いまさらだけれど、五輪代表の参加したトゥーロン国際大会について。
トゥーロン国際はフランスで開催される、U-23以下が対象の国際大会とのこと。参加10ヵ国がふたつのグループに分かれ、中1日で40分ハーフの4試合を戦い、上位2チームどうしが決勝と三位決定戦を行うという、かなり変則的な大会。
会場もふつうのスタジアムではなく、サッカー練習場みたいなところで、観客はほとんどいない。スタンドがないから、カメラのアングルも上から俯瞰するようないつものものとは違う。斜め横からの横スクロール風の見慣れないアングルで選手を追ってゆく。
日本はこの大会に五輪イヤーに参加するのが恒例のようだけれど、そんなあれこれ変則的な大会を、平日の午前0時すぎから中1日で観つづけるってのは、体力低下のいちじるしい昨今の僕には、ややしんどかった。
緒戦のパラグアイ戦は後半に寝てしまい(目を覚ましたら1-2になっていた)、次のポルトガル戦はフルに観たけれど、0-1の敗退に文章を書く気になれず。唯一勝ったギニア戦(2-1)は、マンションが夜間断水だというので、観ないで早寝してしまい、最後のこの試合は、ウィークデイの終わりで集中力を欠いていて、印象が散漫。ということで、どの試合もまともに感想が書けない。
これが慣れ親しんだA代表ならばまだしも、今回の五輪代表はいまいち選手に馴染みが薄い。しかも怪我人続出で、なおさら知名度が低い選手が増えてしまっている。
この日のスタメンはGK中村航輔、DFファン・ウェルメスケルケン際(おぼえられない)、植田、三丸拡(鳥栖)、喜田拓也(横浜M)、MF大島、井手口、矢島、野津田、南野、FWオナイウ阿道というメンバー。
こうしてみると、前めの選手こそ知っているけれど、うしろは植田以外、この大会で初めて観る顔ばかり。喜田はつい先日マリノス戦で観たものの、この試合ではDFの故障者続出のため、本来のボランチではなくCBでの出場だった。
いや、とにかく怪我人が多いこと、多いこと。奈良が骨折で本番絶望というところへきて、この大会の緒戦ではさらに、岩波、亀川がけがをするという不幸が重なった。U-23選手権優勝時のDFで無事なのって、いまや植田だけっぽい。久保も故障で合流していないし(南野は二試合目から合流。浅野はA代表の招集を受けたとかで、なぜか四戦目は離脱)。なんかもう呪われているとしか思えない。
ということで、この大会ではファン・ウェルメスケルケン(おぼえられない)、三丸、三浦弦太(清水)ら、初めて観る選手たちが最終ラインに名を連ねることになった。FWにも鳥栖から鎌田大地という子が初招集されて、前の試合で先発出場していたりする(この日は途中出場)。
そんなだから、守備が安定しないのも、攻撃があまり活性化しないのも、致し方なし。対戦相手はパラグアイ、ポルトガル、イングランドと強豪国だし……とはいえ、世代的にはひとつふたつ下という話なので、負けたのはさすがに残念だった。内容も決して悪くはなかったので。少なくてもこの試合の後半は日本ペースだった。なまじ力負けした試合がひとつもないだけに、結果がついてこなかったのが残念だった。
ちなみに得点はパラグアイ戦が浅野、ギニア戦が富樫敬真と南野。以上4試合で3得点しか取れていない。これではさすがに勝てない。
GKは櫛引と中村が交互に2試合ずつ出場した。緒戦を任された櫛引か、もっとも手強いイングランド戦を任された中村か。どっちが本番の正GKとなるのか、このポジションもいまだ不明瞭なまま。
ほんと、あまりに怪我人が多い上に、手倉森がいまだに新しい選手を呼んでいることもあって、本番がどうなるのか、現時点でまったくわからない。オーバーエイジの起用も考えているみたいだし、本番の陣形がまったく見えてこない。僕が今回の五輪代表にいまいち乗りきれないのは、そのへんのチームの固まらさも原因のひとつだと思う。
関塚さんや反町さんの五輪チームでもそんな感じだったけれど、手倉森も最後の最後まで選手を固定しようとしない。僕はそういう姿勢ってどうかと思う。
なにより結果ありきのA代表ならばわかる。選手を固定せずに、つねにその時点で最高のコンディションの選手で戦うって発想はありだろう(好き嫌いはべつとして)。
でも五輪代表は違う。結果よりもむしろ、育成こそが目的であって欲しいと僕個人は考えている。だとするならば、将来のA代表を背負って立つべき逸材をなるべく早めに見極め、その選手たちにより多くの経験値を積ませるべきだ。結果重視とかいって、最後まで選手選考ばかりを重ねているチーム作りには、いまいち共感できない。なにより、チームの個性が見えづらくて、楽しくない。
僕はサッカーを長大なる大河小説のようなものだと思っている。少しずつ登場人物を入れ替えながら、生涯にわたってつづいてゆく一生もののドラマ。
そんな僕からすると、登場人物の入れ替わりが激しく、いつまでたっても主役がはっきりしない今回の五輪代表は、いまいち楽しみが薄いのだった。
まぁ、とはいえ、こうも怪我人が多いとね。その点はほんとに指揮官が気の毒。
(May 29, 2016)