ジュビロ磐田0-2城南一和
A3チャンピオンズ杯/2003年2月16日(日)/国立競技場/TBS
日韓中三カ国のリーグ優勝チームに、ホスト国日本のカップ戦勝者アントラーズを加えた四チームで東アジアのクラブ・チャンピオンを決めようというA3マツダチャンピオンズカップ。今年から始まったこの大会の緒戦では、昨年度Jリーグ完全優勝のジュビロが、韓国Kリーグのレアル・マドリーと呼ばれているという噂のソンナム・イルファ(城南一和)と対戦した。
サッカーを観るのも実に一ヵ月半ぶりだ。それだけにもう観ること自体が楽しかったのだけれども、ただ内容に関してはかなり憂鬱な気分にさせられるものがあった。なんたって去年あれだけの強さを誇った磐田が、いくら韓国一のクラブ・チーム相手だとはいえ、あそこまでなすすべなくやられてしまうなんて……。
序盤の10分こそ磐田が優勢に見えた。ところがその後、形成が逆転。ソンナムの怒濤の攻撃の前に、磐田の選手たちがたじたじとなる場面が頻発する。
そもそもこの両チーム、それぞれのお国柄を象徴して、攻撃に向かう姿勢が違い過ぎているように見えた。磐田はパス回しこそ達者だけれど、ゴールへ向かう姿勢を感じさせないプレーが多い。ゴール前でボールを持った選手がシュートよりもパスを選択してしまう。なぜそこで打たないと思うことが何度もあった。一方のソンナム・イルファの方はとにかく終始ゴールを狙っているイメージがある。だからボールが相手のものになると妙に危険な雰囲気が漂う。これはまずいんじゃないかと思われた。
そうしたら案の定だ。磐田は前半途中の相手FKの場面で、五人を並べて壁を作ったにもかかわらず、その壁越しに先制点を決められてしまう。壁の真ん中にいた田中誠が隣の選手とかぶったせいかジャンプできなかったのだけれど、相手はその田中の頭上を狙ったかのような見事なキックを放ってきた。攻撃力では相手の方が上回っているように思えただけに、このささやかなミスからの先制点献上はとても痛かった。
その後、磐田も連続して数本のCKのチャンスを得たりもしたけれど、結局無得点のまま前半を終了。そして後半11分、19番のキム・デイ(金大儀)にペナルティエリアの外から豪快で美しいミドル・シュートを決められて突き放されると、もうギブアップという感じだった。今日の磐田はとてもゴールが遠かった。高原を失ったダメージはことのほか大きいかもしれない。
なんにしろJリーグではナンバー1の実力を持つ磐田がここまで見事に負けるとは思ってもみなかった。日本サッカーにとっては世界どころか、アジアの壁もまだまだ高いみたいだ。
(Feb 16, 2003)