Coishikawa Scraps / Football

2025年5月のサッカー

Index

  1. 05/03 ○ 鹿島1-0町田 (J1・第14節)
  2. 05/06 ○ 福岡0-1鹿島 (J1・第15節)
  3. 05/11 ○ 鹿島2-1川崎 (J1・第16節)
  4. 05/17 ○ 鹿島1-0清水 (J1・第17節)
  5. 05/25 ● 横浜FM3-1鹿島 (J1・第18節)
  6. 05/31 ○ G大阪0-1鹿島 (J1・第19節)

鹿島アントラーズ1-0町田ゼルビア

J1・第14節/2025年5月3日(土)15:00~/カシマサッカースタジアム/DAZN

 今季二度目の4連勝! 故障者続出の厳しい状況でこの結果は素晴らしい。

 5月最初のこの試合、スタメンはGK早川、DF津久井、植田、関川、安西、MF三竿、柴崎、荒木、チャヴリッチ、FW田川、優磨の11人だった。

フォーメーションは荒木をトップ下、優磨が左で、チャヴリッチが右の4-2-3-1(前節も同じ)。朗報はレオ・セアラがベンチ入りしていたこと。

 でもその一方で関川が足を痛めて、開始20分で交替してしまった。一度も起き上がることなく担架で運ばれていったあの感じだと、長期の離脱は避けられそうにない。あぁ……。

 でもまぁ、代わりに出てきたキム・テヒョンがしっかりと穴を埋めてクリーンシートで終われたのが不幸中の幸い。いやぁ、ちゃんとCB補強してくれていてよかった。

 決勝点は前半39分。チャヴリッチがドリブルで持ち込み、優磨を経由して右サイドの安西が入れたクロスに田川が左足であわせた。ドカン!

 高速クロスにダイレクトボレー。惚れ惚れするような素晴らしい得点シーンだった。あまりに速くて誰が決めたのかもわからなかった。田川、上手いのか下手なのかよくわからないけど、ようやく移籍後初ゴールが決まってよかった。

 町田は昌子、岡村大八(札幌から移籍してきた)、ドレシェヴィッチ(スウェーデン出身・コソボ元代表)の3バックで、両サイドウィングも中山雄太と望月ヘンリー海輝ひろきというDF登録の選手だったので、実質は5バックのようなものだった。

 こりゃそう簡単に点は取れそうにないなと思っていたから、田川のゴールは本当に貴重だった。サンキュー!

 ということで、前半は1-0で終了。相手に一本もシュートを打たせなかったし、ひさびさにいい出来だった。

 でも後半からは相手が韓国人ふたり――身長194センチのオ・セフンと背番号10のナ・サンホ――を入れてきたことで展開が替わる。町田の攻撃シーンが増えて、最終的なシュート数はほぼ互角になっていた。終盤ミッチェル・デュークが入ってからは、パワープレーで押し込められ、最後は冷やひやな展開に……。

 フル出場した相馬は切れきれで、白崎は後半途中からの出場だった。

 そういえば、去年の町田はロングスローが代名詞みたいになっていたけれど、この日はそのロングスローを入れていたのが相馬だった。

 相馬、ロングスローなんて特技があったのか!――といいつつ、こちらも津久井がロングスローを入れていて、おおっと思った。

 ということで後半からは苦戦を強いられつつも、途中で柴崎、荒木をさげて知念、松村を入れて守備の強度を上げ、残り15分を切ってからは田川をレオ・セアラに替えて、そのままなんとか逃げ切った。

 最後のほうは津久井が足をつっていたし、交替枠を残したまま、優磨とチャヴリッチをフル出場させたのも、次の試合のことを考えるといささか心配だ。

 次節は中2日でアウェイだし、さらに難しい試合になるんだろう。健闘を祈る。

(May. 04, 2025)

アビスパ福岡0-1鹿島アントラーズ

J1・第15節/2025年5月6日(火)14:00~/ベスト電器スタジアム/DAZN

 ゴールデンウィークの連戦をみごと五連勝で駆け抜けたアントラーズに祝福を!

