2021年10月のサッカー

Index

  1. 10/02 ● 鹿島1-2横浜FC (J1・第31節)
  2. 10/07 ● サウジアラビア1-0日本 (W杯・最終予選)
  3. 10/12 ○ 日本2-1オーストラリア (W杯・最終予選)
  4. 10/23 ○ F東京1-2鹿島 (J1・第33節)
  5. 10/27 ● 川崎3-1鹿島 (天皇杯・準々決勝)
  6. 10/30   名古屋2-0C大阪 (ルヴァン杯・決勝)

鹿島アントラーズ1-2横浜FC

J1・第31節/2021年10月2日(土)/カシマサッカースタジアム/DAZN

 最下位の横浜FCにホームで負けて、ACL出場圏内の3位以内に黄色信号が灯ってしまった一戦。
 この日のスタメンは沖、広瀬、関川、町田、安西、三竿、ピトゥカ、ファン・アラーノ、和泉、荒木、上田の11人、途中出場が土居、松村、エヴェラウド、遠藤、レオ・シルバの3人。
 敗因は前半のうちに横浜FCに2点の先行を許したディフェンスだと思う。瀬古樹{せこたつき}という――23歳にしてキャプテンマークを託された明大卒の――選手に直接FKを決められた先制点は致し方ない。決めた相手が上手かった。まぁ、頭の上を通された関川にはもっとジャンプしようよといいたいところだけれど。
 ただ左CKからファーのジャーメイン良にヘディングを決められた2点目は余計。相手のクロスを安西がクリアしてCKを与えたものだったけれど、そのまま見送ればゴールキックで終わっていたので、あそこで触って失点につながったのは残念すぎた。
 まぁ、あれで安西を責めるのは酷かもしれないけれど、ああいうところで適切な判断をくだせてこそ一流でしょう。安西にはもっと視野を広く持って欲しい。なまじその直前に相手のカウンターからのピンチを沖がファイン・セーブでしのいでくれたので、そのすぐあとの失点はなおさら残念だった。
 いずれにせよ、2失点はどちらも自軍でのファールやクリアで相手にセットプレーを与えたのが原因なので、そういう意味では相手に押し込まれて後手に回った守備に問題あったと思う。犬飼が離脱してからクリーンシートが一度もないというところに、犬飼不在の影響がわかりやすく出ている気がする。
 あと、この日の主審が今村義朗だったのも不運だった。申し訳ないけれど、この人には前半戦の福岡戦でのVAR判定以来、Jリーグでもっとも信頼できないレフェリーというレッテルを貼ってしまっているので、その人が主審だという時点でこの試合には一抹の試合があったし、実際の判定も安定感がなく、それくらい流したってよくない? というシーンで笛がたびたび鳴るし、意図的ではない接触にイエローが出たりもする。結果的に試合のリズムが悪くなって調子が上がらなかったはこの人の影響も少なからずあったと思う。
 鹿島の1点は後半1分の上田綺世。後半開始と同時に途中交替でピッチに立った松村と土居、ふたりの連携から生まれたシュートは横浜GKスベンド・ブローダーセン(東京五輪のドイツの正GKだったの?)に阻まれたけれど、そのこぼれ球を荒木が拾って浮き球のクロスを入れ、これに綺世が頭であわせた。攻撃陣の歯車ががちっと噛みあった見事なゴールだった。その勢いのまま同点、逆転といけなかったのが残念無念。
 ――とかいいつつ、かくいう僕はこの前日に緊急事態宣言が解除されたのを受けて、長年の友人と昼から寿司屋で酒を飲んでいたので(今年初)、帰ってきてすぐのこの試合、ハーフタイムにうつらうつらしてしまい、そのゴールを見逃した駄目男です。偉そうなこと言っててごめんなさい。
 まぁ、鹿島が負けたのは残念だけれど、横浜FCがこの勝利で暫定ながら最下位を脱出したのはよかったんじゃないだろうか。序盤戦は低迷しまくっていたから降格確実かと思っていたけれど、前節ではマリノスとのダービーで引き分けているし、このところ昇り調子っぽい。せっかくカズや俊輔がいるのだし、残り7試合で3勝できれば、残留の可能性もなくはないと思うから、がんばって欲しい。
 とはいえ、後半ロスタイムに俊輔が出てきたのには、いささか複雑な気分になった。日本代表のレジェンドなんだから、もうちょっとましな使い方をしてあげようよ……。
(Oct. 03, 2021)

