鹿島アントラーズ3-2水原三星ブルーウィングス
AFCチャンピオンズリーグ・準決勝(第一試合)/2018年10月3日(水)/カシマサッカースタジアム/日テレジータス
アントラーズ、悲願のアジア制覇へ向けて一歩──いや半歩前進。準決勝はグループリーグでも戦って、1勝1敗と五分の結果を残している水原三星との再対決。
いやしかし、なんて試合をしてるんだか。
この日はうちの子の二十歳の誕生日で、夕食の席にはごちそうが並んでいたから、祝いの席でサッカーにうつつを抜かしているのも悪いと思って、生放送は観ないつもりでいたんだけれど、あいにく娘の帰りが遅くなって、キックオフの時間になっても帰ってこない。
ならばと遠慮なく観始めてみれば、開始わずか10分たらずで2失点というていたらく。それもどちらもミス絡み。
ホーム&アウェイでの戦いなのに、ホームでの初戦でいきなりアウェイゴールを2つも許すなんて試合、せっかくのお祝い気分がだいなしだ。これ以上観ていられるかと、前半15分でいったん観るのをやめてしまったのですが……。
食事が終わってネットを開いてみたら、なんと鹿島が3-2で勝ってる!
──ということで、あわててつづきを録画で観ることになった。
この日のスタメンはGKクォン、DF内田、チョン、犬飼、山本修斗、MF永木、三竿、遠藤、安部裕葵、FWセルジーニョ、優磨という布陣。
前半わずか2分で許した先制点は、相手がCKからワンタッチで流し込もうとしたシュートを、ウッチーが胸トラップしてゴールに入れてしまったもの。なんでウッチー、ゴールに向かって胸トラップしているんだか。クォンへのパスのつもりだったのかもしれないけれど、クォンはゴールラインより下がっていたので、副審にゴールを宣告されてしまった。
そもそも、鹿島ボールのキックオフだったのに、最初のロングパスをミスってタッチラインを割ってしまい、相手ボールとなったその流れからわずか1分ちょいで先制されるというのは、考えられるかぎり最悪の立ち上がりだ。
その4分後の追加点にしたって、左サイドでプレッシャーを受けた修斗が蹴りだそうとしたボールが、相手にあたってダミヤノヴィッチへの絶好のパスになってしまったものだし。ダミヤノヴィッチは角度のないところから、クォンの脇を抜くようなシュートを落ち着いて決めてみせた。
相手のエースFWへボールが渡ってしまったのは不運だったけれど、あの場面で相手に引っかかるようなボールを蹴った修斗のミスはいただけない。クォンも反応し切れなかったのが残念。ウッチーのオウン・ゴールを含め、どのプレーも不運で致し方ない部分はあるけれど、でも立ち上がりから相手の圧力に押し込められ、おちつきと集中力を欠いた印象があったのが残念だった。
僕はいったんそこで観るのをやめてしまったけれど、試合の流れとしては前半のうちに1点を返せたのが大きかったと思う。
貴重な追撃弾は前半21分。右サイドで華麗なボールさばきを見せたセルジーニョのクロスが相手のオウン・ゴールを誘った。最初は優磨のヘディングが決まったのだと思ったのけれど、リプレイを見たらマークについた相手DFの頭だった(あんなにきれいなオウン・ゴールも珍しかろう)。でもまぁ、あそこに優磨がいたからこその得点だ。優磨のゴールといってもいいと思う。
試合はそのまま後半にはいっても1-2のまま動かず。大岩は裕葵→安西、永木→土居、遠藤→西というカードを切ってゆく。
ここでおもしろかったのは、安部、遠藤という攻撃的MFにかえて、安西、西というサイドバックの選手を起用していること。ボランチの永木をさげて土居を入れた部分だけは攻撃的だったけれど、あとは攻撃力の高いDFを入れることで、守備を重視しつつも反撃を試みるという趣向だったのだと思う。
なんにしろ、後半の鹿島のピッチにはDF登録された選手が6人もいたわけだ。負けている状況で、ふつうはそんな采配、あり得ない。
でも、結果的にはこの大岩采配がずばりとはまる。84分の同点ゴールはピッチに立ったばかりの西がドリブルで攻めあがってセルジーニョにラストパスを通したものだったし、ロスタイムの逆転弾はフル出場したウッチーのゴールだった(CKからのこぼれ球をシュートして止められ、その跳ね返りを二度目のシュートで決めた)。
ウッチーと西という、元日本代表の右SBふたりが同時にピッチに立っていたからこそ実現した逆転劇。大岩監督、お見事でした。
あ、でも危ないシーンはけっこうあった。とくにクォン・スンテがレフェリーの目の前で水原の選手に頭突きをかましたシーンには愕然。あれでよくレッドカードが出なかったもんだと思うよ。危ないったらありゃしない。
そういう意味でもこの日の勝利は薄氷を踏む内容だった。アウェイ・ゴールで2点を許していることもあり、次のアウェイでの第二戦も予断が許さない。安部裕葵もU-19代表に招集されていないみたいだしなぁ。まぁ、そのぶんは安西や土居、永木なんかでバランスを取りながらうまく戦ってくれると信じたい。
さぁ、決勝まであと一試合。アジアの頂点まで残すところ三試合。
(Oct 04. 2018)