素晴らしき哉、人生!
フランク・キャプラ監督/ジェームズ・スチュアート、ドナ・リード/1946年/アメリカ/スカパー!録画
フランク・キャプラの映画っておもしろい! と最初に思ったのは、おそらく十年くらい前のことなのに、なぜだかいままで一度も観る機会がないままできてしまった、キャプラの最高傑作との呼び声だかい『素晴らしき哉、人生!』──iMDBでは本日現在26位──を去年のクリスマス・シーズンにようやく観た。
この映画、なにやらファンタジー系の作品だという話は知っていたけれど、なるほど、いきなり冒頭から神様と天使の会話で始まる。
──とはいっても、実際に神様と天使が出てくるわけではなく、映像上は星空で星どうしが会話をしている、みたいな演出。それがまた、現代人の感覚からすると、学芸会レベルって印象で──まぁ、第二次大戦終戦の翌年の公開って時代性を考えれば、それも当然かもしれないんだけれど──最初からちょっと出鼻をくじかれる。
その後、映画は主人公ジョージ・ベイリーの幼少期から、彼の半生をひも解いてゆく。この前半のあたりも、僕としてはそれほどおもしろいと思えなくて、本当にこの作品のどこがそれほどの傑作なんだろう? って感じで観ていたのだけれど……。
いやぁ、きました。主人公が苦境に追い込まれ、冒頭の天使のエピソードと本編との絡みがはっきりしたところから、物語は
いやぁ、恥ずかしながら、泣かされてしまった。話としては、あまりに単純でベタすぎる気もするけれど、僕はこの映画の楽天的なヒューマニズムを否定できるほど、シニカルじゃない。
フランク・キャプラの最高傑作にして、『三十四丁目の奇蹟』とともに、アメリカのクリスマス・シーズンの定番だという話も大いに納得の逸品。
(Jan 12, 2014)