サウジアラビア1-0日本

FIFAワールドカップ最終予選/2021年10月7日(木)/キング・アブドゥッラー・スポーツシティ・スタジアム/DAZN

 W杯・最終予選の3試合目アウェイでのサウジアラビア戦はあちらとの時差の関係で午前2時キックオフだった。
 このところの日本代表の出来だと、平日のその時間までわざわざ夜更かしをして生で観る気になれなかったので、朝早起きしてDAZNの見逃し配信で観ようと思っていたのに、なぜか午前0時過ぎに寝たにもかかわらず、1時間くらい寝ただけで目が覚めてしまったので、結局生で観た。この眠りの浅さはあきらかに老化の証拠だよねぇ。ほんと若くねぇ。
 いやー、しかし3試合を戦って1勝2敗なんて成績は考えてもみなかった。いまの日本代表の実力ならばカタールW杯は出られて当然って思っていたけれど、どうも雲行きがあやしくなってきた。ほんと柴崎、勘弁してよ……。
 この日のスタメンはGK権田、DF酒井、麻也、冨安、長友、MF遠藤航、柴崎、鎌田、南野、FW浅野、大迫という顔ぶれ。途中出場は古橋、原口、守田、オナイウ、中山雄太の5人だった。
 伊東純也、久保建英、堂安が怪我で欠場ということで、大迫のワントップの下に、浅野、鎌田、南野が並んだ4-2-3-1の形。
 最終予選が始まって以来、初めて南野が戻ってきたけれど、でも左サイドの南野はいまいち存在感不足。トップ下でプレーした鎌田も、大迫に見事なスルーパスを通した場面こそあったものの、その場面以外にはこれといって目立つところがなかった。浅野もスピードはあるんだけれど、まわりとの連携がいまいちで、全体的に効果的な攻めができていたとはいえない。
 大迫には前半に2度の決定機があったものの、鎌田からのスルーパスからの絶好機はGKに止められ、酒井のクロスにピンポイントであわせたボレーは惜しくも枠を捉えられず。やっぱあのふたつを決められなかったのが痛かった。どちらか一方でもゴールネットを揺らしていれば、まったく違う結果になっていたんだろうに……。
 後半の決勝点は柴崎の麻也へのバックパスがそれたところを途中出場の9番にかっさらわれたもの。ツイッターではなんて見事なスルーパスだって揶揄されていた。
 柴崎は前半にも何度かボールロストからピンチを招いていて、もとより印象が悪かっただけに、あのプレーは致命的だった。やっぱボランチの選手がボールを奪われたり、バックパスからピンチを招いたら駄目だって。柴崎はあのワンプレーで自らの代表歴にピリオドを打ってしまうことになるんじゃなかろうか……。ほんと残念。
 いやぁ、それにしても、森保では駄目だろうと思っていたけれど、まさかこれほどまでに駄目だとは……。
 とにかく攻撃のアイディア不足。今回は伊東、久保が招集できなかったのは不運だけれど、でもあの二人だって確固たるレギュラーってわけではなかったのだから、いなかったらいなかったで、ほかの形を見せてもらわないと。なんのためにさんざん選手選考を重ねて3年以上も代表監督を務めてきたのかわからない。
 この試合でいえば、先月の代表戦で怪我をしてクラブではこの一ヵ月ほとんどプレーできていなかった古橋をわざわざ招集して使っているあたりに、どうしようもない引き出しの少なさを感じてしまう。確固たる戦略もなく、いま調子がよさそうな選手をなんとなく並べてみているだけって感じだから、選手たちが全体的に調子を落としていると、どうしていいかわからないんじゃないだろうか。ほんと困ったものだと思う。
 この日の結果で、3戦全勝で勝ち点9としたサウジとオーストラリアとはすでに勝ち点6の差がついてしまっている。
 サウジにはホームで雪辱すれば五分だし、オーストラリアに2勝できれば、2位以内は確保できると思うけれど、逆にいえば、その3試合でひとつでも勝ち点を落とすと悲惨な結末が待っている可能性が大。
 次の試合で引き分け以下ならば森保解任という噂が出ているけれど、その結果を観てからじゃ手遅れってことになりそうなのが怖いよ……。
 来年のW杯からは出場国枠が48に増えるって噂だったので、そうなれば日本がアジア予選を突破できないなんてことはまずなかろうと思っていたのに、いつの間にかこれまで通り32ヵ国のままと決まっていたりするし。
 楽勝だと思っていた最終予選がいつのまにかフランスW杯以来の難関に変わってしまっていてびっくりだよ。
(Oct. 09, 2021)

