鹿島アントラーズ3-2浦和レッズ
FUJI ZEROX SUPER CUP/2017年2月18日(土)/日産スタジアム/日テレ
J1開幕まで、いよいよあと一週間──ってことで、昨年度リーグ覇者にして天皇杯王者の鹿島アントラーズがリーグ戦最多勝(でも準優勝)の浦和レッズを迎え撃った今年のゼロックス杯。やっぱ応援しているクラブが出てくれると気分が違う。
新シーズン最初の公式戦でスタメンを飾ったのは、GKが韓国代表経験もあるという新加入のクォン・スンテ、伝統の4バックは、右から西、植田、昌子のおなじみの3人に加え、湘南から越してきた三竿雄斗(健斗の兄)、ダブル・ボランチが小笠原とここ数年Jリーグ最強といわれるボランチのレオ・シルバ(よもやの新加入!)、攻撃的なMFには去年と同じく遠藤康と土居聖真、そしてツートップが金崎夢生とこれまた新加入のペドロ・ジュニオールという新布陣。
いやぁ、新人4人がすでにすっかりチームに順応している感じなのが素晴らしい。とくにレオ・シルバすげー。もとから弱いクラブであれだけ目立っていた人が、アントラーズみたいな地力のあるクラブにきちゃうと、こうもすごくなるものかと。もう縦横無尽。新潟では守備の人という印象が強かったけれど、攻めてもこんなに効果的な人だったのかと。いやぁ、柴崎の不在を補ってあまりある強力な補強だわ。恐れ入りました。
ペドロ・ジュニオールも思っていたよりチームプレーができる人みたいだし、三竿兄もいい感じ(まぁ、山本修斗とのレギュラー争いに勝てるかは微妙だけど)。クォン・スンテはまだよくわかんないけど、まぁ、代表経験もあるんだから、いいGKなんでしょう(日本の若い子に引導を渡されたら曽ヶ端のプライドが傷つくから、あえて経験豊富な韓国人を呼んできたんでしょうか?)。個人的にGKは日本人がいいんだけれどな。まぁ、仲間になったからには応援します。
なんにしろ、これでベンチにはまだ新加入のブラジル人レアンドロや福岡からやってきた元五輪代表の金森
対するレッズは、おそらく次週のACLに向けて、興梠、柏木、槙野、新加入のラファエル・シルバらを温存してきた。興梠は途中から出てきたけれど、あとのメンバーはベンチにさえ入っていないという。なめてんな、ペトロヴィッチ。そんなんでうちに勝てると思ってると、今年も苦戦必至だと思うぞ。
こちらは左SBこそ微妙だけれど、そこ以外はベストと呼べる布陣。これで負けるわけにゃいかない。実際に序盤こそ相手に押し込まれる時間帯がつづいたけれど、それを冷静に耐え忍んで途中から攻勢に出るという、昨年末と同じパターンで次第にペースを握りはじめる。でもって、ゴール前の絶好機に遠藤がみごとな直接FKを決めて先制(西川一歩も動けず)。さらには、それから5分もしないで作りだしたチャンスから、夢生のシュートがポストをたたいて跳ね返った球を、またもや遠藤が決めて追加点(西川、真正面のシュートをパンチングで弾くも、無情にもボールはゴールネットへ)。
ということで、前半で2-0とリードした鹿島がそのまま2点差を守りきって快勝~、といいたかったんだけれども。
後半途中にレオ・シルバをさげて永木に替えた途端に、途中出場の興梠にPKを取られるわ、ズラタンのヘディングの跳ね返りを武藤に決められるわで、あっという間に同点にされてしまう。
まぁ、興梠のPKは全速力でペナルティ・エリアに突入してきた興梠が上手かったけれど(引っかけてしまったのはオガサ)、2点目のシーンは駄目。クロスをあげた関根も、ヘディングを打ったズラタンも、そのこぼれ球を決めた武藤も、誰ひとりマークし切れてなかった。追撃弾を受けたことで動揺しちゃったみたいな感じで、いただけない。ああいうのはACLでやったら致命的なので、心してもらいたい。
ということで、残り15分で同点にされてしまい、しかもその時点ですでに攻め手を欠いていたこともあって、あぁ、こりゃPK戦かも……って空気が漂ったのだけれど、そこを救ったのが、今季から背番号9を背負う鈴木優磨だった。
夢生と交替で途中出場して、そこまでこれといった見せ場を作れずにいた優磨は、ロングボールを対処しようとしていた遠藤航に猛然とチャージを仕掛けると、相手が西川へのバックパスで逃げようとしたところで、するっとそのパスコースに入り込み、あっという間に決勝ゴールを決めてみせた。なんだそりゃって思ってしまうような、あっけない勝ち越しシーンだった。遠藤航、痛恨のパスミス。
このシーンにかぎらず、この日はペドロ・ジュニオールが何度も同じような形で、西川に対してニアミスを起こしそうなプレーを仕掛けていたので、チームとしてそういう方針──GKに対しては最後まで球際にしつこく行けみたいな指示──があったのかもしれない。それがあの場面でついに実を結んだのかなと思った。
というわけで、2失点はいただけなかったけれど、結果的にはいい試合になった。少なくても失点の場面以外の守備は安定していて危なげなかったし、攻撃でも回数はさほど多くないものの、何度か分厚い攻めが繰り出せていた。この調子ならば、今年はJ1もACLも期待してよさそうだ。唯一の気がかりはアウェイ・ユニフォームの蛍光ピンクだけって気がする。
そう、この日の試合は両チームともアウェイ・ユニフォームでの対戦だった(大会史上初らしい)。どちらも今季は奇抜な色のセカンド・ユニフォームを用意したので、せっかくだからそれで対戦しましょうってことになったんだろうけれど、おいちょっと待てよって感じ。デザインした人は、奇抜で目立つし、遠目に見ているとピッチに映えていいでしょう?ってつもりかもしれないけれど、僕はとても好きになれない。浦和のイエローもどうかと思ったけれど(FKの壁を作って並んでいるのを見たら、目がちかちかした)、やっぱ鹿島のピンクのほうがひどい。今年のアウェイはすべてあの姿って。とくに海外であれってのは勘弁して欲しかった。
次の試合は来週火曜のACLの開幕戦。スカパーのチャンネル契約で432円で観られるようなので、その値段なら観ないわけにはゆきますまい。
(Feb 18, 2017)