浦和レッズ0-1鹿島アントラーズ
J1・第34節/2009年12月5日(土)/埼玉スタジアム2002/NHK
09年のJ1もこれが最終節。冷たい雨の降る埼玉スタジアムでのレッズとの対戦。優勝のかかったこの非常にタフな一戦を制して、アントラーズは前人未到の3連覇を達成してみせた。あっぱれ。
この試合のスタメンは、曽ヶ端、内田、岩政、伊野波、新井場、中田浩二、小笠原、野沢、本山、興梠、マルキーニョスの11人。つまり時点でのベスト・メンバーだ。
そういえば、今年は開幕戦の対戦相手もレッズだった。あのときとの違いは、けがで出遅れた小笠原と中田浩二が入って、青木とダニーロが抜けた点。
ダニーロに関しては、本山や野沢と比べて、スピードも運動量が劣る印象があるので、現在のアントラーズのスタイルからすると、まあ当然かなと思う。でも青木に関しては違う。去年の優勝に大きく貢献した選手もでもあるし、サブに甘んじている現状はちょっと気の毒だ。形としては、終盤に5連敗した責任をひとりで取っているような感じだし。
でも、じゃあ中田浩二をベンチに置いておくのかといういうと、それはそれでもったいない。オリヴェイラ監督だって、なにも好きで青木をサブにしたわけじゃないだろう。そういえば一時期はレギュラーを張っていたパク・チュホも、新井場にレギュラーを奪い返されてしまっている。いやぁ、シビアだなぁと思う。要するに今のアントラーズがそれだけ充実した戦力を誇っているということなんだろうけれど、ちょっと複雑な気分でもある。でも、そういう用兵をしているからこそ、いまのような成績を残せているのだろうし、こういう状況を嘆いたら罰があたるってもんだ。
対するレッズも状況はちょっと似ている。今年の売りだった原口元気や山田直樹らの若者がスタメンを飾る一方で、ポンテや高原がベンチを温めているんだから。
ただ、レッズの場合、そうした
J1屈指の戦力を擁していながら、実績不十分な若手を重用してこの成績で終わるというのは、ふつうに考えると監督の責任だと思うんだけれど、不思議とレッズはフィンケ氏に過剰な信頼を寄せているようで、来季も続投が決定しているらしい。それどころか、彼の采配に異議を唱える闘莉王が、来季は戦力外だというんだからびっくりだ。十分な成績を残せなかった監督を擁護するために、ナショナル・チームのレギュラーDFを解雇するチームなんて、世界じゅうどこを探したってないだろうと思うんだけれど……。僕にはレッズがやっていることがよくわからない。
まあ、レッズがどれだけ迷走しているにせよ、チームとしての質が高いのは間違いのないところだし、ただでさえこれはあちらのホーム最終戦。なおかつ相手チームのリーグ優勝がかかっているとなれば、テンションが高くなるのは必至。おかげで非常に苦戦を強いられることになった。試合はがっぷり五分で膠着状態のまま過ぎてゆき、前半はスコアレスのまま終了する。
その時点で川崎フロンターレは3-0で勝っていた。万が一、このままドローで試合が終われば、勝ち点でアントラーズと並び、得失点差でアントラーズを上回るフロンターレの逆転優勝ということになってしまう。きびしいなぁとは思ったものの、かといってテレビ観戦している僕になにができるわけでもない。後半を迎えるときの息苦しい気分は、ほかではなかなか味わえない
でも、そんな「うわぁ、どうしよう」的な気分にも後半21分でひと区切りがつく。内田篤人のアーリークロスに飛び込んだ興梠が、岡崎ばりのダイビング・ヘッドで、相手のゴールネットに突き刺してみせたのだった。やったー、これで勝ち越し! 優勝に大手!
でもこの試合で本当にきびしかったのは、ここから。このまま逃げ切れば優勝だけれど、スコアは1-0という最少得点差。ちょっとしたミスから同点というケースも十分にありうる。相手が前がかりになったところで、もう1点というのが理想だったけれど、この日は1点が非常に遠くて、なかなかそうは問屋が卸さない。なおかつ、すでに順位なんかどうでもいいレッズは、途中交代でポンテ、高原、エスクデロといった攻撃的な選手を投入してくる。闘莉王もガンガン上がってくる。おかげで終盤はもういつ同点にされてもおかしくないような、ひやひやするシーンの連続だった。いやぁ、まいった。レッズ、やっぱり強いや。
まあ、アントラーズはそれでもなんとか逃げ切って、7回目、史上初の3年連続のリーグ優勝を成し遂げたのだから、結果オーライもいいところだ。0-1という最少スコアでの決着だったけれど、十分にサッカーの楽しさを味わえる、とても濃い一戦だった。いやあ、堪能させていただきました。両チームともありがとう。
ということで、J1は今年もアントラーズの優勝でおしまい。最終順位は2位フロンターレ、3位ガンバだった。J2降格は柏レイソル、大分トリニータ、ジェフ千葉の3チーム。昇格組はベガルタ仙台、セレッソ大阪、湘南ベルマーレの3チーム。ということで、来年またがんばろう~。めざすは4連覇とアジア制覇!
(Dec 06, 2009)