日本2-1オーストラリア

FIFAワールドカップ最終予選/2021年10月12日(火)/埼玉スタジアム2002/テレビ朝日

 日本代表が勝ったことを喜ぶべきか、森保の首がつながったことを嘆くべきか――。
 まぁ、ここで負けるようだとマジでW杯出場が難しくなってしまうので、まずはよかったかな。オーストラリアはW杯予選ここのところ11連勝中だったというから、とりあえずこの10年間は7戦無敗という相手にそんな連勝記録を更新させずにすんだのは精神衛生上はよかった。
 さて、サウジ戦の敗戦を踏まえて、森保はこの日のスタメンをいじってきた。GKと最終ラインはそのままだけれど、中盤を遠藤航、守田、田中碧の3ボランチにして、その前に伊東純也と南野、そして大迫のワントップという布陣。
 実況ではフォーメーションは4-3-3だといっていたから、ワントップではなかったのかもしれない(そういう違いがいまだによくわからない男)。
 まぁ、いずれにせよ、この試合のポイントは鎌田のかわりに田中碧を入れたこと。ボランチを三枚も使うなんて森保も守りに入ってんなぁと思ったら、この起用が大正解。田中碧、貴重な先制ゴールを決めたのみならず、攻守に効きまくりでした。
 日本の先制点は南野が左サイドからファーへと展開したパスを田中が落ち着いて決めたもの。パスを出した南野も、あのポジションに入り込んでいた碧も偉かった。でもってオーストラリアのディフェンスもちょっぴり緩かった。
 そのまま1-0で勝てば碧様々で、森保はこのさき田中碧に頭上がんないだろうよと思ったら、宿敵オージーはそう簡単には勝たせてくれない。
 後半、ゴール真正面でファールをした守田にPKの判定。さいわいそれはVARで取り消しになったものの、そのため与えられたFKを見事に決められて同点にされてしまう。助かったと思ったら助かってなかった。そのちょっと前に大迫に替えて入れた古橋の頭上を越されたので、ちょっぴり選手交替が仇になった感あり。古橋の背がもうちょっと高ければ……。
 そのままドローか、下手したら逆転負けもあるかも……という試合を救ったのは、そのあと途中交替で出てきた浅野だった。左サイドから思い切りよく打ったループ気味のシュートがポストにあたって相手のオウンゴールを誘う。
 結局この1点が決勝点となって、森保がなんとか解任のピンチを乗り切った。森保、愛弟子に救われるの図。まぁこの先、オマーン、中国、ベトナムのいずれかとドロー以下の試合をしたら、また大騒ぎだろうけれど。ひとまずは日本代表の皆さん、きょうのところはお疲れさまでした。
 そういや、前の試合にいなかったから怪我だろうと思っていた伊東純也は出場停止だったそうで、この試合ではいつも通り躍動していた。やっぱ現状だと伊東は外せない感じ。あと大迫も(また決定機こそ逃していたけれど)きょうはよかった。南野も先制アシストのほか、前の試合よりもよくなっていたし、さすがにホームってこともあって、きょうは全体的に調子はよかったように思う。
 そうそう、この試合でいちばんびっくりしたのが、同点の場面で守田と長友をさげて、柴崎と中山を入れてきた森保采配。なんとこの期に及んで柴崎を使うのかっ!
 そのままドローで終わって解任って運びになるのならば、最後は岳と一蓮托生ってつもりだったのか。だとしたら潔いな。ちょっとだけ森保を見直しました。
 まぁ、なんで二試合連続で最後の交替カードが中山なんだよって思うけど。攻撃のオプション少なすぎだろ。来月のアウェイ二連戦がいまから不安だよ。
(Oct. 12, 2021)

