グランド・ブダペスト・ホテル
ウェス・アンダーソン監督/レイフ・ファインズ、トニー・レヴォロリ/アメリカ、ドイツ、イギリス/2014年/WOWOW録画
今年のアカデミー賞で美術賞ほか4部門受賞のコメディってんで、うちの奥さんのアンテナに引っかかった作品。
僕にとっても、ずいぶん以前から気になっていたにもかかわらず、いまだ一本も観たことがなかったウェス・アンダーソンの監督作品だということで、ではいい機会だから観てみようということになった。
で、観てみればこれが期待通りのおもしろさ。彩り豊かな絵作りに、テンポのいい演出、とぼけたブラック・ユーモアのセンスがとても魅力的。感覚的には、タランティーノの毒を薄めたというか、コーエン兄弟をもっと可愛くしたというか。もしくは『アメリ』的世界観からフェミニンな感覚を取り除いたとでもいったような印象を受けた。
とにかくウェス・アンダーソンという人が独自の世界観を持っているというのは、これ一本観ただけでよくわかる。それもきちんとした映像的美学とユーモアがあって、温かな感触のもの。そこがとてもよかった。
そんな監督の作風に惹かれて人が集まったのか、この映画のキャスティングは豪華きわまりない。主演のレイフ・ファインズをはじめ、ジュード・ロウ、エドワード・ノートン、エイドリアン・ブロディ、ウィレム・デフォー、ジェフ・ゴールドブラム、ビル・マーレイら、それぞれ主演俳優級の大物が大挙して出演している。そのほとんどが脇役ってところがすごい。
あとで確認したところ、さらにハーヴェイ・カイテルやトム・ウィルキンソン、ティルダ・スウィントンらの名前を発見してびっくり。ティルダ・スウィントンにいたっては、死亡した老貴婦人役だと知ってなおさらびっくり。なんとなくどこかで見たような顔だなとは思ったんだけれど、まさか彼女でしたか……。
わが家的におもしろかったのは、ここに出てくるそんな豪華俳優陣のほとんどを、うちの奥さんが識別できないこと。とくにジュード・ロウとエドワード・ノートンは彼女の「顔が見分けられない俳優リスト」の1位、2位を争う人たちなので、そのふたりが一緒に出ているというのを知った時点で、観る前から大笑いだった(で、実際に観てみても、その人たちってわからないから、なおおかしい)。
僕が映画の中でいちばん笑ったのは、ナチに殺人の容疑をかけられたレイフ・ファインズがいきなり逃げ出すところ。いやぁ、おかしかったです。
(Mar 15, 2015)