Coishikawa Scraps / Football

2025年4月のサッカー

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  1. 04/02 ● 広島1-0鹿島 (J1・第8節)
  2. 04/06 ● 鹿島3-4京都 (J1・第9節)
  3. 04/12 ● C大阪1-0鹿島 (J1・第10節)
  4. 04/20 ○ 岡山1-2鹿島 (J1・第11節)

サンフレッチェ広島1-0鹿島アントラーズ

J1・第8節/2025年4月2日(水)19:00~/エディオンピースウイング広島/DAZN

 開幕戦以来の黒星。やっぱ今季の広島は強かった。

 鹿島のスタメンは早川、濃野、植田、関川、安西、樋口、船橋、小池、チャヴリッチ、レオ・セアラ、優磨の11人。要するに前節と同じだった。

 勝ったら変えるなが定石とはいえ、中3日の過密日程の中でのスタメン固定。これはちょっと気になった。試合終了近くになると、小池や安西が足を釣っていたし、シーズン序盤のこの時期にそんなことで大丈夫かと思った。

 試合は鹿島ペースで始まったのに、先制したのは広島。

 前半22分にジャーメイン良の左サイドの突破から波状攻撃を受け、新加入の前田直輝にゴールを許してしまう。

 前田、移籍が発表されてまだ一週間もしないのに、いきなりフィットしすぎだろー。ほんと手がつけられない活躍ぶりだった。

 広島の最前線はジャーメイン良、前田、そして(本人に罪はないとはいえ)ACL2敗退の原因となってしまったフランス人、ヴァレール・ジェルマンと、全員新加入の選手たちだ。スーパー杯に出ていたアルスランは離脱中とかで、それでもこの完成度。今年の広島はやっぱり優勝候補の筆頭だ。

 この試合では鹿島側には不運もあった。

 前半にゴール前の接触プレーで頭を打って、その後は包帯を巻いてプレーしていたチャヴリッチが、しばらくしてプレーできなくなり交替してしまう。

 いまだ特になんの報道もないから無事だと信じているけれど、すごく心配だった。

 ということで、前半35分からは左サイドに師岡が入った。

 あと、先制を許したあと、鬼木は小池と濃野のポジションをチェンジした。やっぱ濃野よりも小池の守備力を買っているのか、それとも濃野の攻撃力を生かしたかったのか。

 いずれにせよ、SB三人をこの連戦中にフル稼働したつけとして、試合終盤に両SBの小池と安西がどちらも足を釣る事態を招いてしまい、安西はそれで交替になってしまったわけで。次節以降のSBの起用法はもっと考えて欲しい。

 熱戦だったせいか、チャヴリッチだけではなく、早川とかも痛んでプレーを中断するシーンがあり、前半のアディショナル・タイムが12分もあった。そういう点でも、いまいち集中力が削がれる試合展開だったとは思う。

 1点を追う展開ということで、鬼木の用兵はいつもより攻撃的だった。後半途中に船橋を柴崎に替え、さらには田川、三竿、そして松村と荒木を入れてきた(チャヴリッチが脳しんとうしたので、6枚の交替カードが使えた)。

 荒木遼太郎が開幕戦以来の出場!――ってまぁ、出てきたのは87分だからプレー時間は短かったけれど。それでもボールを触ったときには切れのある動きを見せてくれていた。こういうプレーができるならば、もっと長いことプレーするところが見たい。

 ひとつ前の文章では書き忘れたけれど、三竿は前節から復帰している(前節の途中出場は師岡、三竿、田川、松村)。かわりにこのところ知念がベンチ外。あとU-20の代表に招集されていた徳田が骨折してしまって長期離脱を余儀なくされるらしい。残念。

 そういえば、広島も途中出場の中島洋太朗がどこかを痛めて、わずか5分で交替してしまうアクシデントがあった。とくに接触プレーがあったわけではないので、筋肉か関節系のトラブルなんだろう。若手の有望株が次々とプレーできなくなってしまう展開はなんとも残念だ。

 このあともルヴァン杯を挟んで中2日の3連戦がある。怪我人が多いのは心配だけれど、なんとか無事に乗り越えて欲しい。

(Apr. 04, 2025)

鹿島アントラーズ3-4京都サンガF.C.

