2002年2月のサッカー

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  1. 02/23 ▲ 鹿島1-1清水(PK4-5) (ゼロックス杯)

鹿島アントラーズ1-1清水エスパルス(PK:4-5)

ゼロックス杯/2002年2月23日(土)/国立競技場/日本テレビ

 ワールドカップ・イヤーのJリーグ開幕を一週間後に控えて、去年と同じ顔合わせで行われたゼロックス杯。10番をつけた本山の国内デビュー戦でもある。本来ならば鹿島-清水という好カードだし、もっと期待していいはずなのだけれど、今回のアントラーズはアジアクラブ選手権で、この一週間に中一日で3試合を消化したあとだ。しかもその間に柳沢、熊谷、ファビアーノの故障が伝えられている。相手の清水もアレックスが故障明けで出場しないのではないかという話があった。明けてみれば故障者たちは両チームともみんな怪我をおして出場してくれていたけれど、やはりそんなコンディションだから、内容的にはいまひとつの試合になってしまった。
 この試合、開始から15分くらいは一方的な清水のペースで始まる。アントラーズの選手たちはやはり遠征の疲れがたまっているのか、どうにもボールが足につかない感じだった。ポジショニングもちぐはぐで、いいところがひとつもない印象。ただ相手の清水もアレックスのがんばりが目を引く程度で、決定的な攻撃は見られない。そのうちにようやく鹿島もエンジンがかかり始めたようで、前半の中頃にはボールの支配率で相手を上回り始めた。ただしやはり決定機は演出できずじまい。結局、前半は0-0で終了。
 ゲームが動いたのは後半22分だった。相手ゴール前に詰めた本山が、GKの前でDFと交錯して倒れる。このプレーをファールだと勘違いしたGK黒河が、FKを蹴ろうとプレースしたボールを、本山が横取りしてゴールに蹴りこんでしまった。レフェリーはそのゴールを認めたのだけれど、テレビ・カメラはその動きを追っていないし、観客も煙に巻かれたような感じで歓声もほとんど上がらない。僕が今まで見た中でもっとも奇妙で、もっとも静かなゴールシーンだった。
 そのゴールでしらけてしまったかのように、試合はその後、淡々と進む。ボールを支配し続けるアントラーズは、もう一点取って気持ちよく終わりたいとばかりに攻勢をかけるのだけれど、中田の見事なセンタリングを鈴木がゴール前でフリーで外したりして、どうにも追加点が奪えない。やがて時間が過ぎてゆき、鹿島は守りの選手交替に入る。
 そしてロスタイム。右サイドで中田浩二が二枚目のイエロー・カード──なぜあれがイエローなんだ?──をもらって退場となり、そのFKでアレックスがあげたセンタリングを、途中交替の横山にゴールに流し込まれてしまう。土壇場で同点にされ、そのまま試合終了。延長なしでのPK戦では、鹿島の6人目、池内が外して決着。残念な逆転負けを喫した。アントラーズは木曜日に韓国で行われたアジアクラブ選手権の準々決勝リーグ第三戦でも、残り1分で同点に追いつかれて準決勝進出を逃している。二試合連続で逃げ切れずに勝ちを逃しているのが一番の反省点だろう。
 それにしてもこの日の本山のゴールには複雑な思いが否めなかった。去年の天皇杯での小笠原のFKや、市川が倒れているのを無視して鈴木が奪ったゴールなど、それってないんじゃないかというゴールは鹿島の得意技の感がある(しかもなぜかいつも相手は清水)。勿論どのプレーもルールに触れているわけではないし、悪いのはプレーへの集中力を欠く相手だという言い方はできる。けれどどのように理屈をつけたところで、ああいうプレーはやはり気持ちよくない。彼を責めるつもりは毛頭ないものの、10番をつけた本山の国内初ゴールがああいう形になってしまったのは、正直言って残念だった。
 なんにしろ新生アントラーズのコンビネーションはまだまだのようだ。ここ4試合でFWの得点が0という決定力のなさは、FWだけの責任ではなく、中盤からの攻撃の組み立てができていないのが原因だろう。来週からのリーグ戦への不安をかきたてる一戦だった。
 まあ、とりあえず今はゆっくりと休んで欲しい。週に4試合はいくらなんでも可哀想だ。
(Feb 24, 2002)