アメリカン・マスターピース 古典篇
柴田元幸・編訳/柴田元幸翻訳叢書/スイッチ・パブリッシング
柴田元幸先生が「アメリカ合衆国で書かれた短篇小説の名作中の名作を集めた本を作ることにした」と語るアンソロジーの第一弾。
収録されているのは、ホーソーン、ポー、メルヴィル、エミリー・ディキンソン、マーク・トウェイン、ヘンリー・ジェームズ、O・ヘンリー、ジャック・ロンドン、以上八名の短編。
うちディキンソンだけは詩(の断片?)が六篇。そのほかは柴田氏が「ザ・ベスト・オブ・ザ・ベストの選集」と呼ぶだけあって、有名な作品がそろっている。。
ポーの『モルグ街の殺人』やO・ヘンリーの『賢者の贈物』を手始めに、マーク・トウェインの『ジム・スマイリーと彼の跳び蛙』とジャック・ロンドンの『火を熾す』は、すでに柴田氏によるその作家の短編集で訳出済みだし、メルヴィルの『書写人バートルビー』なども、別の翻訳家の短編集のタイトルになっているし。
なので僕がタイトルさえ知らなかったのはホーソーンの『ウェイクフィールド』とヘンリー・ジェームズの『本物』の二編だけだった。ほとんどが知らない作品ばかりだった『ブリティッシュ&アイリッシュ・マスターピース』とはその点が違う。「有名なのはこっちだけれど、私はこれが好きだ」みたいな翻訳者としてのエゴが微塵も感じられないこのド級のメジャー感が意外だった。
ただ、メジャーなタイトルこそ多いけれど、内容はまるで感動的ではないところがおもしろい。どちらかというと、いたたまれなさや不安感をあおるような作品ばかりが並んでいる。古典篇の時点でこういう心気症的な短編となると、この先の準古典篇、戦後篇はどうなっちゃうんだろうという別の好奇心が湧いてくる。
最後に収録された『火を熾す』を再読してみて、柴田さんが『犬物語』にこの作品の別バージョンを収録した理由がわかった。これはこれで間違いなく傑作だけれど、ちょっとばかり出来映えが劣ろうとも、もうひとつのほうを訳しておきたくなるのはもっともだ。内容はすでに記憶の彼方だけれども、甘っちょろい僕はそっちのほうが絶対に好きだろうなと思った。
(May. 23, 2026)


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