J1・第9節/2025年4月6日(日)15:00~/カシマサッカースタジアム/DAZN

 まさかの大逆転負けをくらい、ホーム無敗記録が27で途絶えた痛恨の京都戦。

 まずは荒木遼太郎がスタメン!――ってことで盛り上がった試合だった。

 柴崎、松村も戻って、先発は早川、濃野、植田、関川、安西、樋口、柴崎、荒木、松村、レオ・セアラ、優磨という11人。小池が今季初めてスタメンを外れた。あと前節途中交替したチャヴリッチもベンチ外。

 このメンツでの前半は文句なしの出来だった。ゴール前のスペースがないところで、柴崎→優磨→レオ・セアラとパスがつながって生まれた1点目、左サイドのFKから、ファーで植田が右足で折り返したボールをレオ・セアラが決めた2点目とも、見事なゴールだった。

 こちとらホーム無敗記録更新中だし、京都は過去に一度もカシマスタジアムで勝ったことがないという。前半で2-0としたこの状況で、その記録が止まることになるなんて、思ってもみなかった。

 雲行きがあやしくなったのは後半に入ってからだ。

 セイフティーリードで油断したのか、後半頭から三枚替えしてきた曺貴裁チョウキジェの采配が的確だったのか、前半とはうってかわって鹿島のプレー強度が緩くなった。

 なんか不安定だなぁと思って観ていたら、後半18分に失点。原大智に右サイドの突破を許したところから崩され、最後は奥川という選手にこぼれ球を決められた。

 この失点のあとで鬼木が動く。荒木、松村、柴崎をさげて、小池、師岡、三竿を投入。攻守のバランスでいえば、「守」に比重をかけた守りの采配だった。

 でもこれが機能しない。まるで流れが変わらない。結局、その後に相手の9番、ラファエル・エリアスにたてつづけに2ゴールを許して逆転を許すまさかの展開に……。

 うわー、負けかと思った後半のアディショナルタイム。

 師岡が個人技で見事なミドルシュートを決め、なんとかドローに持ち込んだかと歓喜したのもつかの間。そのわずか3分後にラファエル・エリアスにまたもやゴールを許し、ハットトリックを決められてしまう……。

 まさかの大乱戦で鹿島のホーム無敗記録は幕を閉じた。

 去年も2点差をひっくり返された試合が何度かあったけれど、今年は鬼木体制になって、最終ラインは去年から継続したメンバーで安定しているし、そういうことはないだろうと思っていたのに、またもや同じことを繰り返す羽目に……。

 気になったのは関川の守備。リプレイで確認したところ、1点目と4点目は彼がマークにいった選手を止めきれなかったところからの失点だったし、ラファエル・エリアスの最初の2点も関川のマークがはがれていた。

 このところのチームの守備の安定は関川の成長によるところも大きいのだろうと思っていたけれど、この日の出来を見るかぎり、まだまだ日本代表に呼ばれるレベルには達していないんだろうなと思ってしまった。

 鬼木の采配にも疑問が残った。逆転を許したあと、優磨→田川、樋口→キム・テヒョンとカードを切ってきたけれど、連戦の疲れのある優磨はともかく、なぜ負けている状況でDFのキムを投入して3バックにする? その守備的な交替が機能せずに、4失点目を許しての逆転負けだけに、この選手交替は大いに疑問だった。

 あとセットプレーのキッカーを荒木が務めていたのも若干疑問。今期も樋口がキッカーとして素晴らしい精度を誇っているのに、なぜにその樋口ではなく、これまで冷遇してきた荒木?

 2点目は荒木のキックから生まれているから文句をいうのはおかしいかもしれないけれど、これまでとは違うことをしたせいで、チームのバランスが微妙に狂ったのが敗因のひとつのような気がしている。

 まぁ、いずれにせよ鹿島にとっての最大の誤算は、ラファエル・エリアスという決定力のあるFWの存在だった。去年途中移籍してきてからわずか15試合で11ゴールを決めたという得点力は伊達じゃなかった。あれを止められるようにならない限り、世界では戦えない。

 あと原大智もよかった。同点ゴールのアシストを決めたクロスは見事だったし、攻守にハードワークしていて好印象。そしてでかかった。191センチですって。DFのアピアタウィア(入力しにくい名前ランキング上位)も192センチあるそうだし、スタメンに身長190センチ越えの日本人が二人もいるのも珍しい気がする。

