裏切りのサーカス
トーマス・アルフレッドソン監督/ゲイリー・オールドマン/2011年/イギリス、フランス、ドイツ/WOWOW録画
その邦題はちょっとないんじゃないかと思う映画は数あれど、これは極めつけ。なにゆえ『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』という素敵な原題を、こんな味もそっけもないタイトルに変えなきゃならないのか。変えようと思った人の気持ちが、僕にはさっぱりわからない。
まぁ、内容を表しちゃいるけれども。でも「サーカス」がイギリス諜報機関の通称だなんて、ふつうの人は知らないでしょう? 観た人にしか意味が通じない。しかも語感がめちゃくちゃ凡庸だし。個性的なオリジナル・タイトルを捨ててまで、意味不明なうえに平凡なタイトルを用意する日本の配給会社の方針が、僕にはまったく理解できない。
映画の出来自体はとてもいい。まぁ、もともと原作がさらっと読める本でもないので、ストーリーを知らないで観て、すべてが理解できるのか、さだかじゃないけれど、基本、物語は原作に忠実だし、落ち着いた映像と演出にも好感が持てた。
まぁ、ゲイリー・オールドマンはスマイリー役にはスマートすぎる気がするけれど、映画なんだから、見栄えがよくてもノープロブレム。
あとはもう、ただひたすら、その邦題はないだろうよと。この映画はとにかく、日本語タイトルのひどさを抜きにしては語れない。こんなタイトルをつけたら、けなされこそすれ、褒められることはまずないだろうに。そんなこともわからない人たちが、日本に入ってくる映画を牛耳っていると思うと残念でならない。
(Mar 01, 2014)