FC東京1-2鹿島アントラーズ

J1・第33節/2021年10月23日(土)/味の素スタジアム/DAZN

 去年につづき、今年も味スタでのFC東京戦をテレビで観た。
 去年と違って今年は緊急事態宣言も解除されたばかりだったし、チケットも取ろうと思えば取れたっぽいのだけれど、二時間もマスクをしたままスタンドでサッカーを観たいかと問われても即答できなかったので、だったらやめとこうと思った。来年は普通に観られるようになっていて欲しいなぁ……。
 さて、この日の鹿島のスタメンは、GK沖、DF常本、関川、町田、安西、MF三竿、ピトゥカ、ファン・アラーノ、カイキ、FW土居、上田綺世という構成。途中出場はレオ・シルバ、荒木、和泉、染野。
 荒木をベンチに置いて、カイキをスタメンで起用してきたところがこの日の相馬采配のポイント。でもって、先制点が生まれるまでは(あまりにカイキに存在感がなかったので)「それって失敗じゃん?」って思っていたんだけれど、前半終了間際にそのカイキのゴールでまさかの先制。結果的には相馬采配ズバリってことになった。
 貴重な先制ゴールはピトゥカのFKからのカイキのヘディング。カイキ、高さはないのにジャストなタイミングで飛んで見事なヘゴールを決めてみせた。ピトゥカのキックも見事だったし、絵に描いたような綺麗なセットプレーだった。
 正直なところ、この日も鹿島の出来はいまいちだったと思うんだけれど、この先制点でずいぶんと楽な展開になった。後半20分には上田綺世にもゴールが生まれて2-0(最初のシュートをGKに止められたのに、そのこぼれ球を自分で打ちなおした綺世えらい。土居のアシストもよかった)。
 今季一度も逆転勝ちがないという噂のFC東京だけに、これで勝負ありって感じだった。その後、途中出場の渡邊凌磨という選手にゴール真正面で見事なボレーシュートを決められて1点差とされたけれど、東京の追撃もそこまで。そのまま1点のリードを守り切って、鹿島が勝ち点3をあげた。
 FC東京は11年ぶりにJリーグに復帰した長友がこの日もスタメン(9月に戻ってきてからはずっとスタメンっぽい)で、鹿島の右SB常本と明治大学の先輩・後輩でのマッチアップが実現したのがちょい胸熱ポイントだった。
 そのほかだと、GKの波多野やレアンドロが不在だったり(レアンドロ、なぜか鹿島戦だといつもいない)、ディエゴ・オリヴェイラが前半だけで足を痛めて交替してしまったりと、不運が重なった感じもあった。そういや高萩を見たものひさしぶりな気がする。長谷川健太監督は今年限りという噂なので、後任がどんな人になるのか、ちょっと楽しみだ。
 鹿島ではエヴェラウドがこの日はベンチ外だった。クォン・スンテがベンチ入りしていたので、外国人枠の都合もあるんだろうけれど、去年あれほどまでに活躍したストライカーがこのまま一年を終えてしまうと思うと不憫でしかたない。永戸や永木もこのところベンチ入りさえしていないようだし、過去に貢献度が高かった選手たちが干されているような状況は少なからず気がかりだ。小泉、白崎、杉岡も移籍しちゃったしなぁ……(うちふたりはレンタルだけれど、正直戻ってくる気がしない)。
 翌日の試合で3位の神戸が名古屋と引き分けて勝ち点61が止まりだったので、6位の鹿島(勝ち点は56)にもまだACL出場権を獲得できる可能性はある(天皇杯もある)。とはいっても、ACLを戦うにはそれなりに選手層の厚さが必要だ。相馬体制でこの先も選手の流出を防げるのか、いまいち心許ない。
 とりあえず、次は水曜日の天皇杯・準々決勝。でも相手が川崎ってのが……。
(Oct. 24, 2021)

