日本0-0ベネズエラ
キリンチャレンジカップ2010/2010年2月2日(火)/九州石油ドーム/フジテレビ
さあ、ワールドカップ・イヤーの国内初戦だっ──と盛りあがりたいところなのだけれど、なんともこう、そういう興奮と縁遠いというか、なんというか……。
アントラーズ・ファンの僕としては、小笠原がひさしぶりに代表に招集され、最後のチャンスを与えられたことで、ある種の複雑な思いを抱かずには見られない試合だった。今回の試合とそれにつづく東アジア選手権の3試合で結果を出せなければ、もうW杯出場はかなわないだろう。それも「悪くない」ぐらいじゃ駄目で、有無をいわさぬ活躍をしてみせないかぎり、現状の23人枠に割って入ることはできないだろうと思われる。
そんな状況で小笠原はスタメン出場のチャンスをもらった。で、その出来はというと……。
うーん。正直なところ、やはりそこそこといった印象。持ち前の攻守のバランスのよさでもってチームに貢献はしていたと思うけれど、「こいつは違う!」というほどの存在感は示せなかった。積極的にミドル・シュートを打ってみせた──しかも2本ともきちんと枠を捕らえていた──のはプラス材料だったけれど、岡田さんがその言葉どおり、オガサにボランチ的な仕事ではなく、攻撃的なプレーを求めているとするならば、結果として得点につながるプレーがなかった時点で、及第点はつけられない気がする。
ただ、遠藤と憲剛とともに中盤を構成してバランスを保っていた点──かなり流動的で、右へ行ったり左へ来たりしていた──はそれなりに評価できるんじゃないだろうか。ボールを持ったときに受け手が見つからず、横パスで終わってしまうというシーンがけっこうあったのは気になったけれど、初めて参加してあれだけボールに絡めれば、まずはオッケーかなと思う。いまからスタメンに割り込むのは無理だとしても、遠藤、憲剛のバックアップとして考えた場合、攻守のバランスという点において、オガサ以上の適任者はいないだろう。本田や松井では守備面で不安だし、今野や阿部では攻撃面でもの足りない。総合力でいうならば、やっぱオガサだろーと鹿島ファンの僕は思うのだった。
てなことで、この日のスタメンはGK楢崎、DF徳永、中澤、闘莉王、長友、MF稲本、遠藤、憲剛、小笠原、FW大久保、岡崎という11人。
注目はわれらが小笠原と、帰国して川崎フロンターレ入りしたばかりの稲本。あとはテレビ放送がなかった(涙)1月のイエメン戦で代表Aデビュー、即ハットトリックを達成した平山!──のはずだったのだけれど、その平山はベンチ。
こういうところが岡田さんはおもしろくない。いくら前回は若手主体の別チームだったとはいえ、相手はふつうにA代表だ。仮にもハットトリックを決めた選手を次の試合で使わないってのはないだろう。平山の出番は後半途中からの30分だけだったけれど、相手DFにはかなりのプレッシャーを与えていたように見えたし、けっこういいポスト・プレーなどもあった。なまじ好印象だっただけに、もっと長いこと彼のプレーが見られなくて残念だった。
で、その平山の代わりのスタメンが大久保だってのもわからない。言っちゃ悪いけれど、僕には彼がそれほどいいとは思えなかった。守備面ではベネズエラに申し訳なくなってしまうような危険なファールを連発していたし、逆に相手の接触プレーには大げさに痛がってファールを誘うし。フェア・プレーの印象がつよい日本代表にあって、彼のそういうプレーはあまり気持ちよくなかった。まあ、後半はけっこういいプレーがあったけれども。
ちなみにこの日の途中出場は平山のほか、駒野、佐藤寿人、金崎、香川の計5人。アウトは憲剛、徳永、小笠原、岡崎、大久保。
大久保がひっこんだのはラスト5分だから、ほぼフル出場も同様だ。稲本もフル出場だったけれど、それほど存在感は感じなかった。反対に憲剛、徳永、オガサらは足が止まったでもなく、まだまだプレーできそうだっただけに、さっさと代えられたのが僕としては不満だった。交替がプラスになるんならばいいけれど、あまり効果があったようには思えなかったし。平山と駒野が同時に入ってきたあと、しばらくは攻撃が活性化したように思えたけれど、それもつかのまで、あとはとりとめのないサッカーに終始してしまった。なんだかとても欲求不満。
たしかにベネズエラはよかった。チェックが的確で、手ごわかった。攻撃面ではあまり怖くなかったけれど、その分こちらにも自由にプレーさせてくれなかった。さすがに普段からブラジルやアルゼンチンを相手にしているだけある。年じゅうこういうチームと対戦できたらばいいのにと思った。
でも、そういう手ごたえのある相手だからこそ、きちんと勝って一年を始めて欲しかった。このレベルにホームで勝てないようでは、南アフリカでカメルーンやデンマークに勝つのは、そうとう難しいだろう。ましてやオランダときた日には……。
(Feb 02, 2010)