2011年3月のサッカー

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  1. 03/02 △ 上海申花0-0鹿島 (AFCチャンピオンズリーグ)
  2. 03/06 △ 鹿島3-3大宮 (J1・第1節)
  3. 03/29 ○ 日本代表2-1Jリーグ選抜

上海申花0-0鹿島アントラーズ

AFCチャンピオンズリーグ/2011年3月2日(水)/虹口スタジアム(上海)/BS朝日(録画)

 さあ、いよいよACLも開幕──。
 とはいえ、今年はグループリーグのアントラーズ戦は全試合が録画放送(BSの場合)。それも平日の深夜2時半から。とてもじゃないけれど、オンタイムでは観られない。翌日の夜に観るとなると、結果を知らずにいるのは無理。で、その結果がスコアレスドローとなると、録画しておいても観る意欲が……。
 といいつつ、結局観ました。なんたって田代と増田の鹿島復帰第一戦だし。中田浩二も今季初出場だし。そしてなにより本田拓也のアントラーズ・デビュー戦だし。これだけ鳴りもの入りだと、結果がわかっていようと、観とかないわけにはいかない。
 なんでも今回の上海遠征には、小笠原と本山が帯同していないとのこと。オガサは春のキャンプで痛めた足の具合がよくないため、大事を取ったとかなんとか(本山は不明)。
 ということで、オガサの代役として増田がスタメン。また、増田とともに山形から戻ってきた田代も一緒にスタメンで、大迫がベンチ。あと、この日は最終ラインに、伊野波ではなく、中田浩二が入った。ということでスタメンは曽ヶ端、新井場、中田、アレックス、青木、増田、野沢、フェリペ、興梠、田代というメンバーだった。キャプテンマークは中田。
 うーん。それにしても内容はいまひとつ。ボールは終始支配していたし、ディフェンス面ではそれなりに安定しているものの(いくつか、おいおいってプレーがあった)、どうにも攻撃にイマジネーションを感じない。興梠と田代のツートップも、さすがに1年ぶりだけあって連係不足。ふたりでシュート・ゼロだったとかいう。いまだツートップを誰と誰でゆくか決まってないようだし、今年の序盤はなんだかゴールが遠そうな予感がする。
 あ、でもカルロン(後半途中から出場)は、なかなかいいかもしれない。長身ながら動きに切れがあるし、運動量もありそうだ。左サイドバックのアレックス──僕は知らなかったけれど、日本にもう10年もいるらしい──もけっこう存在感があった。のみならず、この日はセットプレーのキッカーをつとめていたくらいだから、キックの精度も高いんだろう。今年の新外国人はふたりとも期待してよさそう。これでフェリペがもうちょっとやってくれたらなぁ……。あ、でもこの試合の彼は後半に惜しいバイシクル・シュートを放ったりしていた。
 注目の本田拓也も、この試合で公式戦デビュー。本田もよさそうだ。後半途中からで、プレー時間は長くなかったけれど、躍動感のあるプレーを見せてくれていた。いやぁ、サブに彼がいるのって、すごい心強いかも。あ、あと増田も。
 まだ柴崎や、新潟から移籍してきた西大伍のプレーは観ていないけれど、今年の補強はもしかしてすげーファイン・プレーなんじゃないだろうか。いやぁ、この先の展開がなおさら楽しみになってきた。
 こうなるとテレ朝チャンネルと契約して、残りのACLはすべて生で観てしまいたくなるところだけれど、でもこれ以上サッカー三昧になるのもどうかと思うし、僕の場合、音楽や本にもやたらと金を使っているのだから、これ以上サッカーに金を使っちゃまずいだろうよと思う。ここはやっぱり我慢ガマン。録画で観られるだけでよしとしよう。
 さあ、なんにしろ次はいよいよJリーグの開幕戦だ。今年は34試合、すべて観るぞ~。
(Mar 03, 2011)

