鹿島アントラーズ8-1クルンタイバンク
AFCチャンピオンズリーグ・グループF/2008年5月7日(水)/カシマスタジアム/BS朝日
ACLグループリーグ第5戦の相手は、前回のアウェイでの対戦では9-1と大勝したクルンタイバンク。リーグ戦では開幕5連勝のあと、5試合連続勝ち星なしと、すっかり低迷してしまっているアントラーズとしては、ここは気持ちよく勝って、リーグ戦に弾みをつけたいところだった。だにしかし。
いや、ゴールは景気よく決まった。岩政、興梠、田代、野沢2発、小笠原、ダニーロ2発と、計8点。これだけ取ってもらって文句を言うのも気が引ける。
だけれど、これだけ取ったからこそ──取れる相手だったからこそ──、田代と興梠の2トップがそれぞれ1点ずつで終わってしまったのがものたりない。こういう相手だったらば、どちらかがハットトリックをやってくれるくらいでないと。途中出場のダニーロが30分間で2点も取っているんだから、スタメン出場の2トップには根性であと1点、2点、どうにかして欲しかった。稼ぎ頭のマルキーニョスがまたもや故障してしまって、苦しい台所事情に拍車がかかっているときだけに、なおさらそう思う。
そもそも8点のうち、小笠原と野沢が決めた3点をのぞくと、あとはすべてセットプレーからの得点だった(それもみんなヘディング)。いや、正しくは、田代の得点は流れからだったけれど、あれだって野沢が粘ってペナルティエリアまでボールを持ち込み、クロスをあげたこそだ。興梠のゴールだって、オガサのFKは、わざわざ触らなくても入ったんじゃないかというボールだったし……。まあ、あれは興梠が相手DFと競ったからこそ、なのかな。
セットプレーのキッカーは小笠原と野沢が交互に務めていた。つまり二人はこの日の得点のすべてに絡んでいるわけだ。裏を返すと、この二人が絡んでいないところでは、一点も取れていないということになる。そう考えると、やはり2トップに少なからず不満をおぼえてしまうのも、致し方ないところがある。これほどの大量得点が可能な相手なんだから、FWどうしの連係や個人技であと1、2点は取ってみせてくれないと……。二人とも余計なバックパスやスルーでみすみすチャンスを逃すなんてシーンがあって、がっかりだった。もっと積極的にみずからゴールを狙っていって欲しい。
がっかりしたといえば、後半ロスタイムに失点を許したディフェンスもそう。それまでほとんどチャンスらしいチャンスを与えていなかった相手に、なぜあの時間帯に崩される?
この試合では、後半途中に、接触プレーで痛んだ大岩を下げて新加入の笠井健太を入れ、それまで左サイドバックをつとめていた伊野波をCBにまわした。笠井はSBらしい突破をみせて、さすが本職と思わせてくれていたし──まあ、なかなかボールをまわしてもらえなくて可哀想だったけれど──、伊野波にとってもようやくまわってきた本来のポジションだ。観ているほうとしては当然、いいプレーを期待する。
ところが失点の場面で、マークについた相手に、ものの見事にラストパスを通されてしまったのは、その伊野波だった。北京戦につづいて、またもや失点に絡んでみせてくれてしまうとは、なんてこった。リーグ戦では彼が篤人の代わりにスタメン出場するようになってから1勝もしていないし、五輪予選でチームに黒星をもたらしたハンドも記憶に新しいし、彼はもしかしてこのところ、天中殺とか大殺界とか、そういうやつなんじゃないだろうか。
とにかく8-0ですっきりと終わるのと、最後の最後で失点するのでは大ちがい。無失点で終わっていれば、FW陣のふがいなさもそれほど気にならず、大勝に大喜びして、気持ちよく終われたのかもしれないけれど、あいにくの失点で喜びも半減。決して悲観的になるような内容ではなかったはずなのに、ついつい愚痴っぽくなってしまいました。いけません。
最後になったけれど、この試合のスタメンは曽ヶ端、伊野波、岩政、大岩、新井場、青木、小笠原、野沢、本山、田代、興梠。途中交替はダニーロ、笠井、佐々木(アウトは本山、大岩、田代)の三人だった。
(May 07, 2008)