2008年5月のサッカー

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  1. 05/07 ○ 鹿島8-1クルンタイバンク (ACL・グループF)
  2. 05/21 ○ ナムディン0-4鹿島 (ACL・グループF)
  3. 05/24 ○ 日本1-0コートジボワール (キリンカップ)
  4. 05/27 △ 日本0-0パラグアイ (キリンカップ)

鹿島アントラーズ8-1クルンタイバンク

AFCチャンピオンズリーグ・グループF/2008年5月7日(水)/カシマスタジアム/BS朝日

 ACLグループリーグ第5戦の相手は、前回のアウェイでの対戦では9-1と大勝したクルンタイバンク。リーグ戦では開幕5連勝のあと、5試合連続勝ち星なしと、すっかり低迷してしまっているアントラーズとしては、ここは気持ちよく勝って、リーグ戦に弾みをつけたいところだった。だにしかし。
 いや、ゴールは景気よく決まった。岩政、興梠、田代、野沢2発、小笠原、ダニーロ2発と、計8点。これだけ取ってもらって文句を言うのも気が引ける。
 だけれど、これだけ取ったからこそ──取れる相手だったからこそ──、田代と興梠の2トップがそれぞれ1点ずつで終わってしまったのがものたりない。こういう相手だったらば、どちらかがハットトリックをやってくれるくらいでないと。途中出場のダニーロが30分間で2点も取っているんだから、スタメン出場の2トップには根性であと1点、2点、どうにかして欲しかった。稼ぎ頭のマルキーニョスがまたもや故障してしまって、苦しい台所事情に拍車がかかっているときだけに、なおさらそう思う。
 そもそも8点のうち、小笠原と野沢が決めた3点をのぞくと、あとはすべてセットプレーからの得点だった(それもみんなヘディング)。いや、正しくは、田代の得点は流れからだったけれど、あれだって野沢が粘ってペナルティエリアまでボールを持ち込み、クロスをあげたこそだ。興梠のゴールだって、オガサのFKは、わざわざ触らなくても入ったんじゃないかというボールだったし……。まあ、あれは興梠が相手DFと競ったからこそ、なのかな。
 セットプレーのキッカーは小笠原と野沢が交互に務めていた。つまり二人はこの日の得点のすべてに絡んでいるわけだ。裏を返すと、この二人が絡んでいないところでは、一点も取れていないということになる。そう考えると、やはり2トップに少なからず不満をおぼえてしまうのも、致し方ないところがある。これほどの大量得点が可能な相手なんだから、FWどうしの連係や個人技であと1、2点は取ってみせてくれないと……。二人とも余計なバックパスやスルーでみすみすチャンスを逃すなんてシーンがあって、がっかりだった。もっと積極的にみずからゴールを狙っていって欲しい。
 がっかりしたといえば、後半ロスタイムに失点を許したディフェンスもそう。それまでほとんどチャンスらしいチャンスを与えていなかった相手に、なぜあの時間帯に崩される?
 この試合では、後半途中に、接触プレーで痛んだ大岩を下げて新加入の笠井健太を入れ、それまで左サイドバックをつとめていた伊野波をCBにまわした。笠井はSBらしい突破をみせて、さすが本職と思わせてくれていたし──まあ、なかなかボールをまわしてもらえなくて可哀想だったけれど──、伊野波にとってもようやくまわってきた本来のポジションだ。観ているほうとしては当然、いいプレーを期待する。
 ところが失点の場面で、マークについた相手に、ものの見事にラストパスを通されてしまったのは、その伊野波だった。北京戦につづいて、またもや失点に絡んでみせてくれてしまうとは、なんてこった。リーグ戦では彼が篤人の代わりにスタメン出場するようになってから1勝もしていないし、五輪予選でチームに黒星をもたらしたハンドも記憶に新しいし、彼はもしかしてこのところ、天中殺とか大殺界とか、そういうやつなんじゃないだろうか。
 とにかく8-0ですっきりと終わるのと、最後の最後で失点するのでは大ちがい。無失点で終わっていれば、FW陣のふがいなさもそれほど気にならず、大勝に大喜びして、気持ちよく終われたのかもしれないけれど、あいにくの失点で喜びも半減。決して悲観的になるような内容ではなかったはずなのに、ついつい愚痴っぽくなってしまいました。いけません。
 最後になったけれど、この試合のスタメンは曽ヶ端、伊野波、岩政、大岩、新井場、青木、小笠原、野沢、本山、田代、興梠。途中交替はダニーロ、笠井、佐々木(アウトは本山、大岩、田代)の三人だった。
(May 07, 2008)

