヴェルディには前期に3-0から追いつかれるという痛いドローを喫しているので、今回は雪辱をと思っていたのに、負けちゃうんだもんなぁ……。
気がつけば、今季のJ1昇格クラブ全部に負けてんじゃん。こんな結果を残していては、優勝なんて語るがおこがましい。残り10試合で首位・町田に勝ち点6差。これ以上離されたらおしまいだと心して戦ってほしい。
この日のスタメンは前節と一緒。知念はまたもベンチ外だった。もしや今季は彼がいないと駄目なんじゃなかろうか。
試合は前半をスコアレスで折り返したあと、後半に背番号11の
山見という選手は前半から嫌な感じだったので、こういう選手が得てして決めたりすんだよなぁと思っていたら、どんぴしゃだった。なんでこう嫌な予感があたるかな。あと、ヴェルディのGKマテウスが神がかりなセーブを見せていたのも敗因のひとつ。
鹿島の途中出場は藤井、田川、ミロサヴリェヴィッチ、樋口、そして加入したばかりの新外国人ターレス・ブレーネルの5人。
最後の3人は後半ロスタイムからの出場だった。VARやらなにやらでロスタイムが11分もあったとはいえ、期待の新戦力の出番がそんな時間帯ってのが残念だ。
(Aug. 28, 2024)