2021年1月のサッカー

Index

  1. 01/01   川崎1-0G大阪 (天皇杯・決勝)
  2. 01/04   柏1-2F東京 (ルヴァン杯・決勝)

川崎フロンターレ1-0ガンバ大阪

天皇杯・決勝/2021年1月1日(金)/国立競技場/NHK

 2020年シーズンに圧倒的な成績を残した川崎フロンターレが天皇杯にも優勝して、シーズン二冠を成し遂げた元日決戦。
 この日の川崎のスタメンはGKチョン・ソンリョン、DF山根、ジェジエウ、谷口、旗手、MF守田、大島、田中碧、FW家長、レアンドロ・ダミアン、三笘という11人。
 前年のベストイレブンに選ばれた9人――オルンガ、エヴェラウド(祝!)のふたり以外はすべて川崎という驚きのメンツだった――のうち、最終節で鎖骨を骨折してベンチを外れた登里をのぞいた8人+大島、レアンドロ・ダミアン、旗手という構成。
 ――って、改めて大島がベストイレブンに選ばれていなかったことに驚いたりした。まぁ、大島と小林悠は怪我がちだから、フルシーズン活躍していたら、当然候補にはなったんだろうなぁと思う。あと旗手が一時的なのかもしれないけれど、サイドバックにコンバートされていたのも驚き。
 いずれにせよ、川崎のメンバーは今年のJ1ベストイレブンそのものといっていいメンツなわけです。しかもこの試合が中村憲剛にとっては現役最後の試合になってんだから、これで川崎が負けるはずなかろうって、試合前から趨勢が決している感のある一戦だった。
 実際に試合内容も川崎の一方的な内容。スコアこそ1-0と拮抗していたけれど(決めたのは三笘)、ガンバがまともに戦えたのは最後の10分だけ。あとは終始川崎ペースの試合だった。たまにパトリックにボールが入ることはあったけれど、そのほかの宇佐美とか倉田とかはどこにいるんだって感じで、防戦一方だった。よくもまぁ、スコアが1-0から動かなかったもんだよって。そういう試合だった。
 川崎にとって残念だったのは、最後まで1点差の試合になってしまったために、中村憲剛が出番なしで終わってしまったこと。まぁ、点差が開かないと使えないって選手ではしかたないわけだけれども。
 鬼木、あまりに素晴らしい成績を残したので、もしかしたら名監督の器なのかと思っていたけれど、チームの大黒柱に最後の一花咲かせるチャンスを与えてあげられないようではまだまだだなと思った。どうも日本人監督って、サッカーがエンターテイメントだってことを忘れている人が多い気がする。結果より前に、まずは観客がなにを望んでいるのか考えて欲しい。
 まぁなんにしろ、川崎は強かったです。田中碧とか、山根とか、本当にベストイレブンにふさわしいのか疑問だったのだけれど、この日みたいなパフォーマンスを通年つづけていたならば、なるほどベストイレブンに選ばれても不思議はないのかなと思った。
 でも今年はそう好き勝手にやらせないぜ――って。
 とりあえず希望的観測で書いておく。
(Jan. 02, 2021)

柏レイソル1-2FC東京

YBCルヴァンカップ・決勝/2021年1月4日(月)/国立競技場/フジテレビ

 異例ずくめだった2020年シーズンのとりを飾るのはルヴァン杯・決勝。
 本当は例年通り11月開催の予定が、試合の直前に柏にコロナ感染者が出たため延期になり、折からの過密日程のために年内には収まりがつかず、結局年を越してしまうことになった。天皇杯よりもルヴァン杯の決勝があとなんてこと、この先、僕が生きているあいだは二度となさそうな気がする。
 そんなレアな決勝戦を戦ったのは柏レイソルとFC東京。
 賭けるならば川崎の一択って感じだった天皇杯に比べると、どちらが勝つか予想がつかない組み合わせ。リーグ戦の順位は東京が6位で柏が7位でほぼ同等。ただ、昨シーズンMVPに選ばれたオルンガがいる柏に対して、東京はエースのディエゴ・オリヴェイラがACLで怪我をして欠場している。シーズン途中で橋本拳人と室屋が移籍して戦力ダウンした感が否めないし、鹿島目線で考えても去年は柏のほうが苦戦した印象が強い。となると柏有利かなぁと思っていたんでしたが……。
 そんな東京に先制点をもたらしたのがレアンドロだった。
 そうだった、鹿島との試合では鹿島からレンタル移籍中のレアンドロが出場できなかったんだった。もしかして、去年の東京が鹿島に勝てなかったのは、100%の戦力で戦えなかったから?――ってこの試合を観ながら思った。
 あと、この日の東京で注目すべきは森重をボランチ起用してきたこと。橋本の穴が埋まらないがゆえの奇策かと思ったけれど、このボランチ森重が思いのほかよかった。今野や阿部勇樹なんかの例もあるし、三竿も去年はCB普通にやれてたし、優秀なCBとボランチって互換性高いのねって思いました。
 なんにせよ、本来はCBの森重を中盤の底に配したこの日のFC東京は当然のごとく守備力が高い。こりゃこの先制点で逃げ切りかなと思っていたら、そうは問屋が卸さなかった。前半のうちに同点に追いつかれてしまう。相手CKからGKの波多野(林はリーグ終盤に怪我をして離脱中)が大谷と重なってこぼしたボールを、たやすく押し込まれた。なんともイージーな失点。
 まぁでも、あの場面はキーパーチャージの判定があるころなら大谷のファールじゃんってプレーだったし、こぼれ球に一瞬で反応した瀬川が偉かったんだろう。瀬川はこの得点機以外でも随所でいいプレーを見せていたし、レイソルも若いいい選手多いなって思った。
 さて、そんなわけで試合は同点のまま後半へ。こうなると最後にヒーローになるのはオルンガか?――と思ったのだけれど、あっぱれ、この日のFC東京は見事オルンガを抑え込み、最後までほとんど仕事をさせなかった。
 で、しっかりと守る一方で攻撃陣もがんばり、途中出場のアダイウトンがカウンターからのワンチャンスをものにして勝ち越し。これを最後まで守り切って、FC東京が9年ぶりのタイトルをものにした(そんな長いこと勝ってなかったのか)。東京は補強したばかりのレアンドロとアダイウトンのゴールでタイトルを獲ったのだから、今季の補強は成功だったってことでしょう。おめでとうございます。
 なんにしろ、とても拮抗した内容の、なかなか楽しい試合でした。
 巷では新型コロナの第三波で感染者が過去最多を更新してしまい、政府が入場者制限を求めているせいで、天皇杯のスタンドはガラガラだったけれど、この試合は本来11月開催の予定だったから、チケットがたくさん販売されたらしく、二万五千人近くの観客が入っていた。なんか、すごくひさしぶりに大観衆を見た気がする。やっぱお客さんは多いほうがいいよねぇ。しみじみ。
 あと、この試合の解説者は現役を引退したばかりの内田篤人だった。ウッチー初の解説も堂に入ったもの。さすが大物、なにをやらせてもそつがない。
 ということで2020年シーズンはこれにて締め。あと一ヵ月半もしたら、さっさと新しいシーズンが始まる。
(Jan. 05, 2021)