2003年1月のサッカー

Index

  1. 01/01 ● 鹿島1-2京都 (天皇杯・決勝)

鹿島アントラーズ1-2京都パープルサンガ

天皇杯・決勝/2003年1月1日(水)/国立競技場/NHK

 新年恒例の天皇杯決勝。今年はナビスコ杯との二冠を狙ったアントラーズが、若さ溢れるパープルサンガに屈することになった。
 アントラーズは前の試合で負傷退場した本山が全治6週間の診断を受けて欠場。その穴を埋めるのは野沢だろうと思っていたのに、トニーニョ・セレーゾが選んだのはまたもやアウグストだった。彼を中盤にあげて、内田を左サイドに起用する。
 ある意味では中盤の選手の故障に苦しんだ2002年のシーズンを締めくくるにふさわしい布陣かもしれない。でもアウグストの中盤での起用って、あまり印象が良くない。彼が悪いというつもりではなく、チームとしての機能性が低くなる印象を受ける点において。もしくは柳沢のツキを奪ってしまうとでもいうか。やはりそのせいだとは言わないけれど、一年のとりを飾るこの試合でも、柳沢は結局無得点に終わってしまった。
 とはいえこの試合では、その柳沢の活躍により、アントラーズが先制する。前半15分に小笠原がディフェンスラインの裏に放り込んだロングボールに柳沢が抜け出してフリーのチャンスを得る。GKが前へ出てきているのを見た柳沢は、ここでループシュートを打ってみせた。これが見事に決まって一点、と書きたいところなのだけれど、そう上手くいかない。きっと彼がこの一年、誰かにかけられた呪いのせいだろう。ボールはクロスバーを叩いてしまう。ただこの跳ね返りを見逃さずにヘッドでゴールへ押し込んでくれる人がいた。エウレルさまさま。これで鹿島が先制する。
 結局、前半はこの一点で終わった。リードしているのは試合巧者のアントラーズ。追うのは平均年齢が23歳とかいう、若きパープルサンガ。普通ならばこのままアントラーズが逃げ切ってゲームセットというのが順当な予想だった。
 ところがサッカーの神様が営む問屋はそうは卸さない。後半早々に京都のペナルティエリア右からのCKに、パク・チソンがどんぴしゃのヘッドであわせ、同点に追いついてしまう。これでなんだかまずいかもしれないという感じになってしまった。
 そうしたらば案の定、こういう不安は的中する。80分に柳沢と浩二のお粗末な連係ミスから相手にボールを渡してしまい、それをカウンター気味にゴール前まで運ばれて、最後は現在売り出し中のFW、黒部に体勢を崩しながらも決められてしまう。やられた……。
 結局試合の方は、残り5分で曽ヶ端が黒部を倒してレッドカードをもらい、一発退場した時点で勝負あり。京都パープルサンガが関西勢としては初のタイトルを獲得した。エンゲルス氏はこれで横浜フリューゲルスに続いて二度目の天皇杯優勝だ。不思議とこのタイトルに縁のある監督さんだったりする。お見事。
 決勝点の場面では、DFのクリアボールがたまたま黒部に渡ってしまったようにも見えたから、鹿島には不運な部分もあったかもしれない。でもなによりその前の柳沢と浩二との間でのパスミス。あれがこの負けのすべてを物語っている。なんで、さあ攻めようとボールを持って前へ向かうべき時に、うしろから上がってきた選手にパスするかな、柳沢。自分で持ち込んでくれよ。彼とは対照的に黒部は崩れた姿勢から積極的にシュートを打っていって見事にゴールに結びつけた。両チームのエースのゴールに向かう姿勢の差が勝敗を分けたように思う。まったく困ったもんだ。
 でも、そんな風になんだかんだと文句をいいながら、今年も僕は柳沢のプレーに注目し続けるのだろう。それと去年は結局ふるわぬまま終わってしまった本山にも。二人の真のブレイクを心から願いつつ、新しいシーズンの始まりを静かに待つことにする。
(Jan 09, 2003)