Coishikawa Scraps / Football

2025年8月のサッカー

Index

  1. 08/10 ○ F東京0-1鹿島 (J1・第25節)
  2. 08/16 △ 鹿島1-1福岡 (J1・第26節)
  3. 08/23 ○ 新潟1-2鹿島 (J1・第27節)

FC東京0-1鹿島アントラーズ

J1・第25節/2025年8月10日(日)19:00/味の素スタジアム

 去年は国立競技場だったので、2年ぶりに味スタで観たFC東京戦。

 秋春制に移行する来年以降のシミュレーションなのか、7月の後半から試合がなかったので、サッカーを観るのもこれが3週間ぶり。

 とはいっても、両チームとも水曜日に天皇杯を戦っているので、チームとしては中3日の試合。90分で勝ったFC東京はいいけれども、延長を戦った鹿島には不利な状況だった。

 おまけに折からの猛暑で、史上最高気温が更新されるような異常な暑さがつづいていたから、さぞや過酷な試合になるかと思っていたら、運よくか悪くか、この日は雨まじりの曇天で風も強かった。ハーフタイム前から降り始めた雨は後半ずっと降っていたし、暑さの影響はほとんどなかったと思う。

 おかげでメインスタンドの二階席はとても過ごしやすかった。風が吹き抜けて涼しいので、暑さ対策でもっていった扇子も出番なし。逆に汗をかかないせいで、トイレが近くなってしまったのが困りものだった。もう若くないので、涼しい日のビールには要注意だと思った。

 さて、そんなこの日の試合。

 鹿島のスタメンは早川、小池、植田、キム・テヒョン、小川、三竿、船橋、荒木、チャヴリッチ、レオ・セアラ、優磨という11人だった。

 濃野が出場停止だとのことで、コンディション不十分で天皇杯を欠場した小池が右サイドに入った。あとひさしぶりに戻ってきた荒木のスタメン起用が前半のポイント。

 荒木、小川、そして途中出場の田川と、過去にFC東京でプレーしていた選手が3人もいたのは、あちらからすると複雑だろう。

 荒木を起用するときにはトップ下でフォーメーションはワントップのイメージが強いけれど、この日は4-4-2の右で始めて、前半途中(チャヴリッチが削られて傷んだあと)から、トップ下に変えた――ということに、現地では気づかず。あとから見逃し配信で確認しました。おそまつ。ぼーっと生きてんじゃねぇよ。

 まぁ、どちらにしてもこの日の荒木は、鬼木にとって満足ゆく出来ではなかったんだろう。前半のみでお役御免となり、後半の頭からは松村が出てきた。もうひとり、船橋もこの日は前半のみ。後半からは知念・三竿のダブルボランチになった。

 残りの3枚の交替カードは、チャヴリッチ→田川、レオ・セアラ→樋口、三竿→溝口。

 対するFC東京は、キム・スンギュ、長友、ショルツ、岡哲平、室屋、橋本、高、佐藤恵允、俵積田、長倉、マルセロ・ヒアンというスタメン。

 今年はずっと下位に低迷しているだけあって、前回の対戦時にはいなかったキム、ショルツ、室屋、長倉という、シーズン途中で緊急補強した選手たちがスタメンに名を連ねているあたりに苦しい台所事情が見てとれる。

 とはいっても、右に長友、左に室屋という元日本代表のSBが揃っているわけだし、仲川や東が途中出場を余儀なくされるんだから、戦力層は決して薄くない。この試合だって、序盤からたてつづけにマルセロ・ヒアンのシュートを浴びたし、長友や俵積田からのクロスで何度もひやりとさせられた。長友、ひさびさに元気な姿が見られてよかった。

 ということで、2位と14位の対戦ながら、内容はほぼ互角という印象。FC東京との対戦では比較的点が多く入る印象なんだけれども、今回はこのままスコアレス・ドローで終わるかもって内容だった。公式記録だとシュート数はともに8本だから、実際に得点機も多くなかった。

 そんな試合がようやく動いたのは後半が残り10分を切ってから。スローインの流れから、鈴木優磨のスルーパスに抜け出した田川が一瞬のチャンスをものにした。あまりに展開が早くて、誰がなにをしてどう決めたのか、まったくわからなかった。田川のこれまでの3ゴール、どれも素晴らしいシュートばっかりでびっくりだよ。

 ということで、終盤になって雨脚が強くなる中、試合はそのまま鹿島が1-0で逃げ切って終了。裏で神戸が町田に負けたので、鹿島がふたたび首位に立った。

 まぁ、首位とはいっても、2位の柏とは勝ち点で並んでいるし、7位の浦和までは勝ち点6しか差がない大混戦。優勝争いはますます混とんとしてきて予断を許さない。

(Aug. 13, 2025)

