貧しさゆえ旅芸人ザンパノ(アンソニー・クイン)に売られ、その妻となったジェルソミーナ(ジュリエッタ・マシーナ)。つたない芸で夫の手助けをしながら旅を続ける彼女だったけれど、自分を無視して平気でほかの女と関係を持つザンパノに我慢がならなくなり、ある日ついに逃げ出してしまう。それでも生活力のない彼女のこと、ほどなくザンパノに見つかってもとの鞘に戻ることに。
やがて二人はとあるサーカス団に加わることになるのだけれど、そこにはザンパノと犬猿の中の綱渡り師がいた。ジェルソミーナに哀れを感じた綱渡り師は以前に増してザンパノを挑発するようになり、やがて二人の喧嘩は警察沙汰となって、ともにサーカスを追われる羽目に陥る。サーカスと綱渡り師の両方から、これを機にザンパノと別れて自分たちと一緒に来ないかと誘われたジェルソミーナ。しかし、悩んだ挙句に彼女が選んだのはザンパノだった。
全映画史上、トップテンに入るとの噂もあるイタリア映画の古典。普段はほとんどハリウッド映画しか観ない僕だけれど、この作品に関してはソウル・フラワーの中川、伊丹のご両人が大好きな映画にあげていたから観てみた。
でも残念ながら僕にはこの手の映画に感動する感性はないらしい。まったくといっていいほど胸に響かなかった。この映画よりも 『サウンド・オブ・ミュージック』 の方がおもしろいと感じてしまうなんて、どうにもこうにも俗物かなとも思う。まったく方向性の違うこの二本の映画を比べても仕方がない気もするけれど。
あまり楽しめなかった理由のひとつは演出や風俗描写の古さのせいにもあると思う。初めの方でザンパノとジェルソミーナが大道芸でコントを演じる場面があるけれど、いったいこれのなにがおもしろいんだと不思議になってしまった。まるで昔の日本映画を見ているみたいだった。54年というのはヒッチコックの 『裏窓』 と同じ年だ。とはいえ、この両者が同じ年に公開されたと言われてもピンとこない。それくらい僕にはこの映画が古めかしく見えた。
加えてジュリエッタ・マシーナの年齢設定が全然わからなかったのにも戸惑わされた。調べてみたところ当時33歳だったようだけれど、作品上はそれらしい説明もないし、ルックス的にかなり年齢不詳な人なので、ザンパノとの関係をどう受け取っていいのか、どう受け取るべきなのかがきちんと把握できなかった。
過去に観た数少ないイタリア映画のひとつであり、名作と評判の 『ニュー・シネマ・パラダイス』 もいまひとつ馴染めなかったし、どうにも僕はイタリア映画と相性が悪いのかもしれない。
(Feb 08, 2004)