Coishikawa Scraps / Football

2025年7月のサッカー

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  1. 07/05 ● 川崎2-1鹿島 (J1・第23節)
  2. 07/20 ○ 鹿島3-2柏 (J1・第24節)

川崎フロンターレ2-1鹿島アントラーズ

J1・第23節/2025年7月5日(土)19:00/Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu/DAZN

 今季2度目の3連敗で首位陥落――。

 柏、神戸、京都に抜かれて一気に4位まで順位を落としたアウェイの川崎戦。

 この試合に関しては、スタメンの11人――早川、小池、植田、キム・テヒョン、小川、知念、船橋、松村、溝口、レオ・セアラ、優磨――を見たときに、あ、また負けるかもなって思った。

 だって、なぜに溝口がスタメン?

 チャヴリッチ、柴崎、樋口にベンチを温めさせてまで、DF登録の彼を中盤の攻撃的な位置で使う理由がわからない。ときたま光るプレーを見せることもあるけれど、いまだ得点に絡めていないし、この試合では優磨とぶつかって、あわや怪我かという危ないプレーもあった。まだまだ経験不足の感が否めない。

 そんな彼がなぜスタメン? チームが勝っていて、若手にチャンスを与える余裕がある状況ならばともかく、連敗中に起用するべき選手ではなくない?

 彼がスタメンに抜擢されるようになったのは、安西がケガで離脱して以降で、鹿島は彼が起用されるようになってから、まだ1勝もできていない。

 もとより僕は柴崎や知念より船橋を、濃野よりも小池を優遇する起用方に納得がいっていないので、そこに今度は溝口まで加わって、それで4試合連続白星なしの3連敗なんて成績を残されたら、鬼木に不信感を抱かずにはいられない。

 なんかもうさ、普通にやって欲しいわけですよ。背番号10の柴崎や、昨季7ゴールのチェヴリッチ、去年のベストイレブンに選ばれた知念と濃野にベンチを温めさせておいて、経験値の低い船橋、溝口をスタメン起用して、3試合連続で負けるなんてあり得ない。

 とにかくいまは、普通に戦って欲しい。不用意なコンバートはやめて、DF登録した選手はDFとして使って欲しい。濃野と小池の併用とか、溝口のMF起用とか、ほんと嫌だ。DF登録の選手がフィールドに5人もいる鹿島アントラーズなんて見たくない。

 不出来ながらも、なんとか勝てている間は我慢できていた、そうした采配に対するモヤモヤした思いが、この3連敗で怒りに変わり始めてしまった。

 それにしても、この試合に関しては序盤、高井からプレゼントパスをもらってチャンスを得た優磨が、フリーのシュートを外したのが痛かった。エースたるもの、あれは決めてくれないと……。

 日本代表にも選ばれた若き大黒柱のミスから掴んだチャンスだ。相手の精神的ダメージを考えても、あれは絶対に決めておくべき場面だった。

 高井はこの試合を最後に川崎を離れて、トッテナムへ移籍するという噂だけれど、あんなイージーミスをプレミアでやったら大炎上待ったなしだろう。

 なんにしろ、両チームの中心選手ふたりによるミスの応酬。Jリーグがまだまだ世界に及ばないことの証明のようなシーンだったと思う。

 でもまぁ、その後の鹿島の先制点はよかった。松村がロングボールに反応して、相手DFと競り合いながらジャンプして右足でボールを収め、そのままシュートを打つ選択肢もあったのに、フリーになっていたレオ・セアラにパスを出して、完璧なアシストを決めてみせた。

 松村はなにかと判断力に難がある印象で、積極性があだとなって不用意なシュートでチャンスを潰すイメージが強かったので(実際にこの試合でもそのちょっと前にそういうシーンがあった)、珍しく献身的なプレーで先制点をお膳立てしたこの場面ははとても感動的だった。ゴールを決めたレオ・セアラではなく、彼のまわりにチームメイトの輪ができていたのは、普段から仲間内でもそう思われていた証拠だろう。

 でも、せっかくのこのファイン・ゴールが勝利に結びつかないのが困りもの。

 まずは同点ゴールを許したのが前半ロスタイムのラストプレーってのがよくない。

 同点劇は川崎の左CKから。ファーにいた左SWの伊藤達也が打ったダイレクトボレーが、密集したゴール前の隙間を縫ってゴールに吸い込まれてしまう。なにそれ?

