死霊のはらわた
サム・ライミ監督/ブルース・キャンベル/1981年/アメリカ/WOWOW録画
男二人と女の子三人の五人組が格安で手に入れたおんぼろコテージで一夜を過ごそうとしたところ、そこに残されていた呪いの本やら呪文のテープのせいで死霊が呼び出されて、五人が次々とその犠牲になってゆく……というような話。
その後『スパイダーマン』シリーズでメジャーとなるサム・ライミの監督デビュー作だし、先日読んだ『荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論』でも絶賛されていたので、スプラッターは苦手だけれど、一度くらい観ておこう……とか思ったのが間違いだった。
やっぱ僕はスプラッターは駄目だ。生理的に受けつけない。
グロテスクな残虐シーンの数々が苦手なだけでなく、この映画の場合は物語にあれこれ破綻も多くて、理屈屋の僕は終始なにそれって思わずにいられなかった。
だって主人公のガールフレンドが鉛筆で足を刺されただけでゾンビ化(死霊化?)しちゃうのに、ゾンビに足をひっかかれたり、血を浴びせかけられたりしている主人公が最後まで大丈夫だなんておかしいでしょう? 女の子が悲鳴をあげているのに、男どもがよっこらしょとか、悠然としていたりするし。主人公のお姉さんが死霊化したのには唖然としたよ。なにそれ突然。とにかくキャラクターの行動がいちいち不自然すぎる。
謎のなにかの視線を表現してハンドカメラが森の中を疾走するシーンとか、死霊の特殊メイクとか、死霊が腐るシーンのクレイアニメ的な手法とか、八十年代冒頭に低予算で作った映画としては画期的なのかもしれないけれど、CGで超絶的な映像があたりまえのように観られるいま現在では目新しくもないので、映像的なあれこれを差し引いてみると、もうしわけないけれど、単なるB級映画としか思えなかった。
もしかしてこのB級感こそが魅力って思う人もいるんでしょうか?
(Mar. 07, 2021)