 この日は早川、小池、植田、キム・テヒョン、安西、船橋、知念、ターレス・ブレーネル、優磨、田川というスタメンだった。

 関川はやはり不在で、このところ獅子奮迅の活躍をみせていた津久井もどうしたわけかベンチ外。でもさいわい小池、樋口が戻ってきて、小池が右SBに入った。

 樋口はベンチスタートで、ダブルボランチは船橋、知念の組み合わせ。でもってトップ下には荒木ではなくターレス・ブレーネルが起用された。

 途中出場はレオ・セアラ、松村、三竿、樋口、荒木の5人。

 対するアビスパは奈良が去年の怪我で離脱して以来いまだ戻らず。ドウグラス・グローリ、宮も移籍してしまったので、知っているDFは田代だけだった。

 それでも新加入の安藤、志知らは存在感があったし、上位争いに加わっているだけあって、そう簡単には崩せない。

 攻撃のキーマンは今年も紺野で、それ以外にはとくに目立った選手はいなかった。まぁ、イラン人FWシャハブ・ザヘディのルックスは目を引いたけれども、さいわいこの日は不発。元鹿島勢では今期から加入した名古がスタメンで(一本だけ―際どいループシュート――またはクロスの打ちそこない?――があった)、金森は出番なし、小田はベンチ外だった。

 金明輝(キンミョンヒ)は過去のパワハラ騒動のせいで就任発表時にサポーターから抗議を受けて炎上したりしていたけれど、やはりいい監督っぽい。

 そんなアビスパ福岡とのアウェイでの一戦。

 試合の鍵を握ったのは、前半28分に相手のクリアボールを顔面で受けた田川が交替を余儀なくされたことだった。

 田川はしばらく休めばプレーできそうな雰囲気だったけれど、大事をとってそのまま交替させた。脳しんとうでの交替とはならなかったそうなので、実際にそれほど深刻なダメージはなかったんだろう。

 ということで、田川にかわって思いのほか早めの出番となったレオ・セアラが前半終了間際にペナルティ・エリア内で倒されてPKを獲得、これが決勝点となった。

 倒されたのを見たときにはPK間違いなしだと思ったけれど、リプレイであらためて見たら、意外と微妙だった。でもあの場面はみごと田代の裏をとったレオ・セアラの勝ち。PKも自ら決めて、得点王ランキング単独トップに立つ今季9ゴール目でチームの勝利に貢献した。

 得点はその1点だけだったし、試合内容もいまいちながら、粘り強く戦って勝ち点3をもぎとったという点では、とても鹿島らしい試合だった。

 最終ラインやボランチの顔ぶれを入れ替えながら、4試合連続でクリーンシートを達成しているのがすごい。キム・テヒョンのプレーにも初スタメンとは思えないほど安定感があったし。

 キム・テヒョンは関川と同じ24歳。しかも誕生日が4日しか違わない。もし彼がこのままレギュラーに定着したら、関川が戻ってきても、そう簡単にはスタメンに戻れないかも……。

(May. 09, 2025)

鹿島アントラーズ2-1川崎フロンターレ

J1・第16節/2025年5月11日(日)13:00~/国立競技場/DAZN

 おぉ、6連勝~。

 国立競技場で開催されたアントラーズのホームゲーム。東京都在住の鹿島サポーターとしては観にゆくべきかと思ったんだけれど、現在わけあって節約生活を送っているため、DAZN観戦で済ませた。

 いや、それにしても見事にお客さんが入っていた。なんでも入場者数59,574人は国立で開催されたJリーグの試合としては、改修後は最多、それ以前を含めても、1993年のJリーグ開幕戦につぐ歴代二位の記録なんだそうだ。

 ――って、え? わざわざ建て替えたのに、前よりたくさん入るようになったわけではないの? 逆にそっちのほうに驚いた。

 まぁ、なんにしろたくさんのお客さんが見守るなかで開催された鬼木監督の古巣、川崎フロンターレとの一戦。

 前節のスタメンから、ボランチを三竿・船橋のコンビに替えて、トップ下を荒木に戻し、そしてワントップにレオ・セアラというのがこの日の布陣。

 故障明けのレオ・セアラがようやくスタメンに復帰!――と喜んだのも束の間。

 なんとそのレオさんが後半15分に左太腿を痛めて途中後退してしまう。

 試合後には普通に歩いてスタンドに挨拶していたから、そんな深刻な状況ではなさそうだけれども、筋肉系のトラブルだから、次からはまたしばらくベンチを外れることになるんじゃなかだろうか。だとしたら残念。

