2021年11月のサッカー

Index

  1. 11/03 ○ 広島1-4鹿島 (J1・第34節)
  2. 11/07 ○ 鹿島1-0浦和 (J1・第35節)
  3. 11/11 ○ ベトナム0-1日本 (W杯・最終予選)
  4. 11/17 ○ オマーン0-1日本 (W杯・最終予選)
  5. 11/20 △ 鹿島0-0大分 (J1・第36節)
  6. 11/27 ○ 鹿島1-0鳥栖 (J1・第37節)

サンフレッチェ広島1-4鹿島アントラーズ

J1・第34節/2021年11月3日(水)/エディオンスタジアム広島/DAZN

 今年も残すところあと5節。3位4位の神戸、名古屋との直接対決はすでに終わっているので自力での3位入りは無理。アントラーズがACL出場権を得るには、その2チームが取りこぼすことを期待して、残りすべて勝つしかない。
 でも9月以降の鹿島は連勝なし。勝っては負け、勝っては負けで、白星と黒星がオセロ状態で交互に並んでいる。その流れでゆけば、前節勝ったので今回は負けじゃん?――という嫌な予想をくつがえす大勝に終わった第34節の清水エスパルス戦。
 まずこの試合で驚いたのが、鹿島のGKがクォン・スンテだったこと。沖もベンチ入りしていたから、彼の怪我が理由での交替ではないんだろう。今季限りで退団しそうな功労者のクォンに最後に花を持たせようってこと? 理由はよくわからない。でもまぁ、このまま一度もクォン・スンテを見ないで終ったら、それはそれでさびしかったから、相馬のこの起用には拍手を送りたい。
 GKといえば、対する広島のGKも大迫ではなく林卓人だった。奇しくも五輪代表の座を争った若いGKがこの試合ではどちらもベンチを温めていたわけだ。五輪も終わったし、この終盤戦で大事なのは伸びしろよりも経験値ってことなのか。
 まあ、なんにしろ、そういうわけでこの日のスタメンはクォン・スンテ、常本、関川、安西、三竿、ピトゥカ、ファン・アラーノ、アルトゥール・カイキ、土居、上田綺世の11人だった。
 要するに意外性があったのはGKだけで、そのほかのメンバーは先週の天皇杯・準々決勝とおなじ顔ぶれだったわけだ。
 だからなぜにあんな惨敗を喫した試合と同じメンバーでそのまま戦おうとするかなぁ――という僕の相馬に対する不満は、開始3分のカイキのゴールであっというまに見当はずれの愚痴に変わってしまう。
 ロングボールを広島のDF荒木隼人と競り合った上田綺世がうまくボールを奪い、フリーのチャンスを作ってグラウンダーのクロスを入れる。これにカイキがなんとか追いつき、ぎりぎりのところで足を伸ばしてボールをゴールへ押し込んだ。毎回積極的にゴール前に攻めあがっているのが印象的だったカイキのがんばりがいきなり生きた形。
 さらに28分には常本がゴラッソ。CKから相手DFに跳ね返されたボールが落ちてきたところを足裏でトラップすると、間髪入れずに右足を振り抜いて、ドライブのかかった超絶美麗なシュートをゴール右隅に突き刺してみせた。常本がこんな見事なシュートが打てる人だとは思わなかった。開幕のころは腐してごめん。最近のプレーは文句なしだ。
