薬屋のひとりごと16
日向夏/ヒーロー文庫/主婦の友社/Kindle
ついにたどり着いた『薬屋のひとりごと』の最新巻。
医療ドラマみたいだった前作につづいて、今回もメインは病気の話。地方の村で疱瘡が流行って、医局の人たちがてんてこまいすることになる。
ちょっと前に猫猫(マオマオ)の後輩となった妤(ヨ)と、猫猫が薬屋の仕事で知りあった克用(コクヨウ)が、ともにかつて疱瘡に感染したことがあり、免疫があるということで、今回はけっこう大事な役どころを演じている。
疱瘡といわれてもいまいちぴんとこないけれど、それがかつて法定伝染病だった「天然痘の別称」だと言われると、あぁ、それは大変そうだって思う。新型コロナウィルスのパンデミックからまだ数年なので、またもやあんなめになったら本当にやだなぁって思うと他人事じゃない。
そんな重大事への対応に並行して、今回も猫猫はいろんなところへひっぱりまわされている。雀(チュエ)につれられて馬閃と里樹(リーシュ)の様子をのぞきにいったり。壬氏に請われて皇太后の親戚の毒薬投与事件の謎を解いたり。羅半が商売相手に拉致された事件を解決したり。最後は、らしからぬ態度で壬氏に甘えてみたりしている。
いちおう疱瘡絡みの話は切りよく終わった感じけれど、さて、このつづきが読めるのは来年か再来年か。この作品、まるで終わりが見えない。
(Dec. 3, 2025)
