浦和レッズ3-2ガンバ大阪
J1第34節/2006年12月2日(土)/埼玉スタジアム2002/NHK
06年シーズンのチャンピオンフラッグがかかった最終戦。2年連続で優勝争いが最終節までもつれこみ、しかも今年はその最終戦が1位と2位の直接対決という展開は、あまりに出来すぎだ。ガンバの優勝には3点差での勝利が必要だという状況はあきらかに浦和有利だとはいえ、サッカーの世界ではなにがあるか、わからない。6万を超える史上最多のサポーターが見守るなか、第三者的なサポーターである僕も、それなりにわくわくしながらキックオフの時間を待っていた──テレビの前で。
試合は序盤から積極的に得点を狙っていったガンバが、21分に先制するという願ってもない展開。この試合で4試合ぶりに先発復帰を果たした播戸からマグノアウベスへの絶妙のアシストだった。マグノアウベスのゴールも、シュートというよりは、前に流れ込みながら、かかとだけであわせてコースを変えてみせたという感じで、ストライカーとしての感覚の鋭さを存分に感じさせた。さすが得点王。
これで俄然おもしろくなった。このままもしもガンバがもう一点とって前半を終わるようなことになれば、後半には痺れるような緊迫したゲーム展開が待っているぞと。そう期待しながら試合を観ていられたのは、けれどもその後わずか6分間だけだった。浦和のカウンター攻撃から、最後はポンテがドリブルでボールをもちこみ、同点ゴールを決めてしまう。テレビ放送では直前にリプレイ映像を流していたせいで、カウンターが始まったシーンの映像がなく、あまりに唐突にゴールが決まった印象だった。
これでほぼ勝負あり。その後ふたたびポンテのアシストでワシントンのゴールが決まった時点で趨勢は決した。最終的な平均失点が0.82なんていう浦和が、そのあと4失点を許すなんてありえない。勝負は前半のみで決してしまった。
ガンバの失点の場面では、ポンテのマークについたシジクレイの淡白な守備もいただけなかった。シジクレイは2失点目の場面でもマークがずれていたし、後半は半分もしないで足を痛めて途中交替してしまった。ディフェンスの要がこういう状態では、勝てるわけがない。リーグ2位の攻撃力を誇ったガンバだけれど、失点は55とアントラーズより多い。最後はその守備力の弱さに泣いた形になった。
でもまあね。終わってみればレッズの優勝はやはり順当だったと思うし、選手たちが喜んでいるシーンを見ると、ああ、よかったねと心から祝福したくなる。特にワシントンの素直な喜びようが印象的だった。彼は今シーズン、怪我に苦しみながら26試合の出場で26得点という驚異的な成績を残し、マグノアウベスと並んで得点王に輝いた。本当にこの人は、でかくて強くて上手くて性格が良さそうと、何拍子もそろった素晴らしいストライカーだと思う。ああ、願わくばアントラーズに欲しかった。
喜びかたが微笑ましかったといえば、途中交替でベンチにさがったアレックスとポンテが、二人してベンチでタイコを叩きながら優勝の瞬間を待っていたのも可愛かった。ほかのチームではあまりああいう風景は見られそうにない。6万の大観衆に囲まれての、なんとも幸福感あふれる、いい優勝シーンだった。ちなみにこの試合のスコアは僕の予想どおりで、おかげさまでtoto GOAL 3の2等を獲得(賞金はわずかだけれど)。はずした1つは清水-広島戦の3-0で、広島のゼロのほう。佐藤寿人とウェズレイを擁する広島のスコアレスは予想し難かった。でもあとで調べてみたら、ここ3試合ウェズレイは出場してないじゃないか。しまった、リサーチが甘かった。
それにしても広島は、開幕戦で鹿島と戦って4-3と善戦したときには、今年もそれなりの成績を残しそうに思えたのに、終わってみれば最後まで鳴かず飛ばずのままだった。セレッソはJ2降格が決まってしまうし、去年活躍したチームがそのまま翌年もおなじ成績を残せるわけじゃないというあたり、やはりサッカーは難しい。ともかくこれにて06年シーズンも終了。われらがアントラーズの最終順位は6位だった。浦和、川崎、G大阪の三強はともかく、最終的には清水や序盤で低迷していた磐田よりも下ってのが無念だ。アウトゥオリは今シーズン限りで退任してしまうそうで、来年はまた新しい監督のもとで再出発となる。今年はアウトゥオリの攻撃的サッカーがうまく機能しなくて残念な一年だった。小笠原の移籍の穴をきちんと埋められなかったのも痛かった。これにこりて来年は戦力強化を怠らず、最後まで優勝を狙えるチームにして欲しいと思う。でもまずその前に残された天皇杯のタイトル奪取へ向けて、年内のもうひとふんばりに期待しよう。
(Dec 03, 2006)