 まぁ、この2点のリードで気が緩んだのか、その6分後に青山に最終ラインの裏をとられてフリーでクロスを打たれ、エゼキエウにゴールを決められたのは残念だったけど――クォン手にあてるも体勢を崩されて止めきれず――この試合での失点はそれのみ。
 対するこちらは後半に入ってすぐにカイキとファン・アラーノのふたりが見事な連携から追加点を奪ってみせる。
 センターライン付近でボールを奪ったカイキがそのままドリブルで攻めあがってシュートを打つも、やや強引なそのシュートは相手にあたってファン・アラーノへ。でもってそこからファンが芸術的なターンをみせて相手DFをかわして打ったクロスを、すかさずゴール前に走り込んでいたカイキがダイレクトボレーでゴールへ流し込んでみせた。
 なんちゅう見事な得点。こんなプレーを見せられては、相馬がふたりをスタメン起用したのは大正解だったと認めざるを得ない。
 ということで、常本とカイキのゴールはどちらもめったに見られないような素晴らしいゴールだった。でもこの日のクライマックスはそのあとに途中出場の和泉が倒されて、VAR判定により遅れて与えられたPK。ここで自ら願い出てキッカーと務めたのが荒木遼太郎だった。
 荒木は十代での二桁得点まで残り1点としていた。決まれば城彰二以来27年ぶりだというその記録に大手をかけているんだから、記録達成のためにもスタメンで使ってあげてよってのが僕の相馬への不満のひとつだったから、ここでチームメイトがお膳立てしたPKのチャンスを荒木が自ら買って出たのは胸熱だった。
 荒木はこのPKをきっちり決めて記録達成~。城の記録は12点だそうなので、願わくばあと4試合でそこに到達して欲しいところだけれど、でもこの調子だと残りの試合もそんなにプレータイムはそんなにもらえなさそうな……。
 ちなみに和泉にPKを与えたのは広島のほうの荒木で、彼は先制点の場面でも綺世にボールを奪われていたし、鹿島の荒木とは対照的に、この試合では踏んだり蹴ったりだった。PKの直後には交替を命じられて――きっと監督からメンタル的に難しいと判断されたんだろう――あたりをはばからず泣いていた。試合後もまだ泣いていたし、相当悔しかったんだろう。その涙が無駄にならないといいねって。敵ながらちょっと応援したくなった。
 そうそう、広島といえば、なんと監督が変わっていた。城福さんは残り5試合を残して退任。この試合からは沢田謙太郎という人が指揮を取っていた。清水もきょうロティーナの解任を発表したし、なぜにあと一ヵ月しかない状況で降格圏の上にいるクラブが監督を替えるかな。まったく理解できません。
 まぁなんにしろ、ひさびさの連勝で鹿島の順位は5位になった。次節が勝ち点で並ぶ6位レッズとの直接対戦なので、それに勝てば、5位以内はほぼ確定。4位の名古屋との勝ち点の差はわずか2だから射程圏内。3位の神戸との差5はちょい厳しいけれど、4位に入って天皇杯で川崎が優勝してくれれば、ACLに出られる。
 まぁ、なんにせよあとはすべて勝つのが大前提。調べてみたら、なんとこの日の広島から最終節に対戦する仙台までの5チームは、すべて今年鹿島が勝っていないクラブだった。単純に鹿島の勝率から計算すれば、前回勝てなかったんだから、今回は勝てる可能性のほうが高いはずなんだけれど。さてどうなりますか。
 泣いても笑っても残りあと4試合。できれば最後は笑って終わりたい。
(Nov. 04, 2021)

