レ・ミゼラブル
トム・フーパー監督/ヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロウ、アン・ハサウェイ/2012年/イギリス/WOWOW録画
超豪華なキャスティングに、実写にCGを巧みに加えた重厚な映像、原作のおもしろさは世界中の折り紙つきとなれば、これはもうどう転んだって失敗作になりようがないって作品だと思うのだけれど。
で、実際最後には、ほろりとさせられたりしておいて、こんなこと言うのも気が引けるのですが。
なぜかいまいち絶賛する気になれないのは、おそらくこの映画があまりにまっとうすぎるがゆえ。
これだけ金をかけて、30年以上の長きに渡ってロングランをつづけているミュージカルを映画化すれば、そりゃおもしろくなって当然。では、どのくらいの出来栄え? という部分でこの映画にはほとんど驚きがない。
まぁ、ヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロウ、アン・ハサウェイらの思わぬ熱唱にはけっこう感心したけれど、それにしたって、やはり俳優でこれだけ歌えりゃすごいやって話であって。その歌声に感動して、彼らの歌手デビューを望むかとかってレベルの話ではないし。
正直、僕にはこの内容で2時間40分というのは、やや長すぎた。オリジナルの舞台がほぼ同じ長さのようなので、脚本とスコアに忠実につくるとこの長さになるのは避けられないのかもしれないけれど、どうせならば映画ならではのテンポのいい演出で、もうちょっとコンパクトにまとめてくれていたら、よかったのにと思わずにいられなかった。
そもそも、この映画を観て僕は、いったいこの内容をどうやって舞台で再現しているのだろうと、そっちの方が気になってしまった。舞台を観てみたいと思わせてしまった時点で、映画の負けなんじゃないかという気がする。決して出来の悪い映画ではないと思うけれど、いまいち楽しみ切れなかった。
それにしても、最近ヘレナ・ボナム・カーターって、どの映画でもキャラ作りが同じなのがすごい。魔女とか悪女とか演じさせるとなったら、もう彼女以外にはあり得ないって感じ。どの映画も彼女が出てきた途端、ティム・バートン作品みたいになっちゃう。その徹底ぶりがとてもおもしろい。
(Feb 03, 2014)