川崎フロンターレ3-1鹿島アントラーズ

天皇杯・準々決勝/2021年10月27日(水)/等々力陸上競技場/BS1

 あぁ、やはり川崎には勝てなかった。これで今年は3戦全敗。リーグ戦ではそこそこ善戦していた印象だったけれど、今回は完敗だった。現時点での実力の差をまざまざと見せつけられた。ぐうの音も出ねぇ……。
 この日のアントラーズのスタメンは土曜のFC東京戦とまったく一緒――って、この時点で、あ、きょうはもしかして駄目じゃん? と思った。
 だって中3日だよ? タイトルへあと3勝って大事な試合なのだから、そこはフレッシュな選手を使ってくれないと。僕はファン・アラーノとカイキよりは、荒木とエヴェラウドのほうが上だと思っているので、前の試合でも使わなかったそのふたりにベンチを温めさせておいて、前の試合と同じスタメンで臨んだ相馬にまったく共感できない。
 まぁ、確認したら川崎も日曜の清水戦とまったく同じスタメンで、あちらは中2日とさらにきつい状況だったけれど、あちらとこちらではチームの熟成度が違う。
 いやぁ、マジで違うわ。川崎が長短のパスを惚れ惚れするような精度でつないでゆくのと比べてしまうと、こちらはミスパスだらけの肉弾戦サッカーって感じ。もう優雅さがだんち。こんなんで勝てるわけないじゃんって思ってしまった。
 そんな川崎相手にこの日は前半30分にセットプレーから先制点を許してしまう。川崎の左サイドからのCKがマルシーニョと競り合った町田のオウンゴールを誘う。リプレイを見てもどちらのゴールだかよくわからないほど際どいプレーだったので、この失点で町田を責める気にはなれない。あれは脇坂のキックが見事だった。
 脇坂は後半に入ってからもシュート性のクロスでびっくりするような旗手のヘディングシュートを誘発してみせたり、自らのミドルで3点目を奪って見せたりと、MVPに意義なしの大活躍だった。リーグ戦で鹿島と対戦した時には出番がわずかだったので、今年はいまいち伸び悩んでいるのかと思っていたら、とんでもないじゃん!
 というわけで、後半6分までに3-0とされて観戦意欲がだだ下がり。後半途中から試合はそっちのけで昼間に届いた新しいiPhoneのセットアップを始めてしまった。
 この日はキックオフが午後6時で、仕事が終わったら間髪入れずにサッカーだったし、試合後にはこの感想を書くつもりだったから、セットアップは翌日に持ち越そうと思っていたんだけれど、こんな試合の愚痴を書くためにiPhoneのセットアップを後回しにできるかよって話だ。ほんとやれやれだよ。
 鹿島の1点は途中から出てきた荒木のヘディング。相手のクリアボールがたまたま荒木の頭にあたってシュートになっちゃいました、みたいなゴールだった。まぁ、ややラッキーだったけれど、それでも途中出場で結果を出すあたりはさすが。だからスタメンで使っとけよって話だ。
 そのほかの途中出場は和泉、遠藤、エヴェラウドの計4人。負けてるくせに交替枠を残して終わる相馬にはほんとがっかりだ(鬼木はちゃんと5枚使っている)。エヴェラウドを綺世と交替で入れるから、僕がずっと見たいと思っている綺世とエヴェのツートップは実現しないし。負け試合でエース・ストライカー下げてんじゃないよ、ほんと。
 相馬がザーゴのあとを引き継いだ結果、守備が安定してセットプレーの精度が上がったのは認めるけれど、でも相馬がよかったのはその二点のみって気がする。やっているサッカーは断然ザーゴのほうば僕にはおもしろかった(いまいち勝てなかったけど)。
 なんにしろ、勝利至上主義で、つまらなくてもいいから勝てば官軍というのが鹿島のサッカーだとするならば、勝ちきれない相馬のいまのサッカーは鹿島のサッカーとは呼べないんじゃなかろうか。本気でリーグ制覇を狙うならば、相馬監督は今年限りにしておいたほうが無難な気がする。川崎に鬼木がいる限り、相馬で勝てるイメージがわかない。やっぱザーゴの解任は早計だったんじゃないかなぁ……。
 いやしかし、ほんと鬼木のすごいこと。三笘や田中碧がシーズン途中で抜けて失速するかと思いきや、大卒ルーキーの橘田や新外国人のマルシーニョがちゃんとその穴を埋めて、素晴らしいサッカーを持続している。まさかかつてはアントラーズの選手だった監督がこんなにもぶ厚い壁となって行く手に立ちふさがるとは思ってもみなかった。
 鬼木達ひきいる川崎フロンターレの黄金時代はいつまでつづくのか――。
 Jリーグとかかわるすべての人は、当分この命題から逃れられそうにない。
(Oct. 28, 2021)