鹿島アントラーズ3-3大宮アルディージャ

J1・第1節/2011年3月6日(日)/カシマサッカースタジアム/スカパー!e2

 2011年のJ1がいよいよ開幕。アントラーズの開幕戦は一日遅れだったわけだけれど、いやしかし、それが3-3なんて大味なドローゲームになるなんて、予想外もいいところだ。
 この日のスタメンは曽ヶ端、新井場、岩政、伊野波、アレックス、小笠原、青木、野沢、フェリペ・ガブリエル、大迫、興梠の11人。つまりゼロックス杯と一緒だった。これが現時点でオリヴェイラさんが考えるベスト・メンバーってことになるんだろう。興梠と大迫のツートップで開幕を飾れるというのは、なかなかフレッシュで嬉しい。
 ただ、このツートップがこの日も空振り。あいかわらずチームの出来がいまいちなこともあって、ともにノーゴールに終わった。ふたりともシュートは打っているんだけれど、枠に飛ばなかったり、相手DFに止められたりで、得点に到らず。でもまあ、シュートが打てている分、上海戦よりはましだった。
 それよりもこの試合でまいったのは、3失点のほう。去年リーグ最少失点のチームが、今年は最初から3失点って、おいおい……。『サッカーマガジン』 のインタビューで岩政と伊野波が「今年は年間20失点を切りたい」なんて大きなことを言っていたというのに、いきなり開幕戦でこれじゃなぁ……。
 先制点は前半11分。ロングボールをゴール前に放り込まれ、これを李天秀{イ・チョンス}にあっさりと決められた。マークについていた伊野波がイ・チョンスについてゆけず、彼の頭上を越えてゆくボールをやすやすとキープされてしまったのが痛かった。
 この1点のビハインドを負ったまま、前半はいいところなく終了。
 それでも後半早々に、CKからのこぼれ球を伊野波が足で決めて(ややラッキーな感あり)イーブンに戻したので、これでいけるかと思ったら、そのわずか1、2分後にはまた、その伊野波のファールから大宮に追加点を与えてしまう。
 この場面、ゴールまで距離のない場所でファールを与えたから、「あちゃー、イ・チョンスってFKも得意じゃなかったっけ? まずかないか?」と思っていたら、不安適中でFKを直接決められてしまった。ただし、決めたのはイ・ジョンスではなく、今季ジュビロから移籍してきた上田康太。うわー、ウエダコータ、こんないいキック持ってたか。よくジュビロが放出したもんだ。
 なんにしろ、これでまたもや1点のビハインド。でも、ここでもそのあと10分もせずに、またもやCKから同点に追いついてみせる。今回決めたのは岩政。どんぴしゃのヘディングだった。試合後のインタビューで大宮の鈴木監督が「うちは背の高い選手が少ないから」とぼやいていたらしいけれど、ほんとセットプレーは鹿島の強みだ。
 これで今度こそ大丈夫かと思ったのに。しかししかし。この試合はもう本当に。
 その5分くらいあとに、またイ・チョンスにゴールを許してしまう。こんどはゴールに向かって左斜めからのミドル・シュート。たしかに見事なシュートではあったけれど、あの位置でヨーロッパでのプレー経験のある選手にフリーでボールを持たせちゃいかんだろう。
 ホント、大宮が決めた3ゴールはどれも相手が見事だったけれど、それでもイ・チョンスの2ゴールは、どちらも早めにチェックをかけていれば、防げていたかもしれないと思えてしまうものだったのが残念だった。
 それと今年はこれまで観た3試合、どれもオリヴェイラさんの選手交替が遅いのが気にかかる。この試合でも大迫をカルロンに替えたのが、大宮の3点目のあと。残り時間はもう15分を切っていた。そのあと順番にフェリペ→遠藤、新井場→田代と投入して、交替カードを使いきりはしたけれど、田代のプレー時間はロスタイム4分を含めても10分程度。勝ち点3を狙うならば、もうちょっと早めに手を打つべきだったと思う。それでなくても今年は選手層が厚くなった分、ベンチで出番を待っている選手たちのモチベーションも高いだろうし、どうせ使うんならば、少しでも長めにチャンスをあげて欲しい。
 まあ、なんにしろ、アントラーズは残り15分間でカルロン、遠藤、田代という攻撃的なカードを切って、同点に追いつくべく必死に攻め立てた。でも、これらの交替がそれほど有効だったとも思えない。
 カルロンは、ひとつ前の上海戦では中盤まで下がってきて積極的にボールを受けたりしていて、なかなか好印象だったけれど、この試合では前線に貼ったままで、ほとんどボールに触れず。おそらく2、3回しかボールに触れてないんじゃないだろうか。あれではちょっとなあ。あと遠藤もいまいち切れを感じさせなかった。
 交替組で唯一、それなりに存在感を見せたのが田代。持ち前の高さを生かして空中戦に競り勝ち、高い打点でヘディング・シュートを打つ場面などもあった。ただ、残念ながらせっかくのシュートは枠をとらえられなかった。
 まあ、それでも、そんな風に攻撃的な選手を投入して、最後まで攻め立てた成果だろうか。このまま黒星発進かと思われたロスタイム。小笠原と野沢のワンツーから、起死回生のオウン・ゴールを誘い、最終スコアを3-3として試合終了。わぉっ。ホームでの開幕戦で、かろうじて勝ち点1を拾った。
 ん~。それにしても勝てない。負けてもいないけれど、勝てない。これじゃ去年と一緒だ。まあ、去年はスタートの時点ではよくて、その後に失速したので、今年は逆にここから徐々によくなってゆくんだと信じたい。
 あと、ここまで流れの中からはひとつも得点できていないのも、けっこうストレスだったりする。あぁ、さっさときれいにゴールが決まるところが見たい。
(Mar 06, 2011)