 京都には元鹿島の平戸と須貝もいた。1点目のゴールは平戸のシュートの跳ね返りを決められたもので、3点目の逆転ゴールをアシストしたのは須貝だった。

 古巣相手に自分たちも活躍して劇的な勝利をおさめたふたりは感無量だろう。ちくしょうめ。おめでとよ。

 ということで鹿島は痛恨の連敗で暫定首位から陥落。町田、広島に抜かれて3位に落ちた。まぁ、まだまだ先は長いのでいまの順位はどうでもいい。こういう負け方はもう二度としないようお願いしたい。

(Apr. 08, 2025)

セレッソ大阪1-0鹿島アントラーズ

J1・第10節/2025年4月12日(土)15:00~/ヨドコウ桜スタジアム/DAZN

 J2のレノファ山口FCと延長戦まで戦った末に、PK戦で負けてルヴァン杯は二回戦で敗退。はやくも三冠のうちの一冠を失った鹿島は、そこから中2日のこの試合でもいいところなく敗戦。公式戦四連敗のていたらくとなった。

 この日は濃野が欠場。かわりに右SBには小池が入ると発表されていたのに、なにかトラブルがあったらしく、キックオフ直前に選手交替があって、かわりに津久井が先発した。あとは荒木にかわって師岡が起用されたのが前節との変更点。

 対するセレッソは今期からアーサー・パパスというオーストラリア人が監督に就任している。オーストラリアってべつにサッカーの強豪国というわけでもないのに、なぜだかオーストラリア人の監督が多いのがJリーグの七不思議だ。

 メンバーには開幕戦(ガンバとの大阪ダービー)ではスタメンを外れていた西尾、登里が戻ってきていて、前線はルーカス・フェルナンデスに、新外国人のラファエル・ハットン、チアゴ・アンドラーデというブラジル人FWを三枚を並べた布陣だった。

 監督が代わってもブラジル人FWを多用する方針は変わらないらしい。レオ・セアラとカピシャーバがいた去年のほうが重量感はあったけれど、今回のスリートップもけっこうやっかいだった。

 さらには売り出し中の20歳・北野颯太と、ボランチとして成長著しい田中駿太がいる。このチームがなぜ下位に低迷しているのかわからない。

 そんなセレッソを相手に前半こそなんとか0-0でしのいでみせたけれど、後半はもう一方的な展開になる。VARで取り消されたゴール二つを含めて、ゴールネットを許されること5回(すべてオフサイド)にPKひとつ(早川が止めた!)。それでも0-0だったほうが奇跡的だ。

 でもそんな無様な戦い方をした鹿島にサッカーの神様は微笑まない。

 植田がPKストップのこぼれ球をイージーにクリアして、コーナーキックを与えてしまったのが運の尽き。CKからファーに流れたボールをセレッソのDF進藤亮佑に決められて勝負あり。12連勝中だったセレッソ相手に何年ぶりかの黒星を喫した。

 いやまぁ。前節の京都がカシマスタジアムで勝ったことがなかったという話にしろ、今回のセレッソがホームで鹿島に15年勝ててないという話にしろ、なんかフラグが立ってる感はあったんだよなぁ……。こういうときは得てして負ける。

 フラグといえば、前節ラファエル・エリアスにハットトリックを食らったし、今節もラファエル・ハットンという選手がいたので、こりゃラファエルつながりでまたもやゴールを許したりしそうな……とか思っていたら、やはり最初にゴールネットを揺らしたのはそのラファエル・ハットンだった(VARさんが取り消してくれた)。

 ハットンさん、この日は二度もシュートを決めたのに、どちらもオフサイドの判定で取り消され、PKも止められて踏んだり蹴ったりだった。

 まぁ、いずれにせよこの試合は完敗。あれだけゴールネットを揺らされておいて、最終スコアが0-1というのは、ある意味ラッキーじゃんってくらいの出来だった。

 鬼木の采配も当たらなかった。途中出場はチャヴリッチ(無事でなにより)、ターレス・ブレーネル(今季初出場!)、荒木(水曜のルヴァン杯はスタメン)、知念(祝復帰!)、佐藤海宏(今季二試合目)の5人だったけれど、攻撃でこれといった違いを生み出せた人はいなかったし、守備ではターレス・ブレーネルがPKを献上してしまい、佐藤は決勝点の場面でボール・ウォッチャーになっていた。三竿がいるのに若い佐藤を使ったのが間違いだろう。18歳のルーキーを使うには展開がシビアすぎた。

