The Getaway
Red Hot Chili Peppers / CD / 2016
ジャケットがおもしろ可愛くて、ついジャケ買いしてしまったレッド・ホット・チリ・ペッパーズの最新作。
僕はイギー・ポップとか、レッチリとか、上半身裸になる男性ミュージシャンがなんとなく苦手で、これまでレッチリはまともに聴いてこなかった。
いや、といいつつ旧譜は何枚か持っているのだけれど──そういや、前作の『I'm With You』も、薬用カプセルにハエが止まったまっしろいジャケットが気に入ってジャケ買いしたんだった──、結局、一、二度聴いておしまい、というパターンばかりだった。嫌いというわけではないんだけれど、なんとなく盛りあがりきれない。僕には関係のないバンドという印象が強かった。
だから今回もジャケ買いはしたけれど、きっと聴かずにお蔵入りだろうと思っていた……のだけれど。意外や意外、これがとても気に入った。
いや、このアルバムすげー、とかは思わないわけです。それどころか、どことなく熱量が足りない気さえする。この人たちが本当に全力を尽したなら、もっとすごいことになりそうな気がする。
でもだからこそ、僕にはよかったのだと思う。この適度に力が抜けた感じがとても気持ちいい。音作り的には中庸で、とがった部分が足りない感じがするけれど、それでもそこに鳴っているのは徹頭徹尾ファンクなわけで。ダンサブルなファンク・ビートが適度のクールネスを保ったまま、だれることなく続いてゆく感じが、とても気持ちいい。
まぁ、見開き紙ジャケのインナーやブックレットでペンキまみれになっているメンバーの写真を見ると、やっぱこの人たちとは趣味あわなさそう気がするなぁ……とか思ってしまうけれど、それでもこのアルバムはとてもいいと思う。
いままで聴いてこなかったからこそ、いまさらこんなに気持ちよく聴けるのがとても新鮮。この夏のお気に入りの一枚。
(Jul 17, 2016)