シャッター アイランド
マーティン・スコセッシ監督/レオナルド・ディカプリオ、マーク・ラファロ/2010年/アメリカ/BS録画
沖の孤島にある精神病患者だけを収容した刑務所が舞台のミステリだというので、テーマ的にはまったく惹かれなかったのだけれど、マーティン・スコセッシの最新作にしてオスカー受賞後第一弾、そして原作は 『ミスティック・リバー』 のデニス・ルヘインとなると、やっぱこりゃ観ておかないわけにはいかないだろーと思う。
で、いざ観てみれば、そこはそこ。さすがにスコセッシの作品だけあっておもしろい。女性患者が失踪したという通報を受けて、ディカプリオ演じる連邦保安官が現地に駆けつけてみると、そこはいかにも秘密のありそうな怪しげな施設で、なにやらよからぬことが行われている雰囲気。彼は悪事を暴きだそうと奮闘するも、もとより自身が深刻なトラウマをかかえていたために、夜ごとの悪夢にうなされ、徐々に現実と幻想の境目がはっきりしなくなってゆく。やがて彼自身の正気さえもが疑われるような展開に……。
クライマックスでの大どんでん返し、悲劇的な真相、そして苦味のあるエンディング。とても見ごたえのある、よくできた映画だと思う……のだけれど。
HD時代ならではのヴィヴィッドでシャープな映像が、全体的なおどろおどろしい雰囲気にいまいちマッチしていない気がした。この内容だったら、もっと陰影の深い、昔風のくすんだ絵のほうが合う気がする。その点、ちょっとだけもったいないかなぁと思ってしまった。
どうやら、なんでもかんでもハイヴィジョンで絵が綺麗になればよくなるというものでもないらしい。それとも、こういうのも慣れの問題で、いずれこのレベルの画質でないと満足できない日がくるんでしょうか?
(Jun 15, 2011)