アメリカ3-2日本
親善試合/2006年2月11日(土)/サンフランシスコ
ワールドカップ・イヤーの初戦は、よりによって野球場での試合で、アメリカにこてんぱんにやられて終わる。幸先悪し。
海外組抜きでのアメリカ合宿を経ての試合。浦和レッズに復帰した伸二と、故障明けの久保。この二人の代表復帰を踏まえ3-6-1のフォーメーションを起用しての戦いだったのだけれど、これが見事にはずれた。良かったのは最初の10分のみ。そのわずかな時間帯だけは、伸二が縦横無尽な働きを見せてくれていたこともあって、とても期待ができそうな雰囲気だった。
ところがそのあとがいけない。アメリカの激しいプレス──常にボールに三人が寄ってくるイメージだった──に苦しみ始める。押し込まれてパスの出しどころがなくて、仕方なくバックパスをすることになる。パスをもらった後の選手は長いボールを放り込むのだけれど、その精度が低過ぎる。ボールはことごとくアメリカの選手のもとへ。そんな展開がその後は延々と続いた。もう本当にエンドレスかと思った。これくらい腹が立った試合もひさしぶりだ。選手たちに向かって、君たち、オフの間はまったくボールを触っていなかっただろう、とつっこみたくなるくらいの不出来さだった。
結局そうこうするうちにアメリカにきれいに崩されて前半で2失点。後半、久保をさげてフォーメーションを3-5-2に変えてみるも、効果はなく。早々とCKから3点目を献上してしまった。もうここまでくると、いっそこてんぱんにやられて、悪い膿は出しちゃった方がいいんじゃないかという気分になった。
それでもとりあえず、そのままやられっぱなしで終わらないのがジーコのチームらしい。さらに選手をどんどん入れ替え、フォーメーションを4バックに変更したところからは、がぜん、日本のペースとなった。お互い選手交替が多かったし、相手の疲れもあったのだろうけれど、それでも終盤は完璧に日本がゲームを支配することになる。そうして巻の代表初ゴールでまずは1点を返す。加地のクロスからのダイビング・ヘッド。二人の持ち味が出た、とてもいいゴールだった。
試合はその後も日本が押せ押せで、ロスタイムに入ってからではあるけれど、中沢の足でもう1点を追加。最終的には1点差まで追い上げてゲームセットとなった。W杯では予選リーグを勝ちあがれば、もしかしたら対戦する可能性もあるアメリカ相手だ。とりあえず悪いムードを引きずらずに試合を締められたという意味では、このロスタイムの2点目はとても大きかったと思う。
なにはともあれ、この試合で僕はずっと思ってる3バックの限界を改めて感じた。日本の強みはMFの人材の豊富さだ。なのに、わざわざその長所を削ってDFを三枚にするというのは、やはりどうしても納得がいかない。でもって3失点もしちゃうんじゃなあ。ディフェンダーを増やしている意味がない。特にこの日は田中誠と中沢の出来が今いちだったのでなおさらそう思った。やっぱり失点覚悟の4バックで、取られた分は取り返す。そういう攻撃的なサッカーをしてもらいたい。
ま、アメリカは今年すでに4試合目だそうで。こちらは初戦。しかもここまではフィジカル重視の合宿を終えたばかりでゲーム感もない。負けるべくして負けた試合だったと言える。なんにしろ、勝負はこれからだ、これから。
(Feb 16, 2006)