ベスト・キッド
ジョン・G・アヴィルドセン監督/ラルフ・マッチオ、ノリユキ・パット・モリタ、エリザベス・シュー/1984年/アメリカ/BS録画
ジェイディン・スミスとジャッキー・チェン主演のリメイク版から3カ月遅れでようやく観ました、1984年のオリジナル版『カラテ・キッド』。監督は『ロッキー』のジョン・G・アヴィルドセンという人と聞いて、あぁ、なるほどと思うような作品。
この映画、ストーリーがリメイクとほとんど同じなのに驚いた。リメイク版は舞台をカリフォルニアから中国へ移し、主人公を高校生から小学生に替えただけで、基本な物語の流れはほぼ一緒。いまさらながら、あれはいまどき珍しいくらいにオリジナルに忠実なリメイクだったんだなと思った。
比較してこちらのほうが優れているなと思ったのは、主人公の修行のシーン。リメイクでは上着を脱いだり着たりという、意味のない動作を一日中させられるという設定だったけれど、こちの主人公は自動車を磨いたり、塀を塗ったりと、とりあえず単純な肉体労働をさせられている。
両方とも結局はそれが空手やカンフーの基礎を養うのに大いに役立っていたことがわかってびっくり──というシナリオだけれど、こちらのほうがやっていることに単純労働としての意味がある分、なるほどな感と、でもそんなことあるかいって思わせる、とぼけた味があって僕は好きだった。
あとこの映画、80年代なかばという時代性が非常に色濃く出ているのも印象的。でもって、あの頃のファッションや風俗っていまとなるとすっかり風化してしまっているので、ヒロインの女の子がまったく若くも可愛くも見えないのがちょっと気の毒なところだ。
調べてみたら、ヒロインのアリを演じたエリザベス・シューという女優さんは、その後『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の2、3作目でマーティのガールフレンド、ジェニファーを演じたり、ウディ・アレンの『地球は女で回ってる』に出ていたり(買ったのに観てねぇ)、『リービング・ラスベガス』ではアカデミー賞の主演女優賞にノミネートされたりと、大いに活躍していた。でも、失礼ながらこの映画からは、彼女のそんな明るい未来はまったく予想できません。いやはや、おみそれしました。
(Nov 27, 2011)