日本代表2-1Jリーグ選抜

東北地方太平洋沖地震復興支援チャリティーマッチ がんばろうニッポン!/2011年3月29日(火)/大阪長居スタジアム/日本テレビ

 Jリーグ開幕直後に、東北地方が未曾有の大震災に見舞われてから、かれこれ3週間。地震と津波の被害だけでも甚大なところへきて、原発事故で放射能が流出する緊急事態を前に、予定されていた代表戦2試合(モンテネグロとニュージーランド)がキャンセルになったため、急遽その日程を流用して開催された、日本代表とJリーグ選抜チームのチャリティーマッチ。
 親善試合が中止になったのは致し方なし──というか至極当然。誰だって放射能だだ漏れの国に大事な代表を送り込みたくないだろうし、こちらだって申し訳なくて来てくれなんてとても言えない。それどころか「すいません、うちはいまとっ散らかってるんで、とてもご招待どころじゃありません」って謝りたいくらい。
 でもその結果として行われたこのチャリティーマッチは、これまでにない新鮮な試合になった。なんたって、実質的にこれは日本代表どうしの対戦だったから。
 かたやアジアカップを制した海外組中心の日本代表。かたやちょっと前まで代表の常連だった選手や、怪我で現代表をリタイアしている選手、はたまたこれからが期待される若手らからなるJリーグの選抜チーム。おかげでJリーグのオールスターとはひと味もふた味も違った、とても興味深い試合になった。
 日本代表を率いるザッケローニ(いやしかし、放射能が飛び散るなか、よくぞ再来日してくれました。感謝)がこの試合のスタメンに選んだのは、アジアカップで優勝したチームとほぼ一緒だった。フォーメーションはつねづね噂されていた3-4-3(!)で、GK川島、DF吉田、今野、伊野波、両サイドウィングが内田、長友、ボランチに遠藤、長谷部、で本田、岡崎、前田の3トップと。3バックだったためDFが一枚多かった点を除けば、あとはアジア杯の決勝と同じ。こういう試合でもちゃんと凱旋試合の体裁をとっているところが嬉しい。
 対するJリーグ選抜(指揮官はピクシー!)は、GK楢崎、DF駒野、中澤、闘莉王、新井場、MF小笠原、中村憲剛、小野伸二、FW梁勇基{リャン・ヨンギ}、大久保、佐藤寿人という布陣。いってみれば、南アフリカW杯直前の日本代表に、被災地の仙台や鹿島の選手を加えたといった形だった(梁がFWってのが意外)。
 こちらのチームはバージョンがひとつ古い感こそあるものの、それでもひさしぶりに中澤と闘莉王のCBコンビがそろい踏み、オガサ、小野、憲剛が中盤に並んだ構成には、現代表に負けないワクワク感があった。しかもこのチームはベンチに俊輔やカズまで控えている。さらには期待の若手、原口元気、平井、ハーフナー・マイクなどもいる。
 海外組中心の現代表とこのチームが互角に渡りあえれば、それは要するに、日本サッカーが決して世界に引らないという証明になるんじゃないか?──そんな思いが胸の底にあったからだろう。おまけにそちらに鹿島から小笠原と新井場が加わっていたこともあり、試合が始まってみたら、僕はすっかりJリーグ選抜応援モードになってしまっていた。
 つまり「敵は日本代表」という。なんだそりゃ~な展開に。
 いつもは応援している日本代表を、なにゆえこういう局面で敵対視しなきゃなんないのか。べつにどっちにつくでもなく、ニュートラルに試合を楽しみゃいいじゃんよと思うんだけれど、まあ、仕方ない。この試合ではそういう「打倒日本代表」なモードになってしまったんだから。