 伊藤はそのちょっと前に接触プレーで足を痛めてピッチの外にいたから、マークがついていなかったとはいえ、あれだけ人がいて止められないのはあまりにもお粗末だ。そもそもあの時間帯にCKを与えるなって話だ。

 殊勲の伊藤は足の怪我でそのまま前半のみで交替することになり、かわりに後半から出てきたマルシーニョに決勝ゴールを許すという皮肉な展開も、まさに負け試合の典型じゃなかろうか。

 後半14分の2失点目は、中盤の底で知念が横パスを受けた際にトラップが乱れた一瞬の隙を狙われ、ボールを奪われたところからのカウンターだった。右サイドの家長が入れたクロスにマルシーニョがフリーで合わせた。

 ボールを奪われたのは知念だけれど、その前から相手のハイプレスに押し込まれて、苦しまぎれに横パスをつなぐことしかできていなかったから、あの失点は相手の圧力に負けたチームの未熟さのせいだと思う。

 逆転を許したあと、まずは、松村&溝口&知念→濃野&チャヴリッチ&樋口と3枚同時替えを行、つづけてレオ・セアラ→田川(祝復帰!)、船橋→柴崎を交替させて反撃を試みるも、この日も2点目のゴールは遠かった。結局そのまま1-2で試合終了の笛を聞くことになった。

 そういや、後半から出てきたジェジエウが突破を図った松村をホールディングで倒してレッドカードを提示されるという場面があったのだけれど、VARが介入してオフサイドの判定を下したため、レッドカードが取り消されれるというシーンもあった。あれがレッドのままだったら……なんて思うのは情けないからやめよう。

 ということで、最初に書いた通り、鹿島は4位まで順位を落とした。柏、京都がこのまま首位争いに絡み続けるかどうかは不透明だけれど、序盤戦苦しんでいた神戸が一気に2位まで順位を上げてきたのは予想外の脅威。まぁ、次節の柏(!)を筆頭に、現時点で上位にいるそれらの3チームとはまだ対戦が控えている。すべて勝てば自力で逆転できるのだから、ここからが本当の勝負だ。巻き返しよろしく。

 次週はE-1選手権があるので休みで、なぜだか今月のJ1はその後1試合しかない。鬼木にはこのインターバルでちゃんとチームを立て直して欲しい。

 E-1といえば、ひさびさに鹿島から早川と植田がA代表に招集された。

 川崎からも山田新と大関友翔が招集されているというので、どれほど活躍しているのかと思えば、ふたりとも今季はここまで2ゴール。この試合にスタメン出場して存在感を発揮していた山田はともかく、20歳の大関はこの日出番なし、今季スタメン2回という選手だよ? 彼らが海外組を押しのけて、来年のW杯に出場する可能性がどれだけあるっていうんだろう。99%ないでしょう? だったら最初から呼ぶなって話だ。森保が監督になってから、A代表の格が下がるばかりだ。

 鈴木優磨を呼ばずして、そういう選手たちを呼ぶ森保が、僕はやっぱり好きになれない。まぁ、優磨は呼ばれても断りそうな気がするし、いまは怪我とかされても困るので、呼ばないでくれてありがとよって気分だけれども。

 そういや、今回はキム・テヒョンも韓国代表に選ばれているそうだ。そちらは素直におめでとうっていっとく。怪我をせずに帰ってきて欲しい。

 日韓戦で早川と植田がキム・テヒョンと対決する可能性もあるけれど、いまだに森保の代表を観ると気分が悪くなりそうなので、あえて観ないことにする。

 でも、しばらく代表から離れていたことで森保への怒りも収まってきたので、来年のW杯は観てもいいかなって気分になりつつある。まぁ、あくまで森保がその大会を最後に退任するという前提だったら、だけれど。

(Jul. 08, 2025)

鹿島アントラーズ2-1柏レイソル

J1・第24節/2025年7月20日(日)18:00/メルカリスタジアム/DAZN

 茨城県立カシマサッカースタジアム改めメルカリスタジアムでの初めての試合は、柏レイソルとの首位攻防戦。

 この日のスタメンは、早川、濃野、植田、キム・テヒョン、小川、三竿、船橋、小池、チャヴリッチ、レオ・セアラ、優磨の11人。途中出場は樋口、松村、田川、知念、津久井の5人だった。

 この4日前に行われた天皇杯3回戦の長崎戦では、CBが千田と津久井、ボランチには柴崎と知念にコンビを組ませて、優磨を温存して、トップ下に荒木を起用するという布陣で戦って勝っているので、この試合でもスタメンをいじってこないかと期待していたのだけれど、鬼木はごくオーソドックスな布陣に戻してきた。まぁ、このメンツがいまいちばん信頼できるということなんだろう。

 逆にいえば、このところ3連敗している布陣とベースは一緒。それで大丈夫なの?――と思った試合は、やはり不本意な展開をみせる。

 いや、前半に2点を先行したのはいい。

 前半9分にセンターサークル付近でのボール奪取からパスを受けたレオ・シルバが、相手GK小島が前へ出てきているのを見逃さず、まさかのロングシュートをゴールへと突き刺す驚愕のゴラッソで先制。39分には左サイドのFKから植田のヘディングが決まって追加点。2ヵ月ぶりの複数得点で、2点のリードを奪ってみせる。