鹿島アントラーズ1-0浦和レッズ

J1・第35節/2021年11月7日(日)/カシマサッカースタジアム/DAZN

 ACL出場権獲得へ向けての第一関門突破! 勝ち点で並ぶ6位のレッズをウノゼロで破り、貴重な勝ち点3を積み上げた一戦。
 いきなり勝った試合にけちをつけるのもなんだけれど、この日もスタメンは前節とまったく一緒だった。勝っているチームをいじるな、というのがサッカーの原則だというけれど、でも中3日での試合というのを考えると、一部は入れ替えたっていいんではない?――と思ってしまう。荒木遼太郎とか、出番が少なくてモチベーション高いんだろうしさ。使ってあげたってよくない?――というか、積極的に使って欲しい。
 ファン・アラーノとアルトゥール・カイキが調子がいいのはわかるけれど、とはいえこの試合では彼らは無得点に終わっているわけで。彼らをスタメンで使う一方、チームで2番目にゴールの多い荒木がベンチを温めている状況はどうにも納得がゆかない。
 だって彼らふたりのゴールをあわせたより、荒木のほうが取った点は多いんだよ? なんでチーム2位のゴールゲッターが3試合連続でベンチスタートなんだって話だ。相馬はいまいち頭が固くて融通が効かない感じがするんだよなぁ。せっかくいい選手がたくさんいるんだから、もっとうまくローテーションして使って欲しいと切に思う。
 まぁ、なにはともあれ勝ててよかった。決勝点となった虎の子の1点は前半36分の土居聖真。右CKをファーで受けた上田綺世が打ったシュート(気味のクロス?)をゴールポストぎりぎりにいた土居がゴールへねじ込んだ。
 決めたのは土居だったけれど、上田のシュートの軌道上には三竿にファン・アラーノ、そして土居聖真と、三人の選手が入り込んでいた。三竿がフリックして、ファン・アラーノが蹴り損ねたボールを最後に聖真が押し込んだ形。カッコよくはなかったけれど、複数の選手が絡んでいるところが好印象だった。
 前半はこのシュートを含めて鹿島のシュート数が二桁を超えたのに対して、レッズはゼロという完璧な内容だった。後半はレッズがボールを支配する展開になってしまったけれど、それでもなんとかしのぎ切った鹿島が、最後は犬飼を入れて3バックにしてそのまま逃げ切り。勝ち点3をものにした。犬飼のほかの途中出場は和泉、荒木、エヴェラウドの3人だった。
 前回の対戦時には明本という思わぬ伏兵にやられたけれど、その後のレッズはキャスパー・ユンカーとアレクサンダー・ショルツというデンマーク人ふたりに、フランス帰りの酒井宏樹、柏の江坂なんかを補強して、さらに戦力が充実しているので、なおさら手強くなっているかと思ったら、意外とそうでもなかった。最初のうちこそハイプレスがきつくて守備のよさが印象だったけれど、その後はこちらがセカンドボールを支配する展開がつづいたこともあって、思ったほどヘビーな試合にはならなかった。
 加入当時は爆発的にゴールを重ねていたユンカーもこのごろはすっかり湿り気味で、この試合も前半だけで交替させられてしまっていたし、酒井宏樹は残念ながら怪我で欠場。かわりにひさびさにスタメンのチャンスをもらった西も、対面の安西に押し込まれまくりでいいところがなかった。前回の対戦で大活躍していた明本は怪我なのかベンチ外だし、小泉も途中出場。なんだかいろいろ上手くいっていない感じだった。
 リカルド・ロドリゲス、去年まで二桁順位がつづいていたレッズを上位争いに食い込ませてきたのでいい監督なんだろうと思っていたけれど、この試合を観る限り、それほどはすごくない? というか、リーグ屈指の資金力を誇る浦和を任されていながら、補強の主力はJ2上がりの選手中心ってあたりに違和感を覚える。
 今年はシーズン途中で杉本健勇を放出したくせに、この試合の終盤には槙野――いつのまにかサブに甘んじていてびっくりだ――を前線に入れてパワープレーを仕掛けてきたりするし、なんだか使うべき選手をきちんと使えてないんじゃなかろうか。
 後半途中から出てきた興梠にしても、今年はすっかり控えにあまんじているから、そろそろ衰えが隠せないのかと思っていたけれど、後半ロスタイムのラストプレーでゴール前に入り込んで見事なヘディングを打ったのをみて、なんだまだまだやれそうじゃんって思った(クォン・スンテが真正面でキャッチした直後に試合終了の笛。あぶねー)。ここぞでああいうシュートが打てる興梠をきちんと使いこなせない時点で、ロドリゲスってじつはレッズにはあってないんじゃないかと思ってしまった。
 そういや、レッズのGKは西川だった。前半戦では鈴木彩艶にスタメンの座を明け渡していた時期があったから、こちらも世代交替かと思ったけれど、その後はふたたびスタメンに定着。この日も素晴らしいセーブをいくつか見せていた。入場前のベンチ裏では西川とクォン・スンテのベテラン名GKどうしが笑顔で握手を交わしあっていたのがしみじみといいシーンだった。
 この試合の裏では名古屋が仙台と引き分けで勝ち点1に終わったため、鹿島との勝ち点の差はゼロとなり、得失点差の多い鹿島が4位に順位をあげた。よしっ! 狙い通り!
 あとはこの順位を守り抜くだけだ。人事を尽くして天命を待とう。
(Nov. 08, 2021)

