トレイン・ドリームズ
クリント・ベントリー監督/ジョエル・エドガートン、フェリシティ・ジョーンズ/2025年/アメリカ/Netflix
毎年恒例ネトフリで配信されているアカデミー賞候補作を観ようシリーズ。今年の一本目は二十世紀の初頭のアメリカに生きたブルーカラーの孤独な男性の生涯を描く文芸作品。
原作はデニス・ジョンソンの中編小説とのことで、あとから知って、まさか読んだことのある作家の作品だったとは……と驚いた。
予告編――というか本編映像を使ったニック・ケイヴの主題歌のミュージック・ビデオ――の映像の美しさに惹かれて観ようと思った作品で、こと映像に関しては期待を裏切らない素晴らしさ。最近の映画には珍しく、画角がワイドスクリーンではなく、ブラウン管サイズだったのにはいささか戸惑ったけれど、もしかしたらスナップ写真的な映像美を意識した結果なのかなと思ったりした。
物語は親に見捨てられ、誕生日も知らずに育った天涯孤独な男性が、ゆきずりの町で出逢った女性と恋に落ち、その土地で家庭を持ち、子供を授かり、つかの間の幸せを味わうも……というような話。
主演はジョエル・エドガートンという人で、ヒロインが『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』のフェリシティ・ジョーンズ。あの映画から十年たっているけれど、イメージはあまり変わらない。素朴で飾らない役どころが素敵だった。
主人公のロバート・グレイニアは無学なので、肉体労働者として働かざるを得ず、愛する妻子をおいて、鉄道施設にともなう材木伐採の仕事に出かけてゆく。彼の家も町から離れた川沿いにぽつんと建つ手作りの一軒家だし、主人公がつねに自然のなかで暮らしているため、スクリーンに映し出されるのは前世紀のアメリカの豊かな自然の風景。ときおり電車や町の風景も映るけれど、とにかく印象的なのは自然の美しさや清々しさ。主人公が無口なこともあって、美しくも静かでもの悲しい作品だった。
孤独な主人公が自然の中で生きる姿を淡々と描写している点では、五年前にオスカーを制した『ノマドランド』に近いものがあるけれど、こちらはその映像美ゆえだろうか、あの映画には感じなかった、おだやかな悲劇がもつ優しいカタルシス? みたいなものがある気がする。とてもよい映画でした。
(Feb. 21, 2026)



















