気がつけば、味スタにFC東京戦を観にゆくのが恒例になってから、今年でちょうど10年目だった。
ということで、過去の対戦成績を調べてみたところ、鹿島の5勝1敗2分(ただし、そのうち1試合は国立競技場)。その1敗も2008年のことだから、かれこれ8年間、僕は一度もアントラーズがスタジアムで負けるところを観ていないことになる。相性がいいとは思っていたけれど、そこまでとは思わなかった。
でも、試合前にそんなことを調べたのがいけなかったのかもしれない。この日は見事に負けました。2度目の黒星。
内容的にも負けても当然って出来だった。このセカンド・ステージは弱いなぁと思っていたけれど、こんな試合をしているようでは低迷するのも当然。この日の黒星で順位も二桁に落ちてしまった。まったくファースト・ステージ優勝の勢いはどこ行っちゃったんだろう。不思議なくらいに弱かった。
この日の鹿島は、GK曽ヶ端、DF伊東、ファン・ソッコ、昌子、山本脩斗、MF柴崎、永木、遠藤、ファブリシオ、FW土居、金崎というスタメン。
なんと小笠原がベンチで、永木がキャプテンマークをつけていた。
生え抜きの柴崎ではなく、今年加入した永木がキャプテンってのはちょい残念だけれど、でも永木、さすがに湘南時代からキャプテンマークをつけ慣れているだけあって、とても存在感があった。終始劣勢だったこともあって、この日の鹿島ではいちばん目立っていた。だてに日本代表に呼ばれちゃいないなと思った。ま、メンバー紹介のときの東京サポーターからのブーイングの少なさからすると、まだまだ世間的な知名度は低そうだけど。
そのほかだと、8月から怪我で離脱していた遠藤が復活したことと、ファブリシオの初スタメン出場ってのが注目ポイントかなと。個人的には植田ではなく、ファン・ソッコがスタメンってのが不満だった。やはり今後の日本代表のためにも、植田をちゃんと使ってほしい。
対するFC東京は、GK秋元、DF橋本拳人、森重、丸山、室屋、MF梶山、田邊草民、河野、東、中島翔哉、FW前田という11人。
ファースト・ステージの対戦時にはベンチにも入っていなかった中島翔哉がスタメンで観られたのが嬉しい──とか、喜んでる場合じゃなかった。
中島、存在感ありすぎ。とくに前半はよかった。河野の先制点を演出したスルー・パスも彼だったし──GKの動きを見て、冷静にシュートを決めた河野もえらかった──、とにかく五輪代表でいいなぁと思っていたプレーをそのまま見せてくれていた。
中島って小さいわりにはキープ力が高い。とはいっても、本田圭佑のように身体を張ってボールを保持するのではなく、敵がチェックにくる前に素早く判断して、的確にパスを出して味方につないでみせるというスタイル。無理して危ないプレーはしないで、ぱっぱっと小気味よくボールをさばいてゆくのがとても好印象だ。
しかも彼の場合、単にパサーというだけではなく、ボールを持てばドリブルで攻め上がり、遠目でもチャンスと見ればシュートを打ってゆく積極性もある。ほんと、彼がボールを持つと観客席のボルテージが自然と上がる感じがあった。
FC東京では城福監督が成績不振のためシーズンの途中で解任されてしまったけれど(後任は篠田善之という人)、もしも今シーズンの初めからちゃんと中島をスタメンに抜擢していれば、城福さんも解任の憂き目を見ることがなかったんじゃないかって思った。それくらい中島はよかった。
そのほかFC東京で印象的だったのが、橋本拳人がサイドバックをやっていたり、田邊がボランチをやっていたりすること。ふたりとも前に観たときは別のポジションだったよな? 高橋秀人(この日はベンチ)とかもボランチだかCBだかはっきりしないし、FC東京の選手って、やたらとユーティリティー性が高い選手が多い気がする。
あと、この日は前田のプレーもなにげに印象的だった。とにかくポスト・プレーが効果的で、ゴールを背にしてボールを受けさせると絶品。あれでもうちょっと前を向いてプレーする時間が多くなれば、本当にすごいのに……って思ってしまった。ま、といいつつこの試合の決勝ゴールはその前田なんだけれど。
ちなみに前田の決勝ゴールの場面は、ゴールの真横から見ていたにもかかわらず、シュートが決まったのがよくわからず。決まったか決まらないかくらいの微妙な判定だと思っていたので、あとでテレビのリプレーを見たら、かなり豪快に蹴り込まれていてびっくりした。ぜんぜんわからなかった。
あと、鹿島の追撃の1点(決めたのは山本)も反対側の遠いサイドだったこともあり、こちらはどう決まったのかまったくわからず。でもこれはリプレーで見てもよくわからないという、けっこう微妙なゴールだったので(ネットは揺らしていないから、秋元がボールをかき出したポジションがゴールの中だったってことなんでしょう)、あの距離ではまぁわからなくても仕方ないかなと思う。アウェイ・ゴールだから、スクリーンでのリプレイもなかったし。
そう、あとわからなかったといえば、僕は不覚にも鈴木優磨が途中出場していたことに最後まで気がつかずにいた(あとで記録を見てびっくり)。遠藤と交替で後半の頭から出ていたらしいのだけれど、後半は鹿島の攻めが反対側のゴールだったこともあって、まったく気がつかなかった。いったいなにを見てるんでしょうか。俺の目は節穴か。
まぁ、でもそれくらいこの日のアントラーズの攻撃は不活発だったし、その分、FC東京がよかったとも思う。
なんたってこの日のアントラーズのシュート数はたった7本だ(対するFC東京は11本)。僕はここ2、3年の鹿島の好調さを支えているのは、相手よりも1本でも多くのシュートを打ってゆこうとする積極性だと思っているので、そういう意味ではシュート数で打ち負けたこのFC東京戦の敗戦は当然の結果だった。
負けてる試合で最後の交替カードを切って小笠原を出すってのもどうかと思ったけれど(もうひとりは充孝)、でもまぁ、小笠原が観られないで終わってしまうのもファンとしてはさびしいので、そこはまぁよし。
なにはともあれ、FC東京のよさばかりが目に映った試合だった。なんか最初から最後までFC東京ばかり見ていた気がする。
FC東京は中途補強したブラジル人FWムリキや徳永を故障で欠きながらこれだけの試合ができるのだから、指揮官のビジョンさえしっかりしていれば──あと得点力のあるFWをもう一枚くらい補強できれば──来季はもっと上を目指せるだろう。都民としてはそろそろ優勝争いに絡んできてほしい。
いやしかし、中島いいなぁ。鹿島に欲しい。日本代表でも見たい。でもいまの調子だと、そう遠くないうちにヨーロッパ行っちゃいそうだ。
(Oct 23, 2016)