鹿島アントラーズ1-1アビスパ福岡

J1・第26節/2025年8月16日(土)18:00/DAZN

 かつてのチームメイトだった名古、奈良がスタメン出場した福岡に後半先制を許しつつも、なんとかドローに持ち込んだホームでの一戦。

 スタメンは早川、濃野、植田、キム・テヒョン、小川、三竿、柴崎、樋口、チャヴリッチ、レオ・セアラ、優磨という11人。途中出場は知念、船橋、松村、エウベル、田川の5人。

 F・マリノスから緊急補強したばかりのエウベルが途中出場したのがいちばんのポイントだ。エウベル、出場時間は長くなかったけれど、すごくよかった。今週移籍が決まったばかりなのが嘘のよう。予想以上にチームにマッチしそうだ。期待大。

 あとは柴崎がひさびさにスタメン出場して、出場停止明けの濃野が戻ってきたのが注目点。小池はやはりコンディションがよくないらしく、ベンチを外れた。

 対する福岡とは、つい先日天皇杯でも延長戦を戦ったばかり(つまり90分で勝てていない)ので、難しい試合になるのかもと思ったら案の定だった。

 試合は前半をスコアレスで終わったあと、後半の5分に碓氷聖生うすいしょうせいという選手にゴールを許す苦しい展開。

 二列目に紺野と名古が名を連ねているのは嫌な感じだけれど、その前にいるワントップの碓井って誰よ? と思っていたら、その誰それな選手に決められてしまった。

 碓井は6月にカターレ富山から移籍してきた24歳の選手で、これが6試合目の出場で3ゴール目。スタメン出場した5試合ではすべてシュートを記録しているし、伊達にウェリントン、ベン・カリファ、岩崎悠人らにベンチを温めさせているわけではないらしい。アシストを決めた藤本一輝というサイドの選手(うちの子と同い年)も序盤に際どいシュートを打っていて、なにげに危険な印象だったし、松岡大起はボランチとして守備面での新境地著しく、そのうしろに控える上島、奈良、安藤の3バックは安定感抜群。こういうチームに先制を許すと苦しい。

 鹿島の選手交替は先制されたあと、まずは柴崎、三竿、樋口を、知念、船橋、松村に一気に入れ替えた。その後の交替はチャヴリッチ→エウベル、レオ・セアラ→田川。

 この日の交替は珍しくポジションチェンジなしで、その後もずっと変わった選手がそのまま前の選手と同じポジションに入る形だった。鬼木になってからは――特にユーティリティ性の高い小池や溝口がスタメンの時には――途中交替のたびに選手のポジションが入れ替わっていたので、こんな風に替わった選手が全員そのまま前の選手のポジションに入るだけってパターンは初めてなんじゃないかって気さえする。

 同点ゴールが生まれたのは、そんな全部のカードを切り終わったあと、後半の39分。鹿島が分厚い攻めを見せてゴール前に攻め込みつつ、決めきれずに終わった直後、相手のクリアボールがペナルティエリア内に落ちてきたところへ船橋が駆け込んできて、ワンバウンドしたボールにボレーで合わせた。これが見事に相手ゴールの左隅に突き刺さる。ためらうことなくシュートを打ちにいった姿勢が素晴らしかった。

 この日はスタメンを外れた船橋だったけれど、今季2点目となるこのゴールで、さすがにボランチのレギュラー争いを一歩リードしたなかって気がする。柴崎は今季いまだゴールもアシストもないしなぁ……。このまま船橋に負けっぱなしで終わらないよう祈ってます。まだ衰えるには早すぎる。

 というわけで、終盤に船橋の貴重なゴールで追いついた鹿島がそのままドローで試合を終了。なんとか勝ち点1だけは積み上げたものの、総ゴール数で上回る京都(なんと!)に勝ち点で並ばれ、2位に後退した。さらには町田が7連勝で勝ち点2の差で4位まで迫ってきているという状況もすごく嫌だ。さらに広島、神戸がその町田と勝ち点で並んでいるというね。状況が鬼すぎる。

 この日の主審はイヴァン・バルトンというエルサルバドルの人で、ちょっとした接触はさらっと流すので、試合のテンポがよくて観やすい印象だった。とはいえ、試合の終盤以降に鬼木と優磨がイエローをもらっていたので、やっている側はいささかストレスを感じる笛だったのかもしれない。

(Aug. 19, 2025)

アルビレックス新潟1-2鹿島アントラーズ

J1・第27節/2025年8月23日(土)/デンカビッグスワンスタジアム/DAZN

 9月に始まるACLの関係で、神戸、広島、町田の3チームは、水曜日に前倒しで第30節を戦った。その結果、破竹の勢いでリーグ戦8連勝を飾った町田が暫定首位という、なにそれな状況に……。

