日本4-0マレーシア
2004年2月7日(土)/カシマスタジアム/TBS
ドイツ・ワールドカップの第一次予選を十日後に控えた日本代表の今年の初戦。
なんでもマレーシアという国はかつて日本にとってはかなりの強敵だったらしく、これまでの対戦成績では負け越しているのだそうだ。ハーフタイムにインタビューを受けた川淵キャプテンがアナウンサーの問いかけに感慨深げな口調で答えていた。そりゃあ
ジーコの采配も今までとは違っていた。なによりコンビネーションを高めることが大事だからとメンバーを固定して使うのが常だったジーコが、この試合では少しでも多くの選手に実戦感覚を取り戻させるのが目的という選手起用をしてきた。GKは楢崎ではなく土肥、4バックはいつものメンツ。ボランチには遠藤とともに山田卓也(山田が二人いてややこしい)が入った。攻撃陣は小笠原、藤田に加えて、FW登録であるけれど本山が出場。FWは久保一枚。4-4-2というよりは4-5-1、もしくは4-2-3-1というフォーメーションだった。
得点は前半に小笠原のミドル、同じくオガサのクロスに宮本のヘッド、本山のマイナスのパスを受けた山田暢、後半に遠藤という内訳。宮本の頭以外はみんなミドル気味のシュートであり、攻撃の形うんぬんという内容ではなかった。弱い相手に対して積極的にゴールを狙っていった結果だろう。それなりに得点はあげたものの、正直なところはもうちょっと取らないと仕方ないだろうという相手だった。ただこの日の戦い方では後半一点のみに終わったのも仕方ないかと思う。
というのもジーコの選手交替が思いっきりふるっていたからだ。なんたって後半十五分が過ぎたところで4バックを総入れ替え(加地、茂庭、中澤、三浦淳)。残り十五分となったところで、前線の久保、藤田、山田卓を引っ込めて黒部、石川直、奥、さらにGKを都築に交替させる。レギュレーションによって前後半二回ずつ好きな人数の交替が認められていたからという話みたいなのだけれど、それにしてもバランスのかたよった突飛な交替だった。特にディフェンスラインをいっぺんに総とっかえするなんて采配はいままでに見たことがない。印象的には、この日の相手じゃどうやったってスタメンの4バックが失点するはずもなさそうなので、いい機会だから全部入れ替えて実戦感覚を取り戻させようという狙いだったんじゃないかとは思うけれど、それにしてもやることが偏向している。やっぱりジーコは迷監督かもしれない。
選手個々のプレーでは久保があまり攻撃に絡めず、チームに馴染んでいないように見えた。今年は期待が大きいだけにこの日の存在感のなさは気にかかった。あと小笠原、遠藤と並んでのフル出場となった本山。それなりの仕事はしていたけれど、本人がインタビューで言っているようにまだまだだろう。おもしろかったのが試合後のジーコの発言。彼もやっぱり本山の守備力が足りないと思っているらしく、今後もFWとして起用してゆく方針だと話していた。そういう意味では本山が代表で生き残る道は前線のスーパーサブでしかないんだろう。今の彼のプレーではそれも仕方ないかと思う。
そのほかだと山田卓也と途中出場の両サイド、加地と三浦淳宏の攻撃参加が新鮮に映った。このあたりの選手からは虎視眈々とスタメンを狙っている印象を受けた。段々と競争意識が芽生えてきた感じがする。いいことじゃないだろうか。
なにはともあれシーズン前ということで、誰も彼も出来はいまひとつという感じだ。第一次予選の緒戦まであと十日。いったいどんな風にその試合を迎えるのか、いまだ形が見えていない状態で、若干の不安を感じさせる内容だった。
(Feb 08, 2004)