 でも災い転じて福となす。前節は田川にかわって入ったレオ・セアラのPKで勝ったけれど、今節はその逆。レオ・セアラにかわって入った田川が殊勲の決勝ゴールを決めてくれた。とてもいい流れがきている気がする。

 一方、八年にわたる鬼木体制に別れを告げた川崎は、今期から長谷部茂利氏を新監督に迎えている。過去二シーズン、リーグ戦では結果を出せていないから、新体制の今期は苦戦必至だろうと思っていたのに、今年のACLEでは準優勝を果たして、長谷部監督でも十分に戦えることを示してみせた。

 で、実際に戦ってみると、やはり手強い。

 キャプテン脇坂がベンチ外、家長、橘田がベンチスタートという状況なのに、最近評判の20歳・高井幸大たかいこうたや同い年の大関友翔おおぜきゆうとら若手の活躍もあり、攻守にバランスのとれた強度の高いサッカーをしてくる。

 ブラジル人エリソンはレオ・セアラを思わせる重量感のあるFWで、マルシーニョもあいかわらずの躍動感だった。キャプテンは丸山、GKはチョン・ソンリョンではなく、ユース代表歴のある山口瑠伊(新宿区出身だとか)。川崎も着々と世代交替が進んでいる。

 ということで、始まるなり、あ、やべー、川崎やっぱり強いと思ったら、あっという間に先制点を許す厳しい展開に……。

 開始わずか7分。こちらから見て左サイドのCK。左SBの佐々木旭がニアに飛び込んできて頭であわせた。

 佐々木は3年前のJ初ゴールを鹿島戦で決めている。調べてみたら、これがJ通算4ゴール目。つまり、そのうち半分が鹿島ということに……。相性よすぎん?

 とにかくJリーグで唯一負け越しているという相性の悪い川崎相手に先制を許す厳しい状況――。

 でもこの日はその逆境を跳ね返すことができたところに今期の違いを感じる。

 同点ゴールは前半ロスタイムの船橋のプロ初ゴール。

 逆転弾は後半途中出場した田川の左足。どちらもアシストは優磨だった。

 船橋は自らドリブルで持ち込んだチャンスから、そのままゴール前でフリーになっていたところに戻ってきたボールを右足でトラップして切り返し、左足で豪快にゴールネットに突き刺した。トラップ余計、ダイレクトで打て――とか思ってごめん。

 田川は優磨から出たDFラインの裏を取る見事なスルーパスに反応して、GKと一対一のチャンスをダイレクトで仕留めた。

 いやぁ、あのシーンは優磨のスルーパスが絶品だった。

 その他の絶好機といえば、松村がセンターライン手前から素晴らしいドリブル突破をみせ、単独でペナルティ・エリアまで持ち込んだにもかかわらず、シュートを打つ直前で高井に止められるというシーンがあった。決めていれば月間最優秀ゴール賞ものだったのに。惜しい。

 試合全体でみると、川崎のバランスのいい守備に手を焼いて、パスを出せずに最終ラインでボールを回しているばかりというシーンが何度もあったし、シュート数は川崎のほうが多くて、内容的には終始劣勢だったと思う。後半のロスタイムが10分もあったので、最後までひやひやの展開だったけれども、このところの連勝を支えている粘り強さはこの日も健在。そのまま逃げ切って6連勝で首位を守った。

 鬼木の采配でおっと思ったのは、後半の頭から三竿と荒木を下げて、知念と松村を入れたところ。確かに交替したふたりは存在感がいまいちだったけれど、それにしても対応が早い。潔いにもほどがある。

 終盤にチャヴリッチ→樋口、船橋→津久井と交替させて、すべての交替カードを切ったあとで、倒れたキム・テヒョンが足をバタバタさせて猛烈に痛がるシーンがあって、まさかこのまま退場かと思ったら、単に強烈に痛かっただけらしいという落ちでひと安心。無事でなによりだったよ。もう故障者はいらない。