ベトナム0-1日本

FIFAワールドカップ・最終予選/2021年11月11日(木)/ミーディン・ナショナル・スタジアム@ハノイ/DAZN

 勝ちはしたけれど、得たのは勝ち点3のみって感じだった11月のアウェイ二連戦の初戦、対戦相手はベトナム。実況のトリビアによると、ベトナム人の四割がグェンという苗字だそうで、実際にこの日のフィールドプレーヤーのうち、じつに6人がグェン姓だった。中盤から前は全員グェン。ある意味すごい。
 そんなグェン軍団に立ち向かうこの日の日本代表は、GK権田、DF山根、吉田、冨安、長友、MF守田、遠藤航、田中碧、伊東純也、南野、FW大迫というスタメン。途中出場は浅野、中山、柴崎、古橋、原口だった。
 もうこのメンツを見ただけでため息が出てしまう。アウェイ二連戦となる今回の遠征には前田大然や三笘、旗手らの五輪代表組を招集しているのに、森保は使おうともしないのだから。それどころか前田や旗手はベンチ外だ。なんなんだ、そりゃ。ベンチに入れないならば呼ばなきゃいいじゃん。
 日本の実力からすれば、全敗でグループ最下位に沈んでいるベトナムには負けるほうが不思議なレベルなのだから、絶対に負けられない次のオマーン戦はともかくとして、この試合は新しい選手を試すにはもってこいでしょうに。なのに森保は先月オーストラリアに勝ったときのメンツをほぼそのまま起用してきた。違いはベンチ外の酒井のかわりに山根が入ったところだけ。途中交替で入ってくる選手もお決まりの顔ぶればかり。
 親善試合では異例の全とっかえなんて荒技を厭わないくせして、いざ進退がかかった公式戦になると、まったく新しい選手を使おうとしない。そんな森保の保守的な姿勢にはもうほとほとうんざりだ。
 この日の先制点(にして森保を救うことになった決勝点)は伊東純也。前半17分にカウンターから左サイドを駆けあがった南野からのクロスを、相手DFに足元を削られながらゴールへと押し込んだ。南野のドリブル突破もナイスだったし、それに追いつく伊東のスピードも尋常じゃなかった。
 伊東はそのあとにも笑っちゃうほど見事なゴラッソを決めて見せたのだけれど、そちらは謎のVAR判定で取り消し。審査に何分もかかるような微妙な判定で、あれほどまでに素晴らしいゴールを取り消すなんて、この日の審判員はサッカーが好きじゃないんじゃないだろうか。あり得ない、あんな判定。
 正直このジャッジには森保以上にむかついたので、とりあえず、勝ったことにほっとした。あんな最低の審判団がさばく試合で足元をすくわれなくて本当によかった。
 伊東のシュートはどちらも前半だったから、後半はこれといって記憶になし。かろうじて、後半18分に長友を中山に替えた采配がネガティヴな印象に残っているくらい。怪我でもないのにSBを途中後退させるくらいならば、最初から長友ではなく中山使っておけよなぁと思った。ほんと森保って人は……。
(Nov. 13, 2021)

