鹿島アントラーズ1-0浦和レッズ
ナビスコ杯・決勝/2002年11月4日(月)/国立競技場/フジテレビ
唐突に強いアントラーズが復活。怪我で戦線離脱していたエウレル、小笠原、本山、ファビアーノがこの試合で揃ってスタメンに復帰してくれた。熊谷がいないのは残念だけれど、本田がこの頃は非常に調子がいいので問題はないだろう。タイトルのかかった試合に最強の布陣でのぞめる。これは大きい。なんたってアウグストが本職の左サイドに専念できるんだから、それだけでもう負ける気がしない。
とはいっても相手のレッズもこのところ好調だ。エメルソン、トゥット、永井の3トップは破壊力抜群。ベテランの井原や売出し中の若手DF坪井を中心とした守備陣も安定しているらしい。超満員のスタンドは8割が浦和サポーターだったそうだ。さすが日本一といわれるレッズ・ファン。もう最初から歓声がすごかった。
いやそれでもね。やっぱりレギュラーが顔を揃えた鹿島は強いんだ。レッズの攻撃も迫力があったけれど、タイトルのかかった試合での鹿島のしたたかさの前では、あまり脅威を感じなかった。まあ最後の方で曽ガ端がトゥットとの一対一の絶対的なピンチを防いでくれた場面もあったけれど。でも危ねえってのはあれくらいじゃなかっただろうか。
対する鹿島は59分に右サイドに切り込んだ柳沢から出たラスト・パスを小笠原がシュート。これがあきらかなミス・キックだったにもかかわらず、DF井原に当たってコースが変わってゴール・ネットを揺らしてしまう。確かにラッキーなゴールだった。それでも小笠原のシュートまでの流れは完璧にレッズのディフェンスを崩していた。前半にも小笠原がレッズのディフェンス・ラインを翻弄してフリーでシュートを放った場面があったし(惜しくも左に外れてしまった)、フィニッシュの数ではアントラーズが上回っていたと思う。結局アントラーズがこの1点を守りきって、3度目のナビスコ杯ウィナーに輝いた。攻守に渡り存在感を示し続けた小笠原のMVPは文句なしだ。
それにしても、今年はいまひとつだと思っていたのに、こうやってちゃんとタイトルをものにしてしまうあたりに、常勝チームならではの経験値を感じる。アントラーズにセカンド・ステージの連勝を止められて優勝の望みが薄くなった上に、ナビスコ杯のタイトルまで奪われてしまったレッズは結構気の毒な気もする。勝負の世界は無情だ。
(Nov 05, 2002)