 川崎で印象的だったのは家長。後半31分から出てきて、あいかわらずの技術の高さを見せつけていた。

 衰えて若手にスタメンを奪われたのかと思ったら、彼ももう38歳なんすね。いつの間にか、いつ引退していてもおかしくない年齢に……。それじゃあ、この過密日程の中、全試合スタメンってわけいにはいかないなぁと思った。でもやっぱ上手い人は年をとっても上手いなとも思った。

 そういや、小林悠もベンチ外だった。彼らもそろそろ引退間際なんだろう。馴染みの名選手たちが去ってゆくのは、敵であってもちょっとさびしい。

(May. 13, 2025)

鹿島アントラーズ1-0清水エスパルス

J1・第17節/2025年5月17日(土)15:00~/カシマサッカースタジアム/DAZN

 2020年以来、5年ぶりの7連勝~。

 日替わりスタメンの要、この日のボランチは船橋・知念の組み合わせ。すっかり船橋がボランチの柱って感じになってきた(柴崎の心境やいかに……)。

 前節途中交替したレオ・セアラはやはりベンチ外で、ワントップは田川。あと荒木もなぜか欠場で、トップ下にはターレス・ブルーネルが入った。

 最終ラインは引きつづき右に小池を入れた4バック。関川の怪我については「左膝複合靱帯損傷」という難しげな診断結果が公表されている。治療期間は未発表なので、おそらく時間がかかるんだろう。一日も早い復帰を祈っている。

 そのほか、途中出場は樋口、松村、三竿、津久井、柴崎の5人だった。

 対するは3年ぶりにJ1に戻ってきた清水エスパルス。監督の秋葉忠宏という人は市立船橋で鬼木と先輩・後輩だったそうだ。鬼木よりひとつ年下とのこと。

 GKは鹿島ユース出身の沖悠哉だった。清水に移籍したあとは権田の陰に隠れてベンチを温めていた沖が、権田が退団した今季は晴れて正GKの座を射止めて、ここまで全試合出場を果たしている。よかったねぇ……。

 DFは知らない選手ばかりだけれど――ここにも住吉ジェラニレショーンという名前が覚えにくい日本人がいた――ワントップの北川、二列目の乾、カピシャーバら、実力十分な選手がいて、中盤の底にはマテウス・ブエノというトニーニョ・セレーゾみたいなブラジル人ボランチがタクトを振るっている。途中出場で矢島慎也も出てきた。

 この清水が意外と強い。穴がないというか、ゴールを脅かす回数はずっと相手の方が多かった印象。前半のうちにワンチャンスをものにして先制できたから勝てたけれど、内容的には相手の方がよかった。ヒーローインタビューで優磨も「最近の対戦相手ではいちばん強かった」といっていた。

 その優磨の得点は、右のタッチライン沿いからドリブルで切れ込んだチャヴリッチがマイナスで入れたグラウンダーのクロスにあわせた右足のダイレクトボレー。素晴らしい崩しからのナイス・シュートだった。

 でも前半わずか7分のこの得点シーン以外、なにも見せ場がなかった気がする。

 後半途中に津久井が入ったあと、一枚前にポジションを変えていた小池は、柴崎を入れて全カード使い切ったあとで足を釣ってしまい、その後は無理をして最後まで出場していた。知念を三竿に替えたのも、知念が足を釣ったからだったし、このところ足を釣る選手が続出しているのも気になる。鬼木の采配って選手への負荷が高いんだろうか。

 まぁ、ハイプレスを身上とするいまのサッカーだと致し方ないのかもしれない。

 とはいえ、内容はいまいちなのに、それでも勝ててしまうあたりに、かつての強かったころの鹿島ぽっさを感じる。

 残り10分足らずで出てきた柴崎は、まずはスタンドを煽ってみせた。クールなイメージの彼が自らサポーターの声援を求めるところにも、今年の鹿島の違いが表れている気がした。

(May. 19, 2025)

横浜F・マリノス3-1鹿島アントラーズ

J1・第18節/2025年5月25日(日)14:00~/日産電器スタジアム/DAZN

 7連勝中で首位にたつアントラーズと、7連敗中で最下位の横浜F・マリノスという、対照的なオリジナル10クラブどうしの対戦。

 いや、でもこのマリノスの不調にはびっくりだ。次節で今季も半分終了というこの時点で、ここまでわずか1勝って。いくらなんでもひどすぎる。

 あまりの出来の悪さに、新監督として迎えたイギリス人のスティーブ・ホーランドを4月の下旬でさっさと解任。その人の下でヘッドコーチを務めていたオーストラリア人のパトリック・キスノーボにあとを託すも、調子はあがらず。新監督の就任後もひきつづき負けつづけて、現在7連敗中って。そんな話、聞いたことないぞ。