オマーン0-1日本

FIFAワールドカップ・最終予選/2021年11月16日(火)/スルタン・カーブース・スポーツ・コンプレックス@マスカット/DAZN

 オマーンに雪辱したのを喜ぶべきか、それによって森保体制がつづくことになってしまったのを嘆くべきか――。そんな風に日本代表の勝利を素直に喜べない現状は嫌だなぁと思う今日このごろ。
 この日の先発は先週のメンバーから出場停止の守田を抜いて、柴崎を入れたところが違うだけ。まぁ、森保だからそうくるだろうと思った通りのメンバー構成だった。
 ただ、この日に関しては柴崎の起用がまたもや失敗。ボランチではなくトップ下に入った柴崎は、攻撃的MFとしての貢献度が低すぎた。セットプレーのキッカーを任されこそすれ、そこから得点にいたる気配もなかったし、彼がいた前半は、現状の日本代表最大の武器である伊東の攻め上がりがほとんど見られなかったこともマイナスイメージを強めた。この試合を観る限り、代表のボランチとしての序列は、いまや遠藤航、守田、田中碧よりも下でしょう。この半年足らずで柴崎の株が大暴落してしまった印象なのは本当に残念でしかたない。
 そんなわけで、柴崎を起用したことで芋づる式に自らの株も下げた感のあった森保だけれど、この日はひと味違った。ほとんどいいところがないまま前半を折り返したあと、後半の頭からその柴崎をさげて三笘を起用することにより、一気に試合の流れを変えてみせた。
 いやぁ、三笘はおもしろい。後半最初のプレーでいきなり見せる。ヌルヌルとした独特のドリブルでオマーン陣地の左サイド深くに入り込み、相手DFのファールを誘ってFKを獲得してみせた。
 後半、三笘が入ってから日本代表はあきらかに変わった。彼がドリブル突破を仕掛けるたびに、なにかしら起こりそうなムードが漂った。で、ついに後半36分。そんな三笘のアシストからゴール前に飛び込んだ伊東純也のジャンピング・ボレーが決まって、ようやく日本が先制! そのまま逃げ切ってオマーンとの対戦成績を五分に戻した。
 森保は三笘のあとに長友→中山(またか)、南野→古橋と交替カードを切り、ゴールを決めた直後に伊東を浅野と替え、残り5分を切ってから最後に大迫→原口と替え、計5人の選手を途中交替で起用した。
 まぁ、結局、三笘以外の選手交替はいつも通りって感じで、特に驚きはなかったけれど、それでも三笘ひとりの起用でいつもとはまるで印象が違った。三笘、なんでいままで起用してこなかったのか不思議なくらいの効きっぷりだった。
 というかさ、三笘は五輪でもほとんど出番なく終わったはずなのに、そういう選手をなぜにこの大事な試合で優先して使うんだよって話だ。五輪代表での起用法を踏まえれば、堂安や綺世のほうが優先順位は上なんじゃなかったのか(そもそも林はどうしたんだ)。
 三笘が最近になって突如すごくなったのかといえば、そんなことはないわけですよ。五輪の前、海外移籍する前からJリーグでそのプレーは絶賛されまくっていたんだから、本当にその実力を買っているならば、もっと早い段階でA代表に起用していてしかるべきだったと思う。
 久保建英を代表に定着させるにも時間がかかったし、基本的に森保という人の選手起用の基準が僕にはどうにもよくわからない。そもそもGKのセレクションだって、権田、川島、谷という三人が現状の日本のベスト3かというのも疑問だしなぁ……。
 とにかく森保のやることは、あれもこれも理にかなわないように感じられてしかたない。おかげでどうしても彼に対してポジティヴな気持ちになれない。試合に勝ったあとでこんなにネガティヴなことばかり書かないといられないってだけで森保解任を望むには十分な理由になっている。
 まぁ、とりあえずこの日の勝利でグループ2位に順位をあげたし(1位のサウジとは4ポイント差)、残る4試合のうち3試合がホームなのを考えれば、これでW杯出場を逃したら赤っ恥。つまり最低でもこれからあと一年は森保体制がつづくわけだ(カタールW杯が来年11月開催だということを最近になって知って驚いた)。
 あぁ、このもやもやした気分がまだそんなにつづくと思うと憂鬱だよ。平日午前1時からの試合をわざわざ金払ってDAZNで観ているサポーターをこんな気持ちにさせる日本代表って、もしやオワコンなんじゃなかろうか……。
(Nov. 17, 2021)

