2015年6月の映画

Index

  1. アメイジング・スパイダーマン2
  2. GODZILLA ゴジラ [2014年版]

アメイジング・スパイダーマン2

マーク・ウェブ監督/アンドリュー・ガーフィールド、エマ・ストーン、ジェイミー・フォックス/アメリカ/2014年/WOWOW録画

アメイジング・スパイダーマン2 (字幕版)

 マーク・ウェブ監督、アンドリュー・ガーフィールド主演の新スパイダーマン・シリーズの第二弾──にして、なんだかよくわからないけれど、契約の都合上、このシリーズはこれにて打ち切りになったという噂の一編。
 まぁ、最後のほうに第三作への伏線らしきシーンがあったりはするものの、その一方でシリーズ中もっとも重要なエピソードが、おいおいマジかぁ?──と思ってしまうような意表をついた(そして残念無念な)展開で終わりを遂げているので──ウィキを見たら原作がそういう話のようなので、原作を知っている人にとっては意外でもなんでもなかったのかもしれないけど──、ある意味、ここで終わっても問題ないよなと思ってしまう。これはそういう不幸中の幸い的な作品。
 シリーズが完結したという前提でサム・ライミ版と比較するならば、やはり僕はどちらかというとこちらのほうが好きな気がする(旧シリーズの印象が薄くなっているせいもあると思うけれど)。アンドリュー・ガーフィールドとエマ・ストーンの主演カップルがとてもお似合いで、恋ありアクションありの青春映画として、少年マンガ的な感覚でとても楽しめた。演出もマーク・ウェブのほうがテンポがよくて、しっくりくる感じ。
 ただ、対決する敵役の魅力という点ではちょっと分が悪いかなと思う。前作のトカゲ男にしろ、今回の電気男にしろ、僕にはちょっと設定が強引で、ありきたりすぎるように思えた。ヒーローものでは悪者も重要なので、その点は旧作のほうが魅力があった気がする(2作目のタコみたいなやつがすごく印象に残っている)。
 今回ジェイミー・フォックスが演じるエレクトロは、造形的な面白さが少ない上に、ちょっと能力が破格すぎるのが難点。消えたり出たり、空を飛んだりって、もう無敵じゃん。あんな力の持ち主が相手では、誰であれ、そう簡単に勝てるとは思えない(とうぜん勝っちゃうんだが)。そのせいであまり戦闘シーンに説得力がなくて、いまいち盛りあがりきれなかった(スパイダーマンのスーツがゴムだから電気を通さないんだって説明には笑ったけど。ワンピースのルフィとエネルかい)。
 観終わったあとでキャスティングを見て、おぉっと思ったのが、ライノ(サイのロボットみたいなやつ)に乗り込んだ悪党役がポール・ジアマッティだったこと。不覚にもぜんぜん気がつきませんでした。最近どうしてるのかなと思ったら、こんなところにチョイ役で出演していたとは。とりあえず、お元気そうでなにより。
(Jun 07, 2015)

GODZILLA ゴジラ [2014年版]

ギャレス・エドワーズ監督/アーロン・テイラー=ジョンソン、渡辺謙、エリザベス・オルセン/2014年/アメリカ/WOWOW録画

GODZILLA ゴジラ(字幕版)

 ハリウッドによるゴジラの二度目のリメイク作品。
 ローランド・エメリッヒによる前回の失敗を踏まえての再挑戦だから、今回こそ期待にたがわぬ作品に仕上がっているはず──という僕の思い込みは見事にハズレ。またもやこんな? という出来映えになっている。ハリウッドの実力ってこんなもんですか?
 いや、超巨大トカゲと化してしまった前回のゴジラよりも、怪獣としてのフォルム自体は格段素晴らしくなっている。今回のゴジラはちゃんとゴジラらしい。そこはまぁ、満足。
 ただ、シナリオがとにかくつまらない。そしてちょっと偉そうな言い方になるけれど、怪獣映画としての見せ方がなっていない。
 『ゴジラ』をシンプルにそのままタイトルにした以上、僕らが期待するのはゴジラなわけです。ゴジラが見られれば、それでいいわけです。ゴジラが見たいんです。
 なのになに、いきなりそのムートーってやつは、いったい。
 なぜにそんなのがゴジラより先に出てくる?
 俺はゴジラVS武藤が観たいわけじゃねー。ゴジラが大暴れするところが観たいんだよ~。
 しかもこの武藤さん、電磁パルス飛ばして電子機器を軒並み破壊しまくる対現代兵器ロボみたいな存在だ。核ミサイル見つけて、あら素敵とばかりに自分のものにしちゃうし(その後も執着しまくり)。なんかいかにもシナリオのために考え出しましたって感じで、怪獣としての自然発生的な魅力がたりない。見た目もかわいくない。なんでハリウッドのデザインする怪獣ってこうなんだろう。
 とにかく、この第二の怪獣(それも雄雌二匹)の主役はこいつかってくらいの目立ちようがこの映画のいちばんのネック。
 まぁ、水戸黄門に対する悪役みたいな感じで、正義の味方ゴジラが最後にいいところを持ってゆく──というシナリオは、ある意味、とても日本的かもしれないけれど。でも俺は正義の味方のゴジラが見たいわけじゃないんです。
 とにかく、暴れるのはムートーばっかりで、ゴジラの見せ場が少ないのが最高に拍子抜け。ゴジラの初登場シーンなんかも、あら、出てきちゃった、みたいな感じで、ちっとも盛りあがらない。ほんと、もっとケレンミのある演出で、ゴジラ来た~!──と思わせて欲しかった。怪獣映画を観ていて、いちばんびっくりしたのが、バスに鳥が衝突するシーンってのはどういうことだ。
 あと、この映画は全体的に真っ暗な絵が多すぎる。昼間に観ていたので、窓の光が画面に反射してしまって、なにがなんだかよくわからないシーンのオンパレードだった。その暗さが演出として生きてくる場面もあまりないし。なんであんなに暗くしているのか、よくわからない。まぁ、真っ暗な中で吐くゴジラの青い炎はクールだったけれど、そのシーンのためというには、暗さにも限度がある。
 ということで、期待度は非常に高かったものの、結局、映画の出来としては、前作とどっこいという感じ。いや、少なくてもエメリッヒ版は最初の三十分──ゴジラが上陸して暴れるところまで──くらいは最高だった記憶があるので、こっちはそういう「ここが最高!」ってところが見つからない分、負けている気さえする。
 あえていうならば、今回のゴジラはちゃんと強い。エメリッヒ版のように哀れを誘ったりはしない。そこだけは救いかもしれない。
(Jun 11, 2015)