鹿島アントラーズ3-1清水エスパルス
J1・第15節/2013年7月10日(水)/カシマサッカースタジアム/BS1
コンフェデでの3連敗なんかもあったから、なんだか応援しているチームが勝つのを観るのも、ずいぶんひさしぶりな気がする。
──そう思って調べてみたら、なんとアントラーズが勝った試合を観るのは、4月以来で、じつに3ヶ月ぶり。内容はどうあれ、やはり勝つって気持ちいい。
この試合、このところナビスコ杯・準々決勝でマリノスにストレート負けしたりして、調子がいまいちなのと、週中日に試合がある真夏の過密日程への配慮もあってだろう、トニーニョ・セレーゾは思い切ってスタメンを動かしてきた。なんと、岩政、中田浩二、野沢らのベテランがそろってベンチ・スタート。スタメンはGK曽ヶ端、DF西、青木、山村、前野、MF小笠原、柴崎、遠藤、ジュニーニョ、FW大迫、ダヴィという顔ぶれだった。こういう試合でもスタメンを外れないあたり、小笠原への信頼は絶大だなと思う。
対するエスパルスは、いつの間にか、ずいぶんと知った顔の少ないチームになっていた。僕が知っているのは、バレーに伊藤翔、元五輪代表の松村にイ・キジェ、途中出場の高木俊幸くらい。その人たちにしろ、あぁ、いまはここでプレーしているんだって思ってしまうような途中加入の選手ばかりだし、これまで一度もJ1から降格したことのない伝統あるクラブとは思えないくらい初々しい(悪くいえば、貫録がない)。そういや、アウェイ用のセカンド・ユニフォームが明るいブルーってのも、違和感ありまくり。
とはいえ、エスパルス、プレー自体はとてもよかった。とくにプレッシングの迫力は、敵ながらあっぱれ。終盤になってなお、遠方から全速力でチャージしてくるシーンが一度ならず観られたのにはとても感心した。
なんたってこの日は梅雨明け直後で、7月上旬にして、はやくも記録的な猛暑日がつづくって陽気だった。試合開始時の気温が29度だってんだから、運動量が落ちてあたり前。それにもかかわらず、エスパルスは最後まで果敢なプレスを怠らなかった。その姿勢にはとても感銘を受けた。ああいうサッカーが徹底できるのだから、ゴトビはきっといい監督なんだろう。
ということで、3-1というスコアだけ見ると快勝だけれど、試合自体はそれほど楽な内容ではなかった。先制したのも相手だったし(伊藤翔のなんだそりゃなヒールキックが見事に決まった)、バレー相手には何度もPKすれすれってプレーがあったし、もしもレフェリーが簡単に笛を吹く人だったら、もっと難しい試合になっていた気がする。
それにしてもバレー、あれだけ倒されても、一度もファールのアピールをしていなかったのが偉い。マリーシア皆無のブラジル人らしからぬフェアーな態度に、なんていい人なんだと思ってしまった。まだまだプレーには迫力があるし、彼と伊藤翔とのツートップ──じゃなくて、フォーメーションは4-4-1-1だったらしい(なんだそりゃ)――は、こちらのツートップといい勝負かもしれない。
なんにしろ、それなりに難しい試合だったと思うのだけれど、いい結果に終わったのは前半のうちに同点に追いついたのが大きかった。同点ゴールは、大迫のいかしたドリブル突破から、最後はジュニーニョが決めたミドル。ジュニーニョは意外や、これが今季初ゴールだそうだ。なんてこった。
後半残り10分の勝ち越しゴールは得意のセットプレーで、途中出場の野沢のCKから青木のヘディング(どフリー)。さらに3点目も野沢で、DFラインの裏へ抜けてGKをかわし、ゴールライン付近の角度のないところからきっちり決めたもの。
この日はスタメンを外れた野沢だけれど、1ゴール1アシストで、あらためてその存在感を知らしめてみせた。遠藤も決して悪くはなかったけれど、まだまだ野沢は超えられそうにない──というか、この日はジュニーニョと本山(途中出場)も随所で味のあるプレーを見せていたし、今年の中盤のレギュラー争いはとても熾烈だ。遠藤はよっぽどがんばらないと、ふたたびレギュラーの座を奪い返すのは難しかろう。
左サイドバックの前野も好印象だった。サイド攻撃のないアントラーズなんてアントラーズじゃないと思うので、少なくてもちゃんと攻め上がってみせる分、中田浩二よりもしっくりくる。中田をベンチに置いておくのは惜しいけれど、でもサイドバックとして考えれば、やはりプロパーな前野のほうがいいと僕は思う。
なにはともあれ、全体的な出来は特別よかったとは思わないものの、それでも効率よく3ゴールをあげて、勝ち点3を積み上げたアントラーズだった。まずはめでたし。
(Jul 11, 2013)