暗くなるまで待って
デレンス・ヤング監督/オードリー・ヘプバーン/1967年/DVD
ムショ帰りの詐欺師コンビ、マイク(リチャード・クレンナ)とカーリノ(ジャック・ウェストン)が、謎の男ロート(アラン・アーキン)から、昔の仲間が見ず知らずのカメラマンに渡してしまったドラッグ入りの人形を取り戻すよう求められる、というのが話の発端。三人はカメラマンの留守宅に忍び込んで家中家捜しをするが、お目当ての人形は見つからない。困った一味はその男の妻スージー(オードリー・ヘプバーン)が盲目なのに目をつけ、人形の在りかを聞き出すために手の凝った芝居を仕掛け始める。
DVDの昔っぽいパッケージ・デザインが気に入って衝動買いしてしまった作品。最初のうちは集中力を欠いていたため話がよくわからなくて、しかも始まってから20分も主役のヘプバーンが出てこなかったりするし、こりゃ失敗だったかなあと思ったりもした。ところが、いざヘプバーンが登場してからは、おもしろいのなんの。それほど期待していたわけではなかったから、思わぬ拾い物をした気分だった。
とにかくシナリオが素晴らしい。主人公が盲目であるという設定を最大限まで利用しきっている。悪党たちが仕掛ける芝居が、彼女が目が見えない故に破綻してゆく過程のスリリングさはかなりのものだ。いくつもの伏線の張り方も見事で、人形の在りかがわかる場面や、スージーがマイクに騙されていたことを悟る場面など、あまりの上手さに思わず唸ってしまった。ラストの駄目押しにも結構マジで驚かされた。ヒッチコックばかりが上質のサスペンスを作っていたわけじゃないんだなあと感心させられた一作だった。こういう映画が何気なく存在しているのを見ちゃうと、もっともっと古い映画をたくさん見たくなる。
(Jan 08, 2004)