北朝鮮2-1日本
EAFF東アジアカップ/2015年8月2日(日)/中国・武漢/フジテレビ
ハリルホジッチ株急暴落。よもや北朝鮮に負けるたぁ、思ってもみなかった。
まぁ、とはいえ一概にハリルホジッチが悪いとも思わないんだけれど。選んだ選手の顔ぶれにはとくに不満はなかったし。海外組抜きの代表に準備期間なしでいきなりアウェイの公式戦ってのは酷だと思うし。
それにこの日の選手たちは、攻めても守っても、いまいち出来が悪かった。よかったのは、先制ゴールの場面だけだった気さえする。
FIFAの国際Aマッチデイではないため、海外組抜きでの招集となったこの大会。ハリルホジッチが初戦の先発に選んだのは、GK西川、DF遠藤航、森重、槙野、藤春、MF山口蛍、谷口彰悟、武藤雄樹、FW永井謙佑、宇佐美、川又というメンバー構成だった。
五輪代表のキャプテン、遠藤航の飛び級でのA代表デビュー、レッズのJ1ファースト・ステージ優勝の原動力となった武藤雄樹のスタメン起用、柴崎のベンチ・スタートあたりには意外性があったけれど、でもまぁ、じゅうぶん納得のゆく顔ぶれだった。
でもって、出だしに限れば、非常に順調だった。開始わずか2分で、右SBに入った遠藤──背は低いのに所属クラブの湘南では3バックの一角を担っているらしい──からのクロスに武藤がピンポイントであわせる素晴らしいゴール。こりゃ今日もゴール・ラッシュの予感──と思ったのに、どっこいそうはならない。
川又、永井は絶好機にダイレクトでシュートにゆけず、余計な時間をくってブロックにあう。宇佐美は1本だけ、らしいシュートで沸かせたものの、それをGKに止められると、あとはどこにいたのかわからない存在感のなさ。あれではいちばん最初に交替させられたのも致し方ない。
ハリルホジッチの采配に難があるとしたら、それは柴崎をスタメンから外したことじゃないだろうか。いや、べつに柴崎でなくてもいいから、ひとりくらいパサー・タイプの選手がいたほうがよかった気がする。
なんでもこの試合、日本代表のオフサイドは0だったらしい。それくらい、DFラインの裏へ抜け出してパスを受けようってプレーが少なかったってことだ(出し手もいなかった)。縦へ速い攻撃を標榜しながら、オフサイド・ゼロって、そりゃないだろうと思う。この日に関しては、縦への意識もそれほど感じられなかったけれど。
まぁ、いずれにせよ、川又、永井の動きは鈍かった。宇佐美もどこにいるかわからなかった。前目の選手でよかったのは武藤だけって。それでは追加点が取れないのも道理。
で、後半途中に柴崎が出てきても、すでに前線は疲れ切っているので、状況は改善せず。柴崎も柴崎でここぞのミドルを外してしまう。
そのあと、川又と交替で出てきた興梠──代表は4年ぶりとのこと──は随所でおっと思わせる、おもしろい動きを見せてくれていたけれど、FWというよりはMF的なプレーに終始した感じ(そういえば、なんとこの大会の興梠の背番号は10だ)。
最後の交替カードで出てきたのは、佐藤寿人の後釜としてサンフレッチェで売出し中の浅野拓磨。彼もこれといった仕事はできずに終わったけれど、まぁ、残り10分たらずで出てきたチーム最年少20歳の選手に多くを期待するようでは駄目だろう。
ということで、この日の選手交替はあまり効果的とはいえず。逆にロングボール主体のサッカーでがんがんパワープレーを仕掛けてきた北朝鮮に押し込まれ、森重、槙野のCBふたりがそれぞれハイボールに競り負けて、逆転負けを食らうというていたらく。
1対1で負けてんだから、戦略以前の問題として、敗因はそれでしょう。いくら過密日程でコンディションがきついからって、アジアで1対1に勝てないようでは、日本のサッカーに未来はない。個の力をもっと高めないと。
なまじハリルホジッチの選手起用自体には、それほど不満がなかっただけに、そのメンツで戦って北朝鮮に逆転負けを食らったってのが個人的には痛すぎた。この大会では前日に女子も負けているので、ショック2倍。あぁ……。
それにしても、北朝鮮との相性の悪いこと、悪いこと。僕の記録によれば、ここ10年間の日本代表と北朝鮮との対戦成績は、なんと五分だ(3勝3敗1分け)。それどころか、五輪代表も含めれば、負け越しているという……。調べてみたら、ザッケローニのときも連戦連勝で快進撃をつづけていた新生日本代表に最初に土をつけたのは北朝鮮だった。あぁ、ハリルJAPANでも悪夢ふたたび。
どうしてこうも相性が悪いかな。北朝鮮って、FIFAランキング129位とか言ってるんですけど。単純にその数字だけ見ると、あり得ないんだが。やっぱ、過去の歴史の因縁のせいでしょうか。ほんと、イヤんなってしまう。
(Aug 03, 2015)