 よし、これであとは前半を無失点のまま終えるだけ――とか思っていたのに、それから5分もせずに失点を許す展開がよろしくない。それもミスからだ。

 ゴール前の混戦でマイボールを捌こうとした船橋が相手にボールを奪われ、そこから小屋松の芸術的なシュートが決まってしまう。

 船橋~、上手くつなごうとなんかせずに、セイフティーに蹴りだしてくれれば、問題なかったのに。まだまだ危機察知能力が足りない。

 結果1点差で始まった後半、途中出場の瀬川にこれまた芸術的なトラップからミドルシュートを許して同点。さらにはその2分後には樋口がハンドでPKを取られる始末(樋口いまいち安定感なし)。

 2点のセイフティーリードを守れず、ついには逆転のピンチに陥るという、直近の連敗と同じような展開に……。

 おそらくこのPKを決められていたら万事休すだった。

 ところがこのPKを蹴った小屋松のシュートはバーの上。これで九死に一生を得た鹿島に、勝利の女神が微笑むことになる。

 後半のアディショナル・タイム。早川のゴールキックが左のサイドラインを割って、プレーが切れたあと。カメラもそこから試合が動くとは夢にも思わずに、ベンチに下がった小屋松の表情を追っている最中、スローインのボールにプレッシャーをかけた田川が、古賀太陽のミスを誘う。

 古賀がGKへと戻そうとしたパスが中途半端になり、それを奪った松村が小島をかわして柏のゴールネットを揺らしてみせた。ミスの瞬間をカメラが追っていなかったため、瞬時にはなにが起こったかわからなかった。青天の霹靂のように降って湧いた突然の決勝ゴール! 松村にとっては鹿島復帰後初! えらいっ!

 ということで、ひさびさに3ゴールを決めた鹿島が首位の柏に競り勝ち、勝ち点44で並んだ両者の順位が逆転した。前節2位だった神戸が勝って今季初の首位に立ったので、鹿島の順位は2位。

 よし!――って喜べるかというとそうでもない。連敗が止まったのはよかったけれど、得点はレオ・シルバの個人技に、ひさびさのセットプレーに、相手のミス絡みで、きちんと崩せた得点がひとつもない。単純にサッカーの内容では相手のほうが上だったと思う。こんな試合をしていたら、優勝は無理だろう。

 でもまぁ、両チーム合計5ゴール、年間最優秀ゴール賞候補入り間違いなしなレオ・シルバのゴールを筆頭に、どれもが素晴らしいゴールばっかりだったし、結末は劇的だったしで、試合としてはとてもおもしろかった。

 いやしかし、レイソルは強かった。フォーメーションは3バックだけれど、イメージは4バックに近くて、原田、古賀、三丸という三枚のうち、真ん中の古賀を軸に二枚を残して、もう片方の選手が再三攻撃に絡んでくる。後半は原田や三丸がペナルティエリアまで入り込んでフィニッシュに絡むシーンが何度もあった。

 両ウィングバックの小屋松と久保藤次郎も技術が高くて危険だったし、この二人に加えてCBの一角が攻撃に絡んでくるのは、かなりの脅威だ。選手層も意外と厚くて、トップ下には小泉佳穂がいるし、途中出場で瀬川、戸嶋、ジエゴ、さらには新潟から緊急補強した小見とかが出てくる。伊達に首位に立っていたわけではないなと思った。

 あとね、この日は細谷が欠場で、垣田のワントップだった。柏の1点目につながるボール奪取は、彼の守備だったらしい。なんと。

 垣田は柏での活躍が認められ、先日のE-1選手権ではチームメイトの細谷、久保ともども、初めてA代表に呼ばれている。鹿島にいたら、代表なんて夢のまた夢だっただろうから、柏への移籍はほんと大正解だったよねぇ……。

 まぁ、正直をいえば、鹿島でスタメンを確保できなかった垣田がなんでA代表なんだよって思わないではいられないんだけれども(ごめん)。

 柏にはほかにも犬飼と仲間がいるけれど、この日は両者ともベンチのまま、出番なしだった。ふたりのプレーが観れなくて残念。

 最後にあとひとつ。この試合でおもしろかったのが、後半の鹿島のフォーメーション・チェンジ。後半34分に三竿をさげて津久井を入れてから、鬼木は3バックならぬ5バックという、なにそれな布陣を引いてみせた。

 いまだ同点なのに守備固めってどういうつもり?――って思ったけれど、両サイドが攻撃力のある小川と濃野だから、それほど守備的ではなかった気がしなくもない。なにより津久井がよかったので、この5バックは意外と印象が悪くなかった。

 でもまぁ、やっぱり4バックが好きなのでね。あまり歓迎はしない。

(Jul. 23, 2025)