鹿島アントラーズ0-0大分トリニータ

J1・第35節/2021年11月20日(土)/カシマサッカースタジアム/DAZN

 もしかしたらと思っていたら不安的中……。
 アントラーズ、降格圏に沈む大分トリニータ相手に得点を奪えず、順位を5位に下げるの巻。
 戦う前から不安を感じていた理由は、今年の鹿島がここまで九州勢を相手に1勝もできていなかったから。福岡にはシーズン2敗を喫し、大分にもこれで2連続スコアレス・ドロー。そして次節対戦するサガン鳥栖には前半戦で負けている。
 つまり九州勢との対戦成績は0勝2分3敗ということになる。鹿島と名古屋では白星は一緒なのに、黒星はふたつ鹿島が多い。勝ち点の差は2だから、要するに九州勢に負け越している分が、そのまま名古屋との成績の差になってしまっているわけだ。なぜにそんなに勝てないんだ……。
 今年は福岡と鳥栖が1桁順位と健闘しているから、この2チームについてはまぁ仕方ないとしよう。でもこの日で降格が決まった大分は駄目でしょう? ACL出場を目指すクラブがそんなところに足をすくわれていていいはずがない。
 この日の鹿島は自分たちがACL出場にふさわしくないってことを自ら証明してしまったようなものだと思う。大分の守備を崩せないようでは、ACLの優勝なんて夢のまた夢だ。
 スコアレスに終わったこの日の鹿島のスタメンは、クォン・スンテ、常本、関川、町田、安西、ピトゥカ、三竿、ファン・アラーノ、和泉、土居、エヴェラウドの11人だった。
 上田綺世は日本代表に呼ばれてチームを離れていたからか、この日はベンチスタートで、エヴェラウドがひさびさのスタメン。でもってカイキはなぜかベンチ外で左サイドは和泉だった。
 エヴェラウドの起用は願ったりなんだけれど、でもなぜ和泉? そこは荒木でしょう? エヴェだって僕はワントップではなく、綺世とのツートップが見たい。そのほうが相手だって怖いと思うんだけれどなぁ……。なんで一度も試してくれないんだろう? 日本代表の森保監督と同じで、相馬も僕が期待する選手起用とは異なる形に固執しているところに、少なからぬストレスを感じてしまう。
 まぁ、この試合に関してはそれほどサッカーの内容が悪かったとは思わない。終始主導権を握って押しまくっていたし。あと一歩ゴールに手が届かなかった。ただそれだけ。後半に途中出場の荒木が打ったシュートがGKの高木に止められなかったり、試合の最後に遠藤が打ったシュートがポストをたたかなかったりしていたら結果オーライだったわけで。でも実際問題として鹿島はゴールを奪えず、順位を下げてしまった。それがすべてだ。
 僕は現時点で攻守に渡ってもっとも信頼できるDFは犬飼だと思っているし、攻撃の核となるのは荒木だと思っている。そのふたりをスタメン起用せずにスコアレス・ドローで終わってしまうような采配をふるう相馬を評価しろといわれても難しい。なまじ前任者のザーゴのときにはそういう不満が少なかったので、相対的になおさら相馬は選手起用が下手に思えてしまう。
 ちなみにこの日、途中出場した選手は荒木、永戸、綺世、犬飼、遠藤の5人。最初の交替で安西を残したまま和泉をさげて永戸(ひさしぶり!)を入れて、安西を攻撃的なポジションにスライドした采配はおもしろいと思ったし、そこそこ有効だったと思う。この日の相馬采配でそこだけはよかった。
 あと、犬飼を入れたのが後半3度目の選手交替だったから、本来ならばそれ以上の交替はできないのだけれど、犬飼は接触プレーで脳震とうを起こした町田との交替だったので、そのあとに4度目の交替で遠藤を追加で入れたのにはちょっと驚いた。
 脳震とうを起こした選手がいる場合は追加で選手交替できるという今季からの新ルールは知っていたけれど、それって交替カードを使い切った後に選手が痛んだ場合に適用されるルールだと思っていたので、今回みたいに所定の回数内で選手を替えることができた場合には適用外かと思っていた。またひとつ勉強しました。
 大分は三竿兄弟の対決が注目ポイントだけれど、そのほかでめだっていたのはブラジル人のペレイラ(なぜかMF登録なのに3バックの真ん中に入っていた)と呉屋くらい(呉屋は攻撃がすごかったというより接触プレーが多くて目を引いた)。あ、あとファインセーブを連発したGKの高木。ほんとそれくらい。終わってみればシュート数は鹿島が20に対して大分2という圧倒的な数字が残っているし、やっぱ1点はもぎ取らないといけない試合だったよなぁ……と思う。
 今節の結果、横浜FC、仙台、そして大分のJ2降格が決定した。大分は片野坂氏がガンバに引き抜かれるという噂なので、来期は新監督のもとJ2で苦労するんだろうなぁと思う。横浜FCも降格が決まってしまったので、さすがにもうこの先カズをJ1で見る可能性はないんだろう。
 そういえば、あたりまえすぎてすっかり書き忘れていたけれど、11月3日の第34節に川崎フロンターレのリーグ優勝が決まった。今年の川崎の成績からすれば、リーグ戦終了の1ヵ月前、残りあと4節というタイミングまで決まらなかった方が意外だった。
(Nov. 21, 2021)

