このサイテーな世界の終わり
ジェシカ・バーデン、アレックス・ロウザー/2017年/イギリス/Netflix(全8話)
ブラーのグレアム・コクソンが手がけたサントラがよかったので観てみたNetflix制作の青春ドラマ。これがとてもおもしろかった。
内容は高校生カップルの家出を描いたロードムービー。安直に表現すれば、ティーンエイジャー版のタランティーノ映画みたいな作品。自らをサイコパスと自認する不感症の男の子(でも殺人は未経験)と不幸な家庭環境のせいで年じゅう不機嫌な女の子がなりゆきでなんとなくカップルになり、衝動的に家出をしてからの顛末を描いてゆく。
なんたって生活力のない高校生どうしの家出なので、その道中は軽犯罪の連続となって、危なっかしいことこの上ない。自称サイコパスのジェームズ(アレックス・ロウザー)は一緒にいる女の子をどうやって殺そうかって考えていたりするし。一方のアリッサ(ジェシカ・バーデン)は思春期の女の子だけあって、セックスに興味津々なんだけれど、相手のジェームズが淡白すぎて、なかなか深い関係になれない。
やがてこのふたりの性癖と性格のずれが予想外の重大事件を引き起こし、物語は怒涛の後半戦へとなだれ込んでゆく。このへんになると、もう目が離せない。ちょっとのつもりで観始めたのに、一日でいっき観してしまった(一話25分の全8話なので、トータルでも3時間半たらず)。観ているうちに特別に美男・美女でもない主演のふたりがだんだんと愛おしくなってくる。彼らのゆくえを追うのが同性愛の女性刑事のコンビというのも時代を反映していて興味深い。
シーズン1とはいっているけれど、あのあとを描いたら蛇足になりそうな気がするので、この話はここで終わったほうがいいように思う。とはいえ、もっとジェームズとアリッサのふたりを観たいとも思う。んー、そんなジレンマを抱いてしまうくらい、いい作品。グレアム・コクソンのサントラもオールド・ファッションなロックンロール満載で素敵です。
(Apr 11, 2018)