TENET テネット
クリストファー・ノーラン監督/ジョン・デヴィッド・ワシントン、ロバート・パティンソン、エリザベス・デビッキ/2020年/アメリカ、イギリス/Netflix
まー、あまりに話がわからなさすぎて、なにを書いていいかわからない。
仕方がないので一週間後にもう一度観たから、いくらかは理解が進んだけれど、それでも結局全体像は理解しきれず。おかげでいまいち気分がすっきりしない。
いや、話がわからないというのはちょっと違う。二度も観ただけあって、あらすじならばなんとなく説明できる。
ジョン・デヴィッド・ワシントン――『ブラック・クランズマン』の主演の彼(気がつかなかった)――演じる主人公が世界の破滅を防ぐミッション・インポッシブルな任務を託されて、事件の鍵を握る武器商人(ケネス・ブラナー)とその不幸な妻(エリザベス・デビッキ)と出会い、時間を逆行させる未来兵器によって世界を破滅に導こうとしているその旦那の目論見を阻み、世界と奥さんの両方を救うというような話(え、違う?)。
でもディテールについてはなにがなにやら。エントロピーを操るとなぜに時間が逆行するの? 時間を逆行しているあいだは酸素が吸えないとか、熱と冷気が逆転するとか、ついには世界が一瞬で滅びてしまうとか、それはなぜ? 最後はなぜにあんなに派手な軍事作戦になっちゃうんだ。あー、わけがわからない。
時間の逆行を表現するために逆再生映像を多用したアクション・シーンは非常にエキセントリックでおもしろいし、物語的にも見所たっぷりなんだけれど、どうにもいろいろとわからないことが多すぎて消化不良感が否めない。
別に哲学的な映画ってわけでもなく、基本的には世界を破滅から救おうってエンタメSF映画なのに、ここまでわけがわからない映画ってのも珍しいと思った。『メメント』もわかりにくい映画だったけれど、あれを易々と超えている。
よくも悪くも、これぞクリストファー・ノーランの真骨頂って作品かもしれない。
(Jul. 05, 2021)