ナムディン0-4鹿島アントラーズ

AFCチャンピオンズリーグ・グループF/2008年5月21日(水)/ハノイ(ベトナム)/BS朝日(録画)

 AFCチャンピオンズリーグの決勝トーナメント進出がかかったグループリーグ最終戦。
 あいにくこの試合は午後11時からの録画放送で、なおかつこの日、僕はわけあって家族と外食してワインを一本空にしてしまっていた。そこまでならばともかく、ほろ酔い加減で調子にのって、ビール片手に観始めてしまったのがまちがい。平日の午前0時すぎに酒を飲んでいて、いまの僕がいつまでも起きていられるわけがない。結局、後半途中で寝てしまって、気がついたら試合は終わってました。このばかものめ。
 とりあえずスタメンは曽ヶ端、内田、岩政、大岩、新井場、青木、小笠原、野沢、本山、田代、興梠で、途中出場は佐々木、ダニーロ、遠藤康の三人。故障明けの内田篤人が復帰、まだ痛みが残っているという話ながら、それなりにちゃんとプレーしてみせていたのがなにより。
 チームとしては前半は守りを固める相手にてこずって、田代の1点のみに終わり、後半は疲れの出始めた相手の隙をついて、興梠、本山のゴールで追加点。ダニーロの4点目は寝てしまっていたので観ていなかった。遠藤が出場したのも、あとで録画で確認しました。いやはや、なってません。
 なんにしろ、そんなわけでこの試合についてはとくに書くことがない。とりあえず無事に決勝トーナメント進出が決まってなによりだった。これで向こう一ヶ月は試合がないので、十分に休んで後半戦に備えて欲しい。代表に呼ばれている篤人はそういうわけにはいかなさそうで、困りものだけれど。
 それにしてもこの試合の裏では、最終的には鹿島と得失点差の争いになるだろうと目されていたライバルの北京国安が、クルンタイバンクに5-3で負けるという番狂わせがあった。つまり鹿島はこの試合に負けていたとしても、勝ちぬけが決まっていたことになる。なにゆえアントラーズに完封勝ちしたチームが、そんな大量得点で負けてしまうんだか。これだからサッカーはわからない。
(May 22, 2008)