名古屋グランパス2-0セレッソ大阪

YBCルヴァンカップ・決勝/2021年10月30日(土)/フジテレビ

 今年のルヴァン杯は名古屋グランパスの初優勝で幕を閉じた。
 ――って名古屋ってカップ戦で優勝したことがなかったのか! そのほうがびっくりだわ。
 名古屋とセレッソ、リーグ戦での現時点での成績は3位の名古屋に対して、セレッソは12位と、やや開きはあるけれど、今年は1位2位の川崎とマリノス以外はどんぐりの背比べの感があるので、今回のルヴァン杯はどっちが獲るか予想がつかなかった。
 実際にこの両チームは3日前にも天皇杯・準々決勝で戦っていて、その試合では3-0でセレッソが快勝している。
 名古屋はその前の週にACLで韓国へ遠征した関係で、感染症予防の隔離期間が明けないためにホテルに缶詰めにされていたというし、試合後のヒーローインタビューでMVPの稲垣が「絶望的な2週間を過ごして」みたいなことを言っていたけれど、ACLを敗退して、J1では神戸と引き分け、天皇杯でも負けてと、いいところがないまま、この決勝に臨んでいたわけだ。
 解説のウッチーが「そういうときはずるずると負けてしまうものなんですけど」といっていたけれど、よくぞこらえてセレッソの攻撃をしのぎきったよなと思う。今季クリーンシートで終えた試合数のリーグ新記録を更新したという守備力はだてじゃなかった(なのになぜACLでKリーグのクラブ相手に3点も取られるんだ……)。
 試合は0-0で前半を折り返したあと、後半2分に相馬のCKから前田直樹のヘディングが決まって名古屋が先制(本人いわくヘディングは珍しいらしい)。
 マッシモ・フィッカデンティ直伝のイタリア式ウノゼロ上等な今年の名古屋にとってはこれでもう勝ったも同然だったのかもしれない。後半30分には途中出場の新外国人、ポーランド代表のシュヴィルツォクがカウンターから打ったシュートのこぼれ球を稲垣が決めて勝負を決定づけた。キム・ジンヒョンもシュヴィルツォクのシュートをよく止めたんだけれどなぁ。稲垣はああいうところで本当にいい仕事するよな。
 実況で紹介されて驚いたのが、稲垣がFC東京のユース出身だという話。丸山といい、米本といい(ふたりとも今日はいなかった)、いまのグランパスの屋台骨をFC東京ゆかりの選手たちが支えているという事実にはいささか微妙なものがある。彼らがいたらFC東京はもっと強かったんじゃないだろうか。まぁ、選手たちにしたら移籍して正解だったってことなんだろうけれど。そんなこといったら、相馬や夢生も鹿島を離れた選択の正しさを証明したってことになるのかもしれないし、古巣のセレッソ相手に戦ってタイトルを勝ち獲った柿谷や木本もしかりだ。
 そう考えると名古屋の選手は外様ばかりだなと思って、あらためてメンバー表を確認したら、この日ベンチ入りした中にはクラブ生え抜きの選手がひとりもいなかった。
 複数のクラブを渡り歩いてきた実力者たちが、日本で三つ目のクラブで指揮をとるイタリア人監督のもとにより集まり、見事な集中力を発揮してクラブに初のカップ戦のタイトルをもたらしたわけだ。それはそれでなかなかドラマチックかも。
 この悔しさをばねにセレッソが天皇杯で優勝したりすると、またもうひとつ別のいいドラマになるんだろうけど、ACL出場枠をかけて順位争いをしているクラブのサポーターとしては、現状だと天皇杯も川崎に獲ってもらって、リーグ4位までが出場権を獲得できる状況がいちばん望ましいんだよな……。
 ということで、残すタイトルふたつは川崎に差し上げます。どうぞシーズン二冠を達成しちゃってくれ。
(Oct. 30, 2021)