U-23韓国2-1U-21日本(延長:2-1)
アジア大会・決勝/2018年9月1日(土)/パカンサリ・スタジアム(インドネシア)/BS1(録画)
A代表監督との兼任が決まった森保一ひきいる五輪代表チームがアジア大会の決勝に進出した。中1~2日での強行日程の大会だから、観るほうも大変でついスルーしてしまっていたけれど、決勝まで駒を進めて、なおかつ相手が韓国となれば、そりゃ観ないわけにはいかないでしょう。
とはいえこの大会、日本をはじめ東京五輪への強化にあてて、U-21代表を送り込んでくる国が多い中にあって、韓国はU-23代表にオーバーエイジ枠でトッテナムのソン・フンミン、G大阪のファン・ウィジョ、W杯で名を上げたGKチョ・ヒョヌの3人を加えて、ガチで勝ちにきている。なおかつ、この大会の優勝には兵役免除の特典がかかっているという。
要するに今大会に限れば、実力・経験・モチベーションのすべてにおいて韓国のほうが上なわけだ。逆に日本は勝てば大金星って状況。もしも本気で勝ちにきている上の世代の韓国に勝てたなら、今後に向けて得るものは非常に大きい。
ということで、森保さんには捨て身での勝利を期待したのでしたが……。
結果は延長を戦っての力負け。90分をスコアレス・ドローでしのげたのは上出来だったけれど、延長をそのまましのぎきるまでの力はなかった印象。先制ゴールを決めたのが五輪世代のイ・スンウだったのも痛かった。今後のことを考えると、いちばん決められたくない相手に決められてしまった感がある。
日本のスタメンはGK小島亨介(早大)、DF板倉、杉岡、原輝綺(新潟)、立田悠悟(清水)、MF長沼洋一(岐阜)、三好、岩崎悠人(京都)、松本、渡辺皓太(東京V)、上田綺世。途中出場が遠藤渓太、初瀬、旗手怜央(順天堂大)、神谷優太(愛媛)の4人。
あいかわらず知らない選手が多い。
メンバー表のままを書き写したので、DFが4人になっているけれど、そこは森保のチームなので、フォーメーションは3バックで、杉岡のポジションが右サイド・ウィングだった。
ボール支配率は韓国が75%とかいう噂で、とにかく日本は守ってばっかという展開。まぁ、森保監督の軸足は守備なんだろうし、前述の通り、今回は実力では相手が上なので、それはもう仕方ないかなと思う。でも疑問が残ったのが選手交替。
この試合、驚いたことに森保は90分間、ひとりの選手も替えなかった。インドネシアだから日本同様、暑いんでしょうよ。しかも中1日や2日での強行スケジュールだ。当然疲労はたまっているはず。なのに90分間、まったく動かずってのはなにごとだと。
最初はなかなか得がたい貴重な試合だから、より多くの経験値を積ませるため、わざと延長戦へ持ち込むって考えなのかと思って、だとしたら森保すごいなーって思ってみていたんだけれど、延長戦に入ってすぐの交替が杉岡(流血してた)を遠藤に一枚替えただけなのを見て、いやちょっと待てと思った。
延長に入れば四枚目の交替が認められているのだから、本気で勝ちにゆくつもりがあるならば、ここは一気に三枚のカードを切って、フレッシュな選手を使って、一気に攻めに出るくらいの采配をふるってくれよと。そんな消極的な采配じゃ、韓国から流れを引き寄せるのは無理でしょう?
そしたらやはり。延長に入るやいなや、原が足を滑らせてソン・フンミンに決定的なチャンスを与える、日本にとっては最悪の立ち上がり。その場面はソンのシュート・ミスで助けられたけれど、そのワンレーで流れはすっかり韓国にいってしまった感があった。はたして韓国の先制ゴールが決まったのは、そのわずか2分後だった。
韓国の追加点も、そのあと途中交替で出てきた初瀬が9番ファン・ヒチャンとのヘディングでの競り合いに負けてのものだった。
競り合いに負けたというか、その場面で初瀬は競り合えてさえいなかった。なんで初瀬はスタメンじゃないんだろうと思っていたけれど、あの守備を見て、ああなるほどと思ってしまった。大事な場面であの守備はない。初瀬はその後CKから上田のゴールをアシストしこそしたけれど、あの失点場面での集中力を欠いたプレーの印象が悪すぎた。
とにかく森保の交替策はまったく効果的だと思えなかった。この大会は国際Aマッチではないから、海外組は呼べていないので、これがこのチームの実力のすべてだとは思わないし、部分的にはいいプレーもあったので、選手たちにはとくに不満は感じなかったけれど、森保の采配にはどうにも疑問を覚えないではいられない一戦だった。
なんかこの試合を観て、森保にA代表を任せて大丈夫か、不安になってきた。うーむ、まだ始まってもいないというのに……。
(Sep 02. 2018)