鹿島アントラーズ3-2サンパウロFC
スルガ銀行チャンピオンシップ/2013年8月7日(水)/カシマサッカースタジアム/スカパー!
ナビスコカップ優勝者への特典――なのか、この暑いさなかに試合をしなきゃならないことを考えると、やや疑問だけれど――、スルガ銀行チャンピオンシップに今年もアントラーズが出場。南米の名門サンパウロFCと対戦した。
今年も大会の放送権を握っているのがフジテレビだったので、去年につづきスカパーで観れました。ラッキー。でもアントラーズは今年のナビスコ杯ではすでに敗退が決まっているので、もう来年は出られない。それはアンラッキー。
この日のスタメンは曽ヶ端、西、青木、山村、前野、柴崎、小笠原、遠藤、土居、ジュニーニョ、大迫。ダヴィが故障中で、大迫のワントップ。いつのまにか岩政、野沢のレギュラー落ちが確定的になっているのが、軽くショックだ。でもまぁ、この日はふたりとも途中から出場していたし、暑い真夏のことだから、あえてベテランを休ませているのかもしれない。
とにかくこの試合のポイントは暑さだったと思う。去年も思ったことだけれど、南半球のブラジルはいまごろ涼しいんだろうし、そんなところから日本にきて、この暑さの中で格下のJリーグのクラブと試合をしろって、そりゃ対戦相手にかわいそうだろう。
サンパウロの監督はかのアウトゥオリ(お~!)だったから、日本の暑さはある程度、計算に入れていたんだと思う。もう前半は完ぺきに流していた。とにかく運動量が少ない。とてもかつてトヨタ杯で優勝して世界王者となったクラブとは思えない低調ぶり。
対するこちらは勝手知ったるホームでの試合だ。終始優勢に試合を進め、大迫が2ゴールを決めて、2-0で前半を折り返す。おぉ、大迫すげー。
1点目は柴崎の積極的な攻め上がりからのクロスが起点。大迫と相手GK、DFの3人がこのボールを競りあって交錯。転倒した相手をよそに、ゴールに向かって態勢を残した大迫の頭上から、そのこぼれ球が落ちてきた。大迫がこれをフリーで決めて、鹿島先制。
2点目は左サイドからのジュニーニョのクロスに、猛ダッシュでディフェンス・ラインの裏をとって、ピンポイントであわせたダイレクト・ボレー。これは惚れ惚れするような見事さだった。この日いちばんのファイン・ゴール。
ということで、2点を勝ち越して後半に突入したアントラーズだったけれど、そこは南米の雄。そう簡単に勝たせてはくれない。後半に入ったとたん、はっきりとギアを入れ替えてきた。
後半開始から10分もしないうちに、ブラジル代表だという8番のガンソにミドルを決められて、1点差。さらに押されまくったあげくに、完璧に崩されて、同点ゴールまで奪われてしまう。このゴールの瞬間には、無人となったゴール前で、鹿島の選手たちは誰ひとり身動きひとつできないでいた。 こりゃ逆転を許すのも時間の問題か……と思った。
いや、じつはこの同点ゴールのしばらく前、2-1となった直後に、鹿島は大迫がPKを獲得してたんだった。1点差に追いつかれた直後のPK獲得だ。ふたたび点差を広げて、相手の殺ぐにはもってこいのシチュエーション。
ところがこのPKを大迫が止められてしまう。しかも、レフェリーから謎の蹴り直しのチャンスをもらいながら、2回目も枠を外すというおまけつき。おいおい、なにやってんだ~。2度もつづけてPKはずすなんて、エースとして、あり得ないでしょう? ある意味、この2度つづけてのPK失敗が、この試合のクライマックスだった気がする。
後半に入って、野沢、中村充孝、中田浩二、岩政、梅鉢らフレッシュな選手を投入したことで、試合はある程度落ち着き、結局そのままドローで終わりそうな雰囲気になった。この大会は延長なしだから、このままPK戦に入ったら、大迫にPK蹴らせるのかな? と妙な関心が生まれた、後半のアディショナル・タイム――。
やってくれました~、孝行息子、柴崎。ふたたび果敢な攻撃参加を見せた彼が、積極的に打って出たミドル・シュートが、最終ラインに並んでいた大迫の胸にあたって、GKの逆だまとなり、ころころとゴールネットの中へ……。値千金の決勝ゴ~ル!
放送では柴崎のゴールと言っていたけれど、公式記録では大迫のゴールになったらしい(だとすると、かなりオフサイドっぽくはないでしょうか)。つまり大迫は、この試合ハットトリック。PK2本をはずしてなお、ハットトリック。しかも南米の名門相手に。これは偉業といえるでしょう。本人は恥ずかしがっていたそうだけれど(そりゃそうだ)。
ということで、この大会は2年連続でアントラーズの優勝とあいなった。試合後に野沢や曽ヶ端がアウトゥオリとエールを交換しているのが微笑ましかった。
(Aug 08, 2013)