 まぁ、失点はリーグ最多で、得点も最下位争いしている始末。得失点差は断トツ最下位。守っては新加入のトーマス・デンとコンビを組むのが本来はSBの松原だし、去年の得点王アンデルソン・ロペスがここまで1得点で、しかもそれが開幕戦でのゴールだというのだから、苦戦しているのも当然かもしれない。

 この試合、ACLで消化が遅れていた関係で、水曜にも試合があったマリノスは中3日だったし、これはもう鹿島の8連勝は間違いなしかと思ったら――。

 前半30分までに3失点を喫して、ころっと負けました。

 まぁ、連勝が途切れるときなんて、得てしてこういうもんだ。

 この日の鹿島はディフェンスが緩すぎた。3点ともスコアラーへの寄せがまったくなかったし、相手のシュートも上手かった。あまりに気持ちよく決められすぎて、かえってさばさばした気分になってしまった。

 1点目は攻撃を跳ね返したあとのこぼれ球をダイレクトで決めた永戸のミドル。

 2点目、3点目はヤン・マテウス。最初のシュートはカウンターから右サイドで得たフリーのチャンスを落ち着いて決め、二本目はゴール正面からループシュートを放ってみせた。今季ここまで2得点の選手に、こうも見事に決められようとは……。

 マリノスは宮市がまた怪我で離脱中だったりして(なんで彼はあんなに怪我が多いんだろう)いろいろ台所事情は苦しそうだけれど、それでも終盤になって天野やエウレルが出てくるくらい選手層は厚いので、おそらくこのまま降格圏内に沈みっぱなしってことはないだろうと思う。まだシーズンは半分残っているわけだし。

 とにかく、ここまでのマリノスの成績が、あまりのインパクトで、いきなり対戦相手の話ばかりになってしまった。

 対するこの日の鹿島は、早川、小池、植田、キム・テヒョン、安西、三竿、船橋、チャヴリッチ、荒木、優磨、レオ・セアラというスタメン。

 レオ・セアラと荒木がスタメンに戻ってきた一方で、知念がベンチを外れていた。なかなか万全な体制にはならない。

 鹿島の1点は、前半36分のレオ・セアラ。ペナルティ・エリア内で倒れていたところへきた荒木からのパスが足先にあたって絶妙なループシュートになったもので、狙って決めたのではないと思うけれど、早くも二桁得点達成となる貴重な1点だった。ラッキーな面はあったけれど、そこまでの崩しに優磨らも絡んで作ったチャンスだったので、いい得点だったと思う。

 鬼木の采配では、後半の頭から三竿を柴崎に替えて、柴崎・船橋という攻撃的なダブル・ボランチにしたところがおもしろかった。そこからは攻撃も活性化したし。あと2点返して追いつくぜってメッセージとしてよかったと思う。

 ただその後は、荒木→松村、船橋&レオ・セアラ→樋口&田口、チャヴリッチ→溝口と交替カードを使っても、あまり効果的とは思えず。終始ボールを回していたのは鹿島だったけれど、結局後半は無得点に終わってしまい、今季初の2点差での敗戦となった。ここまでの負けはすべて1点差だったので、2点差をつけられたまま、その差を詰められずに終わってしまったのが残念。

 とにかくこの試合は前半の3失点がすべてだ。あんなに簡単に得点を与えていては、そりゃ勝てませんって。さっさと切り替えて、次だ次。

(May. 26, 2025)

ガンバ大阪0-1鹿島アントラーズ

J1・第19節/2025年5月31日(土)18:00~/パナソニックスタジアム吹田/DAZN

 J1も今節で前半戦終了。アントラーズは勝ち点40でみごと首位での折り返し!