 いずれにせよ二試合連続で試合終了間際に決勝点を許した守備のほころびが問題だ。しかも前節は起死回生の同点弾の直後で、今回は早川の神セーブによるPKストップ後のセットプレーだ。喜んだ直後だけに、がっかり感はんぱなかった。

 ということで、リーグ戦3連敗で順位は一気に8位まで後退。とはいっても首位との勝ち点の差は3だし、まだまだ勝負はこれからだ。

 それにしても今節暫定首位に立ったのが、開幕3連敗で最下位に沈んでいた福岡だってのにびっくりだよ。首位から最下位まで勝ち点差が11しかないし、どうしたわけか降格圏内に沈んでいるF・マリノスやグランパスだって、2連勝すればあっという間に順位は上がってくるはず。今年のJ1は例年に増して先が読めない。

(Apr. 13, 2025)

ファジアーノ岡山1-2鹿島アントラーズ

J1・第11節/2025年4月29日(日)14:00~/JFE晴れの国スタジアム/DAZN

 リーグ戦の連敗は3でストップ。J1初昇格ながら前節時点で4位と善戦しているファジアーノ岡山を相手に4試合ぶりの白星をあげた。

 岡山の好調の要因は守備力らしい。前節まで5失点、クリーンシート6回はともにリーグ1位だ。なんと2試合に1試合は無失点ということになる。

 以前は堅守を武器にに昇格を決めてもJ1では通用しないってパターンが多かった気がするるけれど、最近は昇格したばかりのクラブがJ1でもちゃんと戦えてしまう。鹿島のルヴァン敗退もしかり。年々J1とJ2の垣根が低くなってきているなぁと思う。

 この日の鹿島はレオ・セアラと樋口が欠場。そんな堅守を誇る相手に、開幕から全試合出場をつづけていたチーム得点王とセットプレーのキッカーのふたりを欠いての戦いを強いられた。この状況で逆転勝利をあげたのがでかい。

 スタメンは早川、津久井、植田、関川、安西、柴崎、知念、荒木、チャヴリッチ、師岡、優磨という顔ぶれ。途中出場は三竿、船橋、松村、ターレス・ブレーネル、キム・テヒョンの5人だった。

 試合は基本的に鹿島が押し込む展開だったにもかかわらず、前半は岡山が1点リードして終わる。

 前半のロスタイムに、佐藤龍之介という絶賛売り出し中の18歳のルーキーにミス絡みでゴールを許してしまう。

 佐藤が自らドリブルで持ち込んでチャンスを作った場面。相手のパスミスで攻撃失敗かと思ったら、植田がクリアしようとして蹴ったボールが、プレスをかけてきた佐藤にあたって、そのまま彼のマイボールになってしまう。

 佐藤はこのチャンスを逃さず、早川との一対一をきっちりと決めてみせた。ゴール前でのあの落ち着きはなに? 最近の若い子はほんと上手いな。

 鹿島としては前半の終了間際に、守備の要の植田がミスって失点したのが痛かった。師岡がもらったPKを優磨が止められ、そのこぼれ球を知念が豪快に決めたと喜んだもつかのま、VARが介入して取り消しになるというシーンもあったし、どうにも嫌な流れで、こりゃ4連敗待ったなしかと思った。

 でもこの日はチャヴリッチがやってくれた。後半に1ゴール1アシストの活躍でチームを勝利に導く大活躍。

 同点弾は右SBの津久井が思い切りよく蹴り込んだ高速クロスにダイレクトであわせたもの。逆転の場面では自ら作ったチャンスから、ゴール前にいたターレス・ブレーネルへ優しいパスを通した。

 ふたりとも今季初ゴール。ブレーネルは途中出場してわずか1分でのゴールだった。

 後半の最後はまたキム・テヒョンを入れて5バックにして逃げ切った。

 岡山の監督は木山隆之という人で、以前ベガルタの監督として対戦したことがあるらしいのだけれど、すっかり忘れていた。選手では江坂と立田とブローダーセンと途中出場の一美くらいしか知っている選手がいなかった。あと、噂のルカオ。なるほどフィジカルはレオ・セアラといい勝負かもしれない。

 まぁ、そんなわけでネームバリューが高い選手は多くなかったけれど、でも知っている選手たちはみな質が高く、失点の少なさはチームとしての完成度の高さを証明している。シーズン終了時点でこのクラブがどのくらいの順位にいるのか楽しみだ。

(Apr. 22, 2025)