ザ・ローリング・ストーンズ オレ!オレ!オレ! ア・トリップ・アクロス・ラテン・アメリカ
ポール・ダグデイル監督/2016年/アメリカ/Netflix
ストーンズの映像作品をきちんとフォローしなくなってひさしい。ストーンズがアーカイブ系のライヴ作品を映像と音声の複数フォーマットでリリースし始めた時期が僕の金欠時期と重なってしまい、もうコンプリートは無理だと諦めてしまったのが敗因(どうせちゃんと揃えられないならば、最初から手を出さないほうがまし)。
それでもできれば新作くらいはきちんとフォローしようと思っているだけれど、これはそんなリリース・ラッシュのなかに埋もれて見落としていた作品。
そもそもストーンズには歴史的なキューバでのフリー・コンサートを映像化した『ハバナ・ムーン』という作品もあって、僕はそれはWOWOWで観てすませてしまったので、それと姉妹編みたいな印象で、いったいなにが違うんだかわからなかったこの作品も、はなから購入対象外になってしまっていた。
今回ネットフリックスに入っていることを知って観ることができて、ようやくその内容に納得。『ハバナ・ムーン』はキューバ公演の内容を収録したコンサート・フィルムだったけれど、こちらはそのコンサートに至るまでの南米ツアーの模様を追ったドキュメンタリー・フィルムだった。
で、これがなかなかおもしろい。演奏シーンは多くないし、そもそも断片的なので、ストーンズの音楽をたっぷりと聴きたいって時には向かないけれど、そのかわりあまり馴染みのない南米各国の人たちのストーンズの来訪に対する熱狂が鮮やかな彩りで描かれていて、野次馬的な視点で楽しんで観ることができた。
この映画を特にお薦めしたいのがサッカー・ファン。ふだんはスタジアムでの日本代表の強敵としてしか意識していない南米の各国の風景がまとめて観られるのが一興。ブラジル、アルゼンチンあたりは以前になにか別の作品でも観たような記憶があるけれど(なんだったっけ?)、ウルグアイやチリやメキシコがとりあげられるのは初めてだと思うので、そうしたサッカーでしか知らない国の都会の風景やストーンズへの熱狂ぶりが観られたのはとても新鮮だった。
いやしかし、やはり中南米の人の熱狂ぶりは日本とは桁が違う。
(Dec. 05, 2019)