鹿島アントラーズ1-0サガン鳥栖

J1・第37節/2021年11月27日(土)/カシマサッカースタジアム/DAZN

 いやぁ、なんとか九州勢から一矢を報いることができてよかった。
 前回鳥栖と対戦したときにはボール支配率で相手に大きく上回られていたけれど、今回は(かろうじてだけれど)こちらのほうが上だったし、ちゃんと実力で勝ちましたって内容だったと思う。願わくばもう1点奪って安心して観ていられる展開にしてくれればなおよかったけれど――終了間際にシュートを打たれたときにはマジでビビった――まぁ贅沢いっちゃいけない。ここできっちり勝ち点3を取ったことがなにより大事。裏では名古屋が負けたおかげで(C大阪グッジョブ!)順位もふたたび4位にあがったし、次週勝ちさえすれば4位確定! 最終節に向けての楽しみが増えた。
 この日は三竿が出場停止だったので、レオ・シルバがひさびさのスタメン。そして土居ではなく、荒木が入ったのが前節との違いだった。
 荒木が使われたのは嬉しいけれど、でもなぜ和泉ではなく土居がベンチ?――と不満に思った僕が間違っていた。虎の子の1点をアシストしたのはその和泉だった。
 和泉、得点に絡んでみせたのみならず、運動量も豊富で全体的によかった。去年移籍してきて以来のこの2年間でもっとも好印象だった。こういうプレーができるから背番号11を託されたのねって思いました。
 和泉が演出した前半14分の先制点は、左サイドを突破した和泉が相手DFをかわしてふわりとあげたクロスを、上田綺世が打点の高いヘディングで決めたもの。あんなにきれいなヘディングがフリーで決まるのひさびさに見た(もしかしたら相手の守備にも問題があったのかもしれない)。
 前節は攻めまくって無失点に終わっただけに、早めに先制点を奪えたのはとにかくでかかった。後半は土居、遠藤、エヴェラウド、永戸を入れ、最後はこの日も犬飼を入れて3バックで逃げ切った。
 和泉のほかで印象的だったのは安西。前節は永戸が入ってからポジションを一つ上にあげて同じサイドでプレーしていたけれど、この日は永戸と交替で下がったのが常本だったので、そこからは右SBにポジションを移した。でもって、右でも左と遜色がないクロスを上げて見せるから大笑い。すごすぎだろ、安西。左右どちらでもあれだけのプレーができれば、代表に復帰するのも時間の問題だと思うわ。
 鳥栖には8月まで鹿島の選手だった小泉がいて(白崎はレンタルだからか残念ながら不在)、試合終了後に鹿島の元チームメイトたちからもみくしゃにされていた。敵味方にわかれて戦っていても、試合が終われば関係なく笑顔でじゃれあっている選手たちがとても微笑ましかった。
 まぁ、とりあえず勝ててよかった。ちょっと前に5位以上はほぼ確定とか書いたけれど、それは僕のとんだ勘違いで、今節の結果次第では最終的に浦和と鳥栖に抜かれて7位転落という結末もあり得たので。この日の勝利で本当に5位以内は確定。あとは次節に勝って4位で終わるだけだ。
 最終節の相手はJ2降格の決まった仙台だから、順位差を考えれば難しい課題ではないはずだ。そこできちんと勝ちきれないようではACLに出る資格なし(そもそも4位になったところで出られる可能性は5割だけど)。もしも勝てないようなら本気で相馬の解任を考えて欲しい。
 いざ、残すところあと一節。
(Nov. 28, 2021)