 まぁ、その後にフライデーナイトJリーグを戦った柏が勝って暫定首位に返り咲いたので、町田が首位だったのはわずか2日間だけだったけれど、それにしてもここへきて町田がここまで調子をあげてこようとは……。なんって天皇杯も含めれば、公式戦11連勝。その間の失点がわずか5という、鉄壁の守備力を誇っている。

 鹿島はそんな町田と、次の水曜に、天皇杯・準々決勝で対戦する。

 たぶんその試合を見据えてだろう。鬼木はこの試合のスタメンからレオ・セアラとチャヴリッチを外してきた。

 ということで、この日のスタメンは早川、濃野、植田、キム・テヒョン、小川、知念、船橋、樋口、エウベル、優磨、田川という組み合わせ。チーム得点王のレオ・セアラを温存した作戦が吉と出るか、凶と出るか、注目の一戦だった。

 まぁ、対戦する新潟は現在最下位で、失点数もリーグ一多いので、レオ・セアラ抜きでも勝ち切れるという目論見だったんだろう。

 実際に開始早々に、相手GK田代から舞行龍ジェームズへのパスがずれた隙を見逃さず、エウベルがボールを奪って、優磨へのアシストを決めて先制点をゲット。移籍後初スタメンのエウベルがいきなり結果を出して、幸先のいい滑り出しをみせる。エウベルには自らシュートを打つ選択肢もあったと思うのだけれど、あえて優磨へのパスを選択したフォア・ザ・チームな姿勢が素晴らしかった。

 ただ、早々と先制を決めて楽な展開になったと思ったのに、そのまますっきりと勝ちきれないのが今年の鹿島。それから15分もしないうちに相手と同じようなミスから同点ゴールを許してしまう。

 濃野からの植田へのバックパスが逸れたところをスウェーデン人FWのブーダに奪われ、シュートを打たれる。これは早川が止めるも、そのこぼれ球をブラジル人のマテウス・モラレスに決められた。

 あの場面、植田はあと一歩足を伸ばせば、濃野からのパスを止められたように見えた。ミスなのか、あえてそのまま流して早川に処理させようとしたのか知らないけれど、その隙があだになった形。キャプテンらしからぬ軽率なプレーだった。

 新潟はブーダもモラレスも、この夏に緊急補強した選手。移籍してきたばかりの選手たちがきっちりと結果を残しているのは、今後の残留に向けて好材料だろう。まぁ、6月に樹森監督を解任して、入江徹という人を後任にすえてからは、それまでよりも成績が悪くなっているので、監督交替は悪手だったんじゃないかって気がしてしまうけれど。今年みたいな難しいシーズンに、あせって動いたのは失敗じゃなかろうか。下位に低迷しているのに松橋監督を更迭しないFC東京は正しい気がしてくる。

 なんにしろ、その同点ゴール後は試合は動かず、イーブンのまま前半は終了。

 後半の頭から鬼木は船橋をチャヴリッチに替えて、樋口をボランチに移した。たぶん船橋も天皇杯での起用を踏まえて、早めに下げたんだろう。

 後半24分には田川、エウベルをレオ・セアラ、松村に替えて、勝ちに出る。さらに残り時間が10分を切ってから知念→三竿と替え、待望の勝ち越しゴールが生まれたのは、後半42分。小川が右サイドから思い切りよく蹴り込んだクロスにレオ・セアラがダイレクトで合わせた。

 シュートは相手選手にあたってコースが変わった、ややラッキーなものではあったけれど、途中出場でもきっちりと結果を出すところは、さすがエース。試合後にヒーローインタビューを終えてスタンドに挨拶に向かう際に足を引きずっていたように見えたので、もしかしたらスタメンを外れたのはコンディションの問題だったのかもしれない。水曜の天皇杯は万全であってくださいと祈るしかない。

 試合はその後、濃野を津久井に替えて守備固めをした鹿島がそのまま逃げ切り。ということで、勝ち点を51に伸ばした鹿島が、ふたたび暫定首位にたった。

 ――と喜んでいられたのはわずか一日。試合がその翌日だった京都が勝ったので、一日天下に終わってしまった。さらには前述の町田(引き分けで連勝記録が止まった)をはじめ、柏、神戸の3チームが勝ち点50で並んで、その差1で3位以降につけているというね。なにそれ? 今年の優勝争いは本当に過酷すぎる。

 残留争いに目を向けると、最下位の新潟と今節ようやく降格圏内を抜け出したF・マリノスとの勝ち点の差もいまだ5だから、新潟にもまだまだ残留の目がある。現在J1最北のクラブである新潟には、来年以降の秋春制の是非を占う意味でも、ぜひ残留してもらいたい。

 いずれにせよ、今年は優勝争いも残留争いも、最後まで予断を許しそうにない。

(Aug. 26, 2025)