ビフォア・ミッドナイト
リチャード・リンクレーター監督/イーサン・ホーク、ジュリー・デルピー/2013年/アメリカ/WOWOW録画
『ビフォア・サンセット』で再会を果たしたジェシーとセリーヌのその後を描くシリーズ第三弾。
『ビフォア・サンライズ』での出逢いから18年。あのカップルにもういちど会えると言われれば、これはもう期待せずにいられまいってもので。最近の続編ブームのなかではもっとも地味ながら、もっとも楽しみにしていた作品だった。
ただ、徹底してふたりの会話だけを描くことで極上の恋愛映画たりえていた前二作と比べると、今回はいささか分が悪い。ともに暮らすようになり、いまや子供もいるふたりの間には、幾多の問題が横たわっている。
そんなふたりの現状を象徴するように、この映画は前半のうちは二人きりのシーンを描かない。そこのところが、ほとんどがふたりの会話だけで成り立っていた旧二作とは基本的に違っている。結婚して家庭をもったからには、そうそう二人きりになんかなれないぞって。そんな夫婦生活のリアリティをこの映画はつきつける。
そしてようやく二人きりの時間ができたと思ったら、そこでの会話の饒舌さは昔のままながら、そのほとんどが夫婦喧嘩に終わってしまうという……。この第三弾のテーマはずばり、夫婦喧嘩なんじゃないかって内容になっている。
まぁただ、そこはあの二人のこと。こうやって喧嘩をしながらも、この先も一緒に年を重ねてゆくんだろうなって―─それも主にジェシーの気配りによってだけれど(その点、セリーヌにはとても分が悪い)──、最終的にはそう思わせてくれる。そこんところが救い。喧嘩するほど仲がいいっていうけれど、まさにそんな感じの最新作だった。
どうせならば、これで最後なんていわず、ふたりの老後を描いた第四作も観てみたい。老夫婦がパワフルな会話を繰り広げるなんてのも楽しかろう。15年後に期待してます。──って、あ、そのころには俺が生きてないかも。
(Feb 08, 2015)