U-23バーレーン0-0U-23日本
オリンピック最終予選/2004年3月1日(月)/アブダビ(UAE)/BS1
この前のA代表のオマーン戦を思い出させる一戦だった。引いて守ってくる中東のチームを崩せず、スコアレスに終わった五輪最終予選緒戦。ただアフリカ勢並の身体能力の高さを感じさせたオマーンのフル代表に比べると、あたり前かも知れないけれど、バーレーンの五輪代表には特別どこがすごいという感じがなかった。どう見ても技術的には確実に日本の方が上だ。そんな相手にカウンターで何度か決定的なチャンスを与えてしまったディフェンス・ラインには問題があるような気がする。
スタメンは林、菊地、闘莉王、那須、徳永、鈴木啓太、今野、森崎浩司、松井、平山、田中達也という組合せだった。
期待の松井はスタメン出場のチャンスをもらい、いくつか素晴らしいプレーを見せてくれてはいたものの、全体としてはまだまだという印象だ。いい時には素晴らしいプレーを連発するのだけれど、消えている時間が多過ぎる。もっと積極的にゲームに絡んでくれないと困る。
平山もこの日はまったくいいところがなかった。僕が知って以来4試合目で初めてのシュートミスをおかしていたし、さすがの超高校生ルーキーも本番のプレッシャーには勝てなかったということだろうか。
その他で気になったのが3バックの左に入った那須。去年マリノスでボランチとして活躍してJリーグ新人賞を獲得した彼だけれど、その前の年まではDFだったと聞いている。その割には一対一のプレーがやたらと危なっかしかった。実際ペナルティエリア付近でFKを二つも与え、そのうちの一つでイエローカードまでもらっていた。彼の守備能力には結構不安を感じた。
反対にいい意味で印象的だったのが田中達也。ボールに触れない時間が多かったものの、いざボールを持った時には積極的にゴールを目指すその姿勢がいい。本当に彼はこの一年でものすごく伸びた。平山のイラン戦のゴールだって8割方はアシストを決めた彼の得点のようなものだったし、この二人のコンビはチームにとって不動の2トップという印象になりつつある。
ところでゲーム終盤、山本さんはその田中を高松に代え、闘莉王まで前線に上げて、高さを生かしたパワープレーを仕掛けた。この前のオマーン戦でのフル代表も終盤は放り込むばかりのぶざまなサッカーを見せていたけれど(あの時間帯の攻めは本当にひどい内容だった)、あれと比べると五輪代表の攻撃には高さを生かそうという明確な意図が見られた分だけいくらかマシだった。でもいくつかのチャンスを作り出しつつも、シュートが味方や敵に当たってしまってゴールに届かない。結局そのままタイムアップとなってしまった。
田中はまだまだ元気に見えたし、この最後の交替はどうかと思った。どうせチーム・バランスを崩してでも得点を奪いにゆくのならば、その前の松井を山瀬に代えたところを考え直して、この中盤のテクニシャン二人を同時に使い、高い位置でボールをキープするような展開を狙って欲しかった。
うーん、それにしても直前の三つの親善試合でやたらと好印象を残し、いまやサッカーファンからはA代表を上回る関心を集めている感のあるU-23が、いざ予選本番となった途端にこの結果だ。やはりサッカーは難しいとあらためて思う。なんだかんだ文句を浴びつつも(最近は解任のデモ行進まであった)、一年半の間に二度もロスタイムで勝ちを拾ったジーコの勝ち運というのは評価するべきじゃないかという気がしてきた。
(Mar 02, 2004)