 ──と。そんなふうに素直に喜んでばかりもいられない試合だった。

 まずは試合内容がよくない。シュートわずか3本。それでよく勝てたもんだ。

 おまけに後半途中で安西が足を痛めて交替してしまう。

 筋肉系のトラブルっぽいから、おそらくしばらくは戻ってこないんだろう。ここまでチームを攻守の要のひとりとして支えていた彼の離脱は痛すぎる。

 そもそも、去年不動のレギュラーだった4バックのうち、濃野、関川、安西と三人も怪我で戦線離脱してしまうなんて、そんなのあり? こんなに怪我人が多い状態で首位ターンできたのは奇跡的じゃなかろうか。

 この試合のスタメンは前節のメンバーから三竿を柴崎に替えた11人だった。

 柴崎・船橋のダブルボランチという前節後半と同じ形でスタートしたのは今季初――のはず。

 得点はレオ・セアラ。キム・テヒョンからのロングフィードを相手DFと競りあいながらみごとなトラップで受けて、詰めてきたGK一森をかわすため、ちょこんと蹴りだしたボールがそのままコロコロとゴールへと転がり込んだ。

 前節につづいてシュートしたわけではないのに決まったラッキーゴール。――っていや、もしかしたら狙ったのかもしれないけど(だとしたら失礼)。その後も無人のゴールへとボールを追っていたので、あのまま入らなくても難なく蹴りこめていたとも思う。いずれにせよ、あのトラップですでに勝ちだった。お見事。

 それにしても、神戸戦での早川につづき、今回はキム・テヒョンのアシスト。GKや最終ラインからのフィード一本で点が取れてしまうレオ・セアラの得点力は間違いなく今季の強みだ。

 まぁ、とはいってもこの試合ではそのゴールが前半9分。チームの総シュート数3本で、そのうち2本がレオ・セアラってことは、あと1本、誰かが打っただけで、それ以外の時間はずっと守っていたことになる(対する相手のシュート数は16!)。どんだけ劣勢だったんだって話だ。

 まぁ、ガンバは強かった。今季は序盤出遅れたせいでいまいち成績がよくないけれど、宇佐美、ファン・アラーノ(もはや鹿島よりガンバにいる期間のほうが長くなった)、 スウェーデン人FWのデニス・ヒュメットらの前線は強力だし、シーズン序盤に広島からレンタル移籍してきた満田がイスラエル人ボランチ、ネタ・ラヴィとコンビを組む中盤も効果的だった。両SBの黒川と半田陸(23歳)の攻め上がりも効いていたし、中谷と福岡のCBコンビもいい。内容は完全にガンバが上だった。ポストやバーを叩くシュートが二本以上あったし(そのうち一本はファン・アラーノ!)、この内容で負けたら、なかなか受け入れがたかろう。

 でも、勝った鹿島がラッキーだったかというと、そうも言い切れない。

 後半15分に安西が怪我をした場面では、同時にレオ・セアラも股関節を押さえてしゃがみ込んでしまい、急遽の交替を余儀なくされた。おかげでこの場面では津久井、田川、樋口、三竿の4人を一気に投入するという珍しい形になった(ダブルボランチも一気替え)。

 この交替策で疑問だったのは、津久井を左SBで起用したこと。津久井はファーストプレーでクリアしようとしたボールを空振りして、いきなり絶体絶命のピンチを招いていたし、その後も安定感を欠いた。

 聞けば左SBは練習もしたことがないというし、だったら両サイドできるという噂の小池を左にまわした方がよくない? まぁ、ガンバは黒川、ファン・アラーノのいる左サイドの危険度が高いから、そちらを信頼できる小池に任せたかったということなのかもしれないけれど。

 いずれにせよ、安西が抜けるだろう次節以降の両SBの起用法は要注意だ。

 ちなみに津久井は小池復帰後、途中出場するようになってからは、なぜだかずっとヘッドギアをつけて出場していたのに、この日は最初のミスのあとにそれを外した。

 「ミスをヘッドギアのせいにしようと思った」みたいなすっとぼけたことを言っているらしいのだけれど、後半ロスタイムに接触プレーで頭を切って出血したのを見て、あぁ、ヘッドギアをつけたままならば無事だったかもしれないのに……って思ってしまった。とりあえず無事を祈ってます。

 いずれにせよ、チームとして首位に立ってはいるけれど、次節以降はどうなるか予断を許さない。新生・鹿島アントラーズの底力が試される厳しい後半戦になりそうだ。

(Jun. 05, 2025)