 でもそうやって仮想敵国的に日本代表を観るってのも、いつにないことで、とても新鮮だった。まあ、特別いいサッカーをしているとは思わなかったけれど、前半に限ればディフェンスは安定していたし、高めからのプレスでボールを奪って、素早くゴールを目指すカウンターがしっかり戦術に根付いている印象を受けた。本田からのパスを受けて岡崎が決めた2点目のゴールがその典型だと思う(1点目は遠藤のFK。あれもじつに見事だった)。
 対するJリーグ選抜は、さすがに開幕早々にリーグが中断になってしまったせいで、実戦感覚が不足している感がありあり。とくにそれを強く感じさせたのが小笠原で、被災地出身ということで、誰よりやる気があったのは間違いないと思うのだけれど、らしからぬパス・ミスが多くて、残念な出来だった(まあ、ボール・タッチもそれなりに多かったけれど)。
 とはいえ、それでもこの日のオガサのプレーはアグレッシブだったと思う。こういう試合だからこそ、コンディション不十分ながらも安直なパスに逃げず、あえて前を向いて、きびしいところへリスキーなパスを出そうとしていた。結果としてそれが相手の網に引っ掛かってしまうシーンが多かったのは残念だったけれど、僕は彼のそういう姿勢は素晴らしいと思った(ま、当然、贔屓目はあるけど)。
 なんにしろそんなわけで、Jリーグ選抜がそこはかとなく震災の後遺症を感じさせるために、前半を見るかぎり、やはりこりゃ現役が強いやって感じだった(スコアも2-0だったし)。でもそんな試合も、後半に入って、ともにサブの選手をどどっと投入したことで大きく流れが変わる。
 前半の日本代表がアジア杯仕様でプレーがスムーズだったのに比べると、後半は出番の少なかったサブのメンバー中心となったために、まとまりを欠いた印象だった。交替で入った中にも松井、阿部、槙野、家長といった海外組がいたんだけれど、やはりともにプレーした時間が短い分、寄せ集め的な印象が否めない。
 いっぽうのJリーグ選抜も後半開始とともに何人かを入れ替えたものの(オガサは残念ながら前半だけで俊輔と交替)、ピクシーの采配がばっちりと決まって、まったく戦力ダウンを感じさせなかった。俊輔は正確なサイドチェンジのパスをびしばし決めるし、原口や関口、ハーフナーなど、攻撃的なポジションで投入された若手も溌剌としたプレーを見せて、チームを活気づけた。
 そしてなによりも見せてくれたのがカズ。出てきただけで大盛りあがりなのに、まさかのゴールまで決めてしまうたぁ……。それも、あれがほんとに現役最年長のゴールかと疑ってしまいたくなるような素晴らしいやつを。
 いやはや、やっぱこの人は違うや。ヴェルディのころはにっくき敵だったけど、いまとなると素直に感心せずにいられない。停電対策だってんで十階のオフィスまで階段で上がろうとしただけで、心臓がバクバクしてこりゃ駄目だと思ったこの僕とはえらい違いだ(じつは同い年)。
 ということで、試合は2-1で日本代表の勝利に終わったけれど、MVPを選ぶとしたらおそらくほとんどの人がカズの名をあげるんだろうなぁ……って一戦だった。
 あ、そういや新井場がなにげにフル出場だったのは、ちょっと驚きだった。この試合に集まった選手のうちでは数少ない、代表歴のない最年長者なのに。あと、一方で日本代表に選出されたのに(そしてザッケローニが前日会見で全員使うと言っていたのに)、結局出番のもらえなかった本田拓也と細貝がちょっと不憫。それともあのふたりは怪我でもしてたんでしょうか?
 いやそれにしても、本田とオガサや小野とのマッチアップとか、俊輔からカズへのパスがつながるところとか、お~っと思うようなシーンの多い試合だった。なにより、サッカーが普通に観られる生活っていいよなぁ……としみじみと思った。
 東北の人たちが一日も早く、こうやって普通にサッカーを楽しめる日常に復帰できることを願ってやみません。
(Mar 29, 2011)