三十過ぎのちょっぴり太めな──よく言えばグラマラスな?──独身女性に思いがけず巡ってきたハンサムな男性二人との三角関係をコミカルに描くロマンティック・コメディ。
「等身大の女性の本音を赤裸々に語って熱い共感を得た」みたいな肩書きがつくタイプの映画だと思うのだけれども、ところがこの主人公のブリジットさん、酒はがぶがぶ、タバコぷかぷか。おしゃれはしているようだけれども、そのセンスがいいとは思えないし。少なくてもこんな女性って僕のまわりには一人としていない。本当に彼女に共感した女性が多いのか、僕は疑問に思う。どっちかというと、あそこまでだらしなく生きられて、それでもあんな素敵な男性たちに愛されるような人生って最高、みたいな形でうけた映画なのかもしれない。さもないと逆に大いに反感を買いそうな気がする。
ただそんなことを言いつつ、酒とタバコが大好きな僕は、男性でありながらも、そんな彼女に変に共感してしまったのだった。オープニング・クレジットで、酔っ払った彼女がワイングラス片手に、セリーヌ・ディオンでヒットしたエリック・カルメンの大げさなバラード──誰が歌っているのか知らない──を聴きながら、ドラムロールの真似をしているシーンとか、社内パーティで酔っ払って、マライア・キャリーの歌を歌っているシーンとか、最高に好きだ。おかしいことはおかしいのだけれど、あまり他人事だと言って笑っていられないところに自虐的な味わいがある。滑稽な痛々しさが漂っている。女性を描いてそんな風に思わせてくれる映画はあまりない。それだけでも貴重だと思う。
いずれにせよこの映画はレニー・ゼルウィガーを主役に迎えて大正解だった。『シカゴ』で初めて彼女を見たときには、特別きれいでもないのに、なんでこの人が主演なんだろうと不思議に思ったものだけれども、この映画の主役は文句なし。彼女なしではこの映画の成功はありえない。やはり特別きれいだとか可愛いとか思わないのだけれど、それでいてなぜかちゃんと魅力的に見えるのだから不思議だ。もっと彼女の出ている映画を見てみたくなった。
(Apr 16, 2006)