日本1-0コートジボワール

キリンカップ/2008年5月24日(土)/豊田スタジアム/テレビ朝日

 バーレーン戦に負けたことで、「これからはオレ流でゆく」と言い出したという岡田さん。7試合も指揮をとっておきながら、いまさらおれ流もないだろうに……。どんな方向転換を見せるつもりか知らないけれど、この時期にチームをいじるのは、それなりのリスクをともなうわけで、僕はこのところ、先行きが不安で仕方ない。なんたって次の対戦相手はオマーンだ。そう簡単に勝たせてくれる相手だとは思えない。
 前回ワールドカップ予選でも、日本はオマーンと二次予選で戦っている。最終予選ではバーレーンとも対戦している。結果はどちらもホーム&アウェイで日本の2連勝。ただし、すべて1-0という最小スコアだった。オマーンとの試合で、後半ロスタイムに久保の劇的ゴールでかろうじて勝ったのは、強烈に記憶に残っている。
 さらに言うならば04年のアジアカップでもオマーンとバーレーンとは死闘を演じている。これまたバーレーンと延長戦までもつれ込んで、4-3と劇的な勝利をおさめた試合の記憶はいまでも鮮明だ。
 そんなバーレーンに、今回のワールドカップ予選で日本はいきなり負けた。実力的に相手のほうが上だとは思わないけれど、それでも負けは負け。バーレーン同様、過去に苦しめられたことのあるオマーンにだって、負ける可能性はなくはないだろうに。なのにここへきて、これまでのチームの継続性を投げ出して、新しい選手の選考を始める岡田さんって……。僕は下手して南アW杯への道がこの時期にいきなり途絶えたりしないかと、不安でしょうがない。
 そんな状況にあって、オマーンとの二連戦を一週間後に控えた今年のキリンカップは、例年になく重要な意味を持っている。僕のこの不安を解消してくれるようなサッカーを見せてくれるのか、注目していたのだけれど……。
 うーん、どうなんだろう。かなり微妙だ。悪くはなかったけれど、じゃあこれで大丈夫だと確信させてくれるまでには到らない、という感じ。
 スタメンはGKが楢崎、ディフェンスラインは4バックで、右サイドにルーキー長友を抜擢、センターバックは中澤と闘莉王の日本最強コンビ、左は駒野という顔ぶれ。ボランチは啓太が故障明けということでか、ひとりは今野、コンビを組むのはブンデスリーガで活躍する長谷部。攻撃的MFはこれまたひさしぶりの招集となった松井大輔、そして遠藤ヤット。2トップは玉田と大久保だった。初代表は長友だけだけれど、この組み合わせは意外と新鮮だ。少なくてもこれまでの似非オシム風なチームよりも期待が持てそうな感じがした。
 実際、前半21分に先制ゴールの場面は文句なしだった。右サイドに長谷部が攻め上がって放り込んだクロスに、玉田がスライディング気味の左足ボレーであわせたもの。ボールは相手GKにあたりながらも、ゴールネットを揺らした。相手DFを引き連れてニアに切れ込む動きをみせた大久保もナイスだったし、素晴らしい連係から生まれた、気持ちのいい先制点だった。
 ただし、この日の日本のゴールはこれで打ち止めになってしまう。試合もその後は1点のビハインドを追うコートジボワールがボールを支配されたままになってしまった。これがいけない。
 いかにコートジボワールがアフリカの強豪国だとはいえ、今回はかなり悪条件が重なっていた。ドログバを始めとした主力を何人も欠き、しかもパラグアイとの対戦のあと、中一日での強行軍を強いられている(ひどいスケジュールだ)。さらにはなんと、新しく監督が就任してからまだ一週間にもならないとかいう。そんなチームとこちらのホームで対戦しておきながら、大半の時間、主導権を握られていたんでは、勝ったといっても素直には喜べない。このチームの出来の如何{いかん}を見るには、次のパラグアイ戦を待たないとならないと思う。
 あともうひとつ、岡田さんへの苦言。長友を始め、この試合に途中出場してA代表初キャップを果たした香川、招集されたもののベンチ入りしなかった内田篤人、故障で代表を辞退した安田など、五輪代表としても出場のチャンスのある選手を、岡田さんはここへきて何人も呼んでいるけれど、僕はこの時期に彼らをA代表に呼ぶのには反対だ。彼らにはオリンピック代表として、世界の同世代の選手たちと競うチャンスを与えるべきだと思う。彼らがA代表レベルなのには異存がないけれど、それにしたって起用するのはオリンピックが終わってからで十分だろう。なにも五輪代表がトゥーロン国際大会に参加しているこの時期に呼ばなくたってよさそうなものだ。わざわざ五輪世代を招集しないとならないようなA代表では仕方ない。言っちゃなんだけれど、その点、岡田さんは懐が狭いというか、器がちっちゃいというか……。もっと度量のあるところを見せて欲しい。
(May 25, 2008)

日本0-0パラグアイ

キリンカップ/2008年5月27日(火)/埼玉スタジアム2002/TBS

 中村俊輔がひさしぶりに代表に戻ってきたというのに、埼玉スタジアムのスタンドはがらがらだった。入場観客数の公式発表はおよそ2万8千だから、6万人以上収容可能なスタジアムの半分も埋まっていない。日本代表の人気凋落はあきらかだ。でもそりゃそうだよなと思う。僕だって平日にわざわざこんな試合、観に行きたくない。結果がスコアレス・ドローに終わるようじゃ、なおさらだ。
 岡田さんがこの試合で選んだスタメンは、楢崎、阿部、寺田周平、闘莉王、長友、鈴木啓太、中村憲剛、遠藤、山瀬、中村俊輔、巻の11人だった。コートジボワール戦と同じなのは、楢崎、闘莉王、長友、ヤットの4人だけで、あとは総入れ替え。フォーメーションも4-5-1に変えてきた。ここまで変わってしまえば、前の試合とくらべてチームの連係がよくなったもなにもない。ただ選手たち個々の出来のよしあしを見ておしまいだろう。結局、無失点に終わってしまったこともあり──まあ相手にも点は許さなかったけれど──、これで予選にのぞむのかと思うと、やはり不安な思いは否めない。
 それでもまあ、選手たちはそれぞれにいいプレーを見せてくれていたかなと思う。とくに、ひさしぶりに見る中村俊輔はやはり上手かった。ワンタッチでの見事なスルーパスや正確なロングフィードなど、随所におっと思わせるプレーがあって、さすがだと思わせてくれた。基本的に遠藤、憲剛、啓太、山瀬らが顔をそろえた中盤の構成力はアジアでは随一だと思うし、そこにこれからしばらくは、そんな俊輔のみならず、松井、長谷部らの海外組が加わるんだから、そりゃ間違いなく強力だ。現時点でまだまだ連係がこなれていなくても、そうそう負けやしないんじゃないかという気はする。
 あと、ディフェンスでは、この試合で代表最年長デビューを果たした寺田がよかった。僕は去年からフロンターレの試合で彼のプレーを観るたびに、この人はなんで代表と縁がないんだろうと不思議に思っていたので、今回の遅ればせながらの招集は、岡田さんのファインプレーだと思った(同じフロンターレから一緒に招集された弟分の井川のほうは、どうにも時期尚早な気がするけれど)。やはり身長が190近いディフェンダーの存在というのは、その高さだけでも十分に頼もしい。この試合では相手がワントップだったから、あまりセンターバックとして難しい場面はなかったというのもあるけれど、それでも最後までなかなかいいプレーを見せてくれていたと思う(相手FKからのこぼれ球を、フリーでシュートされた場面だけは超絶あぶなかったけれど)。闘莉王がこのところ故障がちなだけに、手薄なCBのバックアッパーとして貴重な戦力になるんじゃないだろうか。まあ2年後を考えると、年齢的にはやや気がかりだけれども。
 ディフェンスラインといえば、阿部の右サイドでの起用だけは疑問だった。サイドバックとして見ると、やはり攻撃面がものたりない。右サイドは内田篤人がまだ故障明けのところへきて、加地が唐突に代表引退を表明したので、いきなり手薄になったという事情があるのはわかるけれど、なにも阿部じゃなくたってと思う(それにしても坪井といい、加地といい、若いのにさっさと代表を諦めてしまって、欲がないというか、なんというか……)。
 でもまあ、サイドバックに関しては、長友が飛び級でのA代表定着まちがいなしという存在感をみせているし、彼と駒野はふたりとも左右両方をこなせるので、そこに内田篤人と安田の五輪コンビが両サイドのプロパーとして控えている状況を考えれば、向こう十年はなんの心配もいらないのかなという気もする。だからこそ、いまのうちにもう一枚ということで、阿部というユーティリティ・プレーヤー試しておきたかったという話なのかもしれない。
 なんにしろ現状で一番心配なのは、選手個々の能力よりは、この局面でスタメンの大半を入れ替えてしまう岡田さんの煮え切らなさだ。前の試合では交替のカードを矢野と香川の2枚しか使わなかったから、この大会は交替は3人までという公式戦なみのレギュレーションなのかと思ったらば、そんなことはなく、この試合では一転して6人の交替枠を使い切ってみせた(途中出場は松井、高原、長谷部、駒野、大久保、今野)。結果としてこの2試合でベンチ入りしたフィールドプレーヤーは、ほぼ全員がピッチに立っている(ただひとり出番のもらえなかった井川はちょっと可哀想)。チームの連係を高めるよりも、自らの選手選考を優先したというならば、なぜ後半は終始劣勢だった前の試合で交替枠を2つしか使わなかったのかがわからない。これだけメンバーを入れ替えておきながら、大事なバーレーン戦でスタメンから外した遠藤を、今回は2試合連続でスタメン起用してみたりしているし、どうにも僕には岡田さんのやっていることは一貫性がなくて、場あたりに見えてしまって仕方ない。
 そうそう、最後の交替が憲剛から今野ってのもなぁ。みすみす得点力を下げてどうするといいたい。いくらタイトルがかかっているとはいっても、実質これは親善試合だ。最後までちゃんと得点を狙っていって欲しかった。おかげで優勝したといっても、ぜんぜん嬉しくない。
 ほんと、こんな調子でちゃんとオマーンとの二連戦を勝ちきれるんだろうか……。はなはだ不安ながら、次週からいよいよ3次予選の残り4試合がひかえる勝負の6月に突入。いざ。
(May 27, 2008)