サボタージュ
アルフレッド・ヒッチコック監督/シルヴィア・シドニー、ジョン・ローダー/1936年/イギリス/BS録画
主人公シルヴィア・シドニーは幼い弟とともにイギリスに渡ってきたアメリカ人女性。年の離れた映画館経営者(オスカー・ホモルカ)と結婚しているけれど、夫が金で雇われてテロ行為を働いていることを知らない。彼女に好意を寄せる向かいの果物屋の店員(ジョン・ローダー)は、彼女の夫を見張るために身分を偽っている刑事だった。そのことを知って身動きが取れなくなった夫は、自らの使命を果たすため、彼女の弟を騙して爆弾を運ばせる……。
後半のストーリー展開がどんでん返しの連続。それもヒッチコックらしい、かなりシニカルなものだ。「マジですか?」と問いかけたくなるような展開が続いてびっくりさせられた。ある意味とても現代的な話だと思う。いやはや、一時間半に満たないこんな小品でも、しっかりその持ち味を見せつけるヒッチコックには脱帽だ。
主演のシルヴィア・シルバーという女性は、どうやら晩年に『マーズ・アタック!』で火星人の撃退法を人類に知らしめるお婆さん役を演じることになるらしい。この映画の茫然自失とした姿からはちょっと想像